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賞・審査員

第15回東京フィルメックス受賞結果

第15回東京フィルメックスコンペティション部門審査員は以下の作品に賞を贈ります。



『クロコダイル』
(フランシス・セイビヤー・パション/フィリピン/2014年/88分)

授賞理由; 誠実な人間性を携えながら、この作品は時を超越した場所へ私たちを誘い、そこで私たちは心温かい人々の生活に遭遇します。監督の直観的かつ観察力に優れたスキルにより、私たちはスピリチュアルな旅を体験し、このような固有な世界があることに気づかされます。この作品の強さは、実直で一貫性をもった監督のスタイルと、キャストの生き生きとした表現力にあります。



『彼女のそばで』
(アサフ・コルマン/イスラエル/2014年/90分)

授賞理由; この力強く感動的な作品には、初監督作品であるにも関わらず、監督の熟練味溢れる行きとどいた演出力を感じます。特に全編に亘って保たれた"適切な距離感"に、その素晴らしい手腕が発揮され、親密な姉妹の間に見られる興味深い関係を見せてくれます。

■スペシャル・メンション

『シャドウデイズ』
(チャオ・ダーヨン/中国/2014年/95分)

授賞理由; 審査員は、監督が映画と社会との緊密な関係を描くことに全力を傾けていることに深く感銘を受けました。



■第15回東京フィルメックス コンペティション審査員:
ジャ・ジャンクー(審査委員長:中国/映画監督)、柳島克己(日本/撮影監督)、リチャード・ローマンド(アメリカ/プレス・アタッシェ、フィルム・プレス・プラス代表)、中村由紀子(日本/東急文化村 美術・映像事業部 プログラミングプロデューサー)、張昌彦(台湾/映画評論家)



■観客賞

『プレジデント』
(モフセン・マフマルバフ/グルジア、フランス、UK、ドイツ/2014年/119分)


■学生審査員賞

『彼女のそばで』
(アサフ・コルマン/イスラエル/2014年/90分)

授賞理由; ハンディによる姉妹の強烈なクロースアップと突き放すような俯瞰のロングショットは、互いに献身し合うようにして二人の息苦しいまでに愛おしい距離感を描き出し、両者のかけがえのない関係性を見事に炙り出していたといえる。姉妹の繊細で言葉に出来ない瞬間を切り取るそのフレームは、観る者の身体にダイレクトに向かい、今作品における世界を疑う時間は一瞬たりともない。作家の誠実な眼差しによって見つめられる姉妹の体温に、ずっと寄り添っていたいとさえ思えた。
●学生審査員:
清水俊平(東京藝術大学大学院映像研究科)、大河原恵(多摩美術大学)、千葉花桜里(日本大学)
≫ 「学生審査員賞」審査を終えて

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審査委員長


ジャ・ジャンクー
(JIA Zhang-ke 審査委員長:中国/映画監督)

1970年、中国山西省・汾陽フェンヤンに生まれる。北京電影学院で映画を学び、その卒業製作である長篇監督デビュー作『一瞬の夢』が98年ベルリン映画祭で新人監督賞にあたるヴォルフガング・シュタウテ賞を受賞。監督第2作『プラットホーム』は2000年ヴェネチア映画祭コンペティションに選ばれ、最優秀アジア映画賞にあたるNETPAC賞を受賞した。監督第3作『青の稲妻』(02)はカンヌ映画祭コンペティションで上映。その後、全ての作品がカンヌ、またはヴェネチア映画祭で上映される。2006年の『長江哀歌』はヴェネチア映画祭で最高賞の金獅子賞を受賞した。『罪の手ざわり』(13)は『青の稲妻』、『四川のうた』(08)に続いて3度目のカンヌ映画祭コンペティション上映となり、脚本賞を受賞した。


審査員


柳島克己
(YANAGIJIMA Katsumi/日本/撮影監督)
1950年生まれ。写真学校を出た後、1972年に三船プロに在籍、81年フリー。86年にTVドラマでキャメラマンとなり、以後は映画を中心に活動中。
『3−4X 10月』(90年)から『アウトレイジ ビヨンド』(12年)までの北野武監督作品のほとんどを手掛けている。そのほかの映画作品に『バトル・ロワイアル』(00年/深作欣二監督)、『GO』(01年/行定勲監督)、『ディア・ドクター』(09年/西川美和監督)、『ライク・サムワン・イン・ラブ』(12年/アッバス・キアロスタミ監督)のほか、多数の監督との撮影に携わっている。現在、東京藝術大学大学院映像研究科の教授も兼ねる。



中村由紀子
(NAKAMURA Yukiko/日本/東急文化村美術・映像事業部プログラミングプロデューサー)
東京生まれ。日本ヘラルド映画を経て、89年(株)東急文化村へ入社。Bunkamura開館当初からル・シネマの番組編成を担当。上映作品は280本を超える。主な上映作品は『カミーユ・クローデル』(88)、『さらば、わが愛 覇王別姫』(93)、『ポネット』(96)、『初恋のきた道』(99)、『オアシス』(02)、『パリ・オペラ座のすべて』(09)、『別離』(11)、『愛、アムール』(12)、『嘆きのピエタ』(12)など。
『髪結いの亭主』(90)を始めとしたパトリス・ルコント監督作品や、『愛に関する短いフィルム』(88)のクシシュトフ・キェシロフスキ監督作品を多数上映。日本に独自のファンを定着させた。94年、96年、98年の3回に亘り、東京・パリ友好都市提携記念事業「パリの横顔」シリーズの企画、運営に携わる。
自社提供作品として『ファースト・ポジション 夢に向かって踊れ!』(11)、「Dior and I」(原題/15年公開予定)がある。



張昌彦
(CHANG Yann/台湾/映画評論家)
台湾・台北市出身。台湾の中国文化大学演劇学科を卒業後、早稲田大学文学研究所にて映画を専攻する。80年代からは中国文化大学映画演劇学科や国立台湾芸術学院などの大学で教鞭を執る。現在は台湾の世新大学TV映画放送研究所副教授。金馬奨や金鐘賞、台湾国家文芸賞など審査員歴も豊富である。



リチャード・ローマンド
(Richard LORMAND/アメリカ/プレス・アタッシェ、フィルム・プレス・プラス代表)
日本人の母とフランス語を母国語とするケイジャン・アメリカ人の父のもと、ルイジアナ州ラファイエット郊外に生まれ育つ。ニューヨークのロイターでリポーター、ジャーナリストとしてキャリアをスタートし、カンヌ映画祭、タオルミナ映画祭、ウィーン国際映画祭に参加する。
その後、過去20年間にわたり、ベルリン、カンヌ、ヴェネチア映画祭などで、映画のインターナショナル・コミュニケーション、広報、マーケティングを担当する。数多くの映画祭で受賞した作品のワールドプレミアを手掛けた。主な作品にタヴィアーニ兄弟『堀の中のジュリアス・シーザー』、クリスティアン・ペッツォルト『東ベルリンから来た女』、アピチャッポン・ウィーラセタクン『ブンミおじさんの森』、ジャ・ジャンクー『長江哀歌』、ファティ・アキン『そして、私たちは愛に帰る』、ミヒャエル・ハネケ『隠された記憶』、リテーシュ・バトラ『めぐり逢わせのお弁当』、ヴォルフガング・ベッカー『グッバイ、レーニン!』、フランソワ・オゾン『8人の女たち』、三池崇史『13人の刺客』、アレクサンドル・ソクーロフ『エルミタージュ幻想』、『ファウスト』、北野武『座頭市』、『HANA-BI』がある。
ミッチェル・リキテンシュタインのカルト的作品『THEETH』、『最強のきずな』(デミ・ムーア、パーカー・ポージー、エレン・バーキン、リップ・トーン出演)、近日公開の『ANGELICA』(ジェナ・マローン、ジャネット・マクティア出演)の製作陣のひとりである。アカデミー賞受賞女優ジュリエット・ビノシュ出演、アモス・ギタイ監督の『撤退』のプロデューサーでもある。自身の監督・脚本の短編「TI-BOY'S WIFE/LA FEMME DE TI-BOY」(94)はクレルモン=フェラン、ロカルノ、トリノ映画祭などで受賞している。

【観客賞】


観客の投票により選出されます。東京フィルメックス・コンペティション作品および特別招待作品が対象となります(クロージング作品および『ONE ON ONE』(原題)を除く)。

【学生審査員賞】


東京学生映画祭主催の「学生審査員賞」は3人の学生審査員がコンペティション部門の作品を対象に審査し、11月29日(土)の授賞式で最優秀作品を発表します。
学生審査員の選任から、賞の運営までをすべて東京学生映画祭の手で行います。

 東京学生映画祭 www.tougakusai.jp

<学生審査員>



清水俊平(SHIMIZU Shumpei)
東京藝術大学 大学院 映像研究科
監督作品:『ふざけるんじゃねえよ』/第26回東京学生映画祭 実写部門 グランプリ受賞
映文連アワード2014 パーソナル・コミュニケーション部門 部門優秀賞受賞


大河原恵(OOKAWARA Megumi)
多摩美術大学3年
監督作品:『襟売ってよ』/第26回東京学生映画祭実写部門本選出場


千葉花桜里(CHIBA Kaori)
日本大学3年
第26回東京学生映画祭企画委員代表

≫ 「学生審査員賞」審査を終えて


第四回学生審査員賞を実施するにあたって
誰もが簡単に映像を撮り、見てもらうことができるようになった今、たくさんの学生が自主制作で映画を撮っています。学生は何を感じ、どう考えているか、学生審査員賞を通して少しでも知っていただければと思います。
東京学生映画祭企画委員会/菅原 澪

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