今年はコンペに3本、そして特別招待に2本、合計5本のイラン監督による作品を上映しました。イラン映画がどうしてそんなに多かったのかというお問い合わせもいただきました。答えは全くシンプルで、イラン映画に素晴らしい作品が多かったから、それに尽きます。
私たちは国のバランスとか散らばりとかを重要視していません。面白い映画を順番に選んで行きますので、結果イランが多かったわけです。確かに選考途中で出来る限り多くの作品を拝見するのは必須なのですが、実際イランよりも多く拝見できた他国の作品でも、良いと思えるものが無かったので残念ながらご紹介できなかった国もありました。香港や台湾を入れたいとか、タイや韓国から一本も無いのはおかしいとか、見た目の整然さを重視すると、結果的には妥協して「まぁこのくらいでもいいか」という作品をご招待しなくてはなりません。心底愛していない作品をプログラムに入れるのは、お客様を裏切ることになりますので、それは私たちには出来ません。
ただ、日本での配給会社が決まっている場合に公開時期などの関係で、東京フィルメックスでのジャパンプレミアが吉となって連動できればよいのですが、時期尚早という判断で、私たちがご紹介したくても上映できなかった作品もあるのは事実です。
今年はパラグアイから一本「ハンモック」という映画をご紹介しました。予算が厳しいのも忘れてこの作品は何としても上映したいと心が震えた一本でした。バフマン・ゴバディ監督の「半月」もサンセバスチャン国際映画祭でグランプリを獲る前に決めていたし、ジャ・ジャンクー監督の「三峡好人」もヴェネチアで金獅子賞が決まる前にオープニング上映を決定していましたので、今年は私たちにとってもサプライズだらけでした。
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収穫のイラン映画 – 林 加奈子ディレクター (6)
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