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『トーキョービッチ,アイラブユー』舞台挨拶・吉田光希監督Q&A
from デイリーニュース2013 2013/11/24
11月24日(日)、有楽町朝日ホールにてコンペティション部門の『トーキョービッチ,アイラブユー』が上映され、上映前の舞台挨拶には、吉田光希監督をはじめ、主演を務めた八椛(やなぎ)裕さん、出演者の武本健嗣さん・小嶋喜生さん・影山祐子さん・伊藤公一さんが登壇した。本作は、『症例X』(07)『家族X』(11)が海外でも高く評価された吉田光希監督の待望の新作。会場には、吉田監督の過去2作品も鑑賞しているという熱心なファンの姿も見られ、ワールドプレミアとなる上映を前に、作り手と観客双方の期待と興奮が会場を包んだ。
本作は、演劇ユニット「オーストラ・マコンドー」によって上演された同名舞台の映画化。近松門左衛門の「曽根崎心中」を現代の東京に翻案し、風俗嬢の刹那的なラブストーリーを描いた。吉田監督は、「長年通い続け、多くの刺激を受けてきた映画祭で最初に上映することができて嬉しい」と挨拶。八椛さんはこの映画に込めた想いを「(身も心も)空っぽになり、どう前に進んでいいのかわからなくなっても、それでも人は「生きる」ということなんだと思う」と観客に伝えた。続いて、各出演者より檀上に上がった喜びと、来場者への感謝の気持ちが述べられた。
上映後のQ&Aでは、吉田監督が再び登壇。まず司会の林 加奈子東京フィルメックス・ディレクターが、本作で監督がチャレンジしたこと、過去の作品と異なる点について質問した。吉田監督は「これまでの作品では、登場人物の感情をどうやって映画に映すかというリアリズムにこだわっていた。また、会話が多かったり、エピソードが次々と起こるようなスタイルには積極的に取り組んでこなかった。そこで今回は、今まで自分がやってこなかったことに挑戦しようと思い、作品に取り掛かりました」と答えた。
客席からの「なぜ「曽根崎心中」という古典を原作にしたのか」という問いには、「オーストラ・マコンドーの舞台を映画化したいと思ったのが、この作品を作るきっかけ。台詞を多く取り入れることに挑戦したかったので、ダイアログで構成されている舞台を映画化したらどのような作品が作れるのか、とても興味がありました」と、大元の原作である「曽根崎心中」を映画化したのではないことを説明。
また、印象的なオープニングシーンの意図について質問が及ぶと、「登場人物の内面・人物像を映画の冒頭で提示したかった。この世に未練がなく、世の中をやぶにらみしているような性格を象徴するカットとして描いた」と語った。(※どのようなシーンかは、映画を観てお確かめ下さい!)その後観客からは、具体的な場面の演出についてや、エンディングについての質問や感想が相次ぎ、監督もたしかな手応えを感じている様子だった。
本作は、12月7日(土)より、新宿K's cinemaにて特集プログラム「全力映画2013」の中で上映される。見逃した方は、是非、足をお運びいただきたい。
(取材・文:小嶋彩葉、撮影:穴田香織、白畑留美、関戸あゆみ)
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