2007年03月30日
ただいま、東京フィルメックスでは上映作品を募集中です。応募条件などの詳細は応募規約を参照ください。締め切りは7月31日です。
ツァイ・ミンリャン監督最新作の「黒い眼のオペラ」が、渋谷・シアターイメージフォーラムにて先週末より公開が始まりました。
昨年の東京フィルメックスでは、クロージング作品として上映、満員の観客を幸福感で満たしながら映画祭を締めくくりました。実際のところ、ご覧になった方々からは、これまでのツァイ・ミンリャン作品には見られないラストシーンだった、という感想が多く、監督がさらなる高みを目指して踏み出した作品と言えるかも知れません。そのラストは、どうぞみなさんの目で確かめてください。
「黒い眼のオペラ」は、昨年のモーツァルト生誕250周年記念プロジェクト「ニュー・クラウンド・ホープ」の映画部門の1本として製作された映画です。その他に製作され、東京フィルメックスでも上映された「半月」「世紀の光」「ハンモック」「オペラジャワ」の素晴らしさと観客の反応を感じるにつけ、本当に偉大なプロジェクトだったのだなぁ、と改めて実感しました。東京フィルメックスも、こういった挑戦的な映画や監督たちの積極的なサポーターであり続けたいと思います。
クロージング上映にあわせて来日してくださった、ツァイ・ミンリャン作品のミューズのひとり、チェン・シァンチーさんはその外見のチャーミングな印象とはまた別の、知性と感性にあふれる的確な受け答えが観客を惹き付けていました。特に、監督の創作の秘密を探るトークショーでは、現場で交わす監督との演出論に対する緊迫感が伝染してくるようでした。
リュ・スンワン監督による渾身のアクション傑作「相棒 -シティ・オブ・バイオレンス-」が六本木シネマート、シネマックス千葉にて公開中です。4月からは大阪での公開も始まります。
東京フィルメックスでは、2000年の第1回で「ダイ・バッド」が上映されましたが、それ以来となる監督・主演をこなした本作品で激しいアクションを自ら演じきりました。撮影中には靭帯を損傷する大ケガも負ったとか…。
しかし、そこまでして撮影をしたほどに、監督の思い入れとやりたいことがぎっしり詰まった、他の映画にはない魅力にあふれる作品となっています。
昨年の映画祭での上映の際には、応援にかけつけた掟ポルシェさんとの絶妙な掛け合いで、満場の観客の笑いを誘っていました。また上映後の観客との質疑応答でも、機転を利かしたウィットに富んだ受け答えで笑わせて、また豊富な映画の知識と愛、監督たちへの尊敬を素直に表明する姿が印象的でした。
家でDVDで観るのではなく、劇場でたくさんのお客さんと一緒に観てこそ!の映画です。ぜひ、ご覧ください。
黒沢清監督の最新作「叫」が、シネセゾン渋谷、新宿武蔵野館他にて、ただいま公開中です。全国各地の劇場でも公開が始まりました。
黒沢作品では7本目の出演となる、役所広司演じる刑事・吉岡。次々と起こる連続殺人事件を取り巻く状況から、次第に自分が犯人なのではないか、と疑いを深めていくという、様々な謎と伏線が張り巡らされた、まさに黒沢ワールドを堪能できる104分です。
映画を観終わった後に、友人たちといくつかのシーンについて、お互いの推測や解釈を語り合いたくなる、そんな何度も楽しめる作品です。
本当に何かが映りこんでいるような雰囲気たっぷりの廃墟や、豪華オールスターキャストの競演も見事です。
昨年の東京フィルメックスでは、黒沢清監督と主演の役所広司さんが舞台挨拶にいらして、上映後には監督による質疑応答も行われました。日本でのお披露目となった上映に、熱烈な黒沢清ファンが詰めかけ、大変な熱気に包まれました。
3月28日(水)には、シネセゾン渋谷にて、黒沢清監督によるティーチ・インも行われるようです。詳細は公式サイトでご確認ください。
昨年の東京フィルメックスで1と2が一挙に上映されて話題を集めた、ジョニー・トー監督の「エレクション」がただいま公開中です。東京フィルメックスでは、チケットぴあでの前売り開始直後に2本揃って売り切れになってしまったほど、日本のファンの注目が高かった本作。監督独自の黒と赤を鮮烈に配したスタイリッシュな映像、サイモン・ヤムとレオン・カーファイの実力派俳優が繰り広げる虚々実々の駆け引きと非情な黒社会の掟。観客のすべてが痺れたジョニー・トーの真骨頂が堪能できます。
東京での公開は既に終了してしまいましたが、全国各地の映画館では引き続き上映中です。ぜひ、ご覧ください。「エレクション2」の日本公開も待ち遠しいですね。
<エレクション2(映像 部分抜粋)>
(1)(2)(3)(4)(5)(6)
3月22日(木)-24(土)の3日間、アテネ・フランセ文化センターにて「イスラエル映画祭2007」が開催されています。03年-06年の間に製作された新作長編劇映画を4本と、短編プログラム(4本)の計5プログラムの上映です。
このイスラエル映画祭で、昨年の東京フィルメックス・コンペティション部門で上映され好評を集めた「クロース・トゥ・ホーム」が上映されます。
女性兵士という、これまでのイスラエル映画に見られなかった題材を扱いながらも、恋や親との関係に悩む等身大の若い女性たちを描くことで、多くの観客の共感を呼んだ青春映画です。東京フィルメックスでは、お二人の女性監督、ダリア・ハゲル監督とヴィディ・ビル監督が来日して上映後の観客との質疑応答で、自身の徴兵の体験や、2人での共同演出の裏側を語ってくださいました。
見逃してしまっていた方も、もう一度観てみたい方もぜひご覧ください。
今日から香港国際映画祭が始まっています。4月11日までの3週間あまり、300本を超える映画が上映される大きな映画祭です。日本からも距離も近く、一般の旅行客もチケットを購入して映画を観ることができます。もちろん、人気作品のチケット入手は大変ですが…。学生のみなさんは春休みを利用しての旅行や卒業旅行のついでに立ち寄ってみてはいかがでしょう?
世界の映画祭だよりでは、今年の香港映画祭の見どころについて簡単に紹介してあります。ぜひご覧ください。