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Special Screenings






Cut / Cut
Japan / 2011 / 120 min.
Director: Amir NADERI
[Introduction]
New York-based Iranian filmmaker Amir NADERI's latest work is his first shot on location in Japan. Its protagonist is a young film director named Shuji, who produces his own work independently with the financial support of his older brother. One day he is summoned to the offices of a yakuza gang, and is told that his brother, who had resorted to borrowing money from them to pay for Shuji's films, has died. To pay back his debts, Shuji ends up becoming a human punching bag for hire... "Cut" references a wide array of films within an atmosphere reminiscent of Hollywood film noir, as signified by the yakuza office converted from a boxing gym. The seemingly possessed character of Shuji harks back to NADERI'S protagonists from his Iranian films such as "The Runner" through to his previous work "Vegas: Based on a True Story." NISHIJIMA Hidetoshi gives a powerful performance as Shuji, and TOKIWA Takako recasts her image in the role of the heroine, Yoko. Selected as the opening film of the Venice International Film Festival's Orizzonti section.








Amir NADERI

After being involved in filmmaking as a still photographer, projectionist, and assistant director, he made his directorial debut with "Khoda Hafez Rafig" (Goodbye Friend) in 1971. Was active in filmmaking scenes with Abbas KIAROSTAMI, based at the Institute for the Intellectual Development of Children and Young Adults. "Harmonica" (74) is known as a masterpiece of pre-revolutionary Iranian cinema. Young NADERI dreamt of becoming a film director in Hollywood, and in 1976 he directed "Shakhte Iran (Made in Iran)", filmed in New York. Won the top award at the Festival des 3 Continents in Nantes for "The Runner" (86) and "Water, Wind, Dust" (89). Moved to the United States, and in 1993 made "Manhattan by Numbers," which was invited to the Venice Film Festival, and also commercially released here in Japan. "A.B.C. Manhattan" (97) was selected for Un Certain Regard at the Cannes Film Festival. "Marathon" (02), "Sound Barrier" (05) and "Vegas: Based on a True Story" were screened at TOKYO FILMeX respectively.







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『CUT』舞台挨拶・Q&A
from デイリーニュース2011 2011/11/23

1123cut_01.jpg11月23日、有楽町朝日ホールにて、特別招待作品としてアミール・ナデリ監督の『CUT』の上映が行われた。この作品は、2005年の第6回東京フィルメックスで審査員を務めた西島秀俊さんと、来場していたアミール・ナデリ監督が出会い制作されたもので、まさに東京フィルメックスがあったからこそ実現した作品と言えるだろう。12月の劇場公開に先駆けて、この日がジャパンプレミア。主演の二人と監督が揃って登壇するとあって、観客はもとより多くの報道陣が詰めかけ、注目度の高さが伺えた。


上映前の舞台挨拶で、主演の西島さん、常盤貴子さん、ナデリ監督が登壇。最初にナデリ監督が、「今夜は自分のキャリアにおいてとても重要な日。ここに至るまで6年の歳月がかかりました。西島さん、常盤さん始め素晴らしい俳優たち、撮影クルーと一緒に仕事をすることができました」と挨拶。続いてスタッフ、関係者について丁寧に一人ひとりの名前を挙げ、感謝の意を述べた。

続いて常盤さんが挨拶。「イラン出身、ニューヨーク在住、日本映画をこよなく愛する監督だからこそできた私の挑戦。私の新たな挑戦を観ていただきたいと思います」。
西島さんは、「2005年にナデリ監督と映画を一緒に作ろうと約束してから6年間、ずっとこの日を、この時を待っていました。この映画には僕の魂がこもっていて、会場の700人の方に観ていただくことで、大きな流れが生まれることを心から願っています。そして、我こそは秀二(西島さん演じる主人公)だ、という方が現れて、映画の新しい可能性を切り開いてもらいたい」と将来への期待を込めて挨拶した。
ナデリ監督がこう付け加えた。「もし、今までの西島さん、常盤さんの演技をご覧になっているならば、一切忘れてほしい。新しい目で、心で彼らの演技を観てほしい」


1123cut_02.jpg上映終了後のQ&Aで再度三人が登壇すると、作品の衝撃と余韻に浸った観客から大きな拍手に包まれた。「僕にとって、東京フィルメックスは映画ファンとして育てられた場。この場で観ていただけることは夢でした。幸せに感じています」と、西島さんは心境を語った。


劇中、映画監督である秀二は、商業主義に偏った今の映画界を痛烈に批判している。「商業主義を完全に排除するのはアマチュアの監督でないと難しいのか、そもそも商業性と芸術性は両立不可能だと思うか」との質問に、ナデリ監督は両立可能である、と熱心に語った。『雨に唄えば』など劇中で採り上げている作品が皆そうであるように、かつて娯楽映画と芸術映画は一致していたと説明した。娯楽映画も素晴らしく、インディペンデント映画を制作する余裕も必要だと。そして、「日本をはじめ世界中に才能のある若い映画監督が映画を制作しようとしているが、上映する場が少なくなってしまっている」と、最新テクノロジーを駆使した作品が商業主義と結びついていることや、主流になりつつあるシネマコンプレックスの形態を危惧する内容のコメントをした。


続いて、「今回の主人公を演じるのは肉体的にも精神的にも大変だったと思うが、一番ハードだったところはどこでしたか」と質問が上がると、「正直、どのシーンも大変だった」と西島さん。ラスト近くのシーンは撮影に3日間程度かかり、肉体的・精神的にかなり追いつめられたそう。司会の市山尚三東京フィルメックス・プログラムディレクターが同じ質問を常盤さんへ向けると、「皆さんご覧になって感じられたように、あるトランス状態の中で撮影が行われていて、その状況自体がいちばん大変でした。"みんなちゃんとして!戻ってきて!"と思っていました」と常盤さんが話すと、客席から驚きに満ちた声が挙がった。


1123cut_03.jpg「殴られ屋」という衝撃的なアイデアが生まれた経緯についての質問が挙がった。「ずっと以前から、映画というものが今失われつつあるという危機感が私にはあります。そこから生まれたと言えると思う」とナデリ監督。
ジョン・カサヴェテスについての映画を作りたい、と思っていたそうだ。アメリカにおいてインディペンデント映画を確立したカサヴェテス監督の最後の作品で、ナデリ監督はともに仕事をしたという。「彼は制作の過程において苦しみに満ち、完成してそのまま亡くなり誰にも見向きもされませんでした。そんな彼の人生についての映画を作ろうと思ったけれど、主人公に死んで欲しくない、という思いがあって、この企画を閉じようと思っていました」。そんな時にナデリ監督の前に現れたのが西島さんで、この出会いが企画に再び生命が吹き込まれるきっかけとなった。「私は20年ほど、世界中で、日本でも、日本映画の良さを教えてきた。だからこそ日本で映画を作りたいと思った。秀二という役は、私でもあり西島さんでもある。古い素晴らしい日本映画の文化を守っていきたいというのが私たちの想い。そこから扉が開いて、世界へ向けての一つのメッセージが発信できれば、おそらく映画を救えるのではないか。新しい始まりがあると期待している」と熱をこめて語った。


1123cut_10.jpg「数多くある映画の中でこれだけは観て欲しいという映画は」という質問に、西島さんはカサヴェテス監督に対する思いを語った。「映画ファンとして、自分の中で衝撃を受けて生まれ変わったような体験をしました。先月の韓国のブサン国際映画祭で、ナデリ監督から『CUT』はカサヴェテス監督についての映画だと突然告白されたのは、人生最大の衝撃でした。自分の人生を変えた人物を知らないうちに演じていたという。カサヴェテス監督は、自分の中で特別な存在です」。


1123cut_09.jpg続いて、常盤さんの答えからは女優らしい視点が伺えた。昔の日本映画が大好きで、観たい女優で観る作品を選ぶそう。「高峰秀子さん、若尾文子さん、岡田茉莉子さん...と好きな女優はたくさんいますが、中国のコン・リーも大好き」と、コン・リー主演の『紅夢』(91、チャン・イーモウ監督)を挙げた。ナデリ監督が選んだベスト100本に入っている作品であることがわかり、舞台上で意気投合していた。


各質問に応えた最後に、お決まりの台詞「アクション」「カット」が飛び出し会場を沸かせ、「観終わった後も私と友達でいてくださいね」とコメントしたり、主演の二人と頻繁に握手を交わしたりと、ジェスチャーやユーモアを交えたナデリ監督のトークに主演の二人も笑顔がこぼれていた。「私は日本人との仕事を大変楽しんだ。特に西島さん、常盤さんとは友人になることができた」とナデリ監督が話すように、舞台上の3人からは仲の良さや信頼関係が伺え、終始和やかなムードでQ&Aが行われた。最後、盛大な拍手に送られながら、監督は投げキッスで応え舞台を後にした。


『CUT』は2011年12月17日より、シネマート新宿、シネマート心斎橋(大阪)にて公開予定。


(取材・文:大下由美、撮影:清水優里菜、村田まゆ、米村智絵)

1123cut_04.jpg 1123cut_05.jpg 1123cut_06.jpg 1123cut_07.jpg





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