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特集上映(2) 1960 -破壊と創造のとき-






『武士道無残』 The Tragedy of Bushido
1960年 / 74分
監督:森川英太朗
出演: 森美樹、高千穂ひづる、山下洵一郎、渡辺文雄
(C) 1960松竹

【作品解説】
主家を救うため殉死を命じられた16歳の少年。彼を実の子同様に育てた兄嫁は、せめて生の悦びを教えたいと母親のような思いで義弟と一夜を共にする。だが翌日、殉死罷りならぬとの上意書が届き...。松竹ヌーヴェルヴァーグの時代劇第一弾となった野心作。初デジタル化。




森川英太朗



1931年生まれ。慶應義塾大学文学部を卒業後、1955年に松竹京都に入社。大曽根辰保監督などに師事した。1960年、自ら脚本を執筆した『武士道無残』で監督デビュー(同作品のチーフ助監督は森崎東)。この1本を残して松竹を退社したあとは、大島渚がつくった創造社に一時在籍し、電通を経て、母校の慶應義塾大学で教鞭を執った。映画製作では、大島が監督したPR映画『小さな冒険旅行』(63)で助監督を務めたほかは、日活作品『狼の王子』(63)、『花嫁は十五才』(64)、『人間に賭けるな』(64)、東映東京で『愛欲』(66)の脚本を担当している。京都二中時代からの同級生であった大島との交友は永く、1996年2月に森川が亡くなった際には、大島が弔辞を読んでいる。








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『武士道無残』仙元誠三さん舞台挨拶
from デイリーニュース2014 2014/11/29

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11月29日、有楽町朝日ホールにて特集「1960―破壊と創造のとき―」の一本、『武士道無残』が上映された。本作は森川英太朗監督の唯一の監督作。舞台挨拶には、当時本作の撮影助手を務め、現在は映画界の重鎮となられている撮影監督の仙元誠三さんが登壇した。

今年76歳になる仙元さんは、当時について「森川さんは私のような〝悪ガキ〟を撮影部の一番下で使ってくださいました」と振り返った。本作は仙元さんは22歳、森川監督は29歳の頃の作品だ。1960年に前後し、松竹に所属していた20代後半から30代前半の若手助監督が次々と監督デビューを果たす動きは「松竹ヌーヴェルヴァーグ」と呼ばれた。その言葉が生まれるきっかけとなった『青春残酷物語』(1960)を制作した大島渚監督は、森川監督とは旧制中学の同級生であり、親交も深い。大島監督は松竹大船撮影所、森川監督は松竹京都撮影所にいたことから「東の大島、西の森川」と称されていたそうだ。後に大島監督の『新宿泥棒日記』(1969)の撮影監督を務めた仙元さんだが「その頃は私はペーペーでしたから。お二人の交流に入っていけるほどの立場ではありません」と謙虚に答えた。


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林 加奈子東京フィルメックス・ディレクターから森川監督の印象について問われると、新進気鋭の若手監督であるとともに、「大変なスポーツマン」だったことが印象深いと仙元さんは言う。森川監督は学生時代に野球の強豪校で選手として活躍し、仙元さんも阪神タイガースのテスト生として入団していた過去がある。「私も野球をやっていたので大事にしてもらいました」と2人に共通項があったことをうかがわせた。また、森川監督の実家は京都・祇園の料亭「浜作」だと明かし、家業は弟が継いだことで、森川監督は映画に専念できたと話した。
『武士道無残』は「松竹ヌーヴェルヴァーグ」の時代劇第一弾といわれ、武家社会の不条理を描いている。当時、「画期的だと騒がれていた」という仙元さんの話を受けて、「現場も本当に活気があったことでしょう」と林Dがコメントし、上映が開始された。


特集上映「1960―破壊と創造のとき―」の連動上映が、12月12日までヒューマントラストシネマ有楽町にて行われている。「松竹ヌーヴェルヴァーグ」を担い手とされる5人の監督の8作品を続けて見ることのできる貴重な機会。「ヌーヴェルヴァーグ」と呼ばれたその先進性をご覧いただくため、ぜひ劇場に足をお運びいただきたい。


(取材・文:宇野由希子、撮影:明田川志保、関戸あゆみ)

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