賞・審査員

第21回東京フィルメックス受賞結果

第21回東京フィルメックス・コンペティションの審査員は以下の作品に賞を贈ります。

【第21回東京フィルメックス コンペティション 受賞結果】

【最優秀作品賞】 

『死ぬ間際』In Between Dying
監督:ヒラル・バイラロフ(Hiral BAYDAROV)
アゼルバイジャン、メキシコ 、アメリカ / 2020/ 88分

副賞として賞金100万円が監督に授与されます。
授賞理由;
離ればなれになってしまった人間同士がどうすれば再びつながることができるのか。それは人間にとって、社会にとって、永遠のテーマであり、コロナ媧の状況における今まさに切実なテーマでもある。この映画は、そのテーマを寓意的な意匠によって、知的に、詩的に、ときにユーモラスに、映画的に、描いている。この映画が私たちにあらためて教えてくれるのは、人間同士のつながりにとっても、映画にとっても、「愛」こそが重要なのだという単純な結論だ。

【審査員特別賞】 

『きまじめ楽隊のぼんやり戦争』The Blue Danube
監督:池田暁(IKEDA Akira
日本 / 2020/ 105分

副賞として賞金50万円が監督に授与されます。
授賞理由;
ユーモアと想像力に溢れたこの映画は独自の映画的世界を自由に創造している。その虚構の世界は、私たち皆が住む現実世界について基本的ではあるが忘れられがちな質問を投げかけている。


■第21回東京フィルメックス コンペティション審査員:
万田邦敏(審査委員長:日本/映画監督)
クリス・フジワラ(米国/映画評論家)
坂本安美(日本/アンスティチュ・フランセ日本 映画プログラム主任)
エリック・二アリ(米国/プロデューサー)
トム・メス(オランダ/映画評論家)


■観客賞

『七人楽隊』Septet
監督:アン・ホイ、ジョニー・トー、ツイハーク、サモハン、ユエン・ウーピン、リンゴ・ラム、パトリック・タム
香港 / 2020 / 113分

■学生審査員賞

『由宇子の天秤』 A Balance
監督:春本雄二郎(HARUMOTO Yujiro
日本 / 2020 / 152分

授賞理由;
主人公はドキュメンタリー監督として、強い信念を持ちながら、社会に対して、問題を問いかける側であり本当の真実は何であるのかと言うことを伝える側の人間である。しかし、個人的な家庭問題により自らも加害者家族となったことで二つの対極の立場に立たされることとなり、天秤の様に揺れ動きながら進んでいく姿に引きつけられ、私たちの心も揺さぶられ始めた。他人事では済まされない、SNSの発達によりあらゆる人が発信者となった今、まさに世に響き渡り、必要とされる映画であり、より多くの人に届いて欲しいと思わされる映画だと思いました。

● 学生審査員:
常間地裕(多摩美術大学)、千阪拓也(日本大学芸術学部)、田伏夏基(明治大学)

【国際審査員 <コンペティション部門>】

東京フィルメックス・コンペティションで上映される12作品を、今年の審査委員長万田邦敏をはじめ、下記の5名の方々に審査していただき、11/7(土) に各賞を発表いたします。

【最優秀作品賞】 副賞として賞金100万円が監督に授与されます。

【審査員特別賞】 副賞として賞金50万円が監督に授与されます。

審査委員長

万田邦敏 ( MANDA Kunitoshi / 日本 / 映画監督 )

1956年生まれ。立教大学在学中、黒沢清らとともに自主映画製作を行う。大学中退後、黒沢清の『神田川淫乱戦争』に美術として、『ドレミファ娘の血は騒ぐ』に共同脚本、助監督として参加。その後PRビデオ、TVドラマの演出を経て、96年、押井守総合監修による実写SF『宇宙貨物船レムナント6』で商業映画監督デビュー。2001年長編処女作『UNLOVED』がカンヌ映画祭にてエキュメニック新人賞&レイル・ドール賞をW受賞。2004年に『あのトンネル(The Tunnel)』がカンヌ映画祭監督週間に招待された。小池栄子、仲村トオル、豊川悦司を主演に迎えた『接吻』(07)は、全州国際映画祭のオープニング作に選ばれた他、高崎映画祭の最優秀作品賞&主演女優賞&主演男優賞、ヨコハマ映画祭の脚本賞&主演女優賞、毎日映画コンクールの主演女優賞を受賞。その他の監督作に『ありがとう』(06)、『イヌミチ』(13)、『シンクロナイザー』(17)など。

<審査委員長> 万田監督よりメッセージ
第21回東京フィルメックスのオープニング作品として『愛のまなざしを』が上映されることは、私のみならずキャスト・スタッフ一同、たいへん嬉しく、また名誉なことと思っています。しかも、私が審査員長を務めることにもなり、身の引き締まる思いです。2020年は、不幸にも新型コロナウィルス禍の年として記憶されることになりました。日常の風景も一変しました。おそらく、今後作られる映画に描かれる人間、社会、風景、物語、すべてが新型コロナの影響からは逃れられないのだと思います。しかし、映画はこれまでも世界規模の災禍の後に、新たなテーマ、視点、技法、描写力を手に入れ、進化してきました。今回の映画祭に集う映画たち、映画人たち、そして観客が、最初の「次なる映画」の証人になることを私たちは信じています。

 

審査員

クリス・フジワラ ( Chris FUJIWARA / アメリカ / 映画評論家 )

映画に関する複数の書籍の執筆、編集を務め、著書に「ジャック・ターナー The Cinema of Nightfall」「The World and Its Double: The Life and Work of Otto Preminger」「Jerry Lewis」。FIPRESCI(国際映画批評家連盟)より発行された映画批評雑誌「Undercurrent」の編集長を務めた。ボストン・フェニックスの映画批評を担当し、数多くの雑誌、記事、新聞などに貢献。また、様々な大学で映画史、映画美学の講義を行う。2011年よりエジンバラ映画祭の芸術監督を務め、その他にも多くのプログラミングに携わり、映画批評・プログラミングについてのワークショップの講師としても活動している。

坂本安美 ( SAKAMOTO Abi / 日本 / アンスティチュ・フランセ日本 映画プログラム主任 )

東京出身。『カイエ・デュ・シネマ・ジャポン』誌元編集委員。『カイエ・デュ・シネマ』本誌とともにフェスティヴァル・ドトーヌにて黒沢清、青山真治、篠崎誠、諏訪敦彦ら日本の監督たちを紹介。1996年より東京日仏学院(現アンスティチュ・フランセ日本)にて映画プログラムを担当し、さまざまな映画上映の企画・運営を手がける。フランスから多くの監督、俳優、映画批評家らを招聘し、日本では上映の機会があまりない作品を中心に紹介しながら、上映と批評との関係、国境を越えたアーティスト、書き手の交流についてつねに模索している。2012年にはロカルノ映画祭にてOpera Prima(新人部門)の審査員、14年のカンヌ映画祭では「批評家週間短編作品部門」の審査員を務めた。『カイエ・デュ・シネマ』を初めとしたフランスのメディア、日本にて映画批評活動も継続、著書には『エドワード・ヤン 再考/再見』(共著、フィルムアート社)などがある。

エリック・ニアリ ( Eric NYARI / アメリカ / プロデューサー )

米シネリック社の代表取締役、及びシネリック・クリエイティブ社長。新作劇映画、ドキュメンタリー、4K修復プロジェクトを多数企画・プロデュース。
KADOKAWAとマーティン・スコセッシ監督の財団と溝口健二監督の『雨月物語』『山椒大夫』『近松物語』の4K修復プロジェクトを手がける。そのほか小津安二郎監督『晩春』や川島雄三監督作品を修復。
新作映画においてはイラン巨匠監督、アミール・ナデリと西島秀俊主演の話題作『CUT』(2012)。イタリア時代劇『Monte(山)』(2016)がヴェネチア国際映画祭で監督・ばんざい!賞を受賞。ドキュメンタリー映画『Ryuichi Sakamoto: CODA』(2017)がヴェネチア国際映画祭でプレミア上映され、報知映画賞、文化庁映画賞を受賞。コンサート映画『RYUICHI SAKAMOTO: async AT THE PARK ARMORY』が2018年ベルリン映画祭で上映された。
2020年には妻の山崎エマが監督したドキュメンタリー『甲子園: フィールド・オブ・ドリームス』が米国のESPNで放送され、日本で劇場公開。トライベッカ映画祭では福永壮志監督の『AINU MOSIR』がインターナショナル・ナラティブ・コンペティション部門にて“審査員特別賞”を受賞した。そしてヴェネチア映画祭のクラシック部門では、修復を手掛けた『無法松の一生』(1943)の4K版ワールドプレミア上映が行われた。

トム・メス ( Tom MES / オランダ / 映画評論家 )

1974年、ロッテルダム出身。日本映画を専門に研究し、主な著書では三池崇史、塚本晋也、梶芽衣子について執筆している。ライデン大学、東京外国語大学にて日本映画とメディア文化について教えているほか、Webマガジン「MidnightEye.com」の共同創設者でもある。

観客賞

観客の投票により選出されます(対象作品はスケジュール確定後発表します)。

学生審査員賞

東京学生映画祭主催の「学生審査員賞」は3人の学生審査員がコンペティション部門の作品を対象に審査し、11/7(土) の授賞式で最優秀作品を発表します。
学生審査員の選任から、賞の運営までを東京学生映画祭の手で行います。

東京学生映画祭 <tougakusai.jp