いよいよ開幕! 第60回カンヌ国際映画祭

5月16日より、カンヌ国際映画祭が始まります。
東京フィルメックスのスタッフも作品選考などのために現地に入ります。
J-WAVEでは市山尚三プログラム・ディレクターによる現地リポートが放送されます。
どうぞ、お聴き逃しなく!
J-WAVE(FM81.3) 「MODAista」
5月19日(土)11:00-15:00
*放送内容、時間は変更される場合があります。

第60回カンヌ国際映画祭コンペティション部門ラインアップ

 今年で60回の節目を迎えるカンヌ国際映画祭が、5月16日から27日まで開催される。
 もっとも注目を集めるコンペティション部門では、過去にカンヌやベネチア、ベルリンなどでの受賞実績のある巨匠や人気監督がすらりと並び、そこに気鋭の若手が挑む。
 コンペティション部門は、全22本(他、コンペ外1本)。
 このうち、昨年の同映画祭で審査委員長を務めたウォン・カーウァイの「My Blueberry Nights」はオープニング作品として上映される。主演にジュード・ロウと歌手のノラ・ジョーンズを迎え、全編を英語で撮影した野心作だ。
 史上初の3度目の受賞を狙うエミール・クストリッツアの他、クエンティン・タランティーノ、ガス・ヴァン・サント、コーエン兄弟などパルムドール経験者が並ぶ。
 三大映画祭常連のキム・ギドクは、意外にもこれが初めてのカンヌ映画祭コンペ参加となる。同じ韓国からは「オアシス」でベネチア映画祭の監督賞や新人俳優賞(ムン・ソリ)に輝いたイ・チャンドンが五年ぶりの新作「Secret Sunshine」で臨む。
 アレクサンドル・ソクーロフは、「Alexandra」で五度目のコンペ参加となる。
 コンペ初参加組の中では、ハンガリーの鬼才タル・ベーラによる「The Man From London」や、第5回東京フィルメックスで「アヴァニム」が上映されたラファエル・ナジャリの「Tehilim」も注目だ。
 日本からは、河瀬直美の「殯(もがり)の森」(6月公開予定)が上映される。10年前に「萌の朱雀」でカメラドールに輝き、一躍世界の注目を集めることになった縁起のよい舞台で、再びの栄光を目指す。コンペティション上映作品の中でも、最後の上映となる。
 これらの作品を審査するのは、「クイーン」でヘレン・ミレンをアカデミー賞最優秀主演女優賞に導いたスティーブン・フリアーズが審査委員長を務める9人の審査員。
 他には香港のマギー・チャン、オーストラリアのトニー・コレット、カナダのサラ・ポーリーなど、女優が目立つ顔ぶれとなっている。
コンペティション部門のラインアップ(短編、学生映画部門は除く)は以下の通り(07年5月14日現在)。
◇オープニング
My Blueberry Nights(ウォン・カーウァイ)香港
◇クロージング
The Age of Darkness(ドゥニ・アルカン)カナダ *コンペ外上映
◇コンペティション
An Old Mistress (Une Vieille Maitresse)(カトリーヌ・ブレイヤ)フランス
The Love Songs (Les Chansons d'amour)(クリストフ・オノレ)フランス
The Diving Bell and the Butterfly(ジュリアン・シュナベール)フランス
Auf Der Anderen Seite Des Lebens(ファティ・アキン)トルコ
Breath(キム・ギドク)韓国
No Country for Old Men(ジョエル&イーサン・コーエン)アメリカ
Zodiac(デビッド・フィンチャー)アメリカ
We Own the Night(ジェームズ・グレイ)アメリカ
殯の森(河瀬直美)日本
Promise Me This(エミール・クストリッツァ)セルビア
Secret Sunshine(イ・チャンドン)韓国
4 Months, 3 Weeks and 2 Days(Cristian Mungiu)ルーマニア
Tehilim(ラファエル・ナジャリ)フランス
Silent Light(カルロス・レイガダス)メキシコ
Persepolis(Marjane Satrapi and Vincent Paronnaud)フランス
Import/Export(ウルリッヒ・ザイドル)オーストリア
Alexandra(アレクサンドル・ソクーロフ)ロシア
Death Proof(クエンティン・タランティーノ)アメリカ
The Man From London(タル・ベーラ)ハンガリー
Paranoid Park(ガス・ヴァン・サント)アメリカ
The Banishment(アンドレイ・ズビャギンツェフ)ロシア
◇コンペティション審査員
スティーブン・フリアーズ / 審査委員長 / 英国、監督
マギー・チャン / 香港、女優
トニー・コレット / オーストラリア、女優
マリア・デ・メディロス / ポルトガル、女優・監督
サラ・ポーリー / カナダ、女優・監督
マルコ・ベロッキオ / イタリア、監督
オルファン・パムク / トルコ、作家
ミシェル・ピコリ / フランス、俳優・監督
アブドラマン・シサコ / モーリタニア、監督
以上
<第60回カンヌ国際映画祭 公式サイト>

大好評のうちに終えた、04年の英語字幕付き上映会

 第1回の英語字幕付き上映会は、2004年の6月25日~27日の3日間にわたり行われました。
 特集タイトルは「日本映画の巨匠と女優たち」(Masters of the Japanese Cinema)。1930年代-50年代の日本映画の傑作6本をお届けしました。
 初めての試みだったので、お客様にいらしていただけるのか、そして上映をご覧になった反応は、と期待と不安とが入り混じった心境で迎えた上映でしたが、結果は1,185名のお客様にいらしていただくことになり、大成功を収めました。また、外国人のお客様の割合も非常に多く、特にアンケート回答の中には、熱のこもった感想を寄せていただいた方もたくさんいらして、次回以降のシリーズ化へと大きな弾みとなりました。
 特に黒澤明監督の「白痴」と「醜聞」はニュープリントでの上映ということもあって、想定を大幅に上回る方が詰めかけたため、急遽、椅子を増やして対応するという一幕もありました。
 この第1回では、映画批評家、映像作家であるドナルド・リチー氏(第5回東京フィルメックス審査委員長)をお迎えして、溝口健二の「浪華哀歌」の解説を中心に、日本映画の海外での紹介の状況などを講演いただきました。その模様は、この「事務局だより」でも採録してありますので、ぜひご覧ください。
<日本映画の巨匠と女優たち(日本語サイト)>
<Masters of the Japanese Cinema (English)>
<ドナルド・リチー氏 講演採録(日本語)>
<Lectured by Donald Richie (English)>

「世紀の光」上映&アピチャッポン監督来日!

 先日お伝えした通り、現在開催中の東京現代美術館では、アピチャッポン・ウィーラセタクン監督が制作したビデオ作品が展示中です。
 そして、今度は「世紀の光」の全国各地での上映が決定しました。
 まず、高知県立美術館では5月19日(土)、20日(日)の2日間に、長編と短編プログラムを合わせ6プログラムが上映されます。
 第1回東京フィルメックスで上映された、長編デビュー作「真昼の不思議な物体」を始め、それぞれ第3回と第5回で最優秀作品賞を受賞した「ブリスフリー・ユアーズ」、「トロピカル・マラディ」、そして昨年の東京フィルメックスでも満席となった最新作「世紀の光」など、アピチャッポン世界の全容に迫る2日間です。監督も来日してのQ&Aも予定されています。
 引き続き、大阪のPLANET+1でも同じく6プログラムが上映、こちらも24日には監督のトークショーがあります。
 そして、5月21日、22日の両日19:30からは、短編集のみの上映ですが、東京のアップリンク・ファクトリーでも開催されます。こちらも、21日の終映後に監督によるトークが予定されています。
 10日足らずの間に各地で同時的に特集され、監督もいらっしゃる機会は滅多にありません。ぜひ、お見逃しなく。
 また、現時点で詳細が決定していないものの、6月末のショートショートフィルムフェスティバルで日タイ修好120周年を記念してのマエストロ・ショートショートや、その他でも上映が予定されているようです。
 アピチャッポン・ウィーラセタクンから、ますます目が離せません!
<タイ映画の異才-アピチャッポン・ウィーラセタクン監督特集>
5月19日(土)、20日(日) 高知県立美術館
<“電影新潮/ASIAN WAVE 00‘s Vol-1「サイアム・シンドローム/熱帯症候群」>
アピチャッポン監督来日特集
5月21日(月)-27日(日) 大阪PLANET+1
<アピチャッポン・ウィーラセタクン来日記念/アピチャッポン短編秀作選>
5月21日(月)、5月22日(火)渋谷・アップリンク・ファクトリー
<ショートショート・フィルム・フェスティバル>

「Show Me Thai~みてみ☆タイ~」でアピチャッポンの作品を展示中

 現在、東京都現代美術館(MOT)ではタイの現代美術展「Show Me Thai~みてみ☆タイ~」を開催中です(5月20日まで)。ペインティング、彫刻、ミクストメディア、ビデオ、インスタレーション、映画、アニメーション、音楽などの分野から、最新のアートシーンの活力を伝える企画です。
 この展覧会に、東京フィルメックスでもお馴染みのアピチャッポン・ウィーラセタクン監督のビデオ・インスタレーションも展示されています。彼の映画の独創性が、強く現れているに違いない、ビデオ作品…、とても楽しみです。
 展示への入場は無料ですので、ぜひお出かけください。
<東京都現代美術館 公式サイト>
<Show Me Thai~みてみ☆タイ~ 公式サイト>
<Show Me Thai~みてみ☆タイ~ 公式ブログ>

「アザー・ハーフ」がチョンジュ国際映画祭で最高賞を受賞!

4月26日から5月4日まで開催された韓国のチョンジュ国際映画祭で、イン・リャン監督の長編第2作「アザー・ハーフ」がIndie Vision部門(インターナショナル・コンペティション)でWoosuk Award(最高賞)を獲得、副賞としてUS$10,000が贈られた。
Indie Visionは映画祭のメインとなるコンペティション部門で、劇映画とドキュメンタリーを含め、世界各国から12本が上映された。日本からは坪川拓史監督の「アリア」と、植岡喜晴監督の「ルック・オブ・ラブ」の2本が参加していた。
チョンジュ国際映画祭公式サイト
公式サイト(韓国語版)
公式サイト(英語版)

第8回チョンジュ国際映画祭 開幕!

今年で8回目の開催となるチョンジュ(全州)国際映画祭が4月26日に開幕を迎えた。同じく韓国のプサン国際映画祭が名実ともにアジア最大の映画祭としての地位を固めつつあるのに対し、デジタルシネマやインディペンデント映画により焦点をあてた映画祭として知られるチョンジュだが、やはり国際的に広く知られている同映画祭発のプロジェクトといえば、毎年3人の映画作家に40分弱のデジタル中編作品の製作を委託する通称「三人三色」であろう。過去に日本からも青山真治や諏訪敦彦、あるいは石井聰亙や塚本晋也といった監督たちが参加しているこのプロジェクトには、これまでアジア出身の監督たちが参加してきていたが、今年はその枠が撤廃され、名前も新たに「Jeonju Digital Project」となってリニューアルされて登場する。今年の参加監督はペドロ・コスタ(ポルトガル)、ハルン・ファロッキ(ドイツ)、ウジェーヌ・グリーン(フランス)というヨーロッパからの3人。完成作品は4月28日にまとめてプレミア上映される。
また、映画祭のメインセクションといえるコンペティション部門「Indie Vision」には、世界各国からの長編12作品が参加予定。日本からは植岡喜晴の『ルックオブラブ』と坪川拓史の『アリア』の2作品が選出されている。(文中敬称略) 報告者:神谷直希
チョンジュ国際映画祭公式サイト
韓国語版
英語版