デイリーニュースと動画レポートを掲載中です

 昨年の東京フィルメックスでは、多くのゲストが来日して上映後のQ&Aやトークショーなどを行いました。その模様は、公式サイトのデイリーニュースやブロードキャストコーナーで一部が掲載されています。
 その後、日本で作品が公開される時などに「そういえば東京フィルメックスで、監督がこんな話をしていたなぁ」と思い出しながら読み返していただけると、また新たな発見があるかも知れません。
 昨年(第7回、2006年)だけでなく、第5回と第6回のデイリーニュースもアーカイブからご覧いただけます。
<第7回東京フィルメックス デイリーニュース>
<動画レポート>

「黒い眼のオペラ」が公開中です

 ツァイ・ミンリャン監督最新作の「黒い眼のオペラ」が、渋谷・シアターイメージフォーラムにて先週末より公開が始まりました。
 昨年の東京フィルメックスでは、クロージング作品として上映、満員の観客を幸福感で満たしながら映画祭を締めくくりました。実際のところ、ご覧になった方々からは、これまでのツァイ・ミンリャン作品には見られないラストシーンだった、という感想が多く、監督がさらなる高みを目指して踏み出した作品と言えるかも知れません。そのラストは、どうぞみなさんの目で確かめてください。
 「黒い眼のオペラ」は、昨年のモーツァルト生誕250周年記念プロジェクト「ニュー・クラウンド・ホープ」の映画部門の1本として製作された映画です。その他に製作され、東京フィルメックスでも上映された「半月」「世紀の光」「ハンモック」「オペラジャワ」の素晴らしさと観客の反応を感じるにつけ、本当に偉大なプロジェクトだったのだなぁ、と改めて実感しました。東京フィルメックスも、こういった挑戦的な映画や監督たちの積極的なサポーターであり続けたいと思います。
 クロージング上映にあわせて来日してくださった、ツァイ・ミンリャン作品のミューズのひとり、チェン・シァンチーさんはその外見のチャーミングな印象とはまた別の、知性と感性にあふれる的確な受け答えが観客を惹き付けていました。特に、監督の創作の秘密を探るトークショーでは、現場で交わす監督との演出論に対する緊迫感が伝染してくるようでした。
<公式サイト>
<「黒い眼のオペラ」Q&A(テキスト)>

「相棒 -シティ・オブ・バイオレンス-」が公開中です

 リュ・スンワン監督による渾身のアクション傑作「相棒 -シティ・オブ・バイオレンス-」が六本木シネマート、シネマックス千葉にて公開中です。4月からは大阪での公開も始まります。
 東京フィルメックスでは、2000年の第1回で「ダイ・バッド」が上映されましたが、それ以来となる監督・主演をこなした本作品で激しいアクションを自ら演じきりました。撮影中には靭帯を損傷する大ケガも負ったとか…。
 しかし、そこまでして撮影をしたほどに、監督の思い入れとやりたいことがぎっしり詰まった、他の映画にはない魅力にあふれる作品となっています。
 昨年の映画祭での上映の際には、応援にかけつけた掟ポルシェさんとの絶妙な掛け合いで、満場の観客の笑いを誘っていました。また上映後の観客との質疑応答でも、機転を利かしたウィットに富んだ受け答えで笑わせて、また豊富な映画の知識と愛、監督たちへの尊敬を素直に表明する姿が印象的でした。
 家でDVDで観るのではなく、劇場でたくさんのお客さんと一緒に観てこそ!の映画です。ぜひ、ご覧ください。
<公式サイト>
<舞台挨拶(テキスト)>
<Q&A(テキスト)>

黒沢清監督の最新作「叫」が公開中です

 黒沢清監督の最新作「叫」が、シネセゾン渋谷、新宿武蔵野館他にて、ただいま公開中です。全国各地の劇場でも公開が始まりました。
 黒沢作品では7本目の出演となる、役所広司演じる刑事・吉岡。次々と起こる連続殺人事件を取り巻く状況から、次第に自分が犯人なのではないか、と疑いを深めていくという、様々な謎と伏線が張り巡らされた、まさに黒沢ワールドを堪能できる104分です。
 映画を観終わった後に、友人たちといくつかのシーンについて、お互いの推測や解釈を語り合いたくなる、そんな何度も楽しめる作品です。
 本当に何かが映りこんでいるような雰囲気たっぷりの廃墟や、豪華オールスターキャストの競演も見事です。
 昨年の東京フィルメックスでは、黒沢清監督と主演の役所広司さんが舞台挨拶にいらして、上映後には監督による質疑応答も行われました。日本でのお披露目となった上映に、熱烈な黒沢清ファンが詰めかけ、大変な熱気に包まれました。
 3月28日(水)には、シネセゾン渋谷にて、黒沢清監督によるティーチ・インも行われるようです。詳細は公式サイトでご確認ください。
<「叫」公式サイト>
<「叫」舞台挨拶@第7回東京フィルメックス>
<「叫」質疑応答@第7回東京フィルメックス>
<「叫」動画レポート@第7回東京フィルメックス>

「エレクション」が全国の劇場で公開中です!

 昨年の東京フィルメックスで1と2が一挙に上映されて話題を集めた、ジョニー・トー監督の「エレクション」がただいま公開中です。東京フィルメックスでは、チケットぴあでの前売り開始直後に2本揃って売り切れになってしまったほど、日本のファンの注目が高かった本作。監督独自の黒と赤を鮮烈に配したスタイリッシュな映像、サイモン・ヤムとレオン・カーファイの実力派俳優が繰り広げる虚々実々の駆け引きと非情な黒社会の掟。観客のすべてが痺れたジョニー・トーの真骨頂が堪能できます。
 東京での公開は既に終了してしまいましたが、全国各地の映画館では引き続き上映中です。ぜひ、ご覧ください。「エレクション2」の日本公開も待ち遠しいですね。
<エレクション公式サイト>
<エレクション予告編>
<エレクション2(映像 部分抜粋)>
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「イスラエル映画祭2007」にて「クロース・トゥ・ホーム」が上映されます!

 3月22日(木)-24(土)の3日間、アテネ・フランセ文化センターにて「イスラエル映画祭2007」が開催されています。03年-06年の間に製作された新作長編劇映画を4本と、短編プログラム(4本)の計5プログラムの上映です。
 このイスラエル映画祭で、昨年の東京フィルメックス・コンペティション部門で上映され好評を集めた「クロース・トゥ・ホーム」が上映されます。
 女性兵士という、これまでのイスラエル映画に見られなかった題材を扱いながらも、恋や親との関係に悩む等身大の若い女性たちを描くことで、多くの観客の共感を呼んだ青春映画です。東京フィルメックスでは、お二人の女性監督、ダリア・ハゲル監督とヴィディ・ビル監督が来日して上映後の観客との質疑応答で、自身の徴兵の体験や、2人での共同演出の裏側を語ってくださいました。
 見逃してしまっていた方も、もう一度観てみたい方もぜひご覧ください。
<イスラエル映画祭サイト>
<「クロース・トゥ・ホーム」上映後のQ&A(テキスト)>
<「クロース・トゥ・ホーム」上映後のQ&A(動画)>

第31回香港国際映画祭 開幕!

 今年で31回目を数え、歴史の長い国際映画祭のひとつである、香港国際映画祭が3月20日から4月11日まで23日間にわたって開催される。
香港映画祭公式サイト(英語・中国語)
 上映作品はワール・ドプレミア16本を含めて300本にも上る。
 今年のオープニング作品は、香港の「Eye in the Sky」と、韓国のパク・チャヌク監督の「I’m a Cyborg, but that’s OK.」の2本。「Eye in the Sky」は、ジョニー・トーの脚本家などを経て、本作品が監督デビューとなるヤウ・ナイホイ(游乃海)監督によるクライム・サスペンスで、先日のベルリン映画祭のフォーラム部門でも上映された。
 メイン部門のひとつ、デジタル・コンペティションでは「マキシモは花ざかり」のアウレウス・ソリト監督の新作「Tuli」がアジア・プレミア上映される。
 香港映画祭の巨大なプログラムには、この1年間で世界各国の映画祭を賑わせた話題作も含まれている。昨年11月の第7回東京フィルメックスで上映した作品のうち、このまた香港にお目見えする作品も多い。
 例えば、中国の若手作品を紹介するChinese Renaissance部門では、「アザー・ハーフ」が上映されるし、作家性の特に強い監督たちの作品を集めたAuteurs部門では「オペラジャワ」「半月」「世紀の光」などが上映される。
 その他、「領域を超えて」と題された、劇映画とドキュメンタリーの境界で鋭く中国映画の現在を描いた作品として、ジャ・ジャンクーの「三峡好人」が、彼のもう1本のドキュメンタリー作品「東」とともに上映され、「鉄西区」の王兵や「水没の前に」の李一凡、カイエ・デュ・シネマのジャン=ミシェル・フロドンらとパネル・ディスカッションを行う。
 Global Vision部門では、「りんご、もうひとつある?」「メン・アット・ワーク」「天国へ行くにはまず死すべし」が、日本からの参加作品「14歳」「フリージア」「ルート225」「ゆれる」などとともに上映される。
 他に映画祭で上映される日本映画には、「叫」「バブルへGO!! タイムマシンはドラム式」「さくらん」「武士の一分」「蟲師」「NARA:奈良美智との旅の記録」「立喰師列伝」「鉄コン筋クリート」「TOKYO LOOP」「こまねこ」「ルックオブラブ」(植岡喜晴)「垂乳女」(河瀬直美)「選挙」(想田和弘)などがある。
 その他の日本関係の注目作品としては、碁の伝説的な棋聖の生涯をチャン・チェンが演じた「呉清源(原題)」(田壮壮監督)が上映される。この作品は日本でもロケが行われており、伊藤歩や柄本明が出演している。
 特集上映では、リー・ハンシャン(李翰祥)のレトロスペクティブが組まれ、50?80年代に渡るフィルモグラフィから、黄梅調と呼ばれ人気を博したミュージカルや時代劇など、豪華絢爛な傑作群を上映する。
 また、現代香港の監督の特集ではハーマン・ヤウ(邱禮濤、「八仙飯店之人肉饅頭」など)が取り上げられている。
 また同時期の20日-23日には今年で開催5年目を迎える香港フィルマートも行われる。
これまでは映画祭とは別の時期に行われていたものが、今年から歩調を合わせた。企画マーケットであるHAFも、今回から映画祭が主催することになっている。
香港フィルマート(日本語あり)
HAF(日本語あり)
 加えて、今年から映画祭開催期間中にアジア・フィルム・アワード(アジア映画賞)が実施されることになった。
アジア・フィルム・アワード
 この1年間で製作もしくは公開されたアジア地域の映画のうち、最優秀作品賞、同監督賞、同主演男優賞など10部門にわたるノミネート作品の中から、17名の審査員が選出するという、アジア版アカデミー賞の趣を持つ。
 これは近年、10月に開催されるプサン映画祭がアジア圏の映画祭で大きな影響力を持つに至っている事に対して、香港政府が肝いりで試みた施策である。今年中国への返還10周年を迎える香港でこのアジア映画賞の授賞式は、まさしく返還式が行われた会場(5,000人規模)で行われ、スターを含めた多くの映画関係者が来場して、テレビ放映まで予定されるという。
 既に前売りチケットの売れ行きが、昨年の同時期よりも6割増と映画祭側も発表している。アジアの映画祭の中で、規模として最大の10月のプサン映画祭と、そして春の香港映画祭。アジア映画を盛り上げる二大映画祭として、世界各国からの熱い視線に応えられる窓口、賑やかな交流の場として、活況を呈する香港映画祭が、今幕を開けた。
(報告者:岡崎 匡)