「SAPIO」で好評連載中の「THE WORLD FILMeX 映画を見れば世界がわかる」ですが、その記事PDFをSAPIO誌のご厚意により転載させていただきましたので、ぜひ鑑賞のガイドにお役立てください。
また、ジョアキン・ペドロ・デ・アンドラーデ作品のデジタル修復作業の経緯や、他の作品の資料について、駐日ブラジル大使館から翻訳の協力をいただきました資料もございますので、是非ご覧下さい。
「ティトフ・ヴェレスに生まれて」紹介
監督:テオナ・ストゥルガー・ミテフスカ
「マクナイーマ」紹介
監督:ジョアキン・ペドロ・デ・アンドラーデ
「狂熱の季節」紹介
監督:蔵原惟繕
アンドラーデ監督資料
ニュース/事務局からのお知らせ
フィルメックス・カウントダウン vol.6
林 加奈子(東京フィルメックス、映画祭ディレクター)
必見のドイツ映画!<クラウド9>
アンドレアス・ドレーゼン監督にも是非とも御来日いただきたかったのですが、残念ながらどうにも日程調整がつかず、今回はいらっしゃれない事になりました。しかし、この<クラウド9>は、必見の一本です。
結婚して30年も連れ添った相手との穏やかで問題ない日常がありながら、別の男性に魅かれて恋をしてしまうミセスの話です。つまり一言で言うと不倫の話なのですが、この映画の凄さは倫理的な問題よりも、彼女の変化をどう描くかという演出力と演技力です。旧東側で活躍していた演劇舞台のキャストによる映画と聞いていますが、恋をした彼女の初々しくて瑞々しい美しさは、本当に驚くばかり。俳優を目指している人たちにも是非ともご覧いただきたい一本です。
幾つになっても恋をする事はあるのですね。人はいつでも生き生きと生きられるのですね。でも、30年連れ添った配偶者がいる場合には、物事はそう簡単には展開しません。もし、彼女が初々しくなくて、もっと狡猾で、悪女になれたら、それだけの良くも悪くも資質があったのなら、ラストはまた別の展開があっただろうになぁとため息をつくばかりです。
今年は女性が中心になっている良い映画が集まりました。「木のない山」は子供たちですが主人公は6歳の少女とその妹。「ヘアカット」はティーンエージの女の子、「ノン子36歳(家事手伝い)」はアラフォーの難しい年頃の女性。「ティトフ・ヴェレスに生まれて」は年の離れた3人姉妹の話。そして「ショーガ」は若い人妻。
「完美生活」も二人の中国女性の生き方を描いています。どれも女性の生きざまについて考えさせられます。シンプルに女性映画という括り方をするつもりは毛頭ありませんが、どれも味わい深い映画ばかりです。
「クラウド9」詳細
トークサロン開催!
映画祭期間中、「それぞれのシネマ」をテーマに、美術や音楽などを切り口に映画について語るトークサロンを丸の内カフェで開催し、全4回にわたり様々な分野のゲストをお迎えいたします。
●11/24(月・祝) 19:00~20:30 「蔵原惟繕[ジャズ×映画]編」
ゲスト:小西康陽(ミュージシャン)
聞き手:ミルクマン斉藤(GROOVISIONS)
蔵原作品の魅力や、珠玉のサントラに彩られた素敵な映画の数々を、日本のクラシック映画に精通した二人が縦横無尽に語ります。
●11/25(火) 19:00~20:30 「ブラジル[音楽×映画]編」
ゲスト:中原仁(音楽プロデューサー、ラジオ番組ディレクター)
聞き手:大島忠智(IDEE Records)
音楽が映画にもたらす至福の瞬間を、ブラジル音楽シーンをつぶさに眺めてきた二人がナビゲートします。
●11/26(水) 19:00~20:30 「ブラジル[アート×映画]編」
ゲスト:ジョアォン・バチスタ・ラナリ・ボ(駐日ブラジル大使館公使)
聞き手:長谷川祐子(東京都現代美術館チーフ・キュレーター)
ジョアキン・ペドロ・デ・アンドラーデ監督の作品は、ブラジル映画におけるトロピカリズムの先導者であったと言えるでしょう。アートと映画を通じてブラジルの文化と歴史に迫る90分。
その他、映画祭をより楽しめる充実のプログラムが盛りだくさんです!
すべて事前予約制ですので、参加申し込みはお早めにどうぞ。
イベント情報
詳細、申込受付はこちらから
丸の内カフェ サイト
前売券ご購入について
前売1プログラム券の電話予約は各上映の4日前、直接購入は各上映の3日前までとなります。
お間違いのないようご購入くださいますよう、よろしくお願いします。
チケット情報
フィルメックス・カウントダウン vol.5
林 加奈子(東京フィルメックス、映画祭ディレクター)
<ノン子36歳(家事手伝い)>の魅力
熊切監督の新作を上映できる幸せ。24日の上映です。出演者の方々の舞台挨拶も予定されておりますので、みなさまどうぞこの機会をお見逃しなきよう。30代後半の女性を主人公にして、しかも(家事手伝い)なんてタイトルだと地味な映画と思いきや、微妙な心理描写を的確に画面に定着させて美しくきめ細やかな映画に仕上がっています。
思えば7年前の「空の穴」。ベルリンで上映された時には、今も輝き続ける寺島進さんと熊切監督と一緒にベルリンでお会いしましたっけ。寒空の中、朝早くベルリンの街を寺島さんとボソボソと話しながら散歩した記憶があります。なんで朝早くだったのかそのあたりまでは記憶が定かでないのですが、きっと私の事なのでその日は朝9時から見たい映画があって、寺島さんを早朝の散歩にお誘いしたに違いない。今更ながら寺島さん、その節はありがとうございました。あの時の「空の穴」の北海道を舞台に透明感あふれるキラキラした空気に感動した記憶が、「ノン子36歳(家事手伝い)」を拝見して蘇ります。
36歳の女性。36歳というのは復活再生できる年齢か。いや、私には36歳というのはまだまだ全くこれからで、体力も落ちていないし、精神的にも強くいられるし、何も心配いらないような年齢と思えるのですが、まぁそれは振り返って考えるからでしょう。いつでもその時その時で悩みは尽きませんから。熊切監督のアラフォーに向けての人生賛歌を、是非ともこの上映の機会に存分に味わっていただきたいと切望しております。シャイな熊切監督へ直接上映後に質疑応答ができる絶好のチャンスですので、どうぞご来場をお待ちしております。
そういえば、個人的な話ですが、私が映画祭ディレクターを務めていこうと決意したのが36歳の時でした。みなさまにとっての36歳はどんな年だったり、またはこれからどんな年になるのでしょうか。ご多幸をお祈りしております。
「ノン子36歳(家事手伝い)」詳細
テレビ朝日とJ-WAVEを要チェック!
テレビ朝日の「シネマエクスプレス」、3週連続PRの第2週。作品の映像を一足先にチェックできるチャンスです!
ぜひご覧ください。
テレビ朝日「シネマエクスプレス」サイト
11/14(金)27:00
また、J-WAVEの日曜夕方オンエアの「サウージ・サウダージ」では、先週に引き続き、ブラジル映画を素敵な音楽とともにご紹介します。
11/16オンエアでは、特集のアンドラーデ監督に注目。意外なコネクションやレアな音源に出会えるかもしれません。
J-WAVE 「サウージ・サウダージ」サイト
11/16(日)17:00-17:54
そして、来週18日(火)には2つの番組で東京フィルメックスが登場します。
まず、朝の人気番組「Good Morning Tokyo」では、ブラジル大使館のラナリ公使が生出演。ナビゲーターの所哲也さんとのトークで、今年のブラジル映画特集のアンドラーデ監督を紹介していただきます。
J-WAVE 「Good Morning Tokyo」サイト
11/18(火)8:18-8:30 Morning Sessionコーナーにて
また、お昼には「ランデブー」の映画紹介コーナーで千葉大樹さんがフィルメックスの見どころをおすすめしてくれます。
J-WAVE 「ランデブー」サイト
11/18(火)14:20-14:40 Color Your Daysコーナーにて
フィルメックス・カウントダウン vol.4
林 加奈子(東京フィルメックス、映画祭ディレクター)
<浅丘ルリ子さま、御登壇トークイベント決定!>
なんと、朗報です。驚いて、喜んで、ありがたいニュースでございます。
浅丘ルリ子さまが、トークイベントにいらしてくださる事になりました。日時は11月25日(火)のフィルムセンター・大ホール。13:00からの「憎いあンちくしょう」の上映後に、お話をしてくださる事になりました。なんて素敵な大女優。お目にかかる前からドキドキです。粗相の無いようにしなくてはなりませぬ。
みなさま、お話を直接伺えるこのチャンスをどうぞお見逃しなく。フィルムセンターは当日券のみでございます。開場は開映の30分前です。「憎いあンちくしょう」の映画をご覧になられるお客さまには、上映終了後にもそのまま残っていただいて、浅丘さまのトークイベントをお聞きいただけます。フィルムセンターは開映後のご入場はできませんので、どうぞくれぐれもお時間にお気をつけてご来場ください。
蔵原惟繕監督特集 詳細
フィルメックス・カウントダウン vol.3
林 加奈子(東京フィルメックス、映画祭ディレクター)
<新しい才能、「PASSION」>
日本からのコンペ作品の一本。「PASSION」。監督は濱口竜介という名前です。橋口亮輔監督と漢字では違うのですが、横文字にするとなんだか似ています。みなさま、この名前には今後ピンと来るようにしておいてくださいませ。今後の活躍が楽しみです。
この作品については、特別にインタビュー取材をしましたので、是非ともデイリーニュースをクリックお願いします。俳優たちを状況の中に置いてどうなるのか、臨場感あふれる演出のチャレンジを楽しめます。
彼は今後注文を受ける形ででも、積極的に制作のチャンスを広げていきたいとおっしゃっていましたので、業界の方でフレッシュな才能ある監督を探していらっしゃるプロデューサーのみなさま、是非ともこの機会に「PASSION」をお見逃しなく。
「PASSION」詳細
フィルメックス・カウントダウン vol.2
林 加奈子(東京フィルメックス、映画祭ディレクター)
<ブラジル映画の奇跡。必見のジョアキン・ぺドロ・デ・アンドラーデ特集>
今年はブラジルからの映画を何本も上映する第9回東京フィルメックス。まずは映画史上に輝ける傑作、「マクナイーマ」をご覧ください。4年前のカンヌ・クラシック部門で修復ヴァージョンの上映があり、ぶったまげた一本です。カンヌという騒然とした所に自分が居ることを忘れられた一本でした。その後ご遺族と連絡を取り始め、今年念願のアンドラーデ特集ができる運びとなりました。
ブラジル映画はたまげる作品がいっぱいあって、日本でまだ紹介されていない作品も多いのですが、「マクナイーマ」。フェリーニとは違うのですが、フェリーニが見たらどう思うかしらという変な妄想が心をよぎりました。自由な発想のパワーが充満しています。アンドラーデ作品のユニークさは、是非ともご満喫いただきたい。初日22日の「マクナイーマ」上映後には一階下のスクエアにてアンドラーデについてのトークイベントも企画しています。ブラジルのパワーは凄いです。ブラジル人って何なんだろうか。見れば見るほど謎が重なります。
短編ながら「キャットスキン」は大好きな一本です。またペレと並んで、ブラジルサッカー界での王か長嶋かと言われる国民的英雄ガリンシャを追ったドキュメンタリー「ガリンシャ」もどうにもこうにも必見です。日本のサッカー好きな人、みなさまの周囲にいらっしゃるサッカーファンに、是非ともこの上映をお知らせください。ポリオの影響で左右の足の長さが異なるハンディを背負いながら、だからこそドリブルのタイミングを敵に見破らせないという有名なガリンシャ選手を追いながら、60年代のブラジル社会を垣間見せてくれます。
前売り券、絶賛販売中でございます。
ジョアキン・ペドロ・デ・アンドラーデ監督特集 詳細