特別招待作品

今年も映画の最先端を切り拓いてゆく、気鋭の監督たちのとびきりの新作をご紹介します。
いずれも強烈な作家性が発揮された、これらのバラエティ豊かな作品からは、映画の多彩さがうかがえるでしょう。

「特別招待作品 フィルメックス・クラシック」

『シャドウプレイ』 The Shadow Play 【オープニング作品】

中国 / 2018 / 125分
監督:ロウ・イエ(LOU Ye)
配給:アップリンク

市当局の再開発事業の責任者の死の謎を追う刑事が何者かの圧力でその任を解かれる。香港に逃れた刑事は、その謎の鍵を握る若い女性と恋に落ちるが……。中国と香港、台湾にまたがる疑惑をスタイリッシュな映像で描くミステリー。ベルリン映画祭パノラマ部門で上映。

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『カミング・ホーム・アゲイン』 Coming Home Again 【クロージング作品】

アメリカ、韓国 / 2019 / 86分
監督:ウェイン・ワン (Wayne WANG)

韓国系アメリカ人の作家が大晦日のパーティーに備えて母親から韓国料理のレシピを教わる。そして彼の脳裏に人生における幾つかの瞬間がよみがえる……。在米アジア人の家族を何度も描いてきたウェイン・ワンの新たな傑作。トロント映画祭で上映。

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『完全な候補者』 The Perfect Candidate

サウジアラビア、ドイツ / 2019 / 101分
監督:ハイファ・アル=マンスール(Haifaa Al MANSOUR)

「少女は自転車にのって」で数々の栄誉を受けたハイファ・アル=マンスールの新作。男性優位のシステムに果敢に挑む女性医師を力強く描いた作品。ヴェネチア映画祭コンペティションで上映され、アカデミー賞国際映画賞のサウジアラビア代表に選ばれた。

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『ヴィタリナ(仮題)』 Vitalina Varela

ポルトガル / 2019 / 124分
監督:ペドロ・コスタ(Pedro COSTA)
配給:シネマトリックス

出稼ぎに行った夫が死んだことを知らされ、カーボ・ヴェルデからポルトガルにやってきた女性。前作「ホース・マネー」にも出演したヴィタリナ・ヴァレラ主演。陰影の濃い映像で描かれるヒロインの悲しみが見る者の心を打つ傑作。ロカルノ映画祭で金豹賞と女優賞を受賞。

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『ある女優の不在』 3 FACES

イラン / 2018 / 101分
監督:ジャファル・パナヒ (Jafar PANAHI)
配給:キノフィルムズ

女優志望の少女から自殺予告の映像を受け取った有名女優が少女の安否確認のために田舎の村を訪れる。その旅の中、活動を禁止された伝説的女優の姿が浮かび上がる……。ロードムービーの形式でイランの女性問題を描き、カンヌ映画祭脚本賞を受賞した作品。

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『夢の裏側~ドキュメンタリー・オン・シャドウプレイ』 A Documentary on the Shadow Play

中国 / 2019 / 94分
監督:マー・インリー(MA Yingli)
配給:アップリンク

検閲を始めとする多くの困難に見舞われ、完成までに数年を要した「シャドウプレイ」の製作の背景を準備期間から公開に渡り記録したドキュメンタリー。監督はロウ・イエの妻であり共同脚本家でもあるマー・インリー。

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特別招待作品 フィルメックス・クラシック

近年の上映環境の変化や技術の革新にあわせて、過去の作品を現代に甦らせる試みが、世界各地で行なわれています。
巨匠たちの名作や、映画史的に重要な位置づけにありながら上映の機会が限られていた作品をスクリーンで観ることは、「新作」に触れるような新鮮な驚きと喜びをもたらしてくれることでしょう。

『牛』 The Cow

イラン / 1969 / 105分
監督:ダリウシュ・メールジュイ(Dariush MEHRJUI)

イラン映画史の金字塔と言われるメールジュイの代表作をデジタル修復版で上映。可愛がっていた牛を失い、錯乱して自らが牛だと思い込んでしまう男が引き起こす騒動を描く風刺コメディ。主演はイラン映画界を代表する名優エザトラー・エンテザミ。

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『HHH:侯孝賢』 HHH: A Portrait of Hou Hsaio-Hsein

フランス、台湾 / 1997 / 91分
監督:オリヴィエ・アサイヤス(Olivier ASSAYAS)

世界の巨匠たちにインタビューを行ったフランスのTVシリーズ「我らの時代の映画」の1編。当時脚本執筆中だった「フラワーズ・オブ・シャンハイ」についても語られる。映画のラスト、カラオケを熱唱するホウ・シャオシェンの姿は必見。

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『フラワーズ・オブ・シャンハイ』 Flowers of Shanghai

台湾 / 1998 / 130分
監督:ホウ・シャオシェン(HOU Hsaio-Hsein)
配給:松竹

19世紀末上海の高級遊郭で繰り広げられる男女の関係を描写した中国文学の古典「海上花」をトニー・レオンを始めとするスターたちの競演で映画化した傑作を、本年L'Immagine Ritrovataでデジタル修復した素材で日本初上映。リー・ピンビンの見事な撮影も堪能できる。

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『大輪廻』 The Wheel of Life

台湾 / 1983 / 104分
監督:キン・フー、リー・シン、パイ・ジンルイ (King HU, LEE Hsing, PAI Ching-Jui)

明朝、民国初期、現代の3つの時代にわたり、輪廻転生によって繰り返される三角関係がもたらす悲恋を当時の台湾映画界の巨匠3人が映画化したオムニバス映画。キン・フーは滝を背景とするアクションが素晴らしい明朝編を担当。デジタル修復版で上映。

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『空山霊雨』 Raining in the Mountain

台湾 / 1979 / 120分
監督:キン・フー (KING Hu)

明朝時代の中国の仏教寺院を舞台に三蔵法師の経典をめぐって繰り広げられる争奪戦を気品高いカンフー・アクションで描き、キン・フー作品の一つの到達点とも言われる傑作。「山中傳奇」と同時期に韓国で撮影された。デジタル修復版で上映。

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