シネカノン有楽町でのレイトショーについて – 林 加奈子ディレクター(5)

今年のシネカノン有楽町のレイトショーは、入場者数が全体で昨年と比べて200人も増えるという現象が起こりました。みなさまご来場ありがとうございました。このレイトショーは、以前(2003年まで)は有楽町駅のすぐそばにあった銀座シネ・ラ・セットで行われていましたが、劇場の移転に伴い、東京フィルメックスも2004年よりシネカノン有楽町にレイトショー会場を移しました。
朝日ホールが夜9時以降は上映ができない、お借りできない事情がありますため、夜のレートショーの場として朝日ホールの上映後にも引き続きご覧いただけますように、タイムスケジュールを組んでございます。また、シネカノン有楽町は一般の映画館ですので、東京フィルメックスの期間中も興行として新作のロードショーがあります。この昼間の上映作品の後、入れ替えの時間の余裕を考慮して、上映のスケジュールを組むことになっています。
なるべく夜11時には上映が終了して電車でスムースにお客様にお帰りいただけますよう、スケジュールを組んでおりますが、作品によって上映時間の長さがそれぞれ違うという現実もございます。また夜の上映ですので監督との質疑応答のお時間は現実的に難しいのですが、監督が冒頭でみなさまにご挨拶をなさりたいとご希望があった場合には、少しのお時間でも一言お話いただいているのはご存知の通りです。いえ、監督によっては興奮して話が長くなる方もしばしばいらっしゃいますけれど。お仕事帰りにお立ち寄りいただくのに便利ということもあって、おかげさまで当日券の売れ行きが伸びるのもシネカノン有楽町のレイトショー上映の特徴でもあります。
シネカノン有楽町の入場のシステムについては、今回まで自由席制で運営しておりましたが、今年のようにお客様が増えますと、ご入場前に階段に並んでお待ちいただく事になりますので、それも心苦しく、劇場も座席指定制を採用していらっしゃる事もございますので、来年以降は東京フィルメックスの期間中でもシネカノン有楽町も座席指定にすべきかと、早速検討を始めております。

座席指定制へのご質問について – 林 加奈子ディレクター(4)

有楽町マリオン朝日ホールは、座席指定なのに開場時間が早まらないのは何故でしょうかと、アンケートでご指摘をいただきました。数年前から朝日ホールは座席指定の方法を取っており、これによって入場口の階段に開場前に並んでいただかずにご入場いただけるようになりました。でも、自由席と座席指定席のシステムにはそれぞれに良い面も不具合な面もあり、部分的に自由席にするような混合のシステムも検討してはみましたが、今のところは座席指定制を続けております。
実は開場まで時間がかかるのは、入れ替えの間に監督みずからによるプリントチェックのための映写をしているというシンプルかつ重要なわけがあります。お客様にはそれぞれの作品を、作り手である方が満足している状態でベストの形で上映したいという、東京フィルメックスのこだわりがあります。まぁ映画祭を運営する側にとっては、これはあたりまえの事でございます。毎日各回で別々のプリントでの上映が組まれていますので、しかもご来日の監督は上映前ギリギリにご到着することもあったり、映写チェック、字幕のタイミングチェックなど、会場整理と共に寸時の時間での確認作業をしています。さすがに監督たちもこだわりをお持ちですのでギリギリまで粘って調整してくださる監督もいらして、彼らのオーケーが出て、初めてご入場いただけるという流れなのです。

5人の審査員たち – 林 加奈子ディレクター(3)

審査員のみなさま5人は、今年も素晴らしいメンバーが揃いました。最終の審査会の後、やっぱりこの5人に依頼してよかったと心底実感しました。世代や性別、ポジションなどバランスを考えての5人でしたが、和気あいあいと仲良く審査をしてくださり、各自しっかり主張しながら徹底的に討論を重ねて、最終的にとても平和に、結論を出してくださいました。
よいチームだったことの証に、授賞式では最優秀作品賞と審査員特別賞のそれぞれを、一人が受賞結果を発表し、もう一人が賞状を授与してくださり、そして委員長が総評を述べられるという、5人が役割を分担した進行となりました。5分で終わるか5時間以上かかるものか分からない審査会ですが、最後にはそれぞれのアドレスを交換して連絡を取り合う約束までしていらっしゃって、喜ばしい限りの情景でした。改めて厳正なる選考を進めてくださいました5人の方々に、深く感謝申し上げます。

黒い衣装 – 林 加奈子ディレクター(2)

「オープニング・セレモニーの登壇者が黒い服で勢ぞろいしたのは何故でしょうか」と、外国のプレスの方からもご質問をいただきました。いえ、全くの偶然で、事前に打ち合わせをしたり、示し合わせたわけではありません。審査員の方々には「東京フィルメックスはご存知の通りカジュアルな映画祭ですので、民族衣装などで着飾る必要はございません」というお話はしていたのですが。結果的には、オープニング作品「三峡好人」のジャ・ジャンクー監督も、女優のチャオ・タオさんも黒い衣装でご来日ということになり、なんだか私たちもビックリしていた次第です。
確かに日本は冠婚葬祭のフォーマルには黒という習慣はありますが、まさか全員黒だったなんて。個人的には事務局スタッフは黒子に徹して、映画が最も輝くように上映をサポートしたいという気持ちは、確かにあります。悲しいかな服装には無頓着な性質なもので、ご指摘いただいても初めはピンと来ないくらいだったのですが。そのうち私も真っ赤なドレスでも着てニコニコ堂々としてステージへ出て行けるくらいに精進いたしますので(無理だと思います)、引き続きどうぞ宜しくお願い致します。

映画祭を終えて – 林 加奈子ディレクター(1)

あっという間に師走に突入してしまいました。事務局スタッフにとってはつい先日まで夏だったのに、気が付いたら紅葉も深まっている今日この頃です。
会期が無事に終了し、たくさんのお客様にご来場いただきました。ゲストの監督たちもフェアウェルパーティーではご機嫌に歌ってくださった方もいらして、みなさんお元気にご帰国されました。ご協力、ご支援いただきましたみなさまに心からお礼申し上げます。またシャープなご質問をくださった観客のみなさまにも重ねてお礼申し上げます。観客のレベルの高さについては、世界の映画祭の中でも屈指と自負しております。みなさまに支えられて、またより一層のプレッシャーを痛感しながら、事務局スタッフ一同、より楽しんでいただける映画祭の企画・運営について切磋琢磨しながら邁進してまいります。どうぞ引き続き宜しくお願い申し上げます。
公式サイトへのヒット数も大幅に増え、特に新しく挑戦したブロードキャストコーナーは1ヶ月の間に10,000件を超える盛況を記録しております。
せっかくの機会なので、これからしばらく期間中に皆様からお寄せいただいたアンケートでのご質問、ご指摘などにもお答えしながら、映画祭会期について振り返ってみたいと考えております。言い訳がましいことを書き連ねるつもりはありませんが、幾つかの選択肢の中でどちらかを選んで進めていかなくてはならない運営上の状況や、ごもっともなご意見とわかりながらも予算やお借りしている会場などの関係で、また一般の劇場公開と違った映画祭ならではの状況の中で、ギリギリの措置を講じている現状もありますため、映画祭の裏側についても少しご紹介できればと存じます。どうぞお付き合いの程お願い致します。

11/26 受賞コメント(パスカル・ラグリッフル)

最優秀作品賞に輝いた「天国へ行くにはまず死すべし」の撮影監督パスカル・ラグリッフルさんが、新作準備中のため来日できなかったジャムシェド・ウスモノフ監督に代わって、監督からのメッセージを読み上げました。

11/24 アニエスベー Director’s Talk! モーツァルト生誕250年記念イベント ガリン・ヌグロホ監督

MARUNOUCHI CAFEにて開催された「アニエスベー Director’s Talk!」では、モーツァルト生誕250年記念プロジェクト「ニュー・クラウンド・ホープ」の作品から、「オペラジャワ」のガリン・ヌグロホ監督をお迎えして、トークショーを行いました。