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【レポート】『草の葉』舞台挨拶

11月17日(土)、TOHOシネマズ日比谷スクリーン12にてホン・サンス監督の『草の葉』が上映された。オープニング作の『川沿いのホテル』に続いてホン・サンス監督作品がもう1作品上映されることから、関心も高く、場内は駆けつけた観客で賑わった。上映に先立ち、『川沿いのホテル』上映後にも登壇した出演俳優のキ・ジュボンさんを迎えて舞台挨拶が行われた。

「みなさんにお会いすることができて嬉しく思います。日本の映画館に来るのは生まれて初めてですが、みなさんとお会いできることは、私の人生におけるご縁だと思っています」と笑顔で挨拶したキ・ジュボンさん。

本作は、昨秋の9月~10月に3日間、さらに補充日として1日を追加して撮影が行われたそうだ。市山尚三東京フィルメックス ディレクターによると、今年2月のベルリン国際映画祭で発表されたことから驚きの速さで仕上げられた作品といえる。

直前に上映された『川沿いのホテル』の質疑応答では、キ・ジュボンさんのプライベートな部分が作品に反映されたという話題に及んだが、『草の葉』に出演することになった経緯について、「昨秋、個人的に私生活で少し難しい時期を迎えていたのですが、ホン・サンス監督に『草の葉』に出ないかと誘っていただき、元気をもらいました。この作品の後、『川沿いのホテル』にもつながりました」と述懐。

本作は、喫茶店を訪れる人たちの会話が続く作品だが、その際にセリフは用意されているのか、あるいは、俳優に任されているのかと訊かれ、キ・ジュボンさんは次のように説明した。
「ホン・サンス監督は、撮影の当日に台本を書きます。朝書いて俳優に渡すというやり方です。例えば8時から撮影があるときは、監督が6時にやってきてシナリオを準備します。俳優たちは8時にやってくると、その日の頭の回転にまかせて撮影に入ります。事前に俳優に準備させるのではなく、俳優のその日の考えを反映させるというやり方で撮っています」

ホン・サンス監督の斬新な撮影手法に興味は尽きないが、最後に、夜遅い上映時間にもかかわらず集まった観客から温かい拍手がキ・ジュボンさんに寄せられた。フィルメックスでは、11月21日に『川沿いのホテル』、11月20日に『草の葉』が再上映される。

文責: 海野由子  撮影: 吉田(白畑)留美


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