11/4『きまじめ楽隊のぼんやり戦争』舞台挨拶


11/4『きまじめ楽隊のぼんやり戦争』舞台挨拶
TOHOシネマズ シャンテ
池田 暁(監督)
前原 滉(俳優)
市山 尚三(東京フィルメックス ディレクター)
日本 / 2020年 / 105分
監督:池田暁(IKEDA Akira)
配給:ビターズ・エンド
Japan / 2020 / 105 min
Director:IKEDA Akira

11/4『イエローキャット』Q&A(リモート)


11/4『イエローキャット』Q&A(リモート)
TOHOシネマズ シャンテ
アディルハン・イェルジャノフ(監督)
市山 尚三(東京フィルメックス ディレクター)
佐野 伸寿(通訳)
カザフスタン・フランス / 2020 / 90分
監督:アディルハン・イェルジャノフ(Adilkhan YELZHANOV)
Kazakhstan, France / 2020 / 90 min
Director:Adilkhan YELZHANOV

【レポート】「デニス・ホー:ビカミング・ザ・ソング」リモート Q&A

11月7日(土)、有楽町朝日ホールで特別招待作品『デニス・ホー:ビカミング・ザ・ソング』が上映された。本作は、『奪命金』(11)などで俳優としても知られる香港の歌手デニス・ホーさんの歩みを追ったドキュメンタリー。アーティストとしての彼女の魅力に加え、同性愛者であることを公表し、香港の民主化運動に参加するなど、1人の人間としての生き様が収められている。上映後にはリモートによるQ&Aが行われ、アメリカにいるスー・ウィリアムズ監督が、観客の質問に答える形で製作の舞台裏を語ってくれた。
 
「長年、中国で映画制作を行い、香港でも長い時間を過ごしてきました」と自己紹介したウィリアムズ監督だが、当初はデニスさんのことを全く知らなかった。共通の友人に紹介され、2人が初めて出会ったのは2017年の夏。「一週間ほど一緒に過ごし、人生や音楽について様々な話を聞くうちに、デニスのアーティストとしての姿勢や生き方に共感し、映画を制作しようという話になりました」。
こうして2018年に撮影を開始。2019年10月の完成を目指していたところ、香港の民主化運動が始まる。そこでの彼女の姿も捉えたいと考え、2019年末まで撮影を継続し、映画が完成したのは2020年3月だった。
 
ただ、作中でも言及されている通り、デニスさんはかつて香港の民主化運動に参加したことが原因で、現在は中国国内で活動できない。そのため、「周囲の人たちに、彼女について語ってもらうことは非常に難しかった」とウィリアムズ監督は打ち明けた。
「長年、デニスと一緒に仕事をし、彼女を心から尊敬している人でさえ、『話すのが怖い』と。音楽界でも、映像界でも、友人関係でも『カメラの前では話せない』と何度も言われました」。作中では、その困難を乗り越え、デニスさんの友人で歌手のアンソニー・ウォンが証言を行っている。
 
また本作には、民主化運動で警察とデモ隊が衝突する様子を至近距離で捉えた生々しい映像も収められている。これは、予算的な都合で香港に行けなかったウィリアムズ監督が、現地のチームに撮影を依頼したもので、デニスさん自身も撮影に参加。「冒頭で警察が彼女に迫るシーンは、彼女と彼女のアシスタント数人が、スマホで撮った映像です」。
 
ところが、当時は自由にできた撮影も「今年の夏に成立した国家安全維持法によって、全てが変わってしまった」といい、香港を取り巻く状況が厳しさを増していることを窺わせた。
 
一方、アーティストとしてのデニスさんの歩みも追った本作では、彼女のヒット曲が全編を彩る。その選曲作業を「大変でした」と振り返ったウィリアムズ監督は、「彼女には膨大なディスコグラフィーがあるので、『キャリアの中で特に大事な曲は何か』と尋ね、出してもらったリストに基づき、使う曲を決めました」と、そのプロセスを説明。さらに、「アーティストとしてのデニスを、アジア外に紹介したい」という意図から、歌詞の英語翻訳では「広東語の細かい機微は伝わらないかもしれないが、ポップソングとして、映画を見てくれた方に響くように」という点を心掛けたとのこと。
 
現在も連絡を取り合っているが、「監視されていることはわかっているので、あまり話し過ぎないように気をつけています」というウィリアムズ監督は、デニスさんの近況を次のように語ってくれた。「彼女は香港を出るつもりはないと思います。私には、以前より香港という場所にコミットしているように見えます。今はポッドキャストや音楽制作に励んでおり、『アーティストとして、自分が香港のためにできることはまだある』と考えているのではないでしょうか」。そして「大変勇敢な女性です」と評した。
 
現在の公開状況について「香港では不可能。コロナ禍のためアメリカではバーチャル公開されたが、全体的にはかなり消極的な印象。フィルメックスのような勇気ある配給会社や団体はまだまだ少ない」とウィリアムズ監督が悔しさを滲ませた本作は、映画祭終了後、期間限定ながらオンライン上映が予定されている。ぜひこの機会に、本作を通じてデニス・ホーさんの勇気ある生き様に触れてほしい。
 
(文・井上健一)

【レポート】『ハイファの夜』リモートQ&A

11月6日(金)、有楽町朝日ホールで、特別招待作品『ハイファの夜』が上映された。本作は、アモス・ギタイ監督の故郷イスラエル第三の都市ハイファのナイトクラブに集う人々の人間模様を通して、ユダヤ人とアラブ人の共生の可能性を探った群像劇。今年のヴェネチア国際映画祭コンペティション部門にも出品された注目作だ。上映後にはリモートによるQ&Aが行われ、フランスにいるギタイ監督が、観客の質問に答える形で撮影の舞台裏を語ってくれた。

物語の舞台となるナイトクラブは実在の店。前作『エルサレムの路面電車』(2018年第19回東京フィルメックスで上映)の出演者の案内でダウンタウンを訪れたことが、ギタイ監督がこの店と出会うきっかけになった。「アラブ人とユダヤ人が集まって、いろんな話をしたり、口喧嘩をしたり、様々なことが一か所で起こっている“ごちゃまぜ感”が気に入った」と語るギタイ監督。そこで、「ハイファについての映画を作る上では、この場所が最適ではないか」と思いついたという。
 
「この映画を作る上で参考にした映画はあるか」との質問には「私は映画学校で学んだわけではないので、古典的な作品を参考にして映画を作る習慣がない」としながらも、「強いて挙げれば」と前置きし、ジョン・ヒューストン監督の遺作『ザ・デッド/「ダブリン市民」より』(87)を挙げた。その理由は「一直線に進むひとつの物語ではなく、様々な人々の人生の断片が、たまたま一つの場所に集まった中から、街の姿が見えてくる。そういう手法で物語を綴る映画として、似ているところはあるかも」とのこと。

さらに、そのストーリーテリングの手法は、「現代を描く上でも重要」と語り、「現代は、人間の生き方が断片化している。多くの人たちは、一か所に留まることなく、色々な土地を移動しながら人生を歩もうとする。だから、それぞれの場所に自分の人生があり、それが必ずしも一つにつながっていない」と独自の人生観を披露。その上で「現代の映画がすべきなのは、そういう断片化した私たちの人生を、映画でどう表現するかにチャレンジすること」と持論を展開した。
 
これを踏まえて、本作に込めた思いを次のように打ち明ける。「この映画では、性的マイノリティの人もそうでない人も、あるいはアラブ人とイスラエル人、男性と女性など、様々な立場の人たちが、自分の人生の断片のひとつとして、このクラブに集まっている。そうやってみんなが近くに存在することで、相互理解が生まれるかもしれない。もし生まれなかったとしても、同じ場所で共存することはできるかもしれない。そこから、新しい人間のあり方を提示できるのではないかと考えました」。
 
一方、舞台となるナイトクラブに集う人々の息遣いをリアルに伝えるのが、陰影を生かした深みのある色彩と、流麗な移動撮影が印象的な映像美だ。本作の撮影を担当したのは、オリヴィエ・アサイヤス、ウォルター・サレスなど数々の名匠と組んできたエリック・ゴーティエ。是枝裕和監督の『真実』(19)にも参加し、ギタイ監督とはこれが四度目のタッグとなる。そのゴーティエをギタイ監督は「非常にフレキシブルな人物」と評し、「この映画のように、彼が外国で撮影するときも、地元のクルーと積極的に交流し、共同作業ができるところが素晴らしい」と絶賛。

2人の共同作業ついては、「まずその場所をどう撮るのか、一緒に“場所を見る”ことから始まる」「俳優との話し合いにも極力、立ち会ってもらう」と創作の秘密の一端を明かしたギタイ監督。「ひとつひとつの作品で、撮影する場所やテーマに合わせて、新しい映画の表現を作り出していこうと野心を持って共同作業をしている」とも語り、互いの相性の良さを伺わせた。
 
故郷ハイファに対する思いが詰まったギタイ監督入魂の本作。現時点では日本での劇場公開は未定だが、何らかの形で幅広く鑑賞する機会が訪れることを期待したい。
 
(文・井上健一、写真・明田川志保)

11/3 『泣く子はいねぇが』Q&A


11/3 『泣く子はいねぇが』Q&A
TOHOシネマズ シャンテ
佐藤 快磨(監督)
市山 尚三(東京フィルメックス ディレクター)
日本 / 2020年 / 108分
監督:佐藤快磨(SATO Takuma)
配給:バンダイナムコアーツ/スターサンズ
Japan / 2020 / 108 min
Director:SATO Takuma

11/1 『由宇子の天秤』Q&A


11/1 『由宇子の天秤』Q&A
TOHOシネマズ シャンテ
春本 雄二郎(監督)
片渕 須直(映画監督、プロデューサー)
松島 哲也(映画監督、プロデューサー)
市山 尚三(東京フィルメックス ディレクター)
日本 / 2020年 / 152分
監督:春本雄二郎(HARUMOTO Yujiro)
製作:映画「由宇子の天秤」製作委員会
Japan / 2020 / 152 min
Director:HARUMOTO Yujiro

10/31 『水俣曼荼羅』Q&A


10/31 『水俣曼荼羅』Q&A
TOHOシネマズ シャンテ
原 一男(監督)
二宮 正(医師)
市山 尚三(東京フィルメックス ディレクター)
日本 / 2020年 / 152分
監督:春本雄二郎(HARUMOTO Yujiro)
製作:映画「由宇子の天秤」製作委員会
Japan / 2020 / 374 min
Director:HARA Kazuo

11/03『照射されたものたち』Q&A(リモート)


11/03『照射されたものたち』Q&A(リモート)
TOHOシネマズ シャンテ
リティ・パン(監督)
市山 尚三(東京フィルメックス ディレクター)
福崎 裕子(通訳)
フランス、カンボジア / 2020 / 88分
監督:リティ・パン(Rithy PANH)
France, Cambodia / 2020 / 88 min
Director:Rity PANH

10/30 『愛のまなざしを』Q&A


10/30 『愛のまなざしを』Q&A
有楽町朝日ホール
万田邦敏(監督)
仲村トオル(俳優)
杉野希妃(俳優)
市山 尚三(東京フィルメックス ディレクター)
日本 / 2020 / 102分
監督:万田邦敏(MANDA Kunitoshi)
配給:イオンエンターテイメント 朝日新聞社 和エンタテインメント
Japan / 2020 / 102 min
Director:MANDA Kunitoshi

10/30『愛のまなざしを』舞台挨拶


10/30 『愛のまなざしを』舞台挨拶
有楽町朝日ホール
万田邦敏(監督)
仲村トオル(俳優)
杉野希妃(俳優)
中村ゆり(俳優)
片桐はいり(俳優)
市山 尚三(東京フィルメックス ディレクター)
日本 / 2020 / 102分
監督:万田邦敏(MANDA Kunitoshi)
配給:イオンエンターテイメント 朝日新聞社 和エンタテインメント
Japan / 2020 / 102 min
Director:MANDA Kunitoshi