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東京フィルメックス・コンペティション






『クロコダイル』 Crocodile / Bwaya
フィリピン / 2014 / 88分
監督:フランシス・セイビヤー・パション(Francis Xavier PASION)

【作品解説】
娘のロウィナの12回目の誕生日を祝おうとしていたディヴィナはショッキングな知らせを受け取る。ロウィナがワニに襲われたのだ。ディヴィナは行方不明になったままのロウィナの遺体を探すために湿地帯を彷徨う......。フランシス・セイビヤー・パションの監督第3作は、娘の遺体を探す母親の姿を通し、フィリピン南部、南アグサンの湿地帯に暮らす人々の生活とその直面する問題点を描き出す。湿地帯を行き来する舟をとらえたカメラワークが素晴らしい。主演はアンソニー・チェン監督の『イロイロ ぬくもりの記憶』にも出演したアンジェリ・バヤニ。本作はフィリピン若手監督の登竜門であるシネマラヤ映画祭で最優秀作品賞を始めとする4賞を受賞した。






フランシス・セイビヤー・パション


1978年生まれ。アテネオ・デ・マニラ大学でコミュニケーション学を専攻。在学中にロヨラ・フィルム・サークルを設立する。2008年、『Jay』で監督デビュー。同作品はシネマラヤ映画祭で最優秀作品を受賞し、ヴェネチア映画祭オリゾンティ部門に選ばれた。続く第2作『Sampaguita, National Flower』はシネマラヤ映画祭で監督賞を受賞し、プサン映画祭ニューカレンツ部門などで上映された。映画以外ではテレビドラマ『Dyesbel』を監督。第11回東京フィルメックスで開催されたNext Masters Tokyo 2010にも参加している。







11/26 『クロコダイル』Q&A
from ブロードキャスト 2014/11/29


 
11/26 『クロコダイル』Q&A
有楽町朝日ホール
 
フランシス・セイビヤー・パション(映画監督)
R.S.フランシスコ(プロデューサー)
アンジェリ・バヤニ(俳優)
 
林 加奈子(東京フィルメックス ディレクター)

藤岡 朝子(通訳)
 
 
フィリピン / 2014 / 88分
監督:フランシス・セイビヤー・パション(Francis Xavier PASION)
 
 
Crocodile / Bwaya
The Philippines / 2014 / 88min.
Director: Francis Xavier PASION





新情報は順次、追加されます。


『クロコダイル』Q&A
from デイリーニュース2014 2014/11/28

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11月28日、TOHOシネマズ 日劇でコンペティション部門『クロコダイル』の2回目の上映が行われた。上映後のQ&Aには、フランシス・セイビヤー・パション監督、主演女優のアンジェリ・バヤニさん、およびプロデューサーでもあり本作でも俳優として出演しているR.Sフランシスコさんが登場した。レイトショー後の夜遅い時間にもかかわらず多くの観客が残り、次々と質問が寄せられた。


11月28日、TOHOシネマズ 日劇でコンペティション部門『クロコダイル』の2回目の上映が行われた。上映後のQ&Aには、フランシス・セイビヤー・パション監督、主演女優のアンジェリ・バヤニさん、およびプロデューサーでもあり本作でも俳優として出演しているR.Sフランシスコさんが登場した。レイトショー後の夜遅い時間にもかかわらず多くの観客が残り、次々と質問が寄せられた。


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まず、パション監督は「今日は観に来てくださって、ありがとうございます」と挨拶し、本作が2006年にミンダナオ島アグサンで少女がワニに襲われた実際の事件に基づき、それまで自然と共存してきた少数民族が見舞われた悲劇に関心を抱いたことが製作の契機となったことを説明した。また、パション監督は、主演女優のバヤニさんにとってこの作品は肉体面においても情緒面においてもチャレンジだったと語った。というのも、方言、ボートの漕ぎ方、現地の方とのコミュニケーションにとても苦労したからだという。


R.Sフランシスコさんは、「こんばんは。ありがとうございます」とフィリピンの日本食レストランで覚えたという日本語で挨拶し、本作はフランシスコさんがプロデューサーとして初めてかかわった作品であることを感慨深げに語った。


次に、会場からの質問に移った。まず、ラスト近くのシーンで主人公のディヴィナが遭遇するワニが本物なのかどうかと問われ、ワニが機械式のワニであることを明かしたパション監督。モデルとなった事件の当事者である実在のディヴィナさんとのインタビューによると、彼女自身も実際にバスほどの大きなワニに後をつけられたことがあり、彼女にとって娘がワニに襲われたことはとてもリアルに感じられたのだそうだ。


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また、劇中に使われているアロヨ前大統領の写真について質問が及んだ。パション監督は、原題の「Bwaya」がタガログ語でワニを意味することに加え、腐敗した政治家に対して使われることを説明。アロヨ前大統領は国民から批判を受けた大統領でもあり、政治的な意味合いも含めてその写真を使ったそうだ。
さらに、劇中ワニの卵を少女たちに見せる男性が登場するが、その意図を訊ねられると、パション監督は、「コミュニティは自然と共生しているが、同時に自然環境保護について理解していないことを示すために挿入したシーン」であると答えた。アグサン湿原はワニの自然保護区域であるが、町の近郊にはワニ園があり、ワニの卵を捕ってワニ園に売って生計を立てる人もいるのだとか。


ここでパション監督は、本作でミンダナオ島のアグサンをとりあげた理由について語った。パション監督にとって3作目となる本作の制作は、2作目を撮り終えた後、次回作について霊媒師に相談したところ、霊媒師から「アグサン湿原が見える」と言われたことに端を発するのだという。そして、現地に関連するドキュメンタリーを制作した友人に仲立ちを依頼し、現地の人たちと接触することができたが、彼らと話をするうちに、誰に聞いても少女がワニに襲われた事件が伝説のごとく語られ、2006年に起こった事件がまるで昨日のことのように語られたとか。そして、この湿原の美しい風景を俯瞰でとらえるために、リモートコントロールで操作して空中から撮影するドローン(小型飛行機)を使用したのだそうだ。


続いて、パション監督とシネマラヤ映画祭との関わりについて話が及んだ。というのも、フィリピンのインディー映画の登竜門として知られるシネマラヤ映画祭において、パション監督はデビュー作『Jay』(08)では最優秀作品を、続く2作目の『Sampaguita, National Flower』(10)では監督賞を、そして本作では再び最優秀作品賞を受賞しているからだ。さらにテレビ番組でも活躍しておられ、すでに実績を確立しているパション監督が、どちらかというと新しい人材発掘を主眼とするシネマラヤ映画祭に出品する理由をうかがうことになった。パション監督によると、シネマラヤ映画祭には監督作品の3作目まで応募資格があり、監督に作品の著作権が与えられ、自由に撮影できることが魅力なのだという。テレビの仕事にも数多く携わっているが、映画とは線引きして仕事をしているそうだ。そして、「映画は自分にとっての"パッション"です」と力強く語った。


最後に、数あるワニ映画の中でもこの作品は最も感動を覚えた、という観客から、ワニはどのような意味を持つのかと尋ねられ、3人それぞれが答えた。まず、ワニについて作品を撮ろうと監督から声をかけられたとき、てっきり政治がらみの話だと思ったというR.Sフランシスコさんは、「ワニは水の中だけではなく、社会システムの中にも潜んでいるのではないかと思います」と応えた。続いて、バヤニさんは、「ワニは今もなお生きながらえている恐竜のようだと思います。撮影中、人間というのは何者なのかと考えることがありました。自分たちが映画を撮影していることはワニにとってなんら関係のないこと。自然の中で人間は小さな存在にすぎず、無に近いのだと思いました」と語った。そして、パション監督が、「私自身もワニのような捕食者になり得るのではないかと思います。映画制作も誰かを傷つけることになるかもしれず、題材が及ぼす影響には責任が伴うと思います」と締めくくった。


ここで時間切れとなりQ&Aが終了し、会場からは3人に温かい拍手が送られた。パション監督のさらなる飛躍に期待したい。なお、本作は第15回東京フィルメックス最優秀作品賞を受賞。11月26日の上映時のQ&Aレポートもあわせて参照していただきたい。


(取材・文:海野由子、撮影:白畑留美、船山広大)

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『クロコダイル』Q&A
from デイリーニュース2014 2014/11/26

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11月26日、有楽町朝日ホールにてコンペティション部門『クロコダイル』が上映された。上映後のQ&Aにはフランシス・セイビヤー・パション監督と、母親役を演じたアンジェリ・バヤニさん、教師役で出演し、プロデューサーでもあるR.S.フランシスコさんが登壇し、来場者への感謝が伝えられた。


3回目の来日というバヤニさんは、昨年の東京フィルメックスで観客賞を受賞した『イロイロ ぬくもりの記憶』(アンソニー・チェン監督)でもメイド役で出演している。本作は「肉体的にも精神的にも尽した特別な作品」だと紹介した。同じく3回目の来日となるパション監督は、初回の訪問時に人材育成プログラム「ネクスト・マスターズ・トーキョー2010」(現「タレンツ・トーキョー」)に参加している。同じくプログラムに参加したチェン監督とはルームメイトだったといい、その主演女優のバヤニさんが自分の映画に参加してくれたのは運命を感じる、と語った。


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作品の舞台はフィリピンの湿地帯アグサン。実際に起こった事件を題材に、ワニに襲われた娘の遺体を探す母親・ディヴィナの視点から、水上で暮らすマノボ族の社会を描いている。ロケは事件現場と同じ、ワニが多く生息する湿地帯で敢行され、「非常に恐ろしく、大きな挑戦だった」とパション監督は話す。出演者の多くは現地のマノボ族の人たちで、プロの役者は父親役を含め3人だけ。女優のオーディション映像をディヴィナさん本人に見せたところ、「この人がいい。自分が映っているようだ」とバヤニさんを指したといい、監督はキャスティングの正しさを確信したと話した。


制作の経緯について、監督は「霊媒師に〝私の長編3本目はどういう映画になりますか?〟と尋ねたところ、〝湿地帯のアグサン〟と明確な答えが返ってきた」と明かした。ネットで地名を検索し、その映画的な情景に惹かれて撮影監督と取材に出掛けたという。現地でドキュメンタリーを撮影した友人を介し、最初に会ったのがディヴィナさんの家族だった。この事件は地元でも民話のようだと噂になっていたそうだ。マノボ族はワニと平和的に共存してきた歴史があるが、少女の死でワニと人間の間に亀裂が生まれたと監督は分析する。原題の「BWAYA」は「ワニ」の他に「汚職に手を染める役人」の意味もある。ディヴィナさんは娘を亡くした時、役所から助けてもらえず、「ワニは陸上にもいる」と話したという。


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作中で語られる雄と雌のワニの民話について観客から質問されると、監督は「マノボ族に伝わる民話です。彼らの世界の始まりの物語である創世詩にもワニが登場します。民話は神聖なもので部外者に話すものではありませんが、撮影を進めるうちに地元の老人たちの信頼を得て、彼らの語りや、歌声を録音する許可をもらいました」と答えた。ナレーションはその老人の声を録音したものだという。また、伝統音楽についても「音楽ディレクターは、革命軍の兵士がいる山中を2時間かけてマノボ族の長老たちに会いに行きました。命がけの録音でしたが、長老たちと一緒に暮らすことで信頼を勝ち得ました。音楽には哲学的な要素も含まれています」と語った。


マノボ族の信仰についても話が及び、監督は「マノボ族はキリスト教と古い宗教をうまく融合させて信仰しています。例えば、学校の壁にはキリスト教の宗教画があり、葬儀もキリスト教式ですが、一方で霊媒師による祈祷も行われています。彼らの中では2つの宗教の信仰には全く矛盾がありません」と説明した。


さらに撮影の手法について問われると、監督は「筏やドローン(小型無人ヘリ)を使用しました。幸い、この地域は風があまり強くないので、非常になめらかで静かなショットが撮れました。音は、ほぼシンクロ録音です。台詞に関しては、方言が明確でなかったところを再録した部分もあります」と答えた。


観客からは次々と質問の手が挙がったが、予定時刻を過ぎてQ&Aは終了した。『クロコダイル』は11月28日、TOHOシネマズ日劇のレイトショーでも上映される。


(取材・文:宇野由希子、撮影:白畑留美)

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