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賞・審査員
第14回東京フィルメックス受賞結果
第14回東京フィルメックスコンペティション部門審査員は以下の作品に賞を贈ります。
『花咲くころ』
(ナナ・エクチミシヴィリ、ジーモン・グロス/グルジア、ドイツ、フランス/2013年/102分)
授賞理由;
10代の少女たちの力強い生命力を、90年代前半のグルジア社会を背景に、エネルギッシュかつリアルに描き出した才能を讃え、『花咲くころ』のナナ・エクチミシヴィリ監督とジーモン・グロス監督に最優秀作品賞を贈ります。
『ハーモニー・レッスン』
(エミール・バイガジン/カザフスタン、ドイツ、フランス/2013年/115分)
授賞理由;
政治と文化の調和の在り方により生まれてしまう暴力性を、男性社会というメタファーで描いたその才能ある洞察力により、『ハーモニー・レッスン』 のエミール・バイガジン監督に審査員特別賞を贈ります。
■スペシャル・メンション
『カラオケ・ガール』
(ウィッサラー・ウィチットワータカーン/タイ、アメリカ/2012年/77分)
『トーキョービッチ,アイラブユー』
(吉田光希/日本/2013年/70分)
授賞理由;
今年、審査員は、アジア映画の将来のために、これからが期待される2人の監督にスペシャル・メンションを贈ります。 カラオケ・ガールと呼ばれる風俗嬢に寄り添い、彼女の実生活を通して心の奥底までを描き出したことにより、『カラオケ・ガール』のウィッサラー・ウィチットワータカーン監督をスペシャル・メンションとします。
また、都市・東京を監督自身の哲学的な視線で見据え、人々の孤独とその中で彼らが関係をもつことの難しさを繊細に読み取った『トーキョービッチ,アイラブユー』の吉田光希監督をスペシャル・メンションとします。
■第14回東京フィルメックス コンペティション審査員:
モフセン・マフマルバフ(審査委員長:イラン/映画監督)、渡辺真起子(日本/女優)、イザベル・グラシャン(フランス/プロデューサー、ユニフランス中国支局長)、松田広子(日本/プロデューサー)
■観客賞
『ILO ILO(英題)』
(アンソニー・チェン/シンガポール/2013年/99分)
■学生審査員賞
『トランジット』
(ハンナ・エスピア/フィリピン/2013年/92分)
授賞理由;
ドメスティックに絡まり合う現実に切実なテーマを映画的な方法で(視点・空間・時間を)紐解いて、私たちの前に広げて見せてくれました。
終着地も定まらぬまま、ここで生きていく、ここで生きていきたいんだ、という強い決意が鮮明な生命(いのち)として、私たちをまるごと引っ掴み、今も離しません。
●学生審査員:
中村祐太郎(多摩美術大学)、川和田恵真(早稲田大学)、須山拓真(青山学院大学)
≫ 「学生審査員賞」審査を終えて
※イン・リャン監督は、安全に中国に帰ることができず、また現在、香港の居留権の期限に問題が生じたため、日本のビザ申請を進められず、残念ながら今回審査員としてご来日できなくなってしまいました。
今回はコンペティション部門の審査は4名の審査員で行ないました。
審査委員長
モフセン・マフマルバフ
(Mohsen MAKHMALBAF 審査委員長:イラン/映画監督)
1957年、テヘランに生まれる。
民主主義のために闘い、17歳で投獄され、5年近くを牢獄で過ごす。釈放後も文学や映画活動を通し民主主義と平等を追究する。30もの著作があり、30本の長編・短編映画およびドキュメンタリー映画を世界10ヶ国で監督した。カンヌ、ヴェネチア、ロカルノなどの映画祭で50を超える賞を受賞。優れた業績に対し、映画と文学における2つの名誉博士号が授与された。
長年にわたり、世界の批評家と専門家が選ぶ映画史に残る100本の映画に何度も登場している。映画製作や作家活動の他に、イランやアフガニスタンにおける人権活動家としても活動している。またマフマルバフは、これまでにいくつもの映画祭の審査委員長も務めている。
これまでの東京フィルメックスでは『カンダハール』(01)、『セックスと哲学』(05)、『スクリーム・オブ・アント』(06)、『庭師』(12)が上映され、今年の特別招待作品では『微笑み絶やさず』が上映される。
モフセン・マフマルバフ監督 メッセージ
私たちは皆、同じ地球に生まれ、健康で、幸せで、友好的な生活をお互いに送るために生まれてきたと、私は信じています。しかし、不幸なことに今日の政治は、私たちを分裂させ、たくさんの戦争を引き起こしています。私は、映画と芸術が、共通の理解をもたらし、私たちを結びつけられることを願っています。今年の東京フィルメックスの映画が、私たちは皆同じ地球に住み、映画の市民であることを思い出させてくれると私は期待しています。
----モフセン・マフマルバフ
審査員
渡辺真起子
(WATANABE Makiko/日本/女優)
1968年生まれ。1986年モデルとしてデビューし、88年映画初出演。以降映画を中心に、舞台やTVドラマでも活躍。主な出演作〈映画〉に諏訪敦彦監督『M/OTHER』(99)、河瀬直美監督『殯の森』(07)、小林政広監督『愛の予感』(07)、園子温監督『愛のむきだし』(09)、内田伸輝監督『おだやかな日常』(13)など。出演作品の多くが国内外の映画祭で高い評価を受けている。中野量太監督『チチを撮りに』(2013年公開)では、第55回アジア太平洋映画祭および第7回アジアン・フィルム・アワードで最優秀助演女優賞を受賞。
イザベル・グラシャン
(Isabelle GLACHANT/フランス/プロデューサー、ユニフランス中国支局長)
イザベル・グラシャンは、フランスのテレビ局、Canal+でジャーナリストとしてキャリアをスタートさせた。1998年から2003年まで、在中国フランス大使館で視聴覚担当を務める。2004年にエグゼクティブ・プロデューサーとして、中国映画『青紅〜Shanghai Dreams』(ワン・シャオシュアイ監督/2005年/カンヌ国際映画祭審査員賞受賞)を製作した。それ以降、アソシエイトプロデューサーとして、『ロスト・イン・北京』(リー・ユー監督/2007年/ベルリン映画祭コンペティション)、「南京!南京!」(ルー・チュアン監督/2009年/サンセバスチャン国際映画祭最優秀作品賞)、共同プロデューサーとして『パリ、ただよう花』(ロウ・イエ監督/2011年/トロント国際映画祭)、プロデューサーとして『我らが愛にゆれる時』(ワン・シャオシュアイ監督/ベルリン国際映画祭銀熊賞脚本賞)、『三姉妹〜雲南の子』(2012年/ヴェネチア映画祭オリゾンティ部門最優秀作品賞)などのワン・ビン監督のドキュメンタリー、『重慶ブルース』(ワン・シャオシュアイ監督/2010年/カンヌ国際映画祭コンペティション)、『僕は11歳』(ワン・シャオシュアイ監督/フランスと中国による初の公式共同制作)等の作品を製作。現在は、キット・ホイ、ロウ・イエ、ワン・シャオシュアイ他、新世代の中国人監督達と新しいプロジェクトを企画中。2011年にフランスと中国との共同製作における功績に対して、フランス文化省から芸術文化勲章シュバリエを授与される。2012年1月より、ユニフランス中国支局長を務める。
松田広子
(MATSUDA Hiroko/日本/プロデューサー)
東京生まれ。雑誌編集者を経て、篠崎誠監督『おかえり』(94)製作に関わる。97年、映画美学校の立ち上げに参加し、塩田明彦監督『どこまでもいこう』(99)、黒沢清監督『大いなる幻影』(99)、松岡錠司監督『アカシアの道』(00)を学生たちとのコラボレーション作品としてプロデュースする。その後、オフィス・シロウズにて熊切和嘉監督『アンテナ』(03)、塩田明彦監督『カナリア』(04/第5回東京フィルメックスオープニング作品)、熊切和嘉監督『フリージア』(06)、大九明子監督『恋するマドリ』(07)、加藤直輝監督『アブラクサスの祭』(10)、西川美和監督『夢売るふたり』(12)などを手がける。近作は篠崎誠監督『あれから』(12)。
イン・リャン
(YING Liang/中国/映画監督)
1977年、上海に生まれる。北京師範大学、重慶大学で映画を学ぶ。短編映画を監督した後、初の長編映画『あひるを背負った少年』(05)を監督。同作品は東京フィルメックスで審査員特別賞を受賞した後、多くの国際映画祭で上映された。続く『アザー・ハーフ』(06)も東京フィルメックス審査員特別賞を受賞。第3作『グッド・キャット』(08)はブリスベン映画祭で国際批評家連盟賞を受賞した。また、短編映画『慰問』(09)はロッテルダム映画祭で最優秀短編映画賞を受賞している。近作『私には言いたいことがある』(12/第13回東京フィルメックスで上映)は、ロカルノ国際映画祭コンペティションで上映され、監督賞と女優賞を受賞した。
【観客賞】
観客の投票により選出されます。東京フィルメックス・コンペティション作品および特別招待作品が対象となります(クロージング作品を除く)。
【学生審査員賞】
2011年に創設した「学生審査員賞」を今年も実施いたします。
東京学生映画祭主催の「学生審査員賞」は3人の学生審査員がコンペティション部門の10作品を対象に審査し、11月30日(土)に最優秀作品を発表します。
東京学生映画祭
www.tougakusai.com
<学生審査員>
中村祐太郎(NAKAMURA Youtaro)
多摩美術大学3年
監督作品:『ぽんぽん』第25回東京学生映画祭実写部門グランプリ受賞
川和田恵真(KAWAWADA Emma)
早稲田大学4年
監督作品:『circle』/第25回東京学生映画祭実写部門準グランプリ受賞
須山拓真(SUYAMA Takuma)
青山学院大学4年
監督作品:『薄いしきり』/第25回東京学生映画祭本選出場
≫ 「学生審査員賞」審査を終えて
第三回学生審査員賞を実施するにあたって
学生ならではの感性を知っていただくことで、学生映画と出逢うきっかけとなるかもしれません。また、学生が審査員の立場となる貴重な経験によって、新しい感性と出逢い、今までと違った作品を撮るきっかけになるかもしれません。どの方にも、新しい出逢いのきっかけになれば、と願っております。
東京学生映画祭企画委員会/千葉花桜里
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