プログラム・ディレクター交代 / 第22回東京フィルメックス開催日程のお知らせ

【プログラム・ディレクター交代のお知らせ】
このたび、映画祭「東京フィルメックス」のプログラム・ディレクターが交代することになりましたので、ご報告いたします。
第1回東京フィルメックスの立ち上げ時よりディレクターとして映画祭に従事してきた市山尚三ですが、この度、東京フィルメックスのディレクターの任を降りることとなりました(法人理事長としては留任)。

新任のプログラム・ディレクターはすでに内定しておりますが、追って発表準備が整い次第、改めてお知らせいたします。

 

【今年度会期のお知らせ】
第22回東京フィルメックスは10月30日 – 11月7日開催を予定しております。
昨年と同じく、10月30日 -11月8日にかけて開催される第34回東京国際映画祭と会期を重ねる形での開催となります。

映画祭の路線はこれまで通り継承され、作品エントリーは準備が出来次第開始し、コンペティション部門は7月末、特別招待作品部門は6月末までお受付する予定です。

今後とも変わらぬご支援のほど、何卒、よろしくお願い申し上げます。

京都フィルメックス 2021を開催します!

2020年の開催で第21回を迎えた、アジアの新進気鋭の作家が放つ渾身の作品が集う日本有数の国際映画祭〈東京フィルメックス〉のラインナップを、京都シネマ、京都みなみ会館、出町座の京都3劇場で特集上映します。2020年のコロナ禍のなか、全世界的に文化・芸術の分野も大きな影響を受けている渦中ですが、東京フィルメックスは例年にもまして充実した内容で多くの映画ファンに支持を受けました。セレクションされた各国のフィルムメイカーも来日することを阻まれ、映画祭に参加する観客にも大きな制限があるなかで、国際的な映画文化の継続、発展に向け、さらに邁進していくために、本企画を実施させて頂きます。現在、遠距離を行き来することもままならない状況が続くなか、京都の劇場3館が連携して取り組み、また全国のミニシアターを応援するべく映画俳優有志が集う「ミニシアターパーク」や、京阪神で映画館を応援する学生が集う「映画チア部」にも協力を頂き、上映だけにとどまらない企画を実施します。映画の未来を灯もす志で、多様性にあふれ個性を発揮する世界の映画表現を発見し続ける東京フィルメックスの魅力、ぜひこの機会に触れてください。

【公式webサイト】
https://shimafilms.com/kyoto-filmex/2021/

トークイベント・ゲストについてはコチラ:https://demachiza.com/event/8742

【開催日程】
2021/1/22(金)~2/4(木)

【会場】
出町座 
■1/22-1/28連日18:50- ■1/29-2/4連日19:15-
京都みなみ会館 1/22(金)のみ15:00- ■1/23(土)~1/28(木)連日14:30-
京都シネマ 1/29(金)~2/4(木)連日13:35-

【鑑賞料金】
当日一般:1500円 学生特別優待割引:1000
ほか各館料金設定(詳細は各劇場へお問い合わせください)/招待券、優待券等使用不可

協力イベント:日韓コラボ映画特集(1/9-1/10)のお知らせ

日韓コラボ映画特集 オンライン交流会を2021年1月9日と1月10日の2日連続で開催します!

1日目の1月9日は『福岡』 × 『でんげい』、2日目の1月10日は『デッドエンドの思い出』 × 『大観覧車』 × 『ひと夏のファンタジア』。皆さまからのご質問に各作品の監督や出演者がお答えします。

2021年1月9日 19:00~21:00
福岡:チャン・リュル監督、山本由貴(出演)、西谷郁プロデューサー
でんげい わたしたちの青春:キム・ヒャンスリ(出演)
司会:成川彩
通訳:ユニ
視聴リンク:https://youtu.be/GiMr-CQPLBQ

2021年1月10日 19:00~21:00
デッドエンドの思い出:チェ・ヒョンヨン監督、イ・ウンギョン(プロデューサー)
ひと夏のファンタジア:チャン・ゴンジェ監督、岩瀬亮(出演)
大観覧車:ベク・ジェホ監督、イ・フイソプ監督、堀春菜(出演)
司会:成川彩
通訳:山本笑子、ユニ
視聴リンク:https://youtu.be/4noGbuPGYH8

オンライン交流会という事で、出来るだけ皆様からのご質問にお答えする時間にしたいと思います。日韓文化交流について、日韓合作について、日本と韓国のインディペンデント映画事情、各作品について等、たくさんのご質問をライブ配信中にYouTubeのチャットからお待ちしております。
各作品は以下のオンライン及び劇場にてぜひご鑑賞ください。

12/26~2/21 オンライン配信
https://vimeo.com/ondemand/koreajapan
1/16~1/29 福岡 KBCシネマ
https://kbc-cinema.com/movie/6513.html
1/30~2/5 名古屋 シネマスコーレ
http://www.cinemaskhole.co.jp/cinema/html/home.htm
2/6~2/12 横浜 シネマ・ジャック&ベティ

フィルメックス・オンライン配信期間延長のお知らせ(11月27日更新)

11月21日0:00から11月22日10:00へフィルメックス・オンライン配信開始が遅れたことを受け、11月30日まで予定していた配信期間を12月6日(日)まで延長することにいたしました。どの作品もまだ視聴可能者数制限に余裕がございますので、お気軽にお楽しみ下さい。

配信期間:11月22日(土)10:00 – 12月6日(日)23:59まで

フィルメックス・オンライン配信はこちらから

【オンライン配信延期について経過のご報告(11/21(土)14時時点)】

この度は、11/21(土)0:00から予定していたオンライン配信が延期となり、誠に申し訳ございません。
昨日、動作環境について最終的な検証を行っていたところ、画面上では日本円建てで決済されていたのにも関わらず、実際には米ドル建てで処理されていたことが発覚いたしました。

この問題を解決できるかどうかサービス提供を受けているプラットフォーム側と協議をいたしましたところ、数日のうちに改善できるものではないということが判明いたしました。

この連休をフィルメックス ・オンラインの視聴に充てようと思われていたファンの方もいらっしゃることから、一刻も早く確実にサービスをご提供するためにお客様の利用料につきまして、画面上の決済表示も米ドル、実際の処理も米ドルと変更をさせていただきます。円換算した際に当初の1,500円を下回る金額、13米ドルでの利用という条件に変更いたします。
外国為替は日々変動することから、視聴をする日によって日本円の利用料には差が生じてしまいますが、このことをご了承の上、ご利用いただけましたら幸いです。
以上の策を講じて、
<11/22(日)10時から>
配信開始をすべく準備を開始しておりますので、ご報告いたします。
また何らかの進展が見られましたら、本HPニュース欄にてご案内いたします。
この度は、ご不便おかけし、誠に申し訳ありません。
東京フィルメックス

(11月20日更新)【お詫び】フィルメックス・オンライン開始延期のお知らせ

11/21(土)0:00からのオンライン配信を楽しみにお待ちいただいた皆様には大変申し訳ありません。

開始を数時間後に控え、OPENに向けた最終的な検証の過程で、配信プラットフォーム側が調整した課金の設定に誤りがあることが発覚しました。今回フィルメックス・オンラインに使用するプラットフォーム(海外のサービスです)と欠陥について共有し、改修には取り掛かっていると報告を受けているものの、開始まで2時間を切った段階で、改修が確認できませんでした。

従いまして、お客様の安全なサービス利用の確保が不透明なこの段階では、誠に残念ですが、11/21(土)0:00からの配信開始は延期せざるを得なくなりました。

重ねてお詫びいたします。

現段階では、改修にどれくらい時間を要すのか見通せないことから、次は11/21(土)14:00に欠陥の状況をご報告をできるようにいたします。
その時までに確証があれば、開始のタイミングをお伝えいたします

東京フィルメックス

 

11月21日から30日にかけて実施する第21回東京フィルメックスで上映された作品のオンライン配信についての詳細は下記ページよりご覧下さい。配信は特設サイトよりご覧頂きます(11月21日よりアクセス可能)。

オンライン配信の詳細はコチラ

11/7 第21回 東京フィルメックス 授賞式


11/7 第21回 東京フィルメックス 授賞式
有楽町朝日ホール

市山 尚三(東京フィルメックス ディレクター)

MC:レイチェル・チャン
大倉 美子(通訳)

【コンペティション審査員】
万田 邦敏(映画監督)
クリス・フジワラ(映画評論家)
坂本 安美(アンスティチュ・フランセ日本 映画プログラム主任)
エリック・ニアリ(プロデューサー)
トム・メス(映画評論家

【学生審査員】
常間 地裕(多摩美術大学)
千阪 拓也(日本大学芸術学部)
田伏 夏基(明治大学)

【最優秀作品賞】
『死ぬ間際』In Between Dying
監督:ヒラル・バイダロフ(Hiral BAYDAROV)

【審査員特別賞】
『きまじめ楽隊のぼんやり戦争』The Blue Danube
監督:池田 暁(IKEDA Akira)

【観客賞】
『七人楽隊』Septet
監督:アン・ホイ、ジョニー・トー、ツイハーク、サモハン、
ユエン・ウーピン、リンゴ・ラム、パトリック・タム

【学生審査員賞】
『由宇子の天秤』 A Balance
監督:春本 雄二郎(HARUMOTO Yujiro)

【Talents Tokyo Award】
『Oasis of Now』
チア・チーサム(CHIA Chee Sum)/MALAYSIA

【New Director Award】
『まどろむ土(仮)』
金子 由里奈(KANEKO Yurina)

『熱のあとに』
山本 英(YAMAMOTO Akira)

11/7『天国にちがいない』Q&A(リモート)


11/7『天国にちがいない』Q&A(リモート)
有楽町朝日ホール

エリア・スレイマン(監督)

市山 尚三(東京フィルメックス ディレクター)
松下 由美(通訳)

フランス、カタール、ドイツ、カナダ、トルコ、パレスチナ / 2019 / 102分
監督:エリア・スレイマン(Elia SULEIMAN)
配給:アルバトロスフィルム/クロックワークス

France, Qatar, Germany, Canada, Turkey, Palestine / 2019 / 102 min
Director:Elia SULEIMAN

【レポート】「泣く子はいねぇが」舞台挨拶・ Q&A

11月3日、TOHOシネマズ シャンテ スクリーン1にて、東京フィルメックス・コンペティション作品『泣く子はいねぇが』が上映された。本作は第68回サン・セバスティアン国際映画祭オフィシャルコンペティションでワールドプレミア上映され、最優秀撮影賞を受賞した。

上映前の舞台挨拶に佐藤快磨監督が登壇。「今日はジャパンプレミアということで、大変緊張しているんですけれど、ここからこの映画が広がってくれることを願っております」を佐藤監督。

 

上映後、佐藤監督が登壇し、Q&Aがスタート。まず、市山尚三東京フィルメックスディレクターよりどのように主人公を作り上げたのかと問われ、佐藤監督は「20代後半を迎え、同級生たちが結婚して子供が生まれて父親になっていく中で、自分も当たり前のように父親になれると思っていたのですが、その未来がどんどん遠ざかっていく感じがありました。自分は父親になれるのだろうか、どういうきっかけで父親になるのか。父親でない自分が、父性を探す映画を撮りたいというのがスタートでした。なので、主人公には自分が投影されている感じがあります」と答えた。

続けて、脚本の制作期間について問われると、5年ほど前にラストシーンは出来ていたそうだ。3年前に分福で是枝裕和監督の助監督募集があり、「志望動機の欄に本作のあらすじを書いたところ、脚本持ってきて、と言われて急いで脚本を書きました」と制作のきっかけを語ってくれた。それを受けて、市山ディレクターは「それはラッキーでしたね」とコメントすると、佐藤監督も「ラッキーでした。運がよかったです」と答えた。

会場より舞台である秋田県男鹿市と佐藤監督の関係についての質問が。佐藤監督は秋田県秋田市出身で「男鹿市は近くて遠い場所で、最初は男鹿市のことをよくわかっていませんでした。ただ、ナマハゲは男鹿にしかない文化です」とコメント。佐藤監督は子供の頃、友人の家でナマハゲを体験したそうで、友人は父親に抱きついて泣き叫んでいるのだが、「自分は泣きつける父親がいなくて心細い思いをしました」と振り返る。「ナマハゲは子供を泣かせるイメージが強いですが、父親が子供を守るという父親としての自覚や責任を芽生えさせる側面があると思ったんです。その記憶と自分が撮りたい映画がリンクして男鹿を舞台に映画を撮りたいと思いました」と丁寧に説明した。

 

仲野太賀さんを主演に起用した理由について、佐藤監督はndjc:若手映画作家育成プロジェクト2015で『壊れ始めてる、ヘイヘイヘイ』(16)を監督した際に仲野さんと出会ったと語り、「その時は太賀君に出てもらった感覚でしたが、太賀君は新人の自分と対等に作品づくりをしてくれる姿勢を見て、長編デビュー作を撮る時は太賀君で撮りたいと思っていたので、この脚本も当て書きみたいな感じで書いていました」というエピソードを披露してくれた。

 

折坂悠太さんを劇伴にした経緯について、劇伴を誰にするか悩んでいてプロデューサーにも相談していたところ、仲野さんが折坂さんを推薦したそうだ。「太賀君はロケハンの時から、『今、折坂さんの“さびしさ”って曲を聞いてるんですよ』と言ってくれてたんです。『あー、いいよねー。折坂さん好きだよー』って返してたんです。今思うと、その時から折坂さんをそれとなく僕に推薦してくれていたんだと思います」と佐藤監督。

折坂さんとの作業について、「最初は気を遣い合っていた部分もありますが、途中でLINEを交換して電話するようになってから、音楽が煮詰まっていったと思います。最初、折坂さんは『この映画に音楽は付けなくてもいいんじゃないですか』と言ってくれて、それが嬉しかったですね」と振り返った。また、折坂さんから各シーンで折坂さん独自の視点でアドバイスをくれたことで、作品に深みが加わったと感じたそうだ。

 

ラストシーンの着想について質問が。「ラストシーンから着想した映画なので、そこは変わっていません。キャストさんもスタッフさんも一番大事なシーンだと共有していたので、撮影時は緊張感が一番あったと思います。キャストが作り上げて、スタッフが掬いとるような撮影だったので、自分が想像していたよりも素晴らしいシーンになった」と回想した。

 

サン・セバスティアン国際映画祭にリモートで参加した際、「日本は女の子が生まれたら残念がるのか」という質問があったそうで、「そんなことはないです」と答えたと佐藤監督は苦笑しながらコメント。

主人公の母親の存在についても聞かれ、「その時はうまく答えられなかったのですけど」と踏まえた上で、「脚本の時は息子から見た母親という視点で書いていたんですけど、余貴美子さんが演じていただいたことで、シーンによっては母でもあり、女性でもある一面を見せていただいたと思っています」と感慨深く語っていた。

 

市山ディレクターより「ナマハゲの保存会というのはあるのか」という問いに対し、町内ごとに保存会はあるが、町内ごとに独立しているらしく、「お互いがどういうことをしているかあまり知らない」と佐藤監督は説明。

また、「ナマハゲは子供にとってトラウマになるイベントだったのか」と訊かれ、「男鹿市の子供たちはみんな憂鬱だと思いますね」と答えると会場から笑いが漏れた。「そういう体験をして良かったと思っているから、ナマハゲを残そうとしているんだと思います」と佐藤監督。

 

撮影を担当した月永雄太氏は撮影前、個人的に男鹿市に訪れたそうで、「そこで感じた印象で映画を撮ってくださったと思います。構図やアングルは月永さんに頼ったところがあります」と振り返る。

 

佐藤監督より「初めて商業映画を撮らせていただきました。本当に恵まれた環境で好きなように撮らせていただいたんですけど、ちゃんとキャストやスタッフの皆さんと『今までにない映画を撮りたい』という想いを共有して作った感覚があります。一人でも多くの方に見ていただけたらと思います」と挨拶をした。

質問に真摯に答える佐藤監督に観客からは盛大な拍手が送られ、Q&Aは終了。

本作は2020年11月20日より全国公開される。ぜひ、ご家族、ご友人を誘って、劇場に足を運んでいただきたい。

 

(文・谷口秀平)

【レポート】「アスワン」リモート Q&A

10月30日、コンペティション部門『アスワン』がTOHOシネマズ シャンテ スクリーン1で上映され、上映後にはアリックス・アイン・アルンパク監督が滞在先のベルリンからリモートでQ&Aに応じた。

『アスワン』はフィリピンのドゥテルテ政権による「麻薬撲滅戦争」の実相に迫るドキュメンタリー。タイトルは、昼間は人の姿をしているが、夜になると怪物に変身して人間を食い殺す伝説上の魔物の名前にちなむ。厳しい取り締りで日常が脅かされる貧困層地区に密着し、射殺も辞さない暴力的な捜査や警察の腐敗、家族を奪われた子供たちの苦境をつぶさに描く。

アルンパク監督とプロデューサーのアーミ・レイ・カカニンディンさんは、東京フィルメックスの若手映画人育成プロジェクト「タレンツ・トーキョー」の出身。長編映画デビュー作にこの題材を選んだきっかけは、写真の力だったという。

「ドゥテルテ政権が麻薬撲滅を宣言した直後から、殺された人たちをとらえた写真が次々世に出ました。私は当時ヨーロッパにいたのですが、力強い写真に心を動かされ、帰国すると友人のフォトジャーナリストの取材に参加させてもらいました。彼の車に同乗し、マニラの夜の街に繰り出したのがこの企画の始まりです」とアルンパク監督。撮影は2年半に及んだという。

フィリピンでは今年3月に劇場公開する予定だったが、新型コロナウイルスの感染拡大で見送りに。その代わりにと、7月に30時間限定でオンライン配信を試みたところ、50万viewの視聴実績を記録した。「フィリピンではかなりインパクトがある数字。多くの人に響いたんだと実感することができました」と振り返る。

国内の映画祭などでも上映が決まったが、監督本人は身の安全を守るため、上映前に国を離れた。「撮影中は特に問題はなかったんです。バイクに乗った2人組の男に追跡されてぞっとしたことはありますが、夜間の撮影では、なるべくジャーナリストのグループと一緒に行動するよう心がけたので、それなりに安全でした。むしろ、現在の方が怖い。パンデミックの影響で国外に出るのが簡単ではない状況で、この映画を上映することに恐怖心を感じています」

撮影当時と比べて状況が好転する兆しはなく、「逆に政権はパンデミックを利用して問題をより深刻化させている」という。しかし、強権的な姿勢にもかかわらず、ドゥテルテ政権は90%を超す高い支持率を維持している。「この数字をフェイクだと疑う人もいますが、私は正確なものだと思っています。映画に登場するコミュニティーのような地域で、誰かに大統領について尋ねられたら、怖くて『支持します』と答えてしまうだろうから。高い支持率は、恐怖から生まれたものだと思うのです」

圧政に対抗して、被害者支援などの市民活動も広がっている。「私の場合は、この映画を作ることが活動の一部」と監督。「さまざまな団体と協力した上映活動にも取り組んでいます。特に、インターネットにアクセスできないような地域の人たちに見てもらいたい。次の選挙までに、より多くの人にこの映画に触れてもらうことが目標。まだ期間は1年あります」

作品に登場した人々とのは現在も交流を続け、主人公のひとりであるサンチアゴ神父と協力して支援活動にも取り組んでいる。「実際の被害者や似たような体験をした方に映画の感想をうかがうと、『自分たちだけじゃないんだとわかった』と言う方が多く、私自身もハッとしました。もちろん、同じような境遇の人には見るのがつらい作品だと思います。でも、『こんな目にあうのは私たちだけだ』と孤独感を抱えていた方たちから、『同じような人が他にもいるんですね』『私たちの側に立ってくれる人がいると初めて知りました』と言っていただいたのはうれしいかったです」

会場からは撮影の経緯からドゥテルテ政権の現状まで、様々な質問が寄せられた。海外の反応を尋ねられると「……複雑ですね」。アジア諸国の観客からは「響いている」という手ごたえを得たが、「ヨーロッパでは、共感しにくいようでした。なぜこんな暴力が横行しているのか、それを市民が許しているのかがそもそも理解できないという感じ。もちろんそこがこの作品の主題なのですが」。

また、「警察に殺人も許可する超法規的な政策が、フィリピン国内でどう受け止められているのか」という質問に、監督は「私も理解できません」と応じ、こう続けた。「被害者やその家族を含む多くの人々が指示した大統領なのに、こんなことになってしまった。大統領の(麻薬撲滅)声明は日々のニュースで何度も流れていたのに、実際に身近なところで事件が起きるまで、その意味がわからなかったという人が多いのです」

質問が尽きぬまま、予定時間は終了。最後にコメントを求められた監督は「タレンツ・トーキョーに参加した私たちは日本に親近感を覚えています。日本とフィリピンはつながりも多い国ですが、違いもある。そんな外国のつらい作品をご覧いただきありがとうございます。今回は東京にうかがうことはかないませんでしたが、ご質問があれば何かの形でお答えできればと思います」と締めくくった。

 

(文・深津純子)