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【レポート】4/25タレンツ・トーキョー2016 プレイベント実施報告


IMG_0045S4月25日(月)、都内で「タレンツ・トーキョー2016」のプレイベントが開催された。 「タレンツ・トーキョー」とは、アジア圏の映画監督、プロデューサーを対象にした人材育成プロジェクト。事前選考を経た15名を参加者として、世界の第一線で活躍中の講師陣から映画制作のノウハウを学び、国際的なネットワークを築く機会が得られる。開催時期は、毎年11月後半の東京フィルメックス期間中。これまで、台湾のホウ・シャオシェン、中国のジャ・ジャンクー、タイのアピチャッポン・ウィーラセタクンといった世界的映画監督たちを講師に招いてきた。

今回のプレイベントでは、本年11月に開催予定の「タレンツ・トーキョー2016」に向けてその魅力を伝えるべく、二部構成で3名の修了生による講演とトークショーを実施。修了後も活躍を続ける3名が、それぞれの体験を語った。

IMG_0051Sまず第一部として、2013年にタレント・キャンパス・トーキョー(TCT:タレンツ・トーキョーの旧称)を修了したジャヌス・ビクトリア監督による講演が行われた。現在は、タレント・キャンパス・トーキョー・アワードを受賞した長編映画『KODOKUSHI』の準備のため、国際交流基金アジアセンターのアジア・フェローシップを受けてフィリピンから来日中。
温めていた『KODOKUSHI』の企画実現のために日本へ行きたかったという応募のきっかけから、レクチャーを経て企画がブラッシュアップされた体験までを振り返った。
IMG_0039S中でも印象に残ったこととして挙げたのが、「映画祭などで企画のプレゼンをする前から、セールスと配給の事は考えておかなければいけない」というアドバイス。この一言をきっかけに「初めてセールスを意識するようになり、脚本を書き、撮影し、編集するだけではない映画製作の現実が理解できた」と感慨深げ。
現在、『KODOKUSHI』の準備を一緒に進めている仲間も当時の同期生や講師たちで、TCT参加をきっかけに映画が実現に向けて動き出している。

 

IMG_0082S続く第二部は、日本人修了生でプロデューサーの曽我満寿美さんと早川千絵監督によるトーク。
曽我さんは、ジャ・ジャンクー監督が講師のひとりを務めた2011年に参加。各参加者が行なう5分間の企画プレゼンでは「なぜ、その映画を作りたいのか」という根底の部分を念入りに指導された話など、非公開で行われる濃密なレクチャーの様子を明かしてくれた。
2014年に参加した早川監督は、プレゼンに関しては全くの初心者。他の参加者の様子を見ながら、「プレゼンのノウハウよりも、参加者それぞれの企画をどう深めて行けるかという過程を学べたことが一番の収穫だった」とのこと。

IMG_0075Sさらに、タレンツ・トーキョー参加のメリットはレクチャーだけに止まらない。期間中、全参加者が同じホテルに宿泊するので、親密なネットワークを築くこともできる。
毎晩の飲み会を通じて交流を深めたという曽我さんは、その出会いを仕事に結び付け、現在はジャヌス・ビクトリア監督の『KODOKUSHI』にプロデューサーとして参加している。

IMG_0088S一方、「東京フィルメックスと同時期に開催されるので、世界の一流監督と交流できたことが収穫」とは早川監督の言葉。自分たちが今いる場所の延長線上に世界の映画界があると実感できたことや、交流会を通じて監督たちと身近に話ができたことも貴重な体験だったという。

 

IMG_0100Sなお現在は、修了生限定で更なるステップアップをサポートするために資金援助プログラム、「ネクスト・マスターズ・サポート・プログラム」が用意されている。そのうちのひとつが「フェローシップ・プログラム」だ。早川監督もこのプログラムを利用して、昨秋の台湾での企画マーケットに参加している。

IMG_1058Sタレンツ・トーキョー2016の募集期間は5月15日(日)から6月15日(水)まで。参加エントリーやレクチャーは英語で行われるが、留学経験を持つ早川監督も曽我さんも、どちらかというと熱意で乗り切ったとのこと。曽我さんは「レクチャーの半分ぐらいしかわからなかったが、欲しいところだけ貰った」と自分なりの成果を手にしている。事前の選考でも、重視するのは「英語力」よりも「映画力」、そして熱意とのこと。意欲ある監督やプロデューサーにとっては、世界に羽ばたくまたとないチャンスになるに違いない。

(取材:井上健一 撮影:白畑留美)

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