ツァイ・ミンリャン監督デビュー30周年記念特集 開催決定

台北駐日経済文化代表処台湾文化センター、東京国際映画祭、東京フィルメックスは、「青春神話」が東京国際映画祭ヤングシネマ部門ブロンズ賞受賞から30周年を迎える台湾の巨匠ツァイ・ミンリャンの特集上映を共催します。
両映画祭初の共催企画となる本特集では、東京国際映画祭では『青春神話』『楽日』や日本未公開の短編などを、東京フィルメックスでは『西瓜』『ヴィザージュ』などを上映します。

東京国際映画祭HPはコチラ:https://2022.tiff-jp.net/ja/

 

◎上映作品

『西瓜』監督:ツァイ・ミンリャン

The Wayward Cloud / 台湾 / 2005

 

『ヴィザージュ』監督:ツァイ・ミンリャン

Face / フランス、台湾  / 2008

 

『ふたつの時、ふたりの時間』監督:ツァイ・ミンリャン

What Time is it There? / 台湾、フランス / 2001

 

訃報:小林政広監督

小林政広監督が、2022年8月20日、亡くなられました。68歳でした。
フィルメックスでは、2005年の第6回では監督作「バッシング」が東京フィルメックス・コンペティションで上映され、最優秀作品賞を受賞。日本映画としてはフィルメックスでは初の最優秀賞受賞でした。翌2006年には新作「幸福」を再びコンペで上映。ワールド・プレミア上映できたことは、私ども東京フィルメックスにとり、大変光栄なことでした。

・『バッシング』(2005)Q&Aレポート

・『幸福』(2006)舞台挨拶レポート

ここに、謹んで哀悼の意を表しますとともに、心からご冥福をお祈りします。

東京フィルメックス事務局

【お知らせ】ボランティアスタッフ募集(締切:9/4)

「東京フィルメックス」は”映画の未来へ”をキーワードに、個性あふれる作品を東京から世界へ発信している国際映画祭です。お客さまとゲストの距離が近く、ご来場の皆さまからは笑顔の印象的な温かい映画祭だと嬉しい評価もいただいています。映画祭の運営はボランティアスタッフの皆さまの支え合ってこそ成り立っています!映画業界に興味がある方、映画好きな友達が欲しい方、仲間とイベントを盛り上げたいと思う方、なにか新しいことをやってみようと思っている方、この機会に是非ご参加ください!!

参加経験者からの声
ご参加頂いた方から、以下のようなコメントをいただいています。こんな体験をしてみませんか。
「初めての参加でも、これまで参加されたことがある方もみなさんフランクで色々話したり教えてくださったり、まったく緊張しませんでしたし、やることもすぐ覚えることが出来ました。よかったです」
「東京フィルメックスに参加したことで、様々な国の人達が関わるインターナショナルな環境で映画祭に関わることができ、とても楽しかったです」
「ボランティア・レクチャーは映画祭ディレクターや技術の方から詳しい話が聞けていい体験になりました」
「やはり映画関係の職種を目指している方々の話を聞けるのは、刺激になりました」
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第23回東京フィルメックス:募集詳細
●募集人材(全班共通)
・映画祭会期前の研修に参加できる方【必須】
→初回研修会(全班対象):10月上旬から中旬、新宿区のオフィスにて開催予定
・満18歳以上の方(高校生不可)
・チームワークを大切にできる方、協調性がある方、責任をもって行動できる方
・映画祭会場に無理なく通勤できる方
≪大歓迎!≫
※4日間以上参加できる方。→班により参加日数が異なります。
※平日に多く入れる方
※日程の調整がつきやすい方
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●募集条件(全班共通)
(A) 映画祭会期中業務
●期間:10/29(土)~11/6(日)
●場所:有楽町朝日ホール(有楽町)ほか
●業務時間・内容:ページ下部の各班募集要項をご参照下さい。
(B)映画祭準備業務
●期間:10月上旬~会期前日
●場所:東京フィルメックス事務局(六本木)
●時間:平日の午後(目安:14時〜20時の間など)
●業務内容:チラシ発送・関係者用パス作成などの事務作業補助 など
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●スタッフ待遇(全班共通)
● 交通費の支給:片道上限400円(片道400円以下の場合は実費金額を支給)
● 公式カタログ1部進呈
● ボランティアスタッフ認定証の発行(一定条件を満たした方でご希望の方対象)
● 勤務時間に応じてお弁当支給
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● 注意事項(全班共通)
・新型コロナウィルスの状況により、業務内容は希望の職種の業務の稼働が極端に少なくなる場合があり、その場合他のポジションをご提案する場合がありますこと、ご了承ください。
・ 随時、事務局から連絡や研修会の出欠確認があります。締切を守ってご返信をお願いします。
・ 無断欠勤はボランティア活動停止の対象となります。欠勤・遅刻の際は必ず事前にご連絡をお願いします。
・ 公式記録として撮影された写真・映像については、映画祭事務局に使用権があるものとし、広報活動等に使用される場合があります。予めご了承ください。
・その他、事前の研修会で説明する注意事項をお守りいただきます。
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●応募方法(全班共通)
◎応募フォーム:
https://forms.gle/UG6KKHPQoik7qUAP6

・下記の班ごとの募集内容・応募条件をよくお読みの上、このフォームに必要事項を入力し「送信」ボタンを押して下さい。応募する班により入力項目に違いがあります。必須項目のほか、ご応募の班の項目にはもれなくご記入下さい。
・ご応募受付が完了すると、すぐに自動返信メールが送信されます。
・受付完了メールが届かない場合は2つ下の項目「お問い合わせ先」までご連絡をお願いします。
・新型コロナウィルスの状況により、業務内容は希望の職種の業務の稼働が極端に少なくなる場合があり、その場合他のポジションをご提案する場合があります。________________________________

●応募締め切り(全班共通)
2022年9月4日(予定) *締め切りましたら専用申込フォームの受付を停止いたします。
・オンライン面接を行う方には随時メールでご連絡します。
また、ご応募いただいた皆さまに9月上旬までに結果をご連絡致します。
万が一、こちらからの連絡がない場合は、まことに恐れ入りますが、下記お問い合わせ先にご連絡をお願いします。
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●お問い合わせ先(全班共通)
応募についてのご不明点・ご質問、またフォーム送信の不具合などありましたら、下記までへお問い合わせ下さい。
お問い合わせ先:staff@filmex.jp
電話: 03-6258-0333
※ご応募に際しお預かりしました個人情報は、ボランティアスタッフ選考およびご本人へのご連絡、ボランティア保険への加入、ご参加いただく場合には東京フィルメックス業務および東京フィルメックス関連のイベント情報のご連絡のみに使用し、取り扱いには十分留意いたします。
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●班ごとの募集詳細
ボランティアスタッフには、運営事務局・ホスピタリティ班、記録撮影班、デイリーニュース班、があります。ご希望班の詳細をご確認のうえ、ご応募ください。

◎運営・事務局班

映画祭の上映会場にて、お客様に1番近いポジションで、映画祭の「顔」として様々な業務に携わっていただきます。

●業務内容:
・会期中の会場運営業務(受付/物販/場内案内・整理・警備/監督トーク、授賞式やその他イベントの運営サポート/機材・備品の搬出入サポート/事務作業補助 など)
・タレンツ・トーキョー運営補助:人材育成事業「タレンツ・トーキョー」の運営の補助業務です。

 

◎ホスピタリティ班

来日ゲスト等に、英語や中国語でアテンド業務などに対応して頂く業務です。

●ホスピタリティ班条件:
・日本語に加え、英語や中国語での会話に長けている方。
・ゲストやお客様へのおもてなしの心がある方。
・雑務(お茶出し、片付けなど)も率先してこなしていただける方。
・英会話での業務経験のある方、歓迎。
・参加日数・時間は相談に応じますが、(A)映画祭会期7日間中、多く入れる方を優先させて頂きます
・英語、中国語以外の言語を募集する可能性もあります。ご興味がある方は、使用言語と簡単にレベルをお書きの上、件名「ホスピタリティ班について」とし、<staff@filmex.jp>宛に、メールをお送り下さい。該当言語の募集が確定次第、ご連絡致します。

◎デイリーニュース班
映画祭会期中の上映後Q&Aやイベントのニュースレポートを作成していただきます。
●業務内容:
・デイリーニュースの取材、執筆(過去のフィルメックスの「デイリーニュース」(https://filmex.jp/2021/category/news/daily-news)をご覧下さい)
◎記録撮影班(スチル)
映画祭のイベントを写真撮影する業務です。
●スチル班条件:
・撮影経験のある方のみ募集。撮影機材の持込み歓迎。
・シフト管理などの事務・調整作業(制作進行)が得意な方も歓迎。
・(A)日程の映画祭会期7日間中、3日間以上参加できる方。
・9:00‐21:00の間で、6時間程度可能な方
●業務内容:
・公式記録として、舞台挨拶やイベント・会場風景などを写真撮影。
・スチル撮影の参考として、昨年度の「デイリーニュース」をご覧ください。
◎記録撮影班(ムービー)イベントを動画で撮影(編集含む)する業務です。
●ムービー班条件:
・撮影経験のある方のみ募集。編集経験のある方、撮影機材の持込み歓迎。
・シフト管理などの事務・調整作業(制作進行)が得意な方も歓迎。
・(A)日程の映画祭会期7日間中、3日間以上参加できる方。
・9:00‐21:00の間で、6時間程度可能な方
●業務内容:
・公式記録として、舞台挨拶やイベント、会場風景などを動画撮影。
・撮影した素材を短い映像に編集・仕上げ
・完成映像をアップロード
・ムービー撮影の参考として、昨年度の「ブロードキャスト」をご覧ください。
●業務場所:
・有楽町朝日ホール・スクエアほか(有楽町)
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【お知らせ】第23回東京フィルメックス・短期スタッフ募集

このたび、第23回東京フィルメックス(10月29日 – 11月6日)を一緒に作り上げてくださるスタッフを募集します。映画祭事務局の様々な業務のうち、以下の業務について、私たちと一緒に働く意欲のある方のご応募をお待ちしております。ご希望の方は 下記の「■応募方法」をご確認ください。

短期事務局スタッフ
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【A】ホスピタリティ担当(若干名、英語可能なことが望ましい)

【B】タレンツ・トーキョー担当(若干名、英語可能なことが望ましい)
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■形態:有期雇用契約
■勤務期間:
【A】ホスピタリティ担当:9月〜11月16日から20日頃 ※応相談
【B】タレンツ・トーキョー担当:9月〜11月16日から20日頃 ※応相談
■勤務時間:月曜日~金曜日:10:00~19:00 (うち休憩1時間)
*原則、土日・祝日休み。
ただし映画祭の期間中(10/29-11/6)を含む2週間は週休1日とします。
また、10月、11月など数日程度の休日勤務をお願いする場合があり、その場合はウィークデーに代休をとっていただきます。
■勤務場所:東京フィルメックス事務局(東京都新宿区西新宿2-6-1 新宿住友ビル45F)※映画祭会期中は千代田区有楽町の会場
■待遇:月給 19万円〜22万円 ※経験・能力に応じて査定
*採用された場合、当会と業務委託契約を締結します。
■条件:
1、勤務期間中、フルタイムでの勤務が可能な方
2、短期間の事業実施のためのチームの一員として、協調性をもって務める意欲があり、業務の基本として「報告」「連絡」「相談」を遵守できる方
3、ワード、エクセル、パワーポイント等の基礎的なPCスキルのある方
4、業務遂行レベルの英語力のある方(メール、電話、アテンド、ミーティング等)
*上記に、自信があり、映画が好きな方であれば、社会人経験や類似業務での経験等は問いません。
応募方法:ご希望の方は 件名に「スタッフ応募:〇〇〇〇(お名前)」と【A】【B】からご希望の担当を明記頂き、以下の必要書類を添付してstaff@filmex.jpまでご連絡ください。
1、履歴書
2、職務経歴書 *応募業務についての実績がある場合、詳しくお書きください。
3、作文(800字程度) 以下のA, Bのいずれかを選んでください。
A、「国際交流イベントでの役割について」
B、「最近見た・読んだ・触れた、映画、アート、本などの感想、友人などへのオススメ」

第23回(2022年)東京フィルメックス 上映作品エントリー受付中

第23回東京フィルメックス(2022)の上映作品、エントリーを受付中です。
Film submissions are now open.

【エントリーフォーム・応募規約 日本語】
【Entry Form, Regulations in English】

◎応募締切(必着)
2020年6月30日(木):特別招待作品
2020年7月15日(金):コンペティション

みなさまからエントリーをお待ちしております。

 

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訃報:エドゥアルド・ロイ・Jr監督

エドゥアルド・ロイ・Jr監督(Eduardo ROY Jr.)が、2022年2月21日、亡くなられました。41歳でした。

第17回(2016)では監督作『普通の人々(Ordinary People)』を東京フィルメックス・コンペティションで上映され、学生審査員賞を受賞されました。『普通の人々』上映時には来日され、観客との質疑応答にも丁寧に応えてくださいました。

謹んで哀悼の意を表しますとともに、心からお悔やみを申し上げます。

東京フィルメックス事務局

【レポート】11/05『ユニ』Q&A

11月5日(金)、有楽町朝日ホールでコンペティション作品『ユニ』が上映された。本作は、第18回東京フィルメックスで最優秀作品賞を受賞した『見えるもの、見えざるもの』のカミラ・アンディニ監督による3本目の長編映画。高校の最終学年を迎えて大学進学を目指していた10代の少女ユニが、突然の結婚話に葛藤する姿を通じて、インドネシアの若い女性たちを取り巻く状況を描いた物語だ。上映後にはQ&Aが行われ、登壇したアンディニ監督が、観客の質問に答える形で製作の舞台裏や映画に込めた想いを語ってくれた。

登壇したアンディニ監督はまず、本作誕生のきっかけとなった出来事を明かしてくれた。それは、2017年に前作『見えるもの、見えざるもの』が完成した後のことだった。

「私の家の家政婦がある時、『村に帰りたい』と言ったんです。事情を聞いてみると、『娘が17歳で妊娠して、状態がよくない』と、だいぶ心配している様子。なぜそんなに若い年齢で結婚したのか、さらに尋ねてみたところ『婚姻の申し出がいくつか続いたので、決まった』と」。

自身が10代の頃も若くして結婚する女性が周囲にいたことから、長い間“10代の結婚”という題材が頭にあったアンディニ監督は、これを3作目にすることを決意。その家政婦の娘をモデルに、監督自身の視点を加えて、主人公ユニが誕生する。さらに、メイドの娘の結婚式では激しい雨が降っていたことから、そのビジュアルを糸口に、今まで温めてきた構想を反映して物語を作り上げた。

その主人公ユニは、劇中で見事な存在感を発揮しているが、演じるアラウィンダ・キラナさんは、演技をするのは初めて。この起用は、次のような経緯によるものだった。物議を醸しかねないテーマゆえ、ユニ役をロケ地・セナヤンの地元住人から探すことは難しいと考え、首都ジャカルタでキャスティングを実施。その際、有名人以外を条件に探した末、アンディニ監督のアシスタントがインスタグラムでキラナさんを発見する。

「実際に彼女に会ってみたら、とても勇気があり、私のビジョンを理解し、この映画のテーマについても自分の意見を持っている知的な女性でした。当時18歳でしたが、チャレンジを厭わず、他の若い女性とはだいぶ異なる印象。固定したイメージもなかったので、一緒にこの映画を作ってくれる相手にぴったりだと考え、彼女に決めました」

「この作品をインドネシアで作るのは、かなりの困難を伴うと予想していました」と口にしたアンディニ監督だが、夫であるプロデューサーを始め、趣旨に賛同してくれるパートナーたちと共に制作を進め、映画は完成。そして、作品に込めた想いを、次のように語ってくれた。

「インドネシアでは10代をテーマにした作品は多いのですが、都市部を舞台にしたものが大多数。でも実際には、ユニのように地方に住んでいる子の方が多い。だから、そういった若者たちの声を代弁する作品にしたいと思っていました」。

結果的に心配していた検閲も無事にパスし、12月にインドネシアでの公開も決まり、「解放感でいっぱい」と笑顔を見せた。

なお、劇中では詩人サパルディ・ジョコ・ダモノの詩が印象的に引用されている。その意図を「ユニにとって、詩は現実逃避の場なので、脚本を書いているときから、詩を取り入れようと思っていました」と語ったアンディニ監督。そこで思い浮かんだのが、「6月の雨」という詩だった。理由については「雨の結婚式というモチーフがあったこと、“ユニ”という名前は、インドネシアでは6月生まれの子どもに付ける名前でもあるため」と説明。

なお、ジョコ・ダモノの詩に関しては、こんな裏話も明かしてくれた。実は、映画監督である彼女の父、ガリン・ヌグロホが製作した1991年の映画『一切れのパンの愛』でもジョコ・ダモノの詩にメロディーをつけて引用しており、子どもの頃からなじみがあったとのこと。それも本作で引用した理由の一つで、その曲は本作のエンディングでも流れている。

このほか、ユニが紫色を好む理由、本作と前作『見えるもの、見えざるもの』との関係など、ひとつひとつの質問に丁寧に回答してくれたアンディニ監督。最後に「パンデミックの最中、この会場に足を運んでくださることは容易ではなかったと思います。今日は本当にありがとうございました」と挨拶すると、客席から大きな拍手が贈られ、Q&Aは終了した。

文・井上健一

写真・白畑留美、明田川志保

【レポート】11/03『永安鎮の物語集』リモートQ&A

11月3日(水)、有楽町朝日ホールでコンペティション部門『永安鎮の物語集』が上映された。上映後にはリモートQ&Aが行われ、ウェイ・シュージュン監督がリモートスクリーンに登場した。本作は、映画製作が人々に巻き起こす「波紋」を描いた3部形式の作品で、ウェイ監督の長編2作目となる。カンヌ国際映画祭監督週間で上映された。ウェイ監督は「今回、東京フィルメックスで日本のみなさまに作品を観ていただくことになり、ありがとうございます」と挨拶。

質疑応答に移り、まず、製作の経緯について訊かれると、ウェイ監督は濱口竜介監督の『偶然と想像』を引き合いに出し、本作は「偶然に生まれた作品」と強調した。別の映画の撮影準備をしていたが、撮影が不可能な状況に陥ったため、脚本家に相談したところ、脚本家が別の企画を持ちこんだという。脚本家が第1部を語り始めてから、第2話、そして第3部までの枠組みは、わずか20分で決まったのだとか。急遽変更したその企画が本作になったそうだ。

第1部では突然やってきた映画撮影隊に揺れ動く地元の人々、第2部では映画の主演として故郷に凱旋したスター女優、第3部では映画製作者がそれぞれ描かれている。このような構成にしたのは、第1部と第2部で人々に「波紋」を生じさせた張本人たちを第3部に登場させて流れを作る狙いがあったからだという。

次に、撮影現場のシーンは監督の実体験がどれぐらい反映されたかという話に及んだ。劇中の監督と脚本家のイメージ以外は、実際の現場の雰囲気が反映されているという。監督自身は、劇中の監督のように偉そうにふるまっていないとか。脚本家のカン・チュンレイさんとの関係は良好で、理性的にコミュニケーションを取り、互いを理解できるように話し合いを重ねたそうだ。

また、元々撮影しようとしていた脚本を急遽変更したことで、キャスティングに苦心したことも明かしてくれたウェイ監督。元の脚本で決定していたキャストをそのまま使って新たな脚本で撮影したかったそうだが、キャストからの同意を得られず、解約金を支払って、新たにキャスティングをしたという。ちなみに、劇中の脚本家役は、本作の脚本を担当しているカン・チュンレイさんが演じている。

本作の撮影地は湖南省の地方都市だが、ウェイ監督によると、脚本が急遽変更になっても、すでにスタッフが現地入りしていたため、撮影地を変えずにそこで撮るしかない、やむを得ない状況での撮影だったそうだ。ただ、撮影を行った町は、かつては繁栄していたのに今では衰退した町だが、その一方で新たな地域振興が推進され、新旧の雰囲気が混在していて本作にふさわしいと考えたという。

さらに、エンディング曲のラップについて質問があがった。ウェイ監督自身はラップ好きで、本当は自らが手がけたラップを使いたかったそうだが、自身のレベルはまだまだなのでプロに依頼したという。ラップのタイトルは柔道でいうところの「背負い投げ」のような意味合いで、ラップの内容は意見の異なる2人の戦いを表現しているそうだ。

最後に、ウェイ監督は、「感染状況が危うい中で、映画を観に来ていただきとても嬉しいです。みなさんと一緒に映画を観ることができないのは残念ですが、またフィルメックスに参加して、みなさんとリアルにお会いしたいです」とリモート越しに観客に語りかけ、質疑応答を締めくくった。

ひとつひとつの質問に丁寧に回答してくれたウェイ監督には、会場から大きな拍手が送られた。ウェイ監督の今後の活躍に期待したい。

 

文・海野由子

写真・明田川志保

第22回東京フィルメックス終了のご報告

2021年10月30日(土)から11月7日(日)の会期で「第21回東京フィルメックス」を開催いたしました。

今年も新型コロナウイルスの感染対策を徹底しつつ、無事に開催し、閉幕することができました。ご来場頂いた皆様に厚く御礼を申し上げます。
上映全24作品の監督はじめ、ご出品にご尽力いただきました皆様、そして上映当日ご登壇・リモート出演いただいた、79名の来場ゲストの皆様にも心より御礼申し上げます。

引き続きのご支援のほど、心よりお願い申し上げます。
(ご支援はこちらから)

来年は10月29日(土)から11月6日(日)の会期で「第23回東京フィルメックス」の開催を予定しています。皆様のご来場お待ちしております。

認定NPO法人東京フィルメックス実行委員会

詳細は以下からPDFをダウンロードしてご覧ください。
第22回東京フィルメックス結果報告

11/3『リング・ワンダリング』舞台挨拶

11/3『リング・ワンダリング』舞台挨拶
ヒューマントラストシネマ有楽町

金子 雅和(監督)
笠松 将(俳優)

神谷 直希(東京フィルメックス プログラム・ディレクター)

日本 / 2021 / 103分
監督:金子雅和( KANEKO Masakazu )
配給:ムービー・アクト・プロジェクト

Japan / 2021 / 103 min
Director:KANEKO Masakazu

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※ ONLINE FILMeXでの配信は、2021年11月23日に終了いたしました。ありがとうございました。