特別招待作品に『The Depths』追加されました

特別招待作品部門に、濱口竜介監督作品『The Depths』が追加されました。
濱口監督は『PASSION』にて第9回のコンペ部門に参加されて以来となります。
本作は東京藝術大学と韓国国立映画アカデミーの共同製作で、韓国の俳優キム・ミンジュンさんと日本の俳優石田法嗣さんが共演しています。
『The Depths』作品紹介

第63回カンヌ国際映画祭レポート

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作品の多様性を守る砦に–今年のカンヌ国際映画祭から
 
“ハリウッド化”が進む中で観る側に異なる視点を提供
 
 先月23日に閉幕した第63回カンヌ国際映画祭は、均質化に向かう世界の中で映画祭こそが多様性を守り抜く最後の砦となっていることを実感させた。日本から唯一、コンペティション部門に参加した北野武監督「アウトレイジ」(6月12日公開)は受賞を逃したが、「ちょっと進化したかな」と監督が会見で語った”新しいスタイルへの挑戦”を観客は熱烈な拍手で讃えた。そのコンペ部門で最高賞パルム・ドールに輝いたのは、アピチャッポン・ウィーラセタクン監督の「ブンミおじさん」。生者と死者、現世と異界が共存する幻想的な物語がタイ映画史上初となる栄冠を勝ち取った。
 審査委員長のティム・バートンは会見で「普段では観られない映画によって、違った視点を獲得できるのが映画祭だ。この世界はますます小さく、西洋化、ハリウッド化されている。しかし、この映画には私が見たこともないファンタジーがあり、美しく奇妙な夢のようだった」と授賞理由を説明。これは”なぜ、いま映画祭が必要とされるのか”という問いへの明快な回答とも思える。
 ここ最近、独立系作品をめぐる苦境が喧伝されている。一握りのヒット作に観客が集中するため、アート映画の配給会社も、ミニシアターと呼ばれる映画館も息切れを起こしている。その結果、ネットやデジタル放送、DVDにより鑑賞の選択肢が増えたように見える一方で、映画館で公開される映画の幅が狭くなるような、ねじれ現象が起きている。本来なら、映画館で様々な種類の映画が上映されて観客が集まる状況が理想だが、現状ではその役割を映画祭に求める声が年々高まっている。
 世界の映画祭の中でも抜群に発信力の高いカンヌでは、難解な表現の実験的作品や開幕作「ロビンフッド」のような娯楽大作も、キャリアの有無や製作費の多寡に関係なく複数の上映部門において分け隔てなく上映される。この幅広さが映画祭の魅力であり、生命線といってよい。たとえば、メインのコンペ部門とは別に設けられた「ある視点」部門の開幕作は現在101歳のポルトガルの重鎮マノエル・ド・オリヴェイラ監督の最新作。一方で同部門で上映されたカナダのグザヴィエ・ドーラン監督は長編2作目の弱冠20歳。両監督ともに高い評価を得た。
 翻ってコンペに視点を戻すと、欧米やアフリカにおける戦争やテロをテーマに描いた社会派作品が多かったとも言われたが、まさに動乱の渦中のタイから参加した「ブンミおじさん」からは直接的に国内の混乱の影響は読み取れない。同作の快挙は、審査員団が数々の社会派作品の力量と意義を認めたうえで”映画表現の多様性”を支持した決意表明にほかならない。
 その点において、「アウトレイジ」がコンペに参加していた意味は非常に大きく、そこにカンヌの矜持を感じさせる。「何百本もの映画の中から、カンヌのコンペに選ばれることそのものが栄誉である」と北野監督も語る。作家性を残しつつ暴力と娯楽性にあふれた同作が、アクの強い他の作品に決して埋没することなく、ひときわ個性的な光を放っていたことは、観客の熱狂に証明されている。多様性は時に自分の思いもよらない世界を見せてくれる。この出会いこそが映画祭だ、とも思う。
(報告者:東京フィルメックス/岡崎 匡)
 
*2010年6月11日(金) 公明新聞より転載

第11回東京フィルメックス公式サイトをプレオープンしました

第11回東京フィルメックス公式サイトをプレオープンしました。今後は、このサイトやメールマガジン、twitterで最新情報をお知らせしていきます。
 
7月31日をもちまして、第11回東京フィルメックス上映作品ならびに「Next Masters Tokyo 2010」の公募受付を締め切りました。たくさんのご応募をいただきまして、誠に有難うございました。
 
上映作品ラインナップの詳細は、9月中旬頃に発表を予定しています。
 
ただいま、
映画祭ボランティアスタッフ
映画祭短期スタッフ(海外渉外業務)
サポーターズクラブ会員
を募集しております。
 
詳しくはそれぞれの案内ページをご覧ください。

「ペルシャ猫を誰も知らない」公開

8月7日(土)より、バフマン・ゴバディ監督最新作「ペルシャ猫を誰も知らない」が渋谷・ユーロスペースにて公開中です。昨年のコンペティション部門において上映され、審査員特別賞コダックVISIONアワードに輝きました。
ぜひともこの機会にご覧くださいませ。
「ペルシャ猫を誰も知らない」…渋谷ユーロスペース公開中。全国順次公開
公式サイト
また、この他にも、東京フィルメックスで上映された作品が、全国の劇場で公開中です。
「グッドモーニング・プレジデント」…シネマート新宿、シネマート心斎橋他
公式サイト
「亀、走る」…韓流シネマ・フェスティバル2010@シネマート六本木にて上映
公式サイト
「スプリング・フィーバー」…11/6より渋谷・シネマライズほか、全国順次公開
公式サイト
「堀川中立売」…2010年、ポレポレ東中野、吉祥寺バウスシアター。全国順次公開
公式サイト
「ケンタとジュンとカヨちゃんの国」…全国の劇場で公開中
公式サイト
「息もできない」…全国の劇場で公開中。
公式サイト

映像人材育成プロジェクト「Next Masters Tokyo 2010」参加者募集!

東京都と東京文化発信プロジェクト室および特定非営利活動法人東京フィルメックス実行委員会の主催による映像人材育成プロジェクト「Next Masters Tokyo 2010」を今年11月に実施します。
7月末まで推薦制による応募者を募集中。詳しくは要項をご覧ください。
Next Masters Tokyo 2010

島津保次郎作品、ベルリン映画祭と香港映画祭での上映決定!

戦前の松竹黄金期を支えた島津保次郎の作品が、今月開催のベルリン国際映画祭および3月開催の香港国際映画祭で上映されることが決定いたしました。
09年11月に開催された第10回東京フィルメックスでは、松竹との共催のもとに「ニッポン☆モダン1930~もうひとつの映画黄金期」と題して、1930年代の松竹作品を中心に、全27本の特集上映を行いました。
中でも国内の観客のみならず、海外の映画祭関係者の注目を集めたのが、島津保次郎監督の作品の数々でした。
これまで島津作品は海外でもあまり紹介の機会がありませんでしたが、作品に表れるモダンな魅力は世界中で人気の高い小津安二郎とは違った“もうひとりのヤスジロウ”として、今回の特集上映の発見として新鮮な驚きを持って迎えられました。
今回のベルリンと香港での上映が、海外における初めての本格的な島津保次郎特集上映となります。
このたび、両映画祭の作品選定責任者から、島津作品へのコメントをいただきました。
●クリストフ・テルヘヒテ氏
(ベルリン国際映画祭フォーラム部門ディレクター)
島津の映画は社会的変化や近代化が進行していた時代の証左となっているだけではない。その気取りのない控えめなスタイルと慎み深い語り口はまた、それらの変化の具体的な表現でもあった。彼の作品に見られる近代性と明快さは現在から見ても驚きであり、映画の登場人物たちが伝統と西洋化との間で葛藤する姿は今もなお感動的だ。
●ジェイコブ・ウォン氏
(香港国際映画祭プログラマー)
島津は伝統的な家族のあり方が衰退する様を厳しく批判する一方で、モダンな恋愛関係を切り離して楽しみながら捉えていく。楽しげな描写は文学的な題材を扱うとき、あるいは登場人物が芸術家であるとき、並外れた情熱へと取って代わられる。彼の奥深さと広がり、そして変化に対しての勇気と根気は、創作の喜びへの驚くべき航海へと私たちを誘うだろう。

今後、ベルリン、香港を出発点として、島津保次郎作品が世界中へと広がっていくことを願っています。
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■第60回ベルリン国際映画祭フォーラム部門
日程:2010年2月11日-2月21日
上映作品(全3本):
「浅草の灯」
「婚約三羽烏」
「愛より愛へ」
ベルリン国際映画祭フォーラム部門公式サイト
■第34回香港国際映画祭
日程:2010年3月21日-4月6日
上映作品(全6本):
「上陸第一歩」
「隣の八重ちゃん」
「春琴抄 お琴と佐助」
「浅草の灯」
「婚約三羽烏」
「愛より愛へ」
香港国際映画祭公式サイト
*「ニッポン・モダン1930~もうひとつの映画黄金期」
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*英語字幕付きニュープリントは、日本万国博覧会記念機構の助成により作成されました。
*また、これまでの東京フィルメックスでの日本映画クラシック特集上映は、清水宏(2004年)、中川信夫(2006年)両監督の作品が同じくベルリンと香港でも上映された他、内田吐夢(2005年)のロッテルダム映画祭など、海外の映画祭やシネマテークでの巡回上映に結びついています。