事務局からのお知らせ

第34回ロッテルダム国際映画祭 レポート


映画祭期間:2005年1/26?2/6
<今回のロッテルダム映画祭のトピックス>
●今年の傾向について
映画祭ディレクターが、オランダ人のサンドラ・デン・ハマー氏の単独担当となったこと、および、オランダの映画監督で昨年11月にイスラム過激派により暗殺された、テオ・ヴァン・ゴッホ監督の作品上映が話題となったことなど、ややオランダよりの傾向があったように感じられた。
また昨年と引き続いての特集企画<Homefront USA>への注目など、政治的な関心が高かったことも指摘できる。
タイガーアワード・コンペティションについては、どちらかというと暗い作品が多かった中で、受賞作としては、目を引く美しさや視覚的にインパクトのあるものに重きが置かれたように思われる。
●日本映画の上映について
今回のロッテルダムで上映された日本映画はというファンタ系作品を集めた部門に作品が多く、バイオレンス色の濃いものが目立った。あるいは、その他の部門では対照的に静謐な作品といったラインナップとなっていて、両極端のようにも感じられた。(欧米から見た90年代以降の日本映画に対する視点として、バイオレンスなものか、あるいはスローなものか、というステレオタイプのようなものがあって、そういった興味にあてはまる作品が注目を集める機会が多いということがあるのかもしれないと思われる)。
『おそいひと』(第5回東京フィルメックスにてプレミア上映)は、その独創性が好評を持って受け入れられ、柴田剛監督と主演の住田雅清さんによるQ&Aも盛り上がっていた。
●内田吐夢作品(7本)の上映について
旧作にスポットライトを当てる部門において、ミニ特集として、第5回東京フィルメックスでの特集上映も好評を博した内田吐夢作品が7本上映された。映画祭デイリーペーパーで大きく掲載されたり、また批評家や映画祭関係者などから注目を集めていた。
特に『恋や恋なすな恋』や『飢餓海峡』が激賞されていた。

●アジア映画について ?<S.E.A Eyes> 東南アジア特集
ロッテルダム映画祭は長年に渡りアジア映画の紹介を精力的に行なってきたことで定評があるが、今年は特集企画として<S.E.A Eyes>と題して東南アジアをとりあげるなど、傾向が少し変りつつあるように
思われた。
中国・韓国の監督たちがカンヌなどの大きなステージにステップアップしている現在、新しい才能の発見を目差すロッテルダム映画祭として、より新進の芽ぶきにスポットライトを当てて、東南アジアの、タイ、マレーシア、インドネシア、シンガポール、フィリピン、ヴェトナムといった各国から短編も含めた90本以上の上映とともにシンポジウムも行なわれた。
東南アジアと一言で言っても、個々の社会的文化的また映画状況などの背景は異なり、インディペンデント映画の状況も多様であるが、基本的に、デジタルビデオの普及により少ない予算での撮影が可能になったことは、インディペンデント映画の動きが活性化した大きな要因となっている。今までのところ汎東南アジア的な動きはまだ生まれていないとのことだったが、それぞれの国内では、国際的にも注目される監督たちが、プロデュースや映画祭を手がけるなどして一種のリーダー的な役割を担い、インディペンデント映画を盛りたてていこうとしている動きは注目される(例えば、インドネシアのガリン・ヌグロホ、マレーシアのアミール・ムハマドやジェームス・リーなど)。
また、再認識させられた点として、台湾映画(侯孝賢、蔡明亮)が一つのお手本として大きな影響を与えているということがある(特にマレーシア)。
見た作品の中では、以下のようなユニークなものもあった。
・『Gravel Road』Deepak Kumaran Menon, マレーシア (長編)
舞台は30数年前頃のゴム農園。そこで働くインド系の家族は、大学に進学したいと言い出した娘をめぐって揺れる。初期の侯孝賢を彷彿とさせる淡々とした静かな語り口で、丹念に日常生活を描く。長編第1作(マレーシア初めてのタミル語映画でもある)。
・『Zombie Dog』TOH Hai Leong, シンガポール (中編)
「Zombie Dog」という映画を作ろうとしている監督(TOH Hai Leong本人が扮している)を追ったフェイク・ドキュメンタリー。マニアックな男の生態と常軌を逸した情熱を生々しく描き出し、猥雑なアンダーグラウンド感が衝撃的。映画批評家TOH Hai Leongの監督第1作。
<2005年データ>
【2005年授賞結果】
*タイガーアワード<コンペ部門>
『CHANGING DESTINY』(Daniele Gaglianone  イタリア)
『4』(Ilya Khrzhanovsky ロシア)
『THE SKY TURNS』(Mercedes Alvarez  スペイン)
*Fipresci(国際批評家連盟)賞
『スパイするカメラ』(ファン・チョルミン 韓国)
*KNF賞(Dutch Critics)
『ILLUMINATION』(Pascale Breton フランス)
*Moviezone賞(Awarded by young cinemagoers)
『MYSTERIOUS SKIN』(Gregg Araki アメリカ)
*NETPAC賞:
『SANCTUARY』(Ho Yuhang マレーシア)
*Amnesty International-Doen Award:
『終わらない物語』(ハッサン・イェクタパナー イラン)
*観客賞:
『亀も空を飛ぶ』(バフマン・ゴバディ イラン)
【2005年 開催結果について】
総来場者数:358,000人 (前年355,000人)
総入場収入:1,250,000 Euro (前年1,200,000Euro)
期間中公式サイト閲覧数:2,000,000 (前年1,600,000)
監督ゲスト数:467人(前年395人)
総ゲスト数:2,586人=国内1,087人+外国1,499人
(前年2,435=760+1,675)
プレス数:455人=国内 286人+外国169人
(前年541=305+236)
シネマート・ゲスト数:901人(前年894)
(報告:森宗厚子)

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