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特集上映(1)『生誕100年 中村登』
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『夜の片鱗』 The Shape of Night
第70回ヴェネチア国際映画祭クラシック部門出品
1964年/106分
©1964 松竹
脚本:権藤利英 原作:太田経子
出演:桑野みゆき、平幹二朗、園井啓介、岩本多代 、富永美沙子、菅原文太
【作品解説】
19歳の芳江は、工場で働くかたわら、夜はバーに勤めていた。そこで知り合ったサラリーマンの英次に人生を託して身体を許したが、実は彼はヤクザ組織に身を置いていた。やがて金を無心するだけでなく、売春を強要するようになった英次に耐えきれなくなった芳江は逃げ出そうとするが...。どうしようもない男と知りつつ離れることのできない、複雑な心理に揺れ動く女性を桑野みゆきが好演。印象的な色彩設計やカメラワークが映像に深みのある美しさを生み、物悲しさをたたえた叙情的な世界を作り出すことに成功している。
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中村登
1913年8月4日、東京・下谷に生まれる。1936年東京大学文学部卒業と同時に助監督試験を受けて松竹に入社、大船撮影所で斉藤寅次郎、島津保次郎らにつく。1941年6月監督に昇進、記録映画『生活とリズム』(1941)を1作目に製作。続いて同年に劇映画としてのデビュー作である『結婚の理想』(1941)のメガホンを執る。『我が家は楽し』(1951)では、大船調のホーム・ドラマで優れた演出ぶりを発揮して好評を得る。松竹カラー映画の2作目となる『夏子の冒険』(1953)では、カラー映画にふさわしい華麗な演出を展開し、第一線監督としての名声を築いた。川端康成原作の『古都』(1963)は、岩下志麻の二役で双生児を登場させる物語のユニークさと京都の季節ごとの美しさを折り合わせた作品となり、アカデミー外国語映画賞にノミネートされる。有吉佐和子の原作を映画化した『紀ノ川』(1966)は、明治、大正、昭和に生きた女の姿を描き出し、ベテラン監督の風格を見せつけた名作である。1981年5月20日、死去。享年68才。勲四等旭日章を受勲。生誕100年にあたる2013年8月開催の第70回ヴェネチア国際映画祭クラシック部門にて『夜の片鱗』が上映され、高い評価を集めた。
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