「オープニング・セレモニーの登壇者が黒い服で勢ぞろいしたのは何故でしょうか」と、外国のプレスの方からもご質問をいただきました。いえ、全くの偶然で、事前に打ち合わせをしたり、示し合わせたわけではありません。審査員の方々には「東京フィルメックスはご存知の通りカジュアルな映画祭ですので、民族衣装などで着飾る必要はございません」というお話はしていたのですが。結果的には、オープニング作品「三峡好人」のジャ・ジャンクー監督も、女優のチャオ・タオさんも黒い衣装でご来日ということになり、なんだか私たちもビックリしていた次第です。
確かに日本は冠婚葬祭のフォーマルには黒という習慣はありますが、まさか全員黒だったなんて。個人的には事務局スタッフは黒子に徹して、映画が最も輝くように上映をサポートしたいという気持ちは、確かにあります。悲しいかな服装には無頓着な性質なもので、ご指摘いただいても初めはピンと来ないくらいだったのですが。そのうち私も真っ赤なドレスでも着てニコニコ堂々としてステージへ出て行けるくらいに精進いたしますので(無理だと思います)、引き続きどうぞ宜しくお願い致します。
ニュース/事務局からのお知らせ
映画祭を終えて – 林 加奈子ディレクター(1)
あっという間に師走に突入してしまいました。事務局スタッフにとってはつい先日まで夏だったのに、気が付いたら紅葉も深まっている今日この頃です。
会期が無事に終了し、たくさんのお客様にご来場いただきました。ゲストの監督たちもフェアウェルパーティーではご機嫌に歌ってくださった方もいらして、みなさんお元気にご帰国されました。ご協力、ご支援いただきましたみなさまに心からお礼申し上げます。またシャープなご質問をくださった観客のみなさまにも重ねてお礼申し上げます。観客のレベルの高さについては、世界の映画祭の中でも屈指と自負しております。みなさまに支えられて、またより一層のプレッシャーを痛感しながら、事務局スタッフ一同、より楽しんでいただける映画祭の企画・運営について切磋琢磨しながら邁進してまいります。どうぞ引き続き宜しくお願い申し上げます。
公式サイトへのヒット数も大幅に増え、特に新しく挑戦したブロードキャストコーナーは1ヶ月の間に10,000件を超える盛況を記録しております。
せっかくの機会なので、これからしばらく期間中に皆様からお寄せいただいたアンケートでのご質問、ご指摘などにもお答えしながら、映画祭会期について振り返ってみたいと考えております。言い訳がましいことを書き連ねるつもりはありませんが、幾つかの選択肢の中でどちらかを選んで進めていかなくてはならない運営上の状況や、ごもっともなご意見とわかりながらも予算やお借りしている会場などの関係で、また一般の劇場公開と違った映画祭ならではの状況の中で、ギリギリの措置を講じている現状もありますため、映画祭の裏側についても少しご紹介できればと存じます。どうぞお付き合いの程お願い致します。
事務局だより – 林 加奈子ディレクター(13)
さぁ。いよいよ本日開幕の第7回東京フィルメックス。怖くて震えてしまいます。事務局では観客賞の投票箱など製作物の準備も着々と進んで、公式カタログも美しく完成しました。人手も荷物も増えてきて、いつもの事務局が狭く感じられます。
全ての作品は当日券もご用意しております。行き届いた映画祭を目指し、力を尽くします。プログラムと観客の質の高さが自慢の東京フィルメックス。映画が好きで好きでというお客様と一緒に映画の力を実感できる10日間。熱気の中で、多くの作品をご覧くださいますよう。
映画は一本一本それぞれの作り手の方が願いを込めて作った作品。私たち映画祭のスタッフは、それぞれの映画が一番輝くように、一番お客様に伝わるように、一番お楽しみいただけますように、一本一本を大切に、ご紹介申し上げます。
みなさま、会場にてお待ちしております。
事務局だより – 林 加奈子ディレクター(12)
期間中のトークイベントについて、ご紹介します。
まず、岡本喜八特集。京橋のフィルムセンターでは、18日と19日の上映後にトークの予定があります。雪村いづみさん、寺田農さんと寺島進さんに岡本演出の事などお話を伺います。
また、MARUNOUCHI CAFE, 丸の内3丁目の新東京ビルに素敵な憩いの場所がありまして、今年の東京フィルメックスでは、24日の午後にモーツァルト生誕250周年絡みの新作の監督をお招きして、トークイベントを2回に分けて行う予定にしています。
そして、おなじみのマリオン朝日ホールのスクエアBでも、祭日の23日と最後の週末25日(土)、26日(日)には、ゲストを招いてのトークを予定しております。公式サイトにお時間、ゲストなどの詳細が載っておりますので、ご確認のうえ、どうぞご来場ください。すべて入場無料です。
映画と共に作り手の生の声を、こじんまりした規模で十分に味わっていただきたいという願いを込めた企画です。お時間が許されれば、皆様からのご質問もお受けしたいと考えていますので、奮ってご参加ください。それぞれ予定人員を越えたところで締め切りますのでご注意を。お待ちしております。
事務局だより – 林 加奈子ディレクター(11)
今年はモーツァルト生誕250周年。という事で、早くから日本でもコンサートなどが行われていましたが、映画の分野でもニュークラウンドホープというモーツァルト・プロジェクトがあり、東京フィルメックスでも関連の5作品が上映されます。「半月」(バフマン・ゴバディ)、「オペラ・ジャワ」(ガリン・ヌグロホ)、「世紀の光」(アピチャッポン・ウィーラセタクン)、「ハンモック」(パス・エンシナ)、そして「黒眼圏」(ツァイ・ミンリャン)の5本は,このプロジェクトで製作されました。
まさに11月のオーストリアのウィーンでは総合芸術祭が開催されて、舞台演出家のピーター・セラーズ監修のもと、音楽・演劇・舞踏・建築などのアートが華やかに紹介されているそうです。ヌグホロ監督、ゴバディ監督、エンシナ監督、そしてウィーラーセタクン監督は、ウィーンから東京フィルメックスへのご来日になりますので、あちらの様子も伺ってみようと思っています。それぞれ、今によみがえるモーツァルトとでも言ったらよいのでしょうか。個性あふれる5本で、特に「ハンモック」はパラグアイの女性監督のデビュー作です。モーツァルトもすごいけど、こういうユニークなすばらしい5本を製作したプロデューサーも監督も、作り手の方々には頭が下がるばかりです。是非ご覧ください。
ブロードキャストコーナーにて、映像が続々とアップ!
注目の「ブロードキャスト」では、上映作品の映像の一部をご紹介しています。
まずは「エレクション」の予告編と「エレクション2」から部分映像をいくつか。
そしてコンペからは「天国へ行くにはまず死すべし」。
ぜひご覧ください。
事務局だより – 林 加奈子ディレクター(10)
映画のタイトルについて、お話します。配給が決まっている作品はともかく、上映を決めた後に、事務局みんなで日本語のタイトルを考えます。基本的には元のタイトルに沿って日本語でおかしくないように固めるのですが、原語でのタイトルと英語で流布しているものの意味が微妙に違う作品も、中にはあります。例えば今年は「世紀の光」の英語タイトルは[Syndromes and a Century]なのですが、 監督ご本人にも確認してから決定しました。バフマン・ゴバディ監督の「半月」は、英語では「Half Moon」だったので、カタカナで「ハーフムーン」という方法も考えましたが、中国のインリャン監督の「アザー・ハーフ」とお客様が混乱しないように漢字に決めました。またフィリピンの「マキシモは花ざかり」も意味を汲みながら雰囲気を出そうとみんなで相談して決めましたが、英語タイトルは「Blossoming of Maximo Oliveros」です。ちなみに小林政広監督の「幸福」は、コウフクではなく「しあわせ」と読みますのでご注意ください。タイトルには作り手の気持ちが込められていますので、大事にご紹介したいものです。
事務局だより – 林 加奈子ディレクター (9)
映画祭の公式カタログは、その編集たるや熾烈な作業を強いられます。まず初日には必ず完成していないといけない。資料的な価値、データなどが間違っていてはいけない。それなのにプログラムの数や、配給の動き、ゲストの来日変更などによってのイベントのドタキャンなどギリギリになって突然の変更が多すぎる難点があります。海外から取り寄せる資料もバラバラで、情報もさまざまだったりして、確認に確認を重ねて念押ししても変更がありえるのが実情です。監督ひとりひとりの心のこもったメッセージが記載されていますので、みなさまどうぞ会場でお買い求めください。どうしても映画チケット一枚よりも安い値段を設定したくて、第2回目からは一冊1000円です。バックナンバーも是非是非どうぞ。
「オフサイド」の映像を部分紹介しています!
ただいま「ブロードキャスト」コーナーでは、特別招待作品「オフサイド」の1?2分程度の映像を、全4本紹介しています。少女たちの奮闘ぶり、ぜひご覧ください!
W杯イヤーを締めくくるこの作品。きっと見終えた誰もが笑顔で席を後にする、素敵な映画です。
事務局だより – 林 加奈子ディレクター (8)
ボランティアスタッフは、映画祭の顔ともなりうる大事な存在です。うれしい事に毎年続けてくださる方々もいらっしゃいます。今年は総勢80名ほどが集結して、心をひとつにしてお客様とゲストのみなさまの架け橋となりながら会場運営やカタログ販売、語学を生かしたホスピタリティーのお手伝いをしてくださいます。夏ごろから応募をして、面接によって厳選し、10月頭からミーティングを重ねて組織化していきます。スタッフ同士がまさしく同志となって仲良しの雰囲気が出来上がります。過去にはスタッフの間で結婚したカップルもいたとか、映画最後に配給会社から引き抜かれた人もいたとか。映画祭を見る側としてでなく、開催する側で関わる事も貴重な体験と楽しんでいただけるとうれしい限りです。
今からでも来年のボランティアスタッフをと考えてくださる方は、来年の募集を要チェックお願いします。