ジャ・ジャンクー監督「長江哀歌」が日本公開されます。

昨年の東京フィルメックスのオープニング作品「長江哀歌(エレジー)」(原題:三峡好人)が、8月よりシャンテ・シネを始めとして全国順次公開されます。
映画祭では、オープニング・セレモニーが行われた国際フォーラムを満場の観客が埋め尽くしました。その前で、ジャ・ジャンクー監督と主演女優のチャオ・タオさんが舞台挨拶と質疑応答に応えてくださった模様は、下のデイリーニュースやブロードキャストで見ることができます。
ヴェネチア映画祭の金獅子賞(最高賞)を本作品で獲得して、どこかそれまでよりも風格を感じさせていた監督でしたが、謙虚な姿勢はいつもと変わらなかったのが印象的でした。変わりゆく街をとらえた圧倒的な映像美と深い人間洞察は観客からも熱狂的に迎え入れられて、映画祭の華々しい幕開けを飾っていただきました。
また、映画祭期間中にMARUNOUCHI CAFEにて行われたトークショーでは、とても興味深いお話がたくさん飛び出しました。特に監督が映画を目指すことになった時に、お父様と交わした会話や、ダンスの先生だったチャオ・タオさんが映画に出演することになったきっかけなど、その状況ひとつひとつが映画の一場面のようなお話でした。
<ビターズ・エンド公式サイト>
<「長江哀歌(三峡好人)」舞台挨拶@第7回東京フィルメックス>
<「長江哀歌(三峡好人)」Q&A@第7回東京フィルメックス>

<「長江哀歌(三峡好人)」動画レポート@第7回東京フィルメックス>
<「アニエスベー Director’s Talk@MARUNUCHI CAF?
 ジャ・ジャンクー監督を囲んで」テキスト>

<「アニエスベー Director’s Talk@MARUNUCHI CAF?
 ジャ・ジャンクー監督を囲んで」動画レポート>

「日本クラシック、海外発信中!」が盛況のうちに終わりました

映画をめぐる、今年の世界の動向を大きく左右する一大イベント、カンヌ国際映画祭が閉幕しました。日本から唯一、コンペティション部門に出品されていた「殯(もがり)の森」(河瀬直美監督)がグランプリを獲得したことは、報道でも大きく取り上げられた嬉しい出来事のひとつでした。
ちょうどカンヌでの授賞式が行われている頃、東京では第8弾となった英語字幕付き上映会「日本クラシック、海外発信中! Rediscovery of Japanese Cinema」が盛況のうちに3日間の会期を閉じました。
今回は新しい会場に場所を移し、海外で評価されている日本映画の名作を、新しい視点で観なおす機会となりました。平野共余子さんによる講演も、実際に体験された豊富なエピソードを多く交え、とても興味深いお話となり、詰めかけた聴衆も静かに聴き入っていました。
多くのお客様にいらしていただけましたこと、この場で深くお礼を申し上げます。

いよいよ開幕! 第60回カンヌ国際映画祭

5月16日より、カンヌ国際映画祭が始まります。
東京フィルメックスのスタッフも作品選考などのために現地に入ります。
J-WAVEでは市山尚三プログラム・ディレクターによる現地リポートが放送されます。
どうぞ、お聴き逃しなく!
J-WAVE(FM81.3) 「MODAista」
5月19日(土)11:00-15:00
*放送内容、時間は変更される場合があります。

第60回カンヌ国際映画祭コンペティション部門ラインアップ

 今年で60回の節目を迎えるカンヌ国際映画祭が、5月16日から27日まで開催される。
 もっとも注目を集めるコンペティション部門では、過去にカンヌやベネチア、ベルリンなどでの受賞実績のある巨匠や人気監督がすらりと並び、そこに気鋭の若手が挑む。
 コンペティション部門は、全22本(他、コンペ外1本)。
 このうち、昨年の同映画祭で審査委員長を務めたウォン・カーウァイの「My Blueberry Nights」はオープニング作品として上映される。主演にジュード・ロウと歌手のノラ・ジョーンズを迎え、全編を英語で撮影した野心作だ。
 史上初の3度目の受賞を狙うエミール・クストリッツアの他、クエンティン・タランティーノ、ガス・ヴァン・サント、コーエン兄弟などパルムドール経験者が並ぶ。
 三大映画祭常連のキム・ギドクは、意外にもこれが初めてのカンヌ映画祭コンペ参加となる。同じ韓国からは「オアシス」でベネチア映画祭の監督賞や新人俳優賞(ムン・ソリ)に輝いたイ・チャンドンが五年ぶりの新作「Secret Sunshine」で臨む。
 アレクサンドル・ソクーロフは、「Alexandra」で五度目のコンペ参加となる。
 コンペ初参加組の中では、ハンガリーの鬼才タル・ベーラによる「The Man From London」や、第5回東京フィルメックスで「アヴァニム」が上映されたラファエル・ナジャリの「Tehilim」も注目だ。
 日本からは、河瀬直美の「殯(もがり)の森」(6月公開予定)が上映される。10年前に「萌の朱雀」でカメラドールに輝き、一躍世界の注目を集めることになった縁起のよい舞台で、再びの栄光を目指す。コンペティション上映作品の中でも、最後の上映となる。
 これらの作品を審査するのは、「クイーン」でヘレン・ミレンをアカデミー賞最優秀主演女優賞に導いたスティーブン・フリアーズが審査委員長を務める9人の審査員。
 他には香港のマギー・チャン、オーストラリアのトニー・コレット、カナダのサラ・ポーリーなど、女優が目立つ顔ぶれとなっている。
コンペティション部門のラインアップ(短編、学生映画部門は除く)は以下の通り(07年5月14日現在)。
◇オープニング
My Blueberry Nights(ウォン・カーウァイ)香港
◇クロージング
The Age of Darkness(ドゥニ・アルカン)カナダ *コンペ外上映
◇コンペティション
An Old Mistress (Une Vieille Maitresse)(カトリーヌ・ブレイヤ)フランス
The Love Songs (Les Chansons d’amour)(クリストフ・オノレ)フランス
The Diving Bell and the Butterfly(ジュリアン・シュナベール)フランス
Auf Der Anderen Seite Des Lebens(ファティ・アキン)トルコ
Breath(キム・ギドク)韓国
No Country for Old Men(ジョエル&イーサン・コーエン)アメリカ
Zodiac(デビッド・フィンチャー)アメリカ
We Own the Night(ジェームズ・グレイ)アメリカ
殯の森(河瀬直美)日本
Promise Me This(エミール・クストリッツァ)セルビア
Secret Sunshine(イ・チャンドン)韓国
4 Months, 3 Weeks and 2 Days(Cristian Mungiu)ルーマニア
Tehilim(ラファエル・ナジャリ)フランス
Silent Light(カルロス・レイガダス)メキシコ
Persepolis(Marjane Satrapi and Vincent Paronnaud)フランス
Import/Export(ウルリッヒ・ザイドル)オーストリア
Alexandra(アレクサンドル・ソクーロフ)ロシア
Death Proof(クエンティン・タランティーノ)アメリカ
The Man From London(タル・ベーラ)ハンガリー
Paranoid Park(ガス・ヴァン・サント)アメリカ
The Banishment(アンドレイ・ズビャギンツェフ)ロシア
◇コンペティション審査員
スティーブン・フリアーズ / 審査委員長 / 英国、監督
マギー・チャン / 香港、女優
トニー・コレット / オーストラリア、女優
マリア・デ・メディロス / ポルトガル、女優・監督
サラ・ポーリー / カナダ、女優・監督
マルコ・ベロッキオ / イタリア、監督
オルファン・パムク / トルコ、作家
ミシェル・ピコリ / フランス、俳優・監督
アブドラマン・シサコ / モーリタニア、監督
以上
<第60回カンヌ国際映画祭 公式サイト>

大好評のうちに終えた、04年の英語字幕付き上映会

 第1回の英語字幕付き上映会は、2004年の6月25日~27日の3日間にわたり行われました。
 特集タイトルは「日本映画の巨匠と女優たち」(Masters of the Japanese Cinema)。1930年代-50年代の日本映画の傑作6本をお届けしました。
 初めての試みだったので、お客様にいらしていただけるのか、そして上映をご覧になった反応は、と期待と不安とが入り混じった心境で迎えた上映でしたが、結果は1,185名のお客様にいらしていただくことになり、大成功を収めました。また、外国人のお客様の割合も非常に多く、特にアンケート回答の中には、熱のこもった感想を寄せていただいた方もたくさんいらして、次回以降のシリーズ化へと大きな弾みとなりました。
 特に黒澤明監督の「白痴」と「醜聞」はニュープリントでの上映ということもあって、想定を大幅に上回る方が詰めかけたため、急遽、椅子を増やして対応するという一幕もありました。
 この第1回では、映画批評家、映像作家であるドナルド・リチー氏(第5回東京フィルメックス審査委員長)をお迎えして、溝口健二の「浪華哀歌」の解説を中心に、日本映画の海外での紹介の状況などを講演いただきました。その模様は、この「事務局だより」でも採録してありますので、ぜひご覧ください。
<日本映画の巨匠と女優たち(日本語サイト)>
<Masters of the Japanese Cinema (English)>
<ドナルド・リチー氏 講演採録(日本語)>
<Lectured by Donald Richie (English)>

英語字幕付き 日本映画上映会について

 先日お伝えしました、英語字幕付きの上映会についてのお話です。国際交流基金(ジャパンファウンデーション)は、その名の通り、様々な活動を通じて国際交流の推進を行っています。その中には映画を活用した文化交流ももちろん含まれています。先日、赤坂のOAGホールで開催された「アラブ映画祭2007」もそのひとつです。
 「アラブ映画祭」などは、外国の文化を日本に紹介する活動ですが、その対流、日本映画の秀作を海外に紹介する活動も行っています。英語字幕を中心に、フランス語やスペイン語の字幕などの上映プリントを制作、海外での巡回上映に供しています。
 その中には、東京フィルメックスで特集上映された監督のプリントも含まれています。2003年の第4回で特集上映された清水宏監督の作品「恋も忘れて」「小原庄助さん」「母情」「しいのみ学園」や、04年の第5回での内田吐夢特集の「血槍富士」「妖刀物語 花の吉原百人斬り」「人生劇場飛車角と吉良常」、05年の第6回の中川信夫特集では「エノケンのとび助冒険旅行」「私刑」「さすらいの旅路」「毒婦高橋お伝」「亡霊怪猫屋敷」などが、国際交流基金所蔵のプリントでした。これらのプリントや、東京国立近代美術館フィルムセンター、川喜多記念映画文化財団が所蔵しているプリントがあって、東京フィルメックスの特集上映が実現しているのです。
 ただ、東京フィルメックスのような一部の映画祭での上映をのぞけば、国際交流基金が所蔵している英語字幕付きの映画が、日本で上映される機会は非常に少なかったのが現実です。そこで、日本に在住する外国人にも日本映画の傑作の数々に触れていただこう、と企画されたのがこの英語字幕付き上映会「The Japan Foundation Film Series」でした。
 04年6月の第1回以来、大変な好評をいただいて続けてこられました。次は、これまでの上映会を振り返ってみたいと思います。

「世紀の光」上映&アピチャッポン監督来日!

 先日お伝えした通り、現在開催中の東京現代美術館では、アピチャッポン・ウィーラセタクン監督が制作したビデオ作品が展示中です。
 そして、今度は「世紀の光」の全国各地での上映が決定しました。
 まず、高知県立美術館では5月19日(土)、20日(日)の2日間に、長編と短編プログラムを合わせ6プログラムが上映されます。
 第1回東京フィルメックスで上映された、長編デビュー作「真昼の不思議な物体」を始め、それぞれ第3回と第5回で最優秀作品賞を受賞した「ブリスフリー・ユアーズ」、「トロピカル・マラディ」、そして昨年の東京フィルメックスでも満席となった最新作「世紀の光」など、アピチャッポン世界の全容に迫る2日間です。監督も来日してのQ&Aも予定されています。
 引き続き、大阪のPLANET+1でも同じく6プログラムが上映、こちらも24日には監督のトークショーがあります。
 そして、5月21日、22日の両日19:30からは、短編集のみの上映ですが、東京のアップリンク・ファクトリーでも開催されます。こちらも、21日の終映後に監督によるトークが予定されています。
 10日足らずの間に各地で同時的に特集され、監督もいらっしゃる機会は滅多にありません。ぜひ、お見逃しなく。
 また、現時点で詳細が決定していないものの、6月末のショートショートフィルムフェスティバルで日タイ修好120周年を記念してのマエストロ・ショートショートや、その他でも上映が予定されているようです。
 アピチャッポン・ウィーラセタクンから、ますます目が離せません!
<タイ映画の異才-アピチャッポン・ウィーラセタクン監督特集>
5月19日(土)、20日(日) 高知県立美術館
<“電影新潮/ASIAN WAVE 00‘s Vol-1「サイアム・シンドローム/熱帯症候群」>
アピチャッポン監督来日特集
5月21日(月)-27日(日) 大阪PLANET+1
<アピチャッポン・ウィーラセタクン来日記念/アピチャッポン短編秀作選>
5月21日(月)、5月22日(火)渋谷・アップリンク・ファクトリー
<ショートショート・フィルム・フェスティバル>

「Show Me Thai~みてみ☆タイ~」でアピチャッポンの作品を展示中

 現在、東京都現代美術館(MOT)ではタイの現代美術展「Show Me Thai~みてみ☆タイ~」を開催中です(5月20日まで)。ペインティング、彫刻、ミクストメディア、ビデオ、インスタレーション、映画、アニメーション、音楽などの分野から、最新のアートシーンの活力を伝える企画です。
 この展覧会に、東京フィルメックスでもお馴染みのアピチャッポン・ウィーラセタクン監督のビデオ・インスタレーションも展示されています。彼の映画の独創性が、強く現れているに違いない、ビデオ作品…、とても楽しみです。
 展示への入場は無料ですので、ぜひお出かけください。
<東京都現代美術館 公式サイト>
<Show Me Thai~みてみ☆タイ~ 公式サイト>
<Show Me Thai~みてみ☆タイ~ 公式ブログ>

【速報】「アザー・ハーフ」がチョンジュ映画祭で最高賞を受賞!

G.W.明けに嬉しいニュースが届きました。先日まで開催していた第8回チョンジュ国際映画祭でイン・リャン監督の「アザー・ハーフ」が最高賞を受賞しました。昨年の東京フィルメックスのコンペティション部門での審査員特別賞「コダックVISONアワード」に続いての快挙です。
チョンジュ映画祭の詳細レポートは、後日掲載予定です。

「アザー・ハーフ」がチョンジュ国際映画祭で最高賞を受賞!

4月26日から5月4日まで開催された韓国のチョンジュ国際映画祭で、イン・リャン監督の長編第2作「アザー・ハーフ」がIndie Vision部門(インターナショナル・コンペティション)でWoosuk Award(最高賞)を獲得、副賞としてUS$10,000が贈られた。
Indie Visionは映画祭のメインとなるコンペティション部門で、劇映画とドキュメンタリーを含め、世界各国から12本が上映された。日本からは坪川拓史監督の「アリア」と、植岡喜晴監督の「ルック・オブ・ラブ」の2本が参加していた。
チョンジュ国際映画祭公式サイト
公式サイト(韓国語版)
公式サイト(英語版)