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【レポート】第21回東京フィルメックス 開会式

第21回東京フィルメックスの開会式が10月30日(金)、有楽町朝日ホールで開かれた。今回から東京国際映画祭と連携して会期がほぼ同時期に設定され、例年より約2週間前倒しでの開催となった。新型コロナウイルスの流行で世界の映画祭が大きな影響を受けるなか、東京フィルメックスは例年通り9日間の日程で、コンペティション・特別招待作品・特集上映・映画の時間プラスの4部門で30作品をリアル上映する。

開会式の会場となった朝日ホールは、コロナ対策で入場者を50%に制限。客席には1席ごとに「一定の間隔を空けてお座り下さい」のメッセージを掲げ、ソーシャル・ディスタンスへの協力を呼びかけた。例年とは様変わりした光景だが、客席からはいつもと変わらぬ静かな高揚感が伝わってきた。

開会式では、まず市山尚三ディレクターが登壇し、「コロナ禍で開催がどうなるかを考えつつ準備をしていったのですが、なんとか初日を迎えることができました。スポンサーの方々、ご協力いただいた団体の方々に感謝申し上げます」とあいさつ。「今年は残念ながら海外のゲストをお呼びすることができず、リモートでQ&Aをやるなど、かなりイレギュラーな形になります。試行錯誤で皆様にご迷惑をおかけすることもあるかもしれませんが、どうか大目に見ていただき、ぜひとも1本でも多くの作品をご鑑賞いただければと思っています」と語った。

 

続いてコンペティション部門の審査員が紹介された。委員長はオープニング作品「愛のまなざしを」の万田邦敏監督。ほかに、映画評論家のクリス・フジワラ(米国)、トム・メス (オランダ)、 アンスティチュ・フランセ日本の映画プログラム主任の坂本安美、アミール・ナデリ監督の「CUT」「Monte(山)」などを手掛けたプロデューサーのエリック・ニアリ(米国)という国際的に活躍する各氏が審査員を務める。

審査員を代表してあいさつした万田監督は、「この大変な時期にお越し下さってありがとうございます」と切り出し、「コンペティションには12本のアジアの新しい作品がそろいました。審査員はまだ誰も作品を見ておりません。お客様と一緒に会期中に1本ずつ見ていくことになります。どのような作品にめぐりあえるのか、とても楽しみにしています」と上映への期待を込めた。

会期中の11月2〜7日にはアジアの若手映画監督や製作者を育成する「タレンツ・トーキョー2020」もオンラインで開催する。会場で見られなかった人のために、コンペティションなどの一部作品は閉幕後にオンライン配信も予定する。また、特別上映として、マノエル・ド・オリヴェイラ監督の6時間50分の大作「繻子の靴」も11月22日に朝日ホール、11月26〜28日にアテネ・フランセ文化センターで上映。いつも以上にじっくりたっぷり楽しめるプログラムとなっている。

 

(文・深津純子、撮影・明田川志保)

 


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