10月29日(土)、第23回東京フィルメックスの開会式が有楽町朝日ホールで開かれた。当初8日間の会期予定であったが、クラウドファンディングによる支援を受けて1日延長し、例年通り9日間の日程で、コンペティション部門、特別招待作品部門、メイド・イン・ジャパン部門、ツァイ・ミンリャン監督デビュー30周年記念特集で計18作品を上映する。
開会式では、まず神谷直希プログラム・ディレクターが登壇し、「これだけの方々にご来場いただきとても光栄に思っています。財政状況が非常に厳しい中での開催準備となりましたが、クラウドファンディングを通じて多くの方々からご支援をいただき、開催までこぎつけることができたことを感謝申し上げます。また、ご協力いただいた各企業や団体のみなさま、スポンサーのみなさま、サポーター会員のみなさまにも感謝申し上げます。ぜひ1本でも多くの作品をご覧いただき、今年の映画祭を楽しんでいただきたいと思っています」と挨拶。さらに、ジャファル・パナヒ監督(今年7月に当局に逮捕され、現在収監中)の『ノー・ベアーズ』をオープニング作品として上映する理由を、「世界が少しでもより良い場所になってほしいという願いを込めました」と語った。
続いてコンペティション部門の審査員が紹介された。委員長はクロージング作品『すべては大丈夫』のリティ・パン監督(フランス・カンボジア)。ほかに、映画プログラマーのキキ・ファンさん(香港)、キム・ヒジョン監督(韓国)の各氏が審査員を務める。
審査員を代表して挨拶したリティ・パン監督は、「長いコロナ禍の期間を経て、この素晴らしき日を迎え、みなさまと再会できて喜ばしく思います。お一人お一人とキスしたいぐらいですが、それはダメですよね」と笑顔で冗談を交えながら、「みなさま、たくさんの良い映画をご覧になってください。映画祭の期間中に、ぜひお会いしましょう」と再会の喜びをこめて語った。
会期中の10月31日〜11月5日にはアジアの映像人材育成プロジェクト「タレンツ・トーキョー2022」も開催する。今年は、3年ぶりに多くの海外ゲストも迎え、製作者と観客とのリアルな交流にも期待したい。
文:海野由子
写真:明田川志保・穴田香織