10/31『夜明けの夫婦』舞台挨拶

10/31『夜明けの夫婦』舞台挨拶
ヒューマントラストシネマ有楽町

山内 ケンジ(監督)
鄭 亜美(俳優)

神谷 直希(東京フィルメックス プログラム・ディレクター)

日本 / 2021 / 135分
監督:山内ケンジ( YAMAUCHI Kenji )
配給:スターサンズ

Japan / 2021 / 135 min
Director:YAMAUCHI Kenji

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※ ONLINE FILMeXでの配信は、2021年11月23日に終了いたしました。ありがとうございました。

10/30『偶然と想像』Q&A

10/30『偶然と想像』Q&A
有楽町朝日ホール

中島 歩(俳優)
濱口 竜介(監督)

神谷 直希(東京フィルメックス プログラム・ディレクター)

日本 / 2021 / 121分
監督:濱口竜介 ( HAMAGUCHI Ryusuke )
配給:Incline LLP
配給協力:コピアポア・フィルム

Japan / 2021 / 121min
Director:HAMAGUCHI Ryusuke

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※ ONLINE FILMeXでの配信は、2021年11月23日に終了いたしました。ありがとうございました。

10/30『偶然と想像』舞台挨拶

10/30『偶然と想像』舞台挨拶
有楽町朝日ホール

古川 琴音(俳優)
玄理(俳優)
渋川 清彦(俳優)
甲斐 翔真(俳優)
占部 房子(俳優)
河井 青葉(俳優)

濱口 竜介(監督)

神谷 直希(東京フィルメックス プログラム・ディレクター)

日本 / 2021 / 121分
監督:濱口竜介 ( HAMAGUCHI Ryusuke )
配給:Incline LLP
配給協力:コピアポア・フィルム

Japan / 2021 / 121min
Director:HAMAGUCHI Ryusuke

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※ ONLINE FILMeXでの配信は、2021年11月23日に終了いたしました。ありがとうございました。

10/30『MADE IN YAMATO』Q&A

10/30『MADE IN YAMATO』Q&A
有楽町朝日ホール スクエア

冨永 昌敬(監督)
清原 惟(監督)
山本 英(監督)
竹内 里紗(監督)
宮崎 大祐(監督)

神谷 直希(東京フィルメックス プログラム・ディレクター)

日本 / 2021 / 120分
監督:冨永昌敬( TOMINAGA Masanori )、清原惟( KIYOHARA Yui )、
山本英( YAMAMOTO Akira )、竹内里紗( TAKEUCHI Risa )、宮崎大祐( MIYAZAKI Daisuke )

配給:boid/VOICE OF GHOST

Japan / 2021 / 120 min
Director:TOMINAGA Masanori, KIYOHARA Yui,
YAMAMOTO Akira, TAKEUCHI Risa, MIYAZAKI Daisuke

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※ ONLINE FILMeXでの配信は、2021年11月23日に終了いたしました。ありがとうございました。

10/30『MADE IN YAMATO』舞台挨拶

10/30『MADE IN YAMATO』舞台挨拶
ヒューマントラストシネマ有楽町

冨永 昌敬(監督)
宮崎 大祐(監督)

神谷 直希(東京フィルメックス プログラム・ディレクター)

日本 / 2021 / 120分
監督:冨永昌敬( TOMINAGA Masanori )、清原惟( KIYOHARA Yui )、
山本英( YAMAMOTO Akira )、竹内里紗( TAKEUCHI Risa )、宮崎大祐( MIYAZAKI Daisuke )

配給:boid/VOICE OF GHOST

Japan / 2021 / 120 min
Director:TOMINAGA Masanori, KIYOHARA Yui,
YAMAMOTO Akira, TAKEUCHI Risa, MIYAZAKI Daisuke

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※ ONLINE FILMeXでの配信は、2021年11月23日に終了いたしました。ありがとうございました。

【オンライン配信】特別対談 黒沢清監督×濱口竜介監督

オンライン配信特設サイト「ONLINE FILMeX 2021」にて特別企画として「特別対談 黒沢清監督×濱口竜介監督」を配信中です!

11月23日(火・祝)23:59まで、無料でご覧頂けます!

プログラム内容:東京フィルメックスは2008年に濱口竜介監督の「PASSION」を上映した際に、「大学院の修了制作である「PASSION」を応援しよう」と、大学院の恩師である黒沢清監督との対談を企画しました。そして2021年、濱口竜介監督が「偶然と想像」を引っ提げ、オープニング作品として凱旋!13年を経て、久しぶりにお二人をお招きして、「偶然と想像」を中心に語らっていただきました。師弟の映画談義、存分にお楽しみください!

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11/7(日)12:40〜 特別上映Aについてのご案内

第22回東京フィルメックス最終日となる明日11月7日(日)の12:40より上映する「特別上映A 」の上映作品についてお知らせします。本プログラムの上映作品につきましては、諸般の事情により、タイトルの発表を控えておりました。しかし、無事に上映素材も到着し準備が整ったと判断致しまして、遅ればせながら発表することと致します。

特別上映として『時代革命(Revolution of Our Times)』(2021年、香港、キウィ・チョウ監督)を上映します。

作品詳細はコチラ

【レポート】11/02『見上げた空に何が見える?』Q&A

11月2日(火)、有楽町朝日ホールでコンペティション部門『見上げた空に何が見える?』が上映され、上映後にはアレクサンドレ・コベリゼ監督によるリモートQ&Aが行われた。本作は、ジョージアのリオニ川の河畔に広がる都市クタイシを舞台に繰り広げられる物語で、コベリゼ監督の長編2作目となる。ベルリン映画祭コンペティション部門で上映された。

リモートで登場したコベリゼ監督は、「上映していただいたフィルメックスには感謝しております。みんな、すごく喜んでいます。また、観に来てくださった方、わざわざ足を運んでくださったこと、Q&Aに残ってくださったこと、とても嬉しく思っています」と挨拶。

早速、質疑応答に移った。

まず、本作をとても自由な作風と評した観客からは、どのように企画を通したかという質問があがった。本作は、コベリゼ監督が在籍していたベルリンの映画学校の卒業制作作品で、選ばれた卒業作品に対して支給される助成金を得て、さらに、ジョージアのフィルムセンターからも助成金を得て制作されたそうだ。そのため、制作時には「ある程度、安心感があった」とのこと。低予算の学生映画ながら、スタッフにも少額ではあったがギャラも支払えたそうだ。

次に、劇中によく登場するサッカー、子ども、犬、アイスクリームといった要素が果たす役割について尋ねられると、コベリゼ監督はその意図を次のように語った。「この作品では、演技はとてもシンプルで、エモーショナルなものを喚起させるようなドラマティックなものではありません。通常、ひとつのシーンをドラマティックまたはエモーショナルにするための多くのツールを使いますが、この作品ではあえて使っていません。その代わり、エモーション(感情)を観客に伝えるためのコミュニケーションとして、自分が好きなものを映画の中に取り入れています。挙げられた要素は、すべて僕が好きなもので、わくわくする興味深い対象です。」

また、本作のキーとなる「呪い」と「映画」とのかかわりについて話が及んだ。呪いは魔法に通ずるが、どのように呪いを解くかということを真剣に考えるなか、「魔法には魔法で対抗しよう」と思いついたというコベリゼ監督。「自分にとっての魔法は映画です。映画を観るとき、映画の技術やツールは理解できても、それがどうして自分の心に届いているのかを考えると映画はとてもマジカルなものに感じます」と、映画への想いを語ってくれた。

登場人物の足元を映した場面が印象的な本作。特に主人公の2人が偶然に出会うシーンも足元だけが映し出される。このシーンの意図について、コベリゼ監督は「役者にどういうふうに演出するかとても難しい。こういう瞬間、どういう表情をすればいいのかわかりませんでした。顔を見せずに足もとだけを見せて、あとは観客のイマジネーションに任せることにしました」と説明。続けて、「もうひとつ意図したことは、こういう瞬間は2人のプライバシーなので、足元だけでいいだろうと考えました」と付け加えた。

さらに、本作では、光、風、自然がとても柔らかく描かれているが、撮影時にはどのようなことを意識したかという質問が寄せられた。コベリゼ監督によると、監督自身もスタッフたちもクタイシ出身ではなかったため、クタイシで撮影するということ自体を意識し、気を配ったという。ジョージアで3番目に大きな都市であるクタイシは、地理的にも、文化的にも、政治的にも、国のハート(心)のような存在で、特に、文化面では、重要な文筆家、詩人、ミュージシャンを輩出しているとか。わくわくする面もあったが、気を遣うことも多かったそうだ。絵コンテを描いては描き直し、描いては描き直しの日々で、準備期間中に観た他の作品から影響を受けたことも明かしてくれた。

最後にコベリゼ監督は、「長い映画を観ていただきありがとうございます。制作者にとって、観客に観ていただくことが大きな贈り物となります」と観客にあらためて謝意を述べ、質疑応答をしめくくった。コベリゼ監督の今後の活躍に期待したい。

 

文・海野由子

写真・白畑留美、明田川志保

【レポート】11/1『小石』Q&A

11月1日(月)、有楽町朝日ホールでコンペティション作品『小石』が上映された。本作は、気が短く暴力的な父と寡黙な幼い息子が、家を出ていった母を呼び戻すために旅する姿を通じて、家父長主義的な社会の問題を炙り出した意欲作。インドの俊英P.S.ヴィノートラージ監督の長編デビュー作で、ロッテルダム映画祭でタイガー・アワードを受賞した。上映後にはリモートによるQ&Aが行われ、ヴィノートラージ監督とクリエイティブ・プロデューサーのアムダヴァン・カルッパィアーさんが、観客の質問に答える形で映画の舞台裏を語ってくれた。

ヴィノートラージ監督自身の経験に基づいて生まれた本作について、まず「子どもの頃から一緒に暮らしてきた人たちの生活がベースになっているので、とても現実に近い作品、現実に近いキャラクター造形になっています」と背景を説明。その上で「舞台をタミルという地域に限定していますが、物語としては非常に普遍的で、世界中の人たちが共感できると思います」と付け加えた。

その物語を彩るリアルな佇まいの出演者たちについては、「主役の父親以外、演技経験はありません」と舞台裏を告白。唯一、演技経験を持つ父親役のカルッタダイヤーンさんも、ポストモダンの劇団に所属する役者だが、映画に出演するのは初めて。その劇団をヴィノートラージ監督が知っていたことから、脚本を書き上げた時、父親役に起用することを真っ先に思いついたという。「舞台を見たら、怒りの表現が素晴らしかったので、『ぜひやってほしい』とオファーしたところ、すぐに作品の意図を理解し、参加を決意してくれました」。

その一方で、息子役のキャスティングは難航。80人くらいオーディションを重ねたものの、相応しい少年が見つからなかったため、役と似たバックグラウンドを持つ子を探し、ようやく出会ったのがチェッラパーンディくんだった。期待通りの演技を見せたチェッラパーンディくんについて「現実の彼の境遇が、役より過酷だったこともあり、監督の意図をスムーズに理解してくれました」と満足そうに語った言葉からは、同時に現実の深刻さも伝わってきた。なお、この2人以外の登場人物は、現地の住民たちが演じたとのこと。

また、本作の大きな特徴は、舞台となる広大な大地を様々なアングルから撮影し、時には延々と続く長回しのワンカット撮影を取り入れるなど、工夫を凝らしたカメラワークだ。脚本執筆中からヴィノートラージ監督は「キャラクターは3人」と言い続けていたそうだが、父と子に次ぐ3人目に当たるのが「風景」だという。それは、「育った土地の風景が、その人の行動に影響を与える」という考えに基づいたもの。そのため、「大地をどう撮るかが重要」で、撮影場所を探すロケハンには8か月を費やした。その意図については、「広大さや干ばつの雰囲気を捉え、観客にも大地の灼熱感や湿気を感じてほしいと考えていました」と語った。

そして、「小石」という象徴的なタイトルについては「様々な意味がある」と言い、まず「旅をするとき、のどの渇きを抑えるために小石を口に含むことが昔から行われている」と現地の風習を説明。もちろんそれは、ヴィノートラージ監督自身もかつて経験したことで、劇中でも描かれている。さらに「子どもにとっては、どんな問題も小石のようなものだという意味も含まれている」と続け、最後にタイトルに込めた想いを次のように打ち明けた。「ここで描かれていることはどこでも起きていて、(小石のように当たり前の)日常を切り取っただけの物語に過ぎないということを示しています。こういうことは過去にも起きたし、未来にも起きるかもしれない」。

最後に、客席からリモートでつないだ2人に拍手が贈られ、Q&Aは終了した。

 

文・井上健一

写真・明田川志保