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『クロコダイル』Q&A


TOKYO FILMeX (2014年11月28日 23:30)

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11月28日、TOHOシネマズ 日劇でコンペティション部門『クロコダイル』の2回目の上映が行われた。上映後のQ&Aには、フランシス・セイビヤー・パション監督、主演女優のアンジェリ・バヤニさん、およびプロデューサーでもあり本作でも俳優として出演しているR.Sフランシスコさんが登場した。レイトショー後の夜遅い時間にもかかわらず多くの観客が残り、次々と質問が寄せられた。


11月28日、TOHOシネマズ 日劇でコンペティション部門『クロコダイル』の2回目の上映が行われた。上映後のQ&Aには、フランシス・セイビヤー・パション監督、主演女優のアンジェリ・バヤニさん、およびプロデューサーでもあり本作でも俳優として出演しているR.Sフランシスコさんが登場した。レイトショー後の夜遅い時間にもかかわらず多くの観客が残り、次々と質問が寄せられた。


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まず、パション監督は「今日は観に来てくださって、ありがとうございます」と挨拶し、本作が2006年にミンダナオ島アグサンで少女がワニに襲われた実際の事件に基づき、それまで自然と共存してきた少数民族が見舞われた悲劇に関心を抱いたことが製作の契機となったことを説明した。また、パション監督は、主演女優のバヤニさんにとってこの作品は肉体面においても情緒面においてもチャレンジだったと語った。というのも、方言、ボートの漕ぎ方、現地の方とのコミュニケーションにとても苦労したからだという。


R.Sフランシスコさんは、「こんばんは。ありがとうございます」とフィリピンの日本食レストランで覚えたという日本語で挨拶し、本作はフランシスコさんがプロデューサーとして初めてかかわった作品であることを感慨深げに語った。


次に、会場からの質問に移った。まず、ラスト近くのシーンで主人公のディヴィナが遭遇するワニが本物なのかどうかと問われ、ワニが機械式のワニであることを明かしたパション監督。モデルとなった事件の当事者である実在のディヴィナさんとのインタビューによると、彼女自身も実際にバスほどの大きなワニに後をつけられたことがあり、彼女にとって娘がワニに襲われたことはとてもリアルに感じられたのだそうだ。


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また、劇中に使われているアロヨ前大統領の写真について質問が及んだ。パション監督は、原題の「Bwaya」がタガログ語でワニを意味することに加え、腐敗した政治家に対して使われることを説明。アロヨ前大統領は国民から批判を受けた大統領でもあり、政治的な意味合いも含めてその写真を使ったそうだ。
さらに、劇中ワニの卵を少女たちに見せる男性が登場するが、その意図を訊ねられると、パション監督は、「コミュニティは自然と共生しているが、同時に自然環境保護について理解していないことを示すために挿入したシーン」であると答えた。アグサン湿原はワニの自然保護区域であるが、町の近郊にはワニ園があり、ワニの卵を捕ってワニ園に売って生計を立てる人もいるのだとか。


ここでパション監督は、本作でミンダナオ島のアグサンをとりあげた理由について語った。パション監督にとって3作目となる本作の制作は、2作目を撮り終えた後、次回作について霊媒師に相談したところ、霊媒師から「アグサン湿原が見える」と言われたことに端を発するのだという。そして、現地に関連するドキュメンタリーを制作した友人に仲立ちを依頼し、現地の人たちと接触することができたが、彼らと話をするうちに、誰に聞いても少女がワニに襲われた事件が伝説のごとく語られ、2006年に起こった事件がまるで昨日のことのように語られたとか。そして、この湿原の美しい風景を俯瞰でとらえるために、リモートコントロールで操作して空中から撮影するドローン(小型飛行機)を使用したのだそうだ。


続いて、パション監督とシネマラヤ映画祭との関わりについて話が及んだ。というのも、フィリピンのインディー映画の登竜門として知られるシネマラヤ映画祭において、パション監督はデビュー作『Jay』(08)では最優秀作品を、続く2作目の『Sampaguita, National Flower』(10)では監督賞を、そして本作では再び最優秀作品賞を受賞しているからだ。さらにテレビ番組でも活躍しておられ、すでに実績を確立しているパション監督が、どちらかというと新しい人材発掘を主眼とするシネマラヤ映画祭に出品する理由をうかがうことになった。パション監督によると、シネマラヤ映画祭には監督作品の3作目まで応募資格があり、監督に作品の著作権が与えられ、自由に撮影できることが魅力なのだという。テレビの仕事にも数多く携わっているが、映画とは線引きして仕事をしているそうだ。そして、「映画は自分にとっての"パッション"です」と力強く語った。


最後に、数あるワニ映画の中でもこの作品は最も感動を覚えた、という観客から、ワニはどのような意味を持つのかと尋ねられ、3人それぞれが答えた。まず、ワニについて作品を撮ろうと監督から声をかけられたとき、てっきり政治がらみの話だと思ったというR.Sフランシスコさんは、「ワニは水の中だけではなく、社会システムの中にも潜んでいるのではないかと思います」と応えた。続いて、バヤニさんは、「ワニは今もなお生きながらえている恐竜のようだと思います。撮影中、人間というのは何者なのかと考えることがありました。自分たちが映画を撮影していることはワニにとってなんら関係のないこと。自然の中で人間は小さな存在にすぎず、無に近いのだと思いました」と語った。そして、パション監督が、「私自身もワニのような捕食者になり得るのではないかと思います。映画制作も誰かを傷つけることになるかもしれず、題材が及ぼす影響には責任が伴うと思います」と締めくくった。


ここで時間切れとなりQ&Aが終了し、会場からは3人に温かい拍手が送られた。パション監督のさらなる飛躍に期待したい。なお、本作は第15回東京フィルメックス最優秀作品賞を受賞。11月26日の上映時のQ&Aレポートもあわせて参照していただきたい。


(取材・文:海野由子、撮影:白畑留美、船山広大)

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