第8回チョンジュ国際映画祭 開幕!

今年で8回目の開催となるチョンジュ(全州)国際映画祭が4月26日に開幕を迎えた。同じく韓国のプサン国際映画祭が名実ともにアジア最大の映画祭としての地位を固めつつあるのに対し、デジタルシネマやインディペンデント映画により焦点をあてた映画祭として知られるチョンジュだが、やはり国際的に広く知られている同映画祭発のプロジェクトといえば、毎年3人の映画作家に40分弱のデジタル中編作品の製作を委託する通称「三人三色」であろう。過去に日本からも青山真治や諏訪敦彦、あるいは石井聰亙や塚本晋也といった監督たちが参加しているこのプロジェクトには、これまでアジア出身の監督たちが参加してきていたが、今年はその枠が撤廃され、名前も新たに「Jeonju Digital Project」となってリニューアルされて登場する。今年の参加監督はペドロ・コスタ(ポルトガル)、ハルン・ファロッキ(ドイツ)、ウジェーヌ・グリーン(フランス)というヨーロッパからの3人。完成作品は4月28日にまとめてプレミア上映される。
また、映画祭のメインセクションといえるコンペティション部門「Indie Vision」には、世界各国からの長編12作品が参加予定。日本からは植岡喜晴の『ルックオブラブ』と坪川拓史の『アリア』の2作品が選出されている。(文中敬称略) 報告者:神谷直希
チョンジュ国際映画祭公式サイト
韓国語版
英語版

「受取人不明」も上映、スーパー・ギドク・マンダラがアンコール開催

 4月28日より、渋谷・ユーロスペースにてキム・ギドク監督の特集上映「スーパー・ギドク・マンダラ」がアンコール開催されます。
 最新作「絶対の愛」の公開にあわせて2月から3月にかけて、日本初公開となる2作品を含め全11作品がレイトショーで上映されました。この特集が大変な好評で、連日連夜、観客が詰めかけてギドク人気の根強さを感じさせました。
 この盛り上がりを受けて、スーパー・ギドク・マンダラが再び、東京に戻ってきます。今回は幻のデビュー作「鰐」が加わり、ますます見逃せないラインナップとなっています。もちろん、第2回東京フィルメックスで上映されて、各国の映画祭でも監督の存在を知らしめた衝撃作「受取人不明」も、再び上映されますので、この機会をお見逃しなく!
<スーパー・ギドク・マンダラ(「絶対の愛」公式ブログ)>
<「絶対の愛」公式サイト>
<ユーロスペース公式サイト>

英語字幕付き上映会の開催のお知らせ

国際交流基金主催の英語字幕付き上映会のお知らせです。
詳細は、国際交流基金のサイトをご覧ください。
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————- The Japan Foundation Film Series Part 8 ————–
———–   Rediscovery of Japanese Cinema   ————–
         ■日本クラシック、海外発信中!■
 5/25(金)~5/27(日)赤坂区民センターホールで開催!
  *英語字幕付き日本映画上映会
===================<6作品上映、(全て英語字幕付)>================
 <INDEX>
  1,開催概要
  2,企画趣旨
  3,上映作品紹介
  4,お問い合せ先
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■1、開催概要
●期間:2007年5/25(金)?5/27(日)
●会場:赤坂区民センターホール
    東京都港区赤坂4-18-13 赤坂コミュニティーぷらざ内
    地下鉄銀座線・丸ノ内線「赤坂見附」駅A出口より徒歩8分
●主催:国際交流基金
●後援:港区
●企画・運営協力:特定非営利活動法人東京フィルメックス実行委員会
●協力:角川映画、国際放映、松竹、東宝
● 料金:当日600円(当日券のみ)
*各回入替制 *全作品英語字幕付き(講演は入場無料)
<お問合せ先>
・ 会期前のお問合せ:上映会事務局(東京フィルメックス内)
      Tel: 03-3560-6394(11:00?17:30 平日のみ)
・ 会期中のお問合せ: Tel: 080-6953-3270(開催期間中のみ)
<サイト>
 日本語
 English
<タイムテーブル>(6作品上映)   *入替制(開場は15分前)
■5/25(金)
 19:00「安城家の舞踏会」(1947年、89分、吉村公三郎監督)※16mmプリントでの上映
■5/26(土)
 13:00「二十四の瞳」(1954年、155分、木下恵介監督)
 16:30「煙突の見える場所」(1953年、108分、五所平之助監督)
 19:00「近松物語」(1954年、102分、溝口健二監督)
■5/27(日)
 13:00「しとやかな獣」(1962年、96分、川島雄三監督)
 14:45 講演:平野共余子氏<英語逐語訳つき>
 17:00「女ばかりの夜」(1961年、96分、田中絹代監督)
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The Japan Foundation Film Series Part 8
Rediscovery of Japanese Cinema
A Special Three-day Film Showings with English Subtitles
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MIZOGUCHI Kenji, KINOSHITA Keisuke, GOSHO Heinosuke,
YOSHIMURA Kozaburo, KAWASHIMA Yuzo, TANAKA Kinuyo…

Presented by The Japan foundation,
under the auspices of Minato Ward,
with the special cooperation of TOKYO FILMeX Organizing Committee,
with the cooperation of Kadokawa Pictures, Inc.,
International Television & Films, Inc., Shochiku Co., Ltd., Toho Co., Ltd.
A single ticket: ?600 at the door only.
A single ticket for members of JF Supporter’s Club: ?500 at the door only.
Venue: Akasaka Kumin Center Hall (3F, 4-18-13 Akasaka, Minato-ku)
*10 min. from Exit-A, Akasaka Mitsuke Sta. on Subway
(Ginza and Marunouchi lines)
*10 min. from Exit-4, Aoyama-itchome Sta. on Subway
(Ginza and Hanzomon lines or Toei Oedo line)
Info.(Tokyo FILMeX Office) Tel:03-3560-6394 (11:00-17:30, weekdays only)
Tel: 080-6953-3270 (5/25-5/27 only)
For detail;
Web site
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*25th, May (Fri.)
19:00 The Ball at the Anjo House (1947 / 89min. / YOSHIMURA Kozaburo)
*26th, May (Sat.)
13:00 Twelve Pairs of Eyes (1954 / 155min. / KINOSHITA Keisuke)
16:30 Where Chimneys Are Seen (1953 / 108min. / GOSHO Heinosuke)
19:00 Crucified Lovers(1954 / 102min. / MIZOGUCHI Kenji)
*27th, May (Sun.)
13:00 Elegant Beast(1962 / 96min. / KAWASHIMA Yuzo)
14:45 Lecture by Dr. Hirano Kyoko
*in Japanese with translation into English
17:00 Girls of Dark (1961 / 96min. / TANAKA Kinuyo)

第9回ウディネ映画祭 開幕!

 以前にもお伝えしましたアジアン・クイアー・フィルム&ビデオ・フェスティバルでの「マキシモは花ざかり」の上映は全て前売り券が売り切れとなってしまったようです。明日の上映の際には、当日券の発売はないとのことですのでご注意ください。
 本日は、「世界の映画祭だより」にて、イタリアのウディネ映画祭の開幕情報を掲載しました。どうぞご覧ください。
<第9回ウディネ映画祭 開幕>

第9回ウディネ映画祭

 イタリアの北東部、半島の付け根にあたる都市ウディネで、今年が9回目となるウディネ映画祭が4月20日から28日までの日程で開催される。
 ウディネ映画祭は、その英語名称であるUdine Far East Filmの通り、東アジア及び東南アジアを中心とした地域の作品が上映される、コンペティション部門を持たない映画祭である。作品の傾向では、各国で1年間にヒットした娯楽大作や、いわゆるファンタ系映画(SFやアクションのカルト映画)の他、監督に焦点をあてた旧作の特集上映などが特徴的だ。
 過去に東京フィルメックスで上映された作品で、このウディネでも上映された作品もあり、例えば「サグァ」や「PTU」、「武士-MUSA-」「幽霊人間」などがある。
 毎年、日本映画の出品も多く、今年も多くの作品がお目見えする。
 塩田明彦監督の「どろろ」がオープニングを飾るほか、「デスノート」「さくらん」「口裂け女」「木更津キャッツアイ ワールドシリーズ」「ストロベリーショートケークス」「フラガール」「日本沈没」「嫌われ松子の一生」「NANA 2」「LIMIT OF LOFE 海猿」「笑う大天使」などが上映される。
また、今年のレトロスペクティブは、香港のパトリック・タム特集である。
<ウディネ映画祭 公式サイト>

第9回ニッポン・コネクション開催

 ドイツのフランクフルトで「第9回ニッポン・コネクション」が4月18日から22日にかけて開催される。
 もともとは学生を中心としたメンバーたちの熱意により生まれた映画祭であったが、日本映画の新作をインディペンデント作品からメジャー作品まで幅広く積極的に紹介を続けて、地元の人々はもちろん、欧州各地の日本映画ファンの支持を集めて定着を果たした。ドイツ国内の劇場での商業公開や、ベルリン映画祭などでの上映とは違った選択肢を観客に提示して好評だ。
 また、映画上映にとどまらず、食やファッション、アートパフォーマンスやマンガなどのサブカルチャーまで、日本文化を紹介する企画が多いのも、この映画祭の特徴のひとつである。
 今年、上映される日本映画は以下の通り。
「笑う大天使」*
「無花果の顔」
「14歳」*
「メゾン・ド・ヒミコ」*
「恋する日曜日」*
「松ケ根乱射事件」*
「いつか読書する日」
「蟲師」*
「悪夢探偵」
「悶絶ほとばしる愛欲」*
「紀子の食卓」
「パプリカ」
「パビリオン山椒魚」*
「ストロベリーショートケイクス」
「スウィングガールズ」
「鉄コン筋キンクリート」
「夢十夜」
「おじさん天国」*
「恐い女」*
「プルコギ」
「横浜メリー」*
 このうち、ドイツプレミア上映となる作品(上記中*印)を対象に、観客の投票で選出する「NIPPON CINEMA AWARD」には副賞として2,000ユーロが授与される。
レトロスペクティブは、「SHOOTING THE SUN」と題して60年代の実験映画をイメージフォーラムなどの協力を得て特集する。
<ニッポン・コネクション 公式サイト>

香港映画祭レポート&シンガポール映画祭開幕記事 掲載中です

 「世界の映画祭だより」にて、市山尚三プログラミング・ディレクターによる香港国際映画祭のレポートを掲載中です。今回は映画祭本体の他で様々な新しい取り組みがなされた香港ですが、どのように変わってきたのか、ぜひご覧ください。
 また、今週より開幕するシンガポール映画祭の開幕記事も掲載しました。こちらもあわせてご覧ください。
<第31回香港国際映画祭 レポート>
<第20回シンガポール国際映画祭 開幕>

第31回香港国際映画祭 レポート

 3月20日から4月11日まで開催され、今年で31回目を迎えた香港映画祭はその規模の点で大きく変貌した。一つは、昨年は分裂して開催された映画マーケット「フィルマート」が今年は3月20日から22日まで開催されたこと、もう一つは、今年から新たに始まった「アジアン・フィルム・アワード」の授賞式が3月20日に並行して行われたことである。
 香港映画祭は世界各国の新作劇映画、ドキュメンタリー、アニメーションからクラシック作品、更に香港の学生映画に至るまで300本を超える映画が上映される大規模な映画祭だが、基本的には香港の映画ファンに様々な映画を見せる機会を提供することを主旨としており、会場も香港市内の幾つかの地域に分散している。一方、「フィルマート」は香港コンベンションセンターを会場とし、その中で映画の権利を売買するマーケット、製作者や監督が新企画をプレゼンする企画マーケット「HAF」、更に様々なセミナーなどが開催される。以前、6月に開催されていた時は今一つその存在価値がはっきりとしなかったが、3月に開催されるようになってからはヨーロッパの主要配給業者も訪れ、“プレ・カンヌ・ミーティング”としての役割を果たしつつあるように思える。
 今年はこれに「アジアン・フィルム・アワード」という新たなイベントが加わった。中谷美紀が『嫌われ松子の一生』で女優賞を受賞したことが日本でも多く報道されたこの賞は2006年にアジア地域で製作された映画を対象に各賞が選ばれる。1988年に始まった「ヨーロッパ映画賞」のアジア版とも言うべきものである。香港コンベンションセンターの大ホールで行われた授賞式にはアンディ・ラウ、ソン・ガンホ、ピ(Rain)、チャン・チェンらノミネートされたスターに加え、トニー・レオン、イ・ビョンホン、ミッシェル・ヨーらがプレゼンターとして来場し、華やいだ雰囲気の中、各賞が発表された。最優秀作品を受賞した『グェムル』は男優賞、撮影賞、特殊効果賞も含めた4冠を達成。監督賞は『長江哀歌』(原題:『三峡好人』)のジャ・ジャンクー、脚本賞は『メン・アット・ワーク』のマニ・ハギギ、編集賞は『世紀の光』のリー・チャンターティクン、音楽賞は『オペラジャワ』のラハイユ・スパンガと、昨年の東京フィルメックスの上映作品が数多くの賞を受賞した。
 香港映画祭と「フィルマート」、「アジアン・フィルム・アワード」は、会場が異なることもあり、完璧に連動したイベントとは言い難い。しかし、例えば『さくらん』で香港映画祭に参加した蜷川実花監督、出演の木村佳乃、安藤政信が「アジアン・フィルム・アワード」のプレゼンターとして登場したり、「HAF」に新企画『東京ソナタ』で参加した黒沢清監督が香港映画祭での『叫』の上映後に観客とのQ&Aを行ったりするなど、参加ゲストが複数のイベントにクロスオーバーすることで一体感を持たせようとする努力はなされていた。少なくとも、マスコミの注目度の高い「アジアン・フィルム・アワード」を香港映画祭のオープニングと同時に開催したことは、香港映画祭を内外に認知させることに大きく役立ったことは間違いない。上映作品の傾向にそれほど大きな変化がなかったにも関わらず、今年の香港映画祭は観客動員が飛躍的に向上したという。「アジアン・フィルム・アワード」の開催がその要因の一つであったことは想像に難くない。
 香港映画祭本体は、ジョニー・トー作品の脚本を手がけてきたヤウ・ナイホイの監督デビュー作『跟蹤(Eye in the Sky)』、パク・チャヌク監督の『サイボーグでも大丈夫』というベルリン映画祭で話題となった2作品で開幕した。プレミア上映にこだわっていないこともあり、上映作品はこの1年間の世界の映画祭で上映されたものが多く、アジアのデジタル作品を対象とするコンペティションも、マレーシア映画『愛は一切に勝つ』が金賞、中国映画『檳榔(Betelnut)』が銀賞と、昨年のプサン映画祭のニュー・カレンツ賞を分かち合った2作品が受賞した。
 今回プレミア上映された作品のうち最も際立ったのが、ジャ・ジャンクーの短編『我們的十年(Our Ten Years)』だ。これは中国の新聞「南方都市報」の依頼で作られた8分の短編で、山西省を走る列車を舞台に二人の女性の数度にわたる出会いを描きつつ、10年の歳月を見る者に感じさせる傑作だ。出演はジャ・ジャンクー作品常連のチャオ・タオと、今中国で最も注目されている若手女優の一人ティエン・ユェン。全編を彩るリン・チャンの音楽も素晴しい。この作品と同時上映されたフルーツ・チャン監督の30分の短編『西安故事(Xi’an Story)』も、西安の街を舞台に離婚寸前の若い夫婦が思わぬ出来事から愛情を取り戻すまでを描きつつ、ラストに思わぬ仕掛けをほどこした佳作であった。また、『趙先生』が日本でも公開された中国の映画作家ルー・ユエが1999年に撮影し、その後検閲のためにお蔵入りになっていた長編映画『小説(The Obscure)』がワールド・プレミア上映されたのも話題となった。ドキュメンタリーとドラマを巧みに融合した作品で、阿城、王朔ら現代中国文学を代表する作家たちが登場するのも興味深い作品だ。
 地元の映画ファンに向けてのイベントとしては確実に定着している香港映画祭だが、今年行われた外へ向けての拡大への試みは大きな成果をあげたと言える。来年以降もこの規模が継続するようであれば、ベルリン映画祭とカンヌ映画祭の中間のミーティング・ポイントとして、国際的にも大きな意味を持つ映画祭となることは間違いないだろう。
(報告者:市山 尚三)