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【レポート】開会式

第20回東京フィルメックス、開幕!

11月23日(土・祝)、有楽町朝日ホールにて、第20回東京フィルメックスの開会式が行われた。昨年の主力スポンサーだった木下グループによる支援がなくなり、一時期は開催が危ぶまれていたが、今年新たにシマフィルムの支援を得て開催する運びとなった。本映画祭を立ち上げ、今夏に映画の国際交流への功績を顕彰する第37回川喜多賞を受賞した、市山尚三東京フィルメックス・ディレクターが登壇。満席の観客を前に、「今回、本当に多大なご支援をみなさんにいただきました。とくに新しくスポンサーになっていただきましたシマフィルム様には、心から感謝申し上げたいと思います」と謝辞を述べた。

そしてもうひとつ伝えたいこととして、先日行われた第61期日本映画ペンクラブ総会で、東京フィルメックスが日本映画ペンクラブ賞を受賞したことを挙げた。第20回という区切りの年に、東京国際映画祭とは違うスタンスで、映画文化の振興と、映画を通じた国際交流に尽力してきたことに対して評価されたという。「これもひとえに、いつも支えていただいているスポンサーの方々、観客の方々によるものだと思います。ここで日本ペンクラブさん、支えていただいた方々に感謝申し上げたいと思います」と市山ディレクター。

続いてコンペティション部門の審査員が紹介され、今年の特別招待作品『ある女優の不在』で主演した女優のベーナズ・ジャファリさん(イラン)、昨年のコンペ部門最優秀作品賞受賞の『アイカ』で主演した女優のサマル・イェスリャーモワさん(カザフスタン)、写真家の操上和美さん(日本)、深田晃司監督(日本)の4名が登壇。審査委員長を務める予定だったシュウ・ケイ監督(香港)が昨今の香港事情で急遽来日できなくなってしまったため、代わりに映画批評家で映画祭プログラマーのトニー・レインズさん(イギリス)の名前が呼ばれると、会場からはどよめきとさらに大きな拍手が。「本当に急だったんですが、一昨日お引き受けいただいて」と市山ディレクターが言うと、「フィルメックスを助けたい、市山さんの願いであれば喜んで、ということで参りました」とトニーさんも笑顔で応えた。

トニーさんは「審査員全員、ここにこうしていられることを本当に名誉に思います。市山さんにとってもフィルメックスにとっても激動の年だったと思いますが、そうしたチャレンジを受け止めて、乗り越えてこられた。今年のコンペはとても力強い作品が揃っているので、私たち審査員にとっても非常に難しい審査になるのではないかと思います」と意気込んだ。前回に審査委員長をしたときのオープニングでは安倍晋三首相にまつわるジョークを言って会場を沸かせていたが、今回は今朝ロンドンから着いたばかりで時差ボケがひどいため、クロージングにはいいジョークを飛ばしたい、とお茶目な一面ものぞかせた。

 

今年のコンペティション部門は、日本映画2作品を含む全10作品。最優秀作品賞と審査員特別賞などの審査結果は、11月30日(土)に行われる授賞式にて発表される。今回は阪本順治監督の特集上映や歴代受賞作投票で特に人気の高かった3作品を上映するほか、ロウ・イエ監督のオープニング作品からウェイン・ワン監督のクロージング作品まで揃う特別招待作品も。また、独立映画鍋との共催企画「映画の働き方改革」や一般公募批評の「振り返り合評会」など、多彩な関連イベントも組まれている。

個性豊かなプログラムで、アジアを中心とした新進映画の息吹が感じられる9日間。自分と世界を繋げてくれる「映画」、その未来への期待が膨らむ映画祭が、今年も開幕した。

 

(文・福アニー、写真・明田川志保、白畑留美)


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