『ジャ・ジャンクー、フェンヤンの子』、ジャ・ジャンクー監督 舞台挨拶
TOKYO FILMeX ( 2014年11月25日 13:00)
11月25 日、有楽町朝日ホールで特別招待作品『ジャ・ジャンクー、フェンヤンの子』が上映された。『セントラル・ステーション』(98)『モーターサイクル・ダイアリーズ』(03)などで知られるブラジルの映画作家ウォルター・サレスがジャ・ジャンクー監督を追ったドキュメンタリー。上映前には、今年の東京フィルメックス・コンペティション審査委員長も務めているジャ監督が舞台挨拶に登場し、本作誕生の経緯などを語った。
完成版の一段階手前となるワーク・イン・プログレス版での上映となった今回。ジャ監督はまず「未完成にもかかわらず、日本の皆さんに紹介してくださったフィルメックスに感謝します」と挨拶した。
サレス監督との親交のきっかけについて、「ご縁ですね」と振り返ったジャ監督。「1998年ベルリン国際映画祭フォーラム部門に私の長編1作目『一瞬の夢』が招待された時、サレス監督の『セントラル・ステーション』もコンペティション部門に出品(金熊賞を受賞)されていました。この時からお互いに注目し、サレス監督はずっと私の作品を観てくださっていたのです」。
本ドキュメンタリーの制作が具体的に動き出したのも、映画祭での交流がスタートだった。「2007年にブラジルのサンパウロ映画祭に招待され、そこで私とサレス監督の対談がセッティングされたのです。監督は私の映画を非常によく理解してくださっていました。対談が終わると、サレス監督は私に関するドキュメンタリーを撮りたい、本も書きたいとおっしゃいました。とても驚いて、ずっと冗談だと思っていました」。
撮影が行われたのは昨年のこと。市山尚三東京フィルメックス・プログラムディレクターから撮影期間を尋ねられ、「パリで3日、北京で3日、故郷の中国・山西省汾陽(フェンヤン)で8日」と明かしたジャ監督。パリの部分は最終的にカットさたという。「撮影期間は短かったのですが、サレス監督は事前にフェンヤンを訪れ、私の作品のロケ地や知り合いをくまなく取材していました」と振り返った。
上映開始時間が迫るとジャ監督は、観客席にベルリン映画祭フォーラム部門創設者ウルリッヒ・グレゴールさん(東京フィルメックスのプログラムコンサルタントを務める)の姿を認め、「98年にベルリン映画祭へ私を招待してくださったお陰で市山さんにも出会い、また、このようなドキュメンタリーも生まれました」と挨拶。ベルリンでの数多くの出会いを振り返り、感謝の表情を浮かべながら舞台を後にした。
ジャ・ジャンクーという映画作家がいかにして形成されていったのか、フィルモグラフィーを振り返りつつ、その素顔に迫った本作。最新作『罪の手ざわり』は2015年2月にDVDリリースが予定されているため、劇場公開時に見逃している人にはぜひチェックしてもらいたい。
(取材・文:新田理恵、撮影:白畑留美)
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