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『シャドウデイズ』チャオ・ダーヨン監督Q&A


TOKYO FILMeX (2014年11月25日 18:00)

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11月25日、有楽町朝日ホールにてコンペティション部門の『シャドウデイズ』が上映された。本作は、中国・ミャンマー国境に近い山村で起こる、中国の計画出産政策にまつわる事件を描いた作品。上映後には、チャオ・ダーヨン監督がQ&Aに登壇し、「この作品はちょうど去年の今ごろ撮影していました。今日は観に来ていただき、ありがとうございます」と挨拶した。


まず、市山尚三東京フィルメックス・プログラムディレクターが、本作の舞台となっているミャンマー国境付近の場所についての説明を求めた。チャオ監督によると、撮影場所は雲南省のサルウィン川(怒江)流域にある知子羅という町。もともとは州都だったが、1975年に州都が別の町に移転すると碧江県の県政府所在地として残ったものの、1985年に県政府が移転することになり、事実上廃都となった町なのだそう。チャオ監督はこの町の魅力を、「文化大革命のさまざまな傷跡が残っている町で、当時の雰囲気をそのまま伝える町には、さまざまなメタファーとなり得るものがすでに存在している」と語った。その上で、「メタファーが込められている寓話のような作品がとても好きなので、長編劇映画『歓楽のポエム』(10)、『シャドウデイズ』、最近撮り終えたばかりの作品にもすべてメタファーを取り入れている」と説明した。


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次に会場からの質問に移った。撮影の経緯や手法について問われると、チャオ監督は、以前にこの町を舞台にしたドキュメンタリー作品『ゴーストタウン』(08)を5年がかりで撮影した経験から、ここで劇映画を撮りたいと思うようになったと語った。まるで地元の住民のように、この町の建物、道、住民たちなど隅々まで知り尽くしているとか。土地勘があったので、撮影クルーも18人程度に絞ることができたそうだ。ただ、綿密な計画を立てずに自由なスタイルで撮影を行うため、無駄や失敗も多々あるという。この作品でもポストプロダクションの段階でダメだと思って、撮り直した部分もあったそうだ。


チャオ監督は「私が好きなのは、ある場所に俳優、そしてさまざまな物を置いてみる、というやり方。その空間の中で俳優やさまざまな物が化学反応のようなものを起こして、思いがけないものを撮れることがある。相互作用で出来上がった瞬間を撮るのが好きなのです。それはまるで絵を描く作業のようなもの。キャンバスに向かって、色を重ね、形を描いていくと、色なり形なりが相互作用で意外な結果をもたらす。もたらされた結果は、リアルなもの、真実であると考えています」と、独自の撮影スタイルを語ってくれた。


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この作品では、計画出産政策によって堕胎された胎児のオカルト的なショットを挿入する演出が試みられており、会場からその点について賛否両論が出された。「作品の理解は、監督が決めつけずに観客のみなさんに委ねるのが好み」というチャオ監督だが、日本には水子の霊を祀る習慣があるため分かりやすいとの指摘を受けて、自らの信条を次のように語った。「私自身は満州族の出身なのでシャーマンを信じています。シャーマンの根本的な考え方は万物に霊が宿るということですから、堕胎された水子の霊も必ずいるはずです。生命体が大自然の中で相互に良い関わり合いを持つことで、地球は作られていると思います。そうした美しい関係の中に我々の世界があるのですから、人は善良なのだと思います」


続いて、全体的に薄暗い色調となっていることからライティングの意図やカメラ機材について、シネマトグラファーの方から質問が投げかけられた。これに対してチャオ監督は、できるだけ自然光にこだわって撮影したこと、また、スタジオのセットではなく実際にある場所で撮影を行ったことを明かした。今回使用したカメラ機材はキャノンEOS C300で、使用した照明はLEDライト1台と自動車のライトだけとのこと。


最後に、劇中キリスト教のコミュニティが登場した理由について、客席で鑑賞していた映画史家のエリカ・グレゴールさんから訊ねられると、撮影地には実際にキリスト教のコミュニティがあり、宗教的な要素を盛り込むのが好きだと答えたチャオ監督。中国ではこうした土地に、キリスト教、原始的なシャーマニズム、毛沢東への信仰、仏教など、さまざまな信仰が混在するのはごく普通のことで、迷信に近いものもあるという。


特徴的な背景のある場所で撮影された本作に対して質問は尽きないようであったが、時間切れとなりQ&Aは終了。チャオ監督のさらなる活躍を期待したい。


(取材・文:海野由子、撮影:明田川志保、白畑留美)

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