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特集上映「限定!川島パラダイス♪」 川島雄三監督作品






『とんかつ大将』 Our Doctor, Our Chief
1952 / 94分
©1952 松竹
出演:佐野周二、美山悦子、津島惠子、角梨枝子、高橋貞二、三井弘次、徳大寺伸、幾野道子

【作品解説】
東京の下町の長屋に暮らす青年医師、荒木勇作。正義感溢れる彼は"とんかつ大将"というあだ名で長屋の人々から親しまれ、頼りにされている。そんな中、若い女医が院長を務める病院の拡張計画が明らかになり、長屋の立ち退き問題に発展する......。戦後間もない日本の世相を映した社会派劇の側面を持ちつつも、市井の人々の人間模様を描いた人情ドラマの一級品として、松竹時代の川島を代表する一本となった。








川島雄三

1918年、青森県下北郡田名部町(現在のむつ市)に生まれる。明治大学を卒業後、松竹に入社。島津保次郎、小津安二郎、木下惠介らの助監督をつとめ、44年、田中絹代主演の『還って来た男』で監督デビュー。その後はナンセンス・コメディーの傑作『シミキンのオオ!市民諸君』(48)など主にプログラム・ピクチャーを監督していたが、下町の風俗を生き生きととらえた『とんかつ大将』(52)では新境地を開拓した。54年、『昨日と明日の間』を最後に、製作を再開した日活に移籍。和製スクリューボール・コメディ『愛のお荷物』(55)、傑作メロドラマ『洲崎パラダイス 赤信号』(56)、織田作之助原作を映画化した『わが町』(56)などの名作を手がける。57年、しばしば日本映画史を代表する映画として選出される代表作『幕末太陽傳』を監督した後、東宝傘下の東京映画に移籍。大岡昇平原作の『花影』(61)、山本周五郎原作の『青ベか物語』(62)などの文芸映画を手がける一方、『グラマ島の誘惑』(59)、『縞の背広の親分衆』(61)など過激なコメディにも冴えを示した。東京下町の花柳街を描いた『夜の流れ』(60)では成瀬巳喜男と共同監督もつとめている。一方、大映でも3本の作品~『女は二度生まれる』(61)、『雁の寺』(62)、『しとやかな獣』(62)~を監督。いずれも若尾文子を主演に迎えながら、全く異なるタイプの傑作を生み出した。63年6月11日、遺作となった『イチかバチか』の公開の直前に肺性心で急死。亨年45歳であった。松竹や日活時代の助監督に今村昌平、浦山桐郎、中平康らがいる。






11/20 川島雄三を語る(2)/崔 洋一
from ブロードキャスト 2011/11/20


 
11/20 川島 雄三を語る(2)
トークイベント/東劇

ゲスト:崔 洋一(監督)

聞き手:市山 尚三(東京フィルメックス・プログラムディレクター)
 
Talk Session / Togeki
Guest: SAI Yoichi (Director)
MC: ICHIYAMA Shozo (TOKYO FILMeX Program Director)

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『とんかつ大将』
1952 / 94分
監督:川島雄三
 
Our Doctor, Our Chief / Tonkatsu Taisho
1952 / 94 min.
Director: KAWASHIMA Yuzo





新情報は順次、追加されます。


『とんかつ大将』トーク(ゲスト:崔洋一監督)
from デイリーニュース2011 2011/11/20

1120tonkasu_01.jpg11月20日、東銀座・東劇にて、「限定!川島パラダイス♪」の第2弾トークイベントが、『とんかつ大将』(1952)上映後、ゲストに崔洋一監督を迎えて行われた。司会は市山尚三東京フィルメックスプログラム・ディレクター。


崔監督は今回『とんかつ大将』を観て、『しとやかな獣』(62)に代表されるような娯楽作品でありながら耽美的、という川島作品へのイメージとは違っていると感じた、という。1963年に45歳で亡くなるまで、50本以上の作品を残した川島監督の幅の広さを改めて印象づけられたようだ。それを受け、市山Pディレクターから、じつは今回上映される4作品はあえて、代表作とされる『幕末太陽伝』(57)以前の初期作品にスポットを当てる意図をもってセレクトされたということが明かされた。


1120tonkatsu_02.jpg「戦争が終わって間もない時代。大量生産しながらも川島さんは世界の映画の事情をよくわかっていたのではないか。今日の『とんかつ大将』(52)にしても、ほぼネオリアリズムですよね」と崔監督。敗戦後の大きな変化の時代、長屋に良家のお坊ちゃんが住んでいるという状況に代表されるように、本来なら同じ場所にいられない人間同士が同じ時間を共有することでドラマが生まれる。
崔監督は「社会の図式化された枠組みの狭間にドラマを求めていく、というのは終生変わらぬ姿勢としてあったのではないか」と指摘する。


また崔監督は、川島監督を同じ青森出身の寺山修司と比較し、地方から上京してきたインテリ志向の人間は、大都市と自分を相対的にとらえ否定的になるタイプと、うまく順応していこうとするタイプの二つに分かれるとした上で、寺山が土着的な世界観を重視する、屈折した「天下の大嘘つき」であるのに対し、川島は非常に素直で、ともすれば陳腐な話になりがちなストーリーを、魅力的な「愛すべき人々」を登場させることで巧みに描き出しているとみる。「今回の特集の4作品とも都会が舞台。地方出身ながら田舎が舞台の映画がほとんど思いつかないくらい」と、市山Pディレクター。


1120tonkatsu_03.jpg続いて、川島監督の助監督を務めた今村昌平監督の話題に。後年川島監督についての本も執筆した、いわば「川島学校」出身者である今村について崔監督は、「人の心をくすぐって笑わせる、ある種のスラップスティックな感覚や、そこにある重み----"重喜劇"と呼ばれる―は川島から継承しています。ただし今村昌平は"世界の都市を包囲する世界の農村"を描く。非常に土着的です。"近代"の辺境にどっしりカメラを据えてそこから人間の深淵のドラマをえぐる。そういう意味では全然違う」と分析。


また技術的な面での発見を崔監督は次のように語った。
「『洲崎パラダイス 赤信号』(56)を観た時と同じように、今回もテクニカルな部分で刺激を受けた。たとえば今どきの若い人たちは全編手持ちカメラで、いわゆるボケ、ブレのある撮り方をするが、この作品にも実は手持ちがある。あと"移動大好き"。あの時代にしては異様なくらい多いですね。だけど観ている側にそれほど「移動だ、手持ちだ」と感じさせない。移動は、作り手の主観を表すことが多いけれど、主観性をあまり感じさせずに、物語の流れとキャメラの動きとが自然に調和しているのが非常に特徴的」
「もう一つ、川島は、動くものから見た風景が好きですね。車窓から流れる風景のイメージ、流動する時間性を逆行するように。たとえば『洲崎〜』のバスの中からの主観。そこから見える都会の全体像に対して交差する人間の視線のような意味合いが、彼の移動するキャメラの中にあると思う。技法的にもモダンで、『とんかつ大将』でも冒頭のだるまの転がるシーンなど、さまざまな試みをしています。しかしながら、見終わったとき観客は自然主義的リアリズムの温かさの中にいる、という不思議な作家です」


崔監督が「淡島千景がすごくキュート!観ればわかります!」と絶賛する『昨日と明日の間』(54)はじめ、市山Pディレクターも「ハリウッド顔負け」と評するコメディ『愛のお荷物』(55)、そして代表作の一つである傑作『洲崎パラダイス 赤信号』、そしてこの『とんかつ大将』の4作品は、英語字幕付きニュープリントで11月25日まで、各日朝10時から、東劇にて上映される。


(取材・文:加々良美保、撮影:永島聡子、村田まゆ)

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