【レポート】第21回東京フィルメックス 開会式

第21回東京フィルメックスの開会式が10月30日(金)、有楽町朝日ホールで開かれた。今回から東京国際映画祭と連携して会期がほぼ同時期に設定され、例年より約2週間前倒しでの開催となった。新型コロナウイルスの流行で世界の映画祭が大きな影響を受けるなか、東京フィルメックスは例年通り9日間の日程で、コンペティション・特別招待作品・特集上映・映画の時間プラスの4部門で30作品をリアル上映する。

開会式の会場となった朝日ホールは、コロナ対策で入場者を50%に制限。客席には1席ごとに「一定の間隔を空けてお座り下さい」のメッセージを掲げ、ソーシャル・ディスタンスへの協力を呼びかけた。例年とは様変わりした光景だが、客席からはいつもと変わらぬ静かな高揚感が伝わってきた。

開会式では、まず市山尚三ディレクターが登壇し、「コロナ禍で開催がどうなるかを考えつつ準備をしていったのですが、なんとか初日を迎えることができました。スポンサーの方々、ご協力いただいた団体の方々に感謝申し上げます」とあいさつ。「今年は残念ながら海外のゲストをお呼びすることができず、リモートでQ&Aをやるなど、かなりイレギュラーな形になります。試行錯誤で皆様にご迷惑をおかけすることもあるかもしれませんが、どうか大目に見ていただき、ぜひとも1本でも多くの作品をご鑑賞いただければと思っています」と語った。

 

続いてコンペティション部門の審査員が紹介された。委員長はオープニング作品「愛のまなざしを」の万田邦敏監督。ほかに、映画評論家のクリス・フジワラ(米国)、トム・メス (オランダ)、 アンスティチュ・フランセ日本の映画プログラム主任の坂本安美、アミール・ナデリ監督の「CUT」「Monte(山)」などを手掛けたプロデューサーのエリック・ニアリ(米国)という国際的に活躍する各氏が審査員を務める。

審査員を代表してあいさつした万田監督は、「この大変な時期にお越し下さってありがとうございます」と切り出し、「コンペティションには12本のアジアの新しい作品がそろいました。審査員はまだ誰も作品を見ておりません。お客様と一緒に会期中に1本ずつ見ていくことになります。どのような作品にめぐりあえるのか、とても楽しみにしています」と上映への期待を込めた。

会期中の11月2〜7日にはアジアの若手映画監督や製作者を育成する「タレンツ・トーキョー2020」もオンラインで開催する。会場で見られなかった人のために、コンペティションなどの一部作品は閉幕後にオンライン配信も予定する。また、特別上映として、マノエル・ド・オリヴェイラ監督の6時間50分の大作「繻子の靴」も11月22日に朝日ホール、11月26〜28日にアテネ・フランセ文化センターで上映。いつも以上にじっくりたっぷり楽しめるプログラムとなっている。

 

(文・深津純子、撮影・明田川志保)

 

【レポート】『由宇子の天秤』 Q&A

11月1日(日)TOHOシネマズシャンテ1にて東京フィルメックス・コンペティションの『由宇子の天秤』が上映された。本作は春本雄二郎監督長編映画第2作であり、脚本が2019年のフィルメックス新人監督賞ファイナリストに選出されている。

上映終了後のQ&Aには、春本雄二郎監督、プロデューサーの片渕須直さん、松島哲也さんが登壇した。まず、春本監督は「本作が日本初上映できたことを嬉しく思います。また本作に関わったすべての人に感謝します」と語った。続いて、『この世界の片隅に』(16)の監督であり、本作ではプロデューサーを務める片渕さんは「本作を世の中に出すにはどうしたらよいだろうか、というところから関わらせていただいて、それが日本で皆さんの前に公開することができた」と感慨深げに話した。また、松島プロデューサーも「日本で上映することができて嬉しく思っている」と語った。

まず、市山尚三東京フィルメックスディレクターより、片渕プロデューサーに作品に関わった経緯を尋ねた。元々は片渕プロデューサーと松島プロデューサーが同じ映画監督として「自分のモノ作りがどうやってできるんだろう」とお互い相談し、応援しあう間柄だったそうだ。その後、松島プロデューサーに春本監督を紹介される形で制作に関わったと語った。「プロデューサーといっても、ボクシングでいうとセコンドの後ろにいるカットマンだと思っていましたが、春本監督が被弾しないので出る幕がありませんでした」と言うと会場から笑いが。

松島プロデューサーは18年前に春本監督と出会ったそうだ。その後、「春本監督が『かぞくへ』(16)を見てほしいと連絡してきたのが再会の始まりでした」と語る。その後、本作の脚本を見てほしいと春本監督に言われて、できることがあればと思い参加したとのことだった。

春本監督に着想の発端について尋ねたところ、「2014年の4月頃、助監督を続けていまして、その年に自分は映画を撮るつもりでいました。その題材を探していた時に、小学校のいじめ自殺事件を見つけたんです。そのニュースは被害者の子供ことではなく、加害者の子供の父親と同姓同名の人が被害に遭ったというニュースだったんです。なぜ社会的に全く関係のない人たちからネットリンチを受ける時代になってしまったのか」と理由を語った。

市山ディレクターが「お金を集めるという点で、決して簡単な題材ではないと思いますが」と問うと、春本監督は「扱う題材が題材だけに日本の通常の商業映画の枠組みで作ることは難しいと思った」と語った。「『かぞくへ』を撮った際、スタッフ・キャストはノーギャラだったんですけど、2作目はそうしたくもないと思いました。そこで『かぞくへ』を公開しながらクラウドファンディングを募り、松島さん、片渕さんも融資してくれました」と資金集めの難しさを語った。

また、松島プロデューサーは「監督がやりたいことを自己プロデュースしながら制作していく。もちろんお金はかけられない、題材は地味な部分ではあるんですけど、中国や韓国の人々の心に届いた。次は春本監督も3作目になりますが、若い人たちも自分でプロデュースをするということやってみたらいいと思っています」と語った。

市山ディレクターより本作が中国の平遥国際映画祭で審査員賞と観客賞のダブル受賞をしたこと、韓国の第25回釜山国際映画祭ニューカレンツ部門では最高賞に当たるニューカレンツアワードを受賞したことを報告すると、会場から大きな拍手が。

続いて観客からラストシーンは最初から決まっていたのか、という質問が挙がった。ラストシーンは途中まではもう少し救いのある脚本だったが、しっくりこなかったそうだ。「本当に問うべきところはどこか、を悩みました」と春本監督。松島さんや片渕さんのアドバイスを受けてラストシーンが出来上がったとのこと。

主人公の女性の描き方へのこだわりはあったのかと訊かれると、春本監督は「意図したわけではなく、シナリオを描き終わったときに気づき、映像になってさらに自覚した」と前置きし、由宇子が女性であるというのは、父親と娘という関係性だからこそ、ストーリーに衝撃を与えると語った。また、「ドキュメンタリー作家として戦うフィールドで、男性と女性だった場合、どちらが鮮明に見えるだろうか」ということも考え、主人公を女性としてシナリオを作り始めたそうだ。また、加害者家族も意図せず女性だったが「結果として、生き残って耐え忍んでいたのは女性だったと書き終わって気づきました」と春本監督。「日本社会において、未だに戦わなくてはいけない側は女性なのかもしれない」と語った。

タイトル『由宇子の天秤』に込められた意味について問われると、松島プロデューサーが「信じるものが揺らいでバランスを壊して倒れた時、どう立ち上がるのか。秘密と嘘を現代人は抱えていながら、人と関係を結んでいく。その中で天秤のように揺れ動くというのが象徴的に思いました」と解釈した。片渕プロデューサーも「嘘が絶対的なものではなく、相対的なもので、何かのバランスがずれただけで、真実や事実や嘘は全部同じではないか。それらが天秤の中でゆらゆらしているのがまさにこの題名だ」と語った。

質疑応答はここで終了。

片渕プロデューサーより「自分が映画を制作するとき、歴史的事象を調べるが、今残されている人たちの言葉から知るしかないわけです。しかし、残らなかった人の言葉、消されてしまった言葉もあります。たまたま、あるいは意図的に残された言葉が歴史の1ページを形作っているなら、その周りの言葉をもっと知らないといけないと思います。春本監督の脚本にはそれが語られていて、自分が本作に入れ込む原動力になりました。この作品が何か世の中の1ページとして残る言葉となってほしい」と振り返る。

松島プロデューサーは「みんなが理解できるエンディングを敢えて作らないことが騒めきとなって、観客がそれを持ち帰って自分の中で答えを探す。これが本作の魅力だと思います」とコメント。

最後に春本監督より「制作中、正しさとはいったい何なのかと考えました。誰かから見た正しさは、他の誰かから見て正しさではないのかもしれない。絶対的な正しさは存在しない、ということをこの映画で感じてもらいたい。私自身の角度からこの映画を作っただけなので、それを受け取っていただいて、皆さん自身の中で新たな解釈を作っていただけたら、と思います。私はそういう映画を作っていきたいと思います」と観客に語りかけた。
本作は現在公開準備中で、来年公開を目指している。
(文・谷口秀平、撮影・白畑留美)

10/30 第21回 東京フィルメックス 開会式


10/30 第21回 東京フィルメックス 開会式
有楽町朝日ホール

市山 尚三(東京フィルメックス ディレクター)

万田 邦敏(映画監督)
クリス・フジワラ(映画評論家)
坂本 安美(アンスティチュ・フランセ日本 映画プログラム主任)
エリック・ニアリ(プロデューサー)
トム・メス(映画評論家)

映画の時間プラス『なぜ君は総理大臣になれないのか』大島新監督Q&A

10月31日、TOHOシネマズ シャンテ スクリーン1にて、『なぜ君は総理大臣になれないのか』の日本語字幕・音声ガイド対応のバリアフリー上映会が行われた。本作は、大島新監督が、衆議院議員・小川淳也さんを17年間にわたって撮影し続けたドキュメンタリー作品。今年6月に都内2館で公開されて以来、その評判が口コミで広がり、上映館数は現在までに全国70館を超え、大きな話題を呼んでいる。

本作の上映後には、音声ガイドを制作した松田高加子さん(Palabra株式会社)の司会進行により、大島新監督のQ&Aが行われた。観客から拍手で迎えられた大島監督は、「まだ新型ウイルス感染の不安がある中で、ご来場いただきありがとうございます。東京フィルメックスという映画祭で上映していただき、なおかつ、ミニシアター系劇場が中心のドキュメンタリーではなかなか上映が難しいTOHOシネマズさんで上映していただき、とても嬉しいです」と挨拶した。

東京フィルメックスでは、新型ウイルス感染予防に配慮して、観客がQRコードを読み取って質問する形式がとられているが、観客からの質問を待つ間、松田さんは、音声ガイドの原稿を書いている間、大島監督と一心同体になるような瞬間があったことを明かしてくれた。そして、大島監督が小川議員をじっと観察しているかと思えば、突然、「総理大臣になりたいですか」と議員に切り込むタイミングが実に刺激的だったと語ると、大島監督は次のように応じた。

「ドキュメンタリーは、被写体との距離感が重要です。その場で起きていることをきちんと記録することが1つ目にあって、さらに取材者としてどのように介入していくかということには最も頭を悩ませているところで、そこが作り手の持ち味になると思います。私は、人物ドキュメンタリーを撮るときに、右手に花束、左手にナイフと思っています。信頼関係がないとそもそも撮影ができませんが、ただ相手のことが好きですというだけでは見ごたえのあるものは作れません。場合によっては、被写体が撮られたくないもの、見せたくないものも、意味があるものは引き出していかなければならないと思います。」

また、松田さんは、映像を音声で届ける音声ガイドならではの難しさを垣間見せてくれるエピソードも紹介してくれた。それは、2017年衆議院議員総選挙活動中に苦戦を強いられていた小川議員が、駐車場に停めた選挙カーの中で後部座席にいた大島監督に語りかける場面でのこと。助手席にいた小川議員の横顔がとても印象的だったため、その様子をあえて音声ガイドの原稿に取り込んだという。後日、その部分に対して大島監督から確認が入ったものの、最終原稿には残されたそうだが、「あれは主観的なものが入ってしまった」と振り返った松田さん。それに対して大島監督は、「あのシーンはとても重要で、長い付き合いがあったからこそ撮れた場面です。我々は、ドキュメンタリーの神が下りてきた、というような言い方をするのですが、こちらから問いかけたわけでもなく、カメラが回っていなかったら成立しておらず、ポロっと出てきたものです。あのシーンは間(ま)が大切で、空気感をそのまま見せた方が彼の苦悩がよく伝わるのかなと思ったのですが。音声ガイドには必要であるけれど、どこまでやるべきか少し考えました」と、迷いがあったことを明かしてくれた。

続いて、会場からの質問に移った。
作品のタイトルを思いついた時期について訊かれると、大島監督は、2016年にこの作品の企画書を小川議員に提出するときだったと答えた。「最初に会った時に、総理大臣になると言っていたのに、社会を良くすると言っていたのに、全然なれそうにないじゃないか」と本人にぶつけようと思って、浮かんだタイトルなのだとか。

また、長年撮影を続けてきて、この時期に本作が公開された理由については、まったくの偶然だったという。作品としてどのように終わらせようかと悩んでいた大島監督は、2017年の選挙が終わった時に編集を始めたそうだが、そこで終わらせてしまうとあまりに救いがないと感じ、少し寝かせて、公開時期を見計らっていたところ、2019年2月に小川議員が国会の質疑で勤労統計調査の不正を追及し、「統計王子」として評判になったことから、完成させる方向に進むことができたという。

さらに続編について話が及んだ。大島監督によると、すでに続編の撮影は始まっているという。「小川さんのような政治家の在り方を問い続けることに意味があるのではないか」と考え、続編でも小川議員の政治活動のポイントごとに取材を続け、政策立案にも焦点を当てたいとのこと。「公開できるかどうかわかりませんが、タイトルが『まさか君が総理大臣になるとは』というような映画になるといいなと思っています。そうならなくても、ひとりの政治家の記録として何らかの形で残したいです」と意気込みを語ってくれた。

最後に、「みなさんの口コミの力がとても大きい作品なので、気に入っていただけたら、ご友人やご家族の方にも推薦していただけたら嬉しいです」と大島監督の言葉で締めくくられ、和やかな雰囲気の中、Q&Aが終了した。本作品はポレポレ東中野をはじめ、全国各地で公開中。音声ガイド版(制作:松田さん、ナレーション:大島監督)にも注目していただきたい。

 

(文・海野由子/写真・明田川志保)

STILL BY HANDが協賛、スタッフTシャツ!オンラインでも販売します!

STILL BY HANDが東京フィルメックスへ初めての協賛。スタッフユニフォームとしてTシャツを提供することとなりました。イラストを担当したのはグラフィック・デザイナーの小林一毅。映画に関わる多種多様な人が集う映画祭という場に相応しく、様々な感情を内包した人の姿をモチーフにしたイラストが特徴的です。

このたび、公式サイトで通販を行うことになりました。

カラーはホワイトとブラックの2色、サイズは男女3サイズを展開
価格は税込、6,050円(初回入荷分限定でお申込の方、普通郵便の送料無料)
レディースサイズは、1、
メンズ Mサイズは、2
メンズ Lサイズは、3

お支払は、銀行振込のみ受付ます。
ご購入のお申込みは以下のリンク先のフォームよりお申し込み下さい。
Tシャツお申込み: https://forms.gle/JmEAWpkxYr3knKrg8

東京フィルメックスの会場、TOHOシネマズ シャンテ、ヒューマントラストシネマ有楽町、有楽町朝日ホールでも販売予定です。

【New Director Award】ファイナリストを発表します

New Director Award最終選考選出者11名を発表いたします。New Director Awardの最終結果・受賞者は11月7日(土)の第21回東京フィルメックス授賞式で発表予定です。

<New Director Award ファイナリスト>
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応募者名 企画名
田中隼 TANAKA Jun 「DOPPELGANGER STORY」
田中希美絵 TANAKA Kimie 「ファミリー・プランナー」
藤井悠輔 FUJII Yusuke 「永い夜」
石川泰地 ISHIKAWA Taichi 「縊の木(くびれのき)」
谷中史幸 YANAKA Fumiyuki
坂本あゆみ SAKAMOTO Ayumi
「13(仮)」
鈴木洋平 SUZUKI Yohei 「あぼっけ」
宮瀬佐知子 MIYASE Sachiko 「旅立ちにも似た」
奥野俊作 OKUNO Shunsaku 「サマータイム(仮)」
甫木元空 HOKIMOTO Sora 「はだかのゆめ」
金子由里奈 KANEKO Yurina 「まどろむ土(仮)」
山本英 YAMAMOTO Akira 「熱のあとに」
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追加上映作品発表!<映画の時間プラス>「なぜ君は総理大臣になれないのか」バリアフリー上映会

10月30日より開催する第21回東京フィルメックスにて、今年公開され大きな話題を呼んだ大島新監督作「なぜ君は総理大臣になれないのか」の<映画の時間プラス>日本語字幕・音声ガイド対応のバリアフリー上映を実施します! 詳細はこちら

上映日時:10月31日(土) 10:00-
上映会場:TOHOシネマズ シャンテ1

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<映画の時間プラス>「なぜ君は総理大臣になれないのか」バリアフリー上映会
10月31日(土) 10:00- @TOHOシネマズ シャンテ
日本 / 2020 / 119分
監督:大島新 (OSHIMA Arata)
作品詳細へ

公式サイト / 上映スケジュール / チケット発売情報を更新しました

大変お待たせいたしました!10月30日(金)から11月7日(土)にかけて開催する第21回東京フィルメックスの上映スケジュール&チケット情報を掲載しました。

<上映スケジュールはこちら>

*10月5日時点での情報です。
*プログラムや時刻などは事情により予告なく変更となる場合があります。

<チケット販売情報はこちら>

今年は10月17日(土)より発売!

第21回東京フィルメックス上映作品 <コンペティション部門>

10月30日から11月7日にかけて開催する第21回東京フィルメックス。本日、オンライン記者発表の形で上映作品を発表しました。本年度もアジアを中心とした素晴らしい作品を取り揃えましたので、是非ご期待ください!なお、上映スケジュール、チケット販売方法は近日、公式サイトにて発表致します。

第21回東京フィルメックス開催概要
期間 : 2020年10月30日(金) ~ 11月7日(土) (全9日間)+11月22日(日)
会場 :TOHOシネマズ シャンテ 10/30(金)〜11/5(木)
ヒューマントラストシネマ有楽町 10/30(金)〜11/5(木) *レイトショー
有楽町朝日ホール 10/30(金) – 10/31(土)、11/6(金)- 11/7(土)+11/22(日)
アンスティチュ・フランセ東京 11/5(木) – 11/6(金)
アテネ・フランセ文化センター 11/6(金)

 

press conference

 


 

東京フィルメックスコンペティション 国際審査員

press conference
万田邦敏( 審査委員長 / MANDA Kunitoshi / 日本 / 映画監督 )
クリス・フジワラ( Chris FUJIWARA / アメリカ / 映画評論家 )
坂本安美( SAKAMOTO Abi / 日本 / アンスティチュ・フランセ日本 映画プログラム主任)
エリック・ニアリ( Eric NYARI / アメリカ / プロデューサー )
トム・メス (Tom MES / オランダ / 映画評論家)

<審査委員長> 万田監督よりメッセージ

第21回東京フィルメックスのオープニング作品として『愛のまなざしを』が上映されることは、私のみならずキャスト・スタッフ一同、たいへん嬉しく、また名誉なことと思っています。しかも、私が審査員長を務めることにもなり、身の引き締まる思いです。2020年は、不幸にも新型コロナウィルス禍の年として記憶されることになりました。日常の風景も一変しました。おそらく、今後作られる映画に描かれる人間、社会、風景、物語、すべてが新型コロナの影響からは逃れられないのだと思います。しかし、映画はこれまでも世界規模の災禍の後に、新たなテーマ、視点、技法、描写力を手に入れ、進化してきました。今回の映画祭に集う映画たち、映画人たち、そして観客が、最初の「次なる映画」の証人になることを私たちは信じています。

 


 

東京フィルメックス・コンペティション

世界的に大きな注目を集めるアジアからは、才能ある新鋭たちが次々と登場しています。そんなアジアの新進作家が2019年から2020年にかけて製作した作品の中から、12作品を上映します。また5名からなる国際審査員が、最優秀作品賞と審査員特別賞を選び、11/7(土)に行われる授賞式で発表します。(日本語タイトル横の★=長編監督デビュー作)
上映作品の詳細、上映スケジュール、チケット販売方法については近日、公式サイトにて発表いたします。  

 

Should the Wind Drop
「風が吹けば」★ Should The Wind Drop
フランス・アルメニア・ベルギー / 2020 / 100分
監督:ノラ・マルティロシャン(Nora MARTIROSYAN)
アルメニアとの国境に隣接し、アゼルバイジャンからの独立を主張するナゴルノカラバフ地区。戦争で破壊され、停戦後に再建された空港を調査するために来訪したフランス人技師が見たものは……。「カンヌ2020」に選出されたノラ・マルティロシャンの監督デビュー作。

 

In Between Dying
「死ぬ間際」 In Between Dying
アゼルバイジャン・メキシコ・アメリカ / 2020 / 88分
監督:ヒラル・バイダロフ(Hilal BAYDAROV)
タル・ベーラの薫陶を受けたアゼルバイジャンの新鋭ヒラル・バイダロフの長編劇映画第2作。行く先々で死の影に追われる主人公の一日の旅を荒涼たる中央アジアの風景を背景に描き、見る者に様々な謎を投げかける。ヴェネチア映画祭コンペティションで上映。

 

Careless Crime
「迂闊(うかつ)な犯罪」 Careless Crime
イラン / 2020 / 139分
監督:シャーラム・モクリ(Shahram MOKRI)
1979年イスラム革命前夜、西欧文化を否定する暴徒によって多くの映画館が焼き討ちにされた。それから40年後、4人の男たちが映画館の焼き討ちを計画する……。奇抜な発想を知的な構成で映画化したモクリの監督第4作。ヴェネチア映画祭オリゾンティ部門で上映。

 

Yellow Cat
「イエローキャット」 Yellow Cat
カザフスタン・フランス / 2020 / 90分
監督:アディルハン・イェルジャノフ(Adilkhan YELZHANOV)
カザフスタンの草原地帯を舞台に、裏社会から足を洗って映画館を開こうとする前科者の主人公の苦闘をコメディ・タッチで描いた作品。その多くが国際映画祭に選ばれている俊英アディルハン・イェルジャノフの最新作。ヴェネチア映画祭オリゾンティ部門で上映。

 

Milestone
「マイルストーン」 Milestone
インド / 2020 / 98分
監督:アイヴァン・アイル(Ivan AYR)
北インドを舞台に、激しい腰痛に苦しみながら亡くなった妻の家族への賠償金のために働くベテランのトラック運転手の苦悩を描く。デビュー作『ソニ』が高く評価されたアイヴァン・アイルの監督第2作、ヴェネチア映画祭オリゾンティ部門で上映。

 

Aswang
「アスワン」★ Aswang
フィリピン / 2019 / 85分
監督:アリックス・アイン・アルンパク(Alyx Ayn ARUMPAC)
麻薬患者や売人をその場で射殺する権利を警察に与えたフィリピンのドゥテルテ政権。その政策の下で苦闘する人々を追ったドキュメンタリー。題名はフィリピンの民間伝承に登場する妖怪の名からとられた。アムステルダム国際ドキュメンタリー映画祭で上映。

 

The Silent Forest
「無聲(むせい)」★ The Silent Forest
台湾 / 2020 / 104分
監督:コー・チェンニエン(KO Chen-Nien)
聾唖学校に転校してきた少年がスクールバスである“ゲーム”を目撃する。それは彼がその後目にする残酷な現実の序章に過ぎなかった……。台湾で実際に起こった事件を元にしたコー・チェンニエンの監督デビュー作。台北映画祭でオープニング作品として上映された。

 

The Best is Yet to Come
「不止不休(原題)」★ The Best Is Yet To Come
中国 / 2020年 / 115分
監督:ワン・ジン(WANG Jing)
配給:ロングライド
多くの社会問題を告発した実在の新聞記者をモデルに、財力もコネもない若者が記者として成長してゆくまでを描いた作品。『罪の手ざわり』以降のジャ・ジャンクー作品を助監督として支えたワン・ジンの監督デビュー作。ヴェネチア映画祭オリゾンティ部門で上映。

 

Any Crybabies Around
「泣く子はいねぇが」 Any Crybabies Around?
日本 / 2020年 / 108分
監督:佐藤快磨(SATO Takuma)
配給:バンダイナムコアーツ/スターサンズ
親、そして大人になることからも逃げてしまった主人公が、過去の過ちと向き合い成長する姿を描く青春グラフィティ。是枝裕和が惚れ込んだ新たな才能、佐藤快磨の劇場デビュー作。仲野太賀、吉岡里帆が出演、サン・セバスチャン映画祭コンペティションでワールドプレミア。
(c)2020「泣く子はいねぇが」製作委員会

 

The Blue Danube
「きまじめ楽隊のぼんやり戦争」 The Blue Danube
日本 / 2020年 / 105分
監督:池田暁(IKEDA Akira)
配給:ビターズ・エンド
川向こうの町との戦争が当たり前のこととして生活に根付いている架空の町。そんな町でも人々は小さな幸せや苦労を重ねながら生きている……。『山守クリップ工場の辺り』で鮮烈なデビューを飾った池田暁の独特なユーモアが全編に展開される長編第4作。
(c)2020「きまじめ楽隊のぼんやり戦争」フィルムプロジェクト

 

A Balance
「由宇子の天秤」 A Balance
日本 / 2020年 / 152分
監督:春本雄二郎(HARUMOTO Yujiro)
製作:映画「由宇子の天秤」製作委員会
主人公は女子高生自殺事件を追うドキュメンタリー監督の由宇子。事件の真相に迫りつつある由布子は、学習塾を経営する父から衝撃的な事実を知らされる……。デビュー作『かぞくへ』に続く春本雄二郎の監督第2作。瀧内公美、光石研、河合優実、梅田誠弘が出演。
(c)2020 映画工房春組

 

okinawa santos
「オキナワ サントス」 OKINAWA SANTOS
日本 / 2020年 / 90分
監督:松林要樹(MATSUBAYASHI Yoju)
配給:東風
『祭の馬』の松林要樹の待望の新作ドキュメンタリー。第二次大戦中、ブラジルのサントスで起こった日系移民強制移住事件。その6割が沖縄からの移民であったという事実に注目した松林は、多くの人々の証言から沖縄とブラジルの間の埋もれた史実を明らかにする。
(c)玄要社

 


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