2009年09月04日
■第10回東京フィルメックス 映画祭ボランティア募集中!■
第10回東京フィルメックスでは映画祭の運営を支えてくださる、
様々なボランティアスタッフを募集しています。【9/19締切】
映画を作る人・見る人の橋渡しとして、映画祭を盛り上げよう!
裏方は、実は地味で大変ですが、やりがいのある貴重な体験となるでしょう。
何事にも積極的に取り組んで、楽しい映画祭を一緒に作り上げましょう。
映画好きな方、イベント好きな方、何かやってみたい方、
やる気とお時間のある方のご応募を心よりお待ちしております!
【1】ボランティアの内容について
--詳細は
A:運営班(事前広報や事務作業、会場運営業務)
B:ホスピタリティ班(来日ゲストのアテンド、ウィスパリングなど)
C:記録映像班(イベントの記録撮影、動画編集など)
D:広報デスク班(プレス受付など)
E:デイリーニュース班(WebデイリーニュースのQ&Aレポート執筆など)
※事前のミーティングや準備作業および映画祭期間中(11/21~29)に5日間
以上参加できる方。
【2】場所
会場(有楽町朝日ホール他)、東京フィルメックス事務局(赤坂)など
【3】支給
・交通費支給 ・開催中は時間帯によりお弁当支給
・公式カタログ1部 ・スタッフ証 ・スタッフTシャツ(予定)
・会期中に、上映作品の鑑賞が可能となる場合もあります。
(ただし、混雑する作品は不可。また、仕事優先となりますので、
必ずしも希望作品を観賞する機会があるとは限りません)
【4】応募締切:9月19日(土)締切
※応募多数の場合は早めに締切とする場合もあります。
メール選考のうえ、面接を受けて頂く方にはメールでご連絡します。
【5】応募方法
公式サイト
をご参照のうえ、ボランティア要項に従ってメールで応募して下さい。
【6】お問い合わせ
メールで
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今年の2つの特集上映、プレイベント、審査委員長が決定いたしましたので、お知らせします。
なお、プログラムの詳細は9月中旬に発表予定です。
■特集上映
1.「ニッポン★モダン1930~もうひとつの映画黄金期」
特集上映「ニッポン★モダン1930~もうひとつの映画黄金期」
2.「ジャン=ピエール・メルヴィル特集~コードネームはメルヴィル」
特集上映「ジャン=ピエール・メルヴィル特集~コードネームはメルヴィル」
■プレイベント
「第10回記念 東京フィルメックスの軌跡~未来を切り拓く映画作家たち」
◎期間
2009年10月31日(土)~11月6日(金)
◎会場
シネマート六本木
ー過去の東京フィルメックス上映作品のうち、受賞作品を中心としてセレクト上映します。
■審査委員長決定!
いよいよ9月19日(土)より公開される、今年最大の話題作「カムイ外伝」。
その崔 洋一監督が今年のコンペティション部門審査委員長に決定しました。
審査委員長をお引き受けいただくにあたり、「どこにポイントをおいて選考されるか、どんな作品に出会ってみたいか」を語っていただきました。
林 加奈子(東京フィルメックス、映画祭ディレクター)
本当にカウントダウンのタイミングになって参りました。いよいよ明日22日(土曜日)から開幕です。
どうぞ、みなさまご来場をお待ちしております。すべての上映作品に、当日券をご用意しております。
当日券は有楽町マリオン朝日ホールでは、会場窓口にて当日一回目上映開始の40分前よりその日の全上映回分を発売致します。
フィルムセンターはすべて当日券でございます。開映後は、入場できませんのでお気を付けください。
夜のシネカノン有楽町一丁目(ビックカメラの上)の上映は8回の特設受付で夜8時から当日券を販売致します。
良い映画との出会いのチャンスです。今年は特に日本での今後の公開が決まっていない作品が多いので、どうぞこの機会をお見逃しなきよう。
スクエアでのトークイベントは入場無料です。上映後の質疑応答がある回もございますので、みなさまの積極的な挙手を心からお待ちしております。
楽しい映画祭の日々をみなさまにお楽しみいただけますよう。お待ちしております。
林 加奈子(東京フィルメックス、映画祭ディレクター)
必見のドイツ映画!<クラウド9>
アンドレアス・ドレーゼン監督にも是非とも御来日いただきたかったのですが、残念ながらどうにも日程調整がつかず、今回はいらっしゃれない事になりました。しかし、この<クラウド9>は、必見の一本です。
結婚して30年も連れ添った相手との穏やかで問題ない日常がありながら、別の男性に魅かれて恋をしてしまうミセスの話です。つまり一言で言うと不倫の話なのですが、この映画の凄さは倫理的な問題よりも、彼女の変化をどう描くかという演出力と演技力です。旧東側で活躍していた演劇舞台のキャストによる映画と聞いていますが、恋をした彼女の初々しくて瑞々しい美しさは、本当に驚くばかり。俳優を目指している人たちにも是非ともご覧いただきたい一本です。
幾つになっても恋をする事はあるのですね。人はいつでも生き生きと生きられるのですね。でも、30年連れ添った配偶者がいる場合には、物事はそう簡単には展開しません。もし、彼女が初々しくなくて、もっと狡猾で、悪女になれたら、それだけの良くも悪くも資質があったのなら、ラストはまた別の展開があっただろうになぁとため息をつくばかりです。
今年は女性が中心になっている良い映画が集まりました。「木のない山」は子供たちですが主人公は6歳の少女とその妹。「ヘアカット」はティーンエージの女の子、「ノン子36歳(家事手伝い)」はアラフォーの難しい年頃の女性。「ティトフ・ヴェレスに生まれて」は年の離れた3人姉妹の話。そして「ショーガ」は若い人妻。
「完美生活」も二人の中国女性の生き方を描いています。どれも女性の生きざまについて考えさせられます。シンプルに女性映画という括り方をするつもりは毛頭ありませんが、どれも味わい深い映画ばかりです。
林 加奈子(東京フィルメックス、映画祭ディレクター)
<ノン子36歳(家事手伝い)>の魅力
熊切監督の新作を上映できる幸せ。24日の上映です。出演者の方々の舞台挨拶も予定されておりますので、みなさまどうぞこの機会をお見逃しなきよう。30代後半の女性を主人公にして、しかも(家事手伝い)なんてタイトルだと地味な映画と思いきや、微妙な心理描写を的確に画面に定着させて美しくきめ細やかな映画に仕上がっています。
思えば7年前の「空の穴」。ベルリンで上映された時には、今も輝き続ける寺島進さんと熊切監督と一緒にベルリンでお会いしましたっけ。寒空の中、朝早くベルリンの街を寺島さんとボソボソと話しながら散歩した記憶があります。なんで朝早くだったのかそのあたりまでは記憶が定かでないのですが、きっと私の事なのでその日は朝9時から見たい映画があって、寺島さんを早朝の散歩にお誘いしたに違いない。今更ながら寺島さん、その節はありがとうございました。あの時の「空の穴」の北海道を舞台に透明感あふれるキラキラした空気に感動した記憶が、「ノン子36歳(家事手伝い)」を拝見して蘇ります。
36歳の女性。36歳というのは復活再生できる年齢か。いや、私には36歳というのはまだまだ全くこれからで、体力も落ちていないし、精神的にも強くいられるし、何も心配いらないような年齢と思えるのですが、まぁそれは振り返って考えるからでしょう。いつでもその時その時で悩みは尽きませんから。熊切監督のアラフォーに向けての人生賛歌を、是非ともこの上映の機会に存分に味わっていただきたいと切望しております。シャイな熊切監督へ直接上映後に質疑応答ができる絶好のチャンスですので、どうぞご来場をお待ちしております。
そういえば、個人的な話ですが、私が映画祭ディレクターを務めていこうと決意したのが36歳の時でした。みなさまにとっての36歳はどんな年だったり、またはこれからどんな年になるのでしょうか。ご多幸をお祈りしております。
林 加奈子(東京フィルメックス、映画祭ディレクター)
<浅丘ルリ子さま、御登壇トークイベント決定!>
なんと、朗報です。驚いて、喜んで、ありがたいニュースでございます。
浅丘ルリ子さまが、トークイベントにいらしてくださる事になりました。日時は11月25日(火)のフィルムセンター・大ホール。13:00からの「憎いあンちくしょう」の上映後に、お話をしてくださる事になりました。なんて素敵な大女優。お目にかかる前からドキドキです。粗相の無いようにしなくてはなりませぬ。
みなさま、お話を直接伺えるこのチャンスをどうぞお見逃しなく。フィルムセンターは当日券のみでございます。開場は開映の30分前です。「憎いあンちくしょう」の映画をご覧になられるお客さまには、上映終了後にもそのまま残っていただいて、浅丘さまのトークイベントをお聞きいただけます。フィルムセンターは開映後のご入場はできませんので、どうぞくれぐれもお時間にお気をつけてご来場ください。
林 加奈子(東京フィルメックス、映画祭ディレクター)
<新しい才能、「PASSION」>
日本からのコンペ作品の一本。「PASSION」。監督は濱口竜介という名前です。橋口亮輔監督と漢字では違うのですが、横文字にするとなんだか似ています。みなさま、この名前には今後ピンと来るようにしておいてくださいませ。今後の活躍が楽しみです。
この作品については、特別にインタビュー取材をしましたので、是非ともデイリーニュースをクリックお願いします。俳優たちを状況の中に置いてどうなるのか、臨場感あふれる演出のチャレンジを楽しめます。
彼は今後注文を受ける形ででも、積極的に制作のチャンスを広げていきたいとおっしゃっていましたので、業界の方でフレッシュな才能ある監督を探していらっしゃるプロデューサーのみなさま、是非ともこの機会に「PASSION」をお見逃しなく。
林 加奈子(東京フィルメックス、映画祭ディレクター)
<ブラジル映画の奇跡。必見のジョアキン・ぺドロ・デ・アンドラーデ特集>
今年はブラジルからの映画を何本も上映する第9回東京フィルメックス。まずは映画史上に輝ける傑作、「マクナイーマ」をご覧ください。4年前のカンヌ・クラシック部門で修復ヴァージョンの上映があり、ぶったまげた一本です。カンヌという騒然とした所に自分が居ることを忘れられた一本でした。その後ご遺族と連絡を取り始め、今年念願のアンドラーデ特集ができる運びとなりました。
ブラジル映画はたまげる作品がいっぱいあって、日本でまだ紹介されていない作品も多いのですが、「マクナイーマ」。フェリーニとは違うのですが、フェリーニが見たらどう思うかしらという変な妄想が心をよぎりました。自由な発想のパワーが充満しています。アンドラーデ作品のユニークさは、是非ともご満喫いただきたい。初日22日の「マクナイーマ」上映後には一階下のスクエアにてアンドラーデについてのトークイベントも企画しています。ブラジルのパワーは凄いです。ブラジル人って何なんだろうか。見れば見るほど謎が重なります。
短編ながら「キャットスキン」は大好きな一本です。またペレと並んで、ブラジルサッカー界での王か長嶋かと言われる国民的英雄ガリンシャを追ったドキュメンタリー「ガリンシャ」もどうにもこうにも必見です。日本のサッカー好きな人、みなさまの周囲にいらっしゃるサッカーファンに、是非ともこの上映をお知らせください。ポリオの影響で左右の足の長さが異なるハンディを背負いながら、だからこそドリブルのタイミングを敵に見破らせないという有名なガリンシャ選手を追いながら、60年代のブラジル社会を垣間見せてくれます。
前売り券、絶賛販売中でございます。
林 加奈子(東京フィルメックス、映画祭ディレクター)
<必見のオープニング作品>
いよいよ2週間を切った、第9回東京フィルメックス。前売り券、絶賛販売中でございます。フィルメックスは映画業界の方々もさることながら、一般のお客さまが熱く素晴らしいのは、世界的にも有名です。御来日の監督たちも、シャープなご質問にハッピーになってご帰国くださいます。おかげさまで第9回。どうぞみなさま、前売り券を早めにお買い求めくださいますようお願いします。
粘って粘って、素晴らしいプログラムとなりました。心にしみる映画を上映できる喜び。まずはオープニングの「リーニャ・ヂ・パッシ」にご注目ください。新作のブラジル映画。監督はウォルター・サレスとダニエラ・トマスの共同で、今年のカンヌで主演女優賞(お母さん役の女優、サンドラ・コルベローニ)を受賞しています。
10代の4人の息子たちを育てるお母さんは、貧しい日々の中疲れ果てているのですが、この作品は、彼女がサッカー観戦でエネルギッシュに応援している場面から始まります。それぞれの息子たち、夢と希望と現実の中で、激動のブラジルの社会の中で、切磋琢磨するある家族のドラマが繰り広げられるのですが、必見のポイントは、貧しく過酷な状況の人たちを描いていながら、テンポとタッチは決して重苦しくなく、爽快感さえあるという点です。まさしく、フレッシュなオープニング作品。サッカー好きのお客さまにも十分にお楽しみいただけます。
ちなみにこの映画、まだ日本での配給が決まっていません。つまり現時点では今後公開の予定がありません。良い映画でも様々な事情で公開がすぐに決まるとは限りません。今回の上映で日本の配給会社の方が動いてくださる事を切望しております。業界関係者の方も是非ご来場ください。東京フィルメックスは、新しい流れを提案しつづけます。
現在好評連載中の月刊アスキー誌上の新作レヴューに続き、今度は小学館から発行されている国際情報誌「SAPIO」にて新しく連載が開始しました。
連載タイトルは「THE WORLD FILMeX 映画を見れば世界がわかる」。"映画を通じて世界への様々な視点を広い角度から提供すること"を目指して、事務局スタッフによるリレー連載として、劇場などで公開中(もしくは公開間近)の作品の中から注目作品を紹介します。
発売中の号では、記念すべき第1回でアルベール・ラモリス監督による「赤い風船」と「白い馬」を紹介しました。SAPIOは毎月第2・第4水曜日の発売、次号は変則的に8月6日発売です。
また、月刊アスキーの今月号では「ホウ・シャオシェンのレッドバルーン」をご紹介しています。
これからも、東京フィルメックスがお薦めする2つの連載にご注目ください。
第8回東京フィルメックスのプログラムちらしは、10/9(火)に完成の予定です。
10/10(水)以降より、有楽町朝日ホール、シネカノン有楽町1丁目、フィルムセンター等にて配布致します。
また、その後、都内ミニシアターやちらしスポットなどにても配布の予定です。
※プログラムちらしのサイズとデザインについて、リニューアルしました。
変形サイズのリーフレット形式となります。小ぶりなサイズで持ちやすくカバンなどにしまいやすくなりました。(映画館のチラシコーナーでは、小さいサイズは目立ちにくいかもしれませんので、ご注意下さい)
また、作品のカラー写真を載せるとともに、文字を大きく読みやすく改良しました。
(なお、ちらしに記載の情報は、9/26時点で公式サイトにアップした内容とほぼ同じとなります)
映画をめぐる、今年の世界の動向を大きく左右する一大イベント、カンヌ国際映画祭が閉幕しました。日本から唯一、コンペティション部門に出品されていた「殯(もがり)の森」(河瀬直美監督)がグランプリを獲得したことは、報道でも大きく取り上げられた嬉しい出来事のひとつでした。
ちょうどカンヌでの授賞式が行われている頃、東京では第8弾となった英語字幕付き上映会「日本クラシック、海外発信中! Rediscovery of Japanese Cinema」が盛況のうちに3日間の会期を閉じました。
今回は新しい会場に場所を移し、海外で評価されている日本映画の名作を、新しい視点で観なおす機会となりました。平野共余子さんによる講演も、実際に体験された豊富なエピソードを多く交え、とても興味深いお話となり、詰めかけた聴衆も静かに聴き入っていました。
多くのお客様にいらしていただけましたこと、この場で深くお礼を申し上げます。
第1回の英語字幕付き上映会は、2004年の6月25日~27日の3日間にわたり行われました。
特集タイトルは「日本映画の巨匠と女優たち」(Masters of the Japanese Cinema)。1930年代-50年代の日本映画の傑作6本をお届けしました。
初めての試みだったので、お客様にいらしていただけるのか、そして上映をご覧になった反応は、と期待と不安とが入り混じった心境で迎えた上映でしたが、結果は1,185名のお客様にいらしていただくことになり、大成功を収めました。また、外国人のお客様の割合も非常に多く、特にアンケート回答の中には、熱のこもった感想を寄せていただいた方もたくさんいらして、次回以降のシリーズ化へと大きな弾みとなりました。
特に黒澤明監督の「白痴」と「醜聞」はニュープリントでの上映ということもあって、想定を大幅に上回る方が詰めかけたため、急遽、椅子を増やして対応するという一幕もありました。
この第1回では、映画批評家、映像作家であるドナルド・リチー氏(第5回東京フィルメックス審査委員長)をお迎えして、溝口健二の「浪華哀歌」の解説を中心に、日本映画の海外での紹介の状況などを講演いただきました。その模様は、この「事務局だより」でも採録してありますので、ぜひご覧ください。
<Masters of the Japanese Cinema (English)>
<Lectured by Donald Richie (English)>
ただいま発売中のキネマ旬報4月下旬号にて、佐々木淳さんによる「ベルリンでの岡本喜八」レポートが掲載されています(P.162-165)。昨年の国立近代美術館フィルムセンター共催による特集上映がきっかけとなって、今年2月のベルリン映画祭フォーラム部門で、9本の特集上映が行われました。
ヨーロッパでは初の本格的な特集となる岡本喜八監督に、どれだけの注目が集まるかと期待されましたが、予想を上回る反響を呼び、大変な成功を収めました。レポートでは、今回の特集を実現したフォーラム部門のディレクター、クリストフ・テルヘヒテ氏や、岡本みね子夫人、またベルリンの観客からのコメントを紹介している他、東京フィルメックスの林 加奈子ディレクターやフィルムセンターの岡田秀則氏が語る、「共催の意義」や「海外へ日本映画を発信する重要性」、「フィルム・アーカイブの活動について」なども紹介されています。
このベルリンでの好評が一過性のものに終わらず、世界中で喜八ブームを巻き起こすことを願っています。ぜひ、ご覧ください。
<前売りでは売り切れなのに、実際には空席が目立つ>というご意見もいただきました。確かに座席は当日券の枚数を確保し、ほかにもプレスやゲスト席などIDパスをお持ちの方々のお座席や、配給が決まっている作品はそちらへもお座席をお渡ししている関係上、前売りの段階から全席を売ってしまうことは不可能な現状がございます。
また前売り券をお買い求めいただいた方の中にはご都合が合わずに、止む無くご来場いただけずに空席になる場合もございますが、これは既に座席指定で販売済みでございますので、重ねて他の方にお回しすることも叶わず、止む無く空いているお席が出来てしまうこともございます。
自由席はお入りになってからはご自由にお好きなお席という良い面がありますが、ご入場の際に階段に整列してしばらくお待ちいただく形になってしまい、それもお客様にはご不便な事があろうかと考えております。座席指定と自由席は、両方とも良い面と不都合な側面があり、事務局でも試行錯誤ではございますが、よりよき方法を探っております。みなさまからの、貴重なご意見には、心から感謝申し上げます。
今年は約80人のボランティアスタッフにご活躍いただきました。大きくは運営、広報、ホスピタリティ、の各担当に分かれてのお仕事になりますが、大きな負担(やり甲斐?)の中、みなさまそれぞれの力を発揮いただいて、こなしていただきました。改めて重ねて感謝申し上げます。
中にはもう何年も引き続きお手伝いいただいているスタッフもいらっしゃいますが、初めての方は、公式サイトの募集要項に沿って応募をしていただいて、面接をしております。実際には選び抜かれた優秀な方々で、年齢も経験も様々ですが、観客のお客様とゲストのお客様を温かく気持ちよくおもてなしする精神に富んだ、良いチームが作れました。
期間中になるべくたくさんお手伝い可能な方が優先となります。また組織化してチームを編成していくためには、2ヶ月かかりますので、早い次期に応募をしていただくことが大変助かります。初めての方は是非とも夏の間に、できれば8月半ばあたりまでに、応募申請をしていただけますよう、心からお願い申し上げます。
第8回に向けて準備は既に始まっております。どうぞボランティア・スタッフとして東京フィルメックスの運営に関わってみようと考えてくださるみなさま、早くご一報くださいませ。
アンケートのご感想が監督に伝わっているのかどうか、お問い合わせをいただきましたのでご回答申し上げます。これは全ての作品というわけではありませんが、監督によっては格別にアンケートのご意見を知りたいという方もいらっしゃいますので、個人情報の部分を削除して、それぞれの作品に付いてのご意見をご覧頂く場合もございます。
が、基本的にはアンケートは事務局でお伺いしております項目ですので、監督に何か特別にメッセージなどある場合でもアンケートに書いて確実に届くというお約束はできません。あしからずご了承くださいますようお願い申し上げます。
サポーターズ・クラブの会員のみなさまには、東京フィルメックスの趣旨に賛同して活動を支援していただいていますが、この会費につきましては、実際に「高い」というご意見と「安い」というご意見と、両方いただいております。チケットの先行発売の枠を活用するためにメンバーになる方には高すぎるのかもしれません。また個人でも複数口のお申し込みをいただいている方もいらっしゃって、有り難い限りです。
映画を一本上映するのに幾らのお金が掛かるか。これはみなさまに愚痴る必要もない事ではありますが、「宣伝が足りない」という激励などもアンケートでいただきますもので、開催経費の予算が限られた中で企画運営を進めております事務局としては、胸の詰まるところです。宣伝するにもメディアや媒体に広告を載せたり、街に旗を出したり看板を出したりするのにも、大きな費用が掛かります。海外からのプリント調達、通関費、字幕翻訳費、字幕投影費、フィルム映写費、そして会場拝借料金、広報もポスターデザインからチラシ、公式カタログの編集、会場ロビーの制作物など、たくさんの経費が掛かります。
ゲストをお招きしたり、審査員を依頼したりの費用。ボランティアスタッフを集めてミーティングするにも、会議室を借りる費用がかかります。一本の作品を上映するのに一枚のチケットを幾らで売らないと収支としては合わないかという単純計算をしてしまうと、どうにも悲しいばかりです。
サポーターズクラブ会員として頂戴しております会費は、東京フィルメックスの活動の運営経費として、大切に、大事に使わせていただいております。NPO(特定非営利活動法人)として活動を進めておりますが、非営利というのは赤字でもよいという事では全くありません。大変苦しい中で何とか続けて来れたのも、ご協力いただいております関係各位のおかげと、サポーターズ会員のみなさまと、加えてご協賛、ご協力いただいている各位には、重ねて感謝と御礼を申し上げます。
私は以前の仕事で、日本映画を海外の国際映画祭のディレクターやプログラマーにご紹介したり、海外のシネマテークやアーカイブに日本映画の巡回上映をしたりという事をしていたもので、海外の国際映画祭関係者とは知り合いも多く、まさに彼らが必死で作品を選択されるのを目の当たりにして来た経験があります。これは貴重な財産であり、ネットワークという面でももちろんなのですが、その一方で尊敬できるディレクターたちは、彼らが自分の映画祭ならではの「どうしても上映したい」という作品を探すその情熱たるや、すさまじいものがあるのを知っています。
映画祭同士のパワーゲームに陥ることなく、作品の力を信じて、それらの作品を支援し、より一層輝くために力を尽くすのが、映画祭の使命です。今回、釜山国際映画祭のキム・ドンホさまと期間中を過ごす機会に恵まれて改めて痛感したのは、その素晴らしいお人柄に尽きます。韓国映画界のドンと言ってもおかしくない方なのに、腰が低くて無理強いしないし、権力を弄ばない。本当に温かくも立派な紳士でいらっしゃいます。
加えてドンホさまについてもう一つ驚いたことは、健啖でいらっしゃること。よく召し上がります。しかも早い。早飯っていうのは、もしかしたらディレクターの資質の一ポイントかしら、と考えてしまいました。つまり人のペースに合わせて食べられる。時間も場所も選ばない。海外に出かけるとディナーが3つも重なったり、ゲルマン系の人との朝早くの打ち合わせから、ラテン系との人たちとの夜遅くの重いディナーとか、もしくは試写が続いて全く食べる時間がなかったりと、とにかく全く胃に優しくない時間をサバイバルしていかないとならないわけですので、体力が肝心という次第です。
朝日ホールの上映では、日本語字幕を画面の外に出して表示しております。これについては、見やすくて良いという方と、見えにくいという両方のご意見を頂いています。事務局としても字幕投影については、考えどころでございます。
基本的に、英語字幕の付いているプリントを映画祭での上映だけのために海外から取り寄せて、それに日本語字幕をプリントを傷つけることなく、別のプロジェクターで投影する方法を用いておりまして、これにはアテネフランセ文化センターの字幕映写チームの神業的な作業にお世話になっております。翻訳者の方々にもギリギリにプリントが日本に届くような時間との戦いの中で、ご無理なお願いを毎年重ねてしまっておりまして、感謝に耐えません。
それで、画面の中に英語と日本語と両方が入ると、本編が見えにくいという難点もありえますが、また座席によっては字幕を外側に出すと見えにくくなるのも事実で、はたまた作品によっては画面の中に入れると映像の美しさが半減してしまう危惧のあるものもあり、難しいところです。
ただテクニカル面ではかなり工夫がなされて状況も変化してきていますし、画面の中に入れても映像への支障が最小限に抑えられる形での投影技術も進歩してきているようなので、今後お客様に見やすい日本語字幕かつ作り手のこだわりを損なわない日本語字幕のありかたについては、検討を重ねております。
今年は公式サイトが充実していました。期間中に時間を空けずに上映後の監督と観客のみなさまとのQ&Aをまとめてアップしたり、また慶應義塾大学DMC機構のご協力を得て、動画配信も試み、臨場感あふれる公式サイトを演出できました。トークイベントなどをまとめるのは一苦労ですが、良いスタッフが力を合わせて実現してくれました。ヒット数も1万件を超える反響となり、事務局スタッフ一同、ビックリ喜んでおります。
また開映前の場内でも過去の記録映像を部分的にご紹介しておりました。改めて素晴らしい作品に恵まれ、素敵な監督たちに、そして素晴らしい審査員のメンバーにご来日いただいた幸せな毎年が思い出されます。
特に今年は会期終了後、ボロボロになっている事務局にとびきりの情報が飛び込みました。ムン・ソリさまと「地球を守れ!」のチャン・ジュヌアン監督がクリスマスにご結婚されるという素敵な朗報です。お二人とも東京フィルメックスには別々にご来日いただいておりましたので、疲れた心と体に染み入る本当にうれしい吉報です。どうぞお二人とも末永くお幸せに。そしてますます良い作品をお作り続けてくださいますよう、信じております。そして願わくば、そのうちいつの日かお二人で東京フィルメックスにひょっこり遊びにいらしてくださいましたら、なんて、欲深な私たちはそんな日を切望しております。
フィルムセンターでの岡本喜八特集の場合のように、12本それぞれ2回ずつの上映が決まっている場合などのように、それで企画を進めている時は別として、新作のほうでは作品によって一回しか上映がないものが幾つか出てきてしまっています。私たちとしてもできることなら最低2回は上映したいところなのですが、これは現実的には枠の問題というよりも、作品の権利保有者から映画祭での上映許諾を得る時の条件として「一回上映」で、という場合があるのです。これは、この後に日本での配給会社が決まって公開する際に、その会社にとって東京フィルメックスで2回も上映していては良くないかもというご判断があるのかもしれません。
映画祭は期間中の上映がプレミアのため、期間前に試写などをすることが余り無いので、期間中の評判や盛り上がりで2回目3回目と上映を重ねるごとにお客様が増えていくというのが、美しい現象ではあるのですが、如何せん事務局の希望だけでは簡単に決行できないわけです。実際にカンヌでは、作品によっては公式上映が一回だけという作品もあります(でもマーケットでは何回も上映していますが)。また、ベルリン映画祭は、一般の観客が参加できる世界最大の国際映画祭ですが、全部で5回ほどの上映が行われている作品もあり、観客の人気の程が如実にうかがえます。
他の映画祭では、受賞作品を最終日にリピートする形式を採っているところもありますが、これについても、もちろん権利保有者には許諾を取らないとなりません。
今年はコンペに3本、そして特別招待に2本、合計5本のイラン監督による作品を上映しました。イラン映画がどうしてそんなに多かったのかというお問い合わせもいただきました。答えは全くシンプルで、イラン映画に素晴らしい作品が多かったから、それに尽きます。
私たちは国のバランスとか散らばりとかを重要視していません。面白い映画を順番に選んで行きますので、結果イランが多かったわけです。確かに選考途中で出来る限り多くの作品を拝見するのは必須なのですが、実際イランよりも多く拝見できた他国の作品でも、良いと思えるものが無かったので残念ながらご紹介できなかった国もありました。香港や台湾を入れたいとか、タイや韓国から一本も無いのはおかしいとか、見た目の整然さを重視すると、結果的には妥協して「まぁこのくらいでもいいか」という作品をご招待しなくてはなりません。心底愛していない作品をプログラムに入れるのは、お客様を裏切ることになりますので、それは私たちには出来ません。
ただ、日本での配給会社が決まっている場合に公開時期などの関係で、東京フィルメックスでのジャパンプレミアが吉となって連動できればよいのですが、時期尚早という判断で、私たちがご紹介したくても上映できなかった作品もあるのは事実です。
今年はパラグアイから一本「ハンモック」という映画をご紹介しました。予算が厳しいのも忘れてこの作品は何としても上映したいと心が震えた一本でした。バフマン・ゴバディ監督の「半月」もサンセバスチャン国際映画祭でグランプリを獲る前に決めていたし、ジャ・ジャンクー監督の「三峡好人」もヴェネチアで金獅子賞が決まる前にオープニング上映を決定していましたので、今年は私たちにとってもサプライズだらけでした。
今年のシネカノン有楽町のレイトショーは、入場者数が全体で昨年と比べて200人も増えるという現象が起こりました。みなさまご来場ありがとうございました。このレイトショーは、以前(2003年まで)は有楽町駅のすぐそばにあった銀座シネ・ラ・セットで行われていましたが、劇場の移転に伴い、東京フィルメックスも2004年よりシネカノン有楽町にレイトショー会場を移しました。
朝日ホールが夜9時以降は上映ができない、お借りできない事情がありますため、夜のレートショーの場として朝日ホールの上映後にも引き続きご覧いただけますように、タイムスケジュールを組んでございます。また、シネカノン有楽町は一般の映画館ですので、東京フィルメックスの期間中も興行として新作のロードショーがあります。この昼間の上映作品の後、入れ替えの時間の余裕を考慮して、上映のスケジュールを組むことになっています。
なるべく夜11時には上映が終了して電車でスムースにお客様にお帰りいただけますよう、スケジュールを組んでおりますが、作品によって上映時間の長さがそれぞれ違うという現実もございます。また夜の上映ですので監督との質疑応答のお時間は現実的に難しいのですが、監督が冒頭でみなさまにご挨拶をなさりたいとご希望があった場合には、少しのお時間でも一言お話いただいているのはご存知の通りです。いえ、監督によっては興奮して話が長くなる方もしばしばいらっしゃいますけれど。お仕事帰りにお立ち寄りいただくのに便利ということもあって、おかげさまで当日券の売れ行きが伸びるのもシネカノン有楽町のレイトショー上映の特徴でもあります。
シネカノン有楽町の入場のシステムについては、今回まで自由席制で運営しておりましたが、今年のようにお客様が増えますと、ご入場前に階段に並んでお待ちいただく事になりますので、それも心苦しく、劇場も座席指定制を採用していらっしゃる事もございますので、来年以降は東京フィルメックスの期間中でもシネカノン有楽町も座席指定にすべきかと、早速検討を始めております。
有楽町マリオン朝日ホールは、座席指定なのに開場時間が早まらないのは何故でしょうかと、アンケートでご指摘をいただきました。数年前から朝日ホールは座席指定の方法を取っており、これによって入場口の階段に開場前に並んでいただかずにご入場いただけるようになりました。でも、自由席と座席指定席のシステムにはそれぞれに良い面も不具合な面もあり、部分的に自由席にするような混合のシステムも検討してはみましたが、今のところは座席指定制を続けております。
実は開場まで時間がかかるのは、入れ替えの間に監督みずからによるプリントチェックのための映写をしているというシンプルかつ重要なわけがあります。お客様にはそれぞれの作品を、作り手である方が満足している状態でベストの形で上映したいという、東京フィルメックスのこだわりがあります。まぁ映画祭を運営する側にとっては、これはあたりまえの事でございます。毎日各回で別々のプリントでの上映が組まれていますので、しかもご来日の監督は上映前ギリギリにご到着することもあったり、映写チェック、字幕のタイミングチェックなど、会場整理と共に寸時の時間での確認作業をしています。さすがに監督たちもこだわりをお持ちですのでギリギリまで粘って調整してくださる監督もいらして、彼らのオーケーが出て、初めてご入場いただけるという流れなのです。
審査員のみなさま5人は、今年も素晴らしいメンバーが揃いました。最終の審査会の後、やっぱりこの5人に依頼してよかったと心底実感しました。世代や性別、ポジションなどバランスを考えての5人でしたが、和気あいあいと仲良く審査をしてくださり、各自しっかり主張しながら徹底的に討論を重ねて、最終的にとても平和に、結論を出してくださいました。
よいチームだったことの証に、授賞式では最優秀作品賞と審査員特別賞のそれぞれを、一人が受賞結果を発表し、もう一人が賞状を授与してくださり、そして委員長が総評を述べられるという、5人が役割を分担した進行となりました。5分で終わるか5時間以上かかるものか分からない審査会ですが、最後にはそれぞれのアドレスを交換して連絡を取り合う約束までしていらっしゃって、喜ばしい限りの情景でした。改めて厳正なる選考を進めてくださいました5人の方々に、深く感謝申し上げます。
「オープニング・セレモニーの登壇者が黒い服で勢ぞろいしたのは何故でしょうか」と、外国のプレスの方からもご質問をいただきました。いえ、全くの偶然で、事前に打ち合わせをしたり、示し合わせたわけではありません。審査員の方々には「東京フィルメックスはご存知の通りカジュアルな映画祭ですので、民族衣装などで着飾る必要はございません」というお話はしていたのですが。結果的には、オープニング作品「三峡好人」のジャ・ジャンクー監督も、女優のチャオ・タオさんも黒い衣装でご来日ということになり、なんだか私たちもビックリしていた次第です。
確かに日本は冠婚葬祭のフォーマルには黒という習慣はありますが、まさか全員黒だったなんて。個人的には事務局スタッフは黒子に徹して、映画が最も輝くように上映をサポートしたいという気持ちは、確かにあります。悲しいかな服装には無頓着な性質なもので、ご指摘いただいても初めはピンと来ないくらいだったのですが。そのうち私も真っ赤なドレスでも着てニコニコ堂々としてステージへ出て行けるくらいに精進いたしますので(無理だと思います)、引き続きどうぞ宜しくお願い致します。
あっという間に師走に突入してしまいました。事務局スタッフにとってはつい先日まで夏だったのに、気が付いたら紅葉も深まっている今日この頃です。
会期が無事に終了し、たくさんのお客様にご来場いただきました。ゲストの監督たちもフェアウェルパーティーではご機嫌に歌ってくださった方もいらして、みなさんお元気にご帰国されました。ご協力、ご支援いただきましたみなさまに心からお礼申し上げます。またシャープなご質問をくださった観客のみなさまにも重ねてお礼申し上げます。観客のレベルの高さについては、世界の映画祭の中でも屈指と自負しております。みなさまに支えられて、またより一層のプレッシャーを痛感しながら、事務局スタッフ一同、より楽しんでいただける映画祭の企画・運営について切磋琢磨しながら邁進してまいります。どうぞ引き続き宜しくお願い申し上げます。
公式サイトへのヒット数も大幅に増え、特に新しく挑戦したブロードキャストコーナーは1ヶ月の間に10,000件を超える盛況を記録しております。
せっかくの機会なので、これからしばらく期間中に皆様からお寄せいただいたアンケートでのご質問、ご指摘などにもお答えしながら、映画祭会期について振り返ってみたいと考えております。言い訳がましいことを書き連ねるつもりはありませんが、幾つかの選択肢の中でどちらかを選んで進めていかなくてはならない運営上の状況や、ごもっともなご意見とわかりながらも予算やお借りしている会場などの関係で、また一般の劇場公開と違った映画祭ならではの状況の中で、ギリギリの措置を講じている現状もありますため、映画祭の裏側についても少しご紹介できればと存じます。どうぞお付き合いの程お願い致します。
さぁ。いよいよ本日開幕の第7回東京フィルメックス。怖くて震えてしまいます。事務局では観客賞の投票箱など製作物の準備も着々と進んで、公式カタログも美しく完成しました。人手も荷物も増えてきて、いつもの事務局が狭く感じられます。
全ての作品は当日券もご用意しております。行き届いた映画祭を目指し、力を尽くします。プログラムと観客の質の高さが自慢の東京フィルメックス。映画が好きで好きでというお客様と一緒に映画の力を実感できる10日間。熱気の中で、多くの作品をご覧くださいますよう。
映画は一本一本それぞれの作り手の方が願いを込めて作った作品。私たち映画祭のスタッフは、それぞれの映画が一番輝くように、一番お客様に伝わるように、一番お楽しみいただけますように、一本一本を大切に、ご紹介申し上げます。
みなさま、会場にてお待ちしております。
期間中のトークイベントについて、ご紹介します。
まず、岡本喜八特集。京橋のフィルムセンターでは、18日と19日の上映後にトークの予定があります。雪村いづみさん、寺田農さんと寺島進さんに岡本演出の事などお話を伺います。
また、MARUNOUCHI CAFE, 丸の内3丁目の新東京ビルに素敵な憩いの場所がありまして、今年の東京フィルメックスでは、24日の午後にモーツァルト生誕250周年絡みの新作の監督をお招きして、トークイベントを2回に分けて行う予定にしています。
そして、おなじみのマリオン朝日ホールのスクエアBでも、祭日の23日と最後の週末25日(土)、26日(日)には、ゲストを招いてのトークを予定しております。公式サイトにお時間、ゲストなどの詳細が載っておりますので、ご確認のうえ、どうぞご来場ください。すべて入場無料です。
映画と共に作り手の生の声を、こじんまりした規模で十分に味わっていただきたいという願いを込めた企画です。お時間が許されれば、皆様からのご質問もお受けしたいと考えていますので、奮ってご参加ください。それぞれ予定人員を越えたところで締め切りますのでご注意を。お待ちしております。
今年はモーツァルト生誕250周年。という事で、早くから日本でもコンサートなどが行われていましたが、映画の分野でもニュークラウンドホープというモーツァルト・プロジェクトがあり、東京フィルメックスでも関連の5作品が上映されます。「半月」(バフマン・ゴバディ)、「オペラ・ジャワ」(ガリン・ヌグロホ)、「世紀の光」(アピチャッポン・ウィーラセタクン)、「ハンモック」(パス・エンシナ)、そして「黒眼圏」(ツァイ・ミンリャン)の5本は,このプロジェクトで製作されました。
まさに11月のオーストリアのウィーンでは総合芸術祭が開催されて、舞台演出家のピーター・セラーズ監修のもと、音楽・演劇・舞踏・建築などのアートが華やかに紹介されているそうです。ヌグホロ監督、ゴバディ監督、エンシナ監督、そしてウィーラーセタクン監督は、ウィーンから東京フィルメックスへのご来日になりますので、あちらの様子も伺ってみようと思っています。それぞれ、今によみがえるモーツァルトとでも言ったらよいのでしょうか。個性あふれる5本で、特に「ハンモック」はパラグアイの女性監督のデビュー作です。モーツァルトもすごいけど、こういうユニークなすばらしい5本を製作したプロデューサーも監督も、作り手の方々には頭が下がるばかりです。是非ご覧ください。
映画のタイトルについて、お話します。配給が決まっている作品はともかく、上映を決めた後に、事務局みんなで日本語のタイトルを考えます。基本的には元のタイトルに沿って日本語でおかしくないように固めるのですが、原語でのタイトルと英語で流布しているものの意味が微妙に違う作品も、中にはあります。例えば今年は「世紀の光」の英語タイトルは[Syndromes and a Century]なのですが、 監督ご本人にも確認してから決定しました。バフマン・ゴバディ監督の「半月」は、英語では「Half Moon」だったので、カタカナで「ハーフムーン」という方法も考えましたが、中国のインリャン監督の「アザー・ハーフ」とお客様が混乱しないように漢字に決めました。またフィリピンの「マキシモは花ざかり」も意味を汲みながら雰囲気を出そうとみんなで相談して決めましたが、英語タイトルは「Blossoming of Maximo Oliveros」です。ちなみに小林政広監督の「幸福」は、コウフクではなく「しあわせ」と読みますのでご注意ください。タイトルには作り手の気持ちが込められていますので、大事にご紹介したいものです。
映画祭の公式カタログは、その編集たるや熾烈な作業を強いられます。まず初日には必ず完成していないといけない。資料的な価値、データなどが間違っていてはいけない。それなのにプログラムの数や、配給の動き、ゲストの来日変更などによってのイベントのドタキャンなどギリギリになって突然の変更が多すぎる難点があります。海外から取り寄せる資料もバラバラで、情報もさまざまだったりして、確認に確認を重ねて念押ししても変更がありえるのが実情です。監督ひとりひとりの心のこもったメッセージが記載されていますので、みなさまどうぞ会場でお買い求めください。どうしても映画チケット一枚よりも安い値段を設定したくて、第2回目からは一冊1000円です。バックナンバーも是非是非どうぞ。
ボランティアスタッフは、映画祭の顔ともなりうる大事な存在です。うれしい事に毎年続けてくださる方々もいらっしゃいます。今年は総勢80名ほどが集結して、心をひとつにしてお客様とゲストのみなさまの架け橋となりながら会場運営やカタログ販売、語学を生かしたホスピタリティーのお手伝いをしてくださいます。夏ごろから応募をして、面接によって厳選し、10月頭からミーティングを重ねて組織化していきます。スタッフ同士がまさしく同志となって仲良しの雰囲気が出来上がります。過去にはスタッフの間で結婚したカップルもいたとか、映画最後に配給会社から引き抜かれた人もいたとか。映画祭を見る側としてでなく、開催する側で関わる事も貴重な体験と楽しんでいただけるとうれしい限りです。
今からでも来年のボランティアスタッフをと考えてくださる方は、来年の募集を要チェックお願いします。
一般には開放していませんが、期間中にはインダストリー・スクリーニングをやっています。今年で4回目の企画で、英語字幕の付いた日本映画の最新作を海外からの業界関係者、国際映画祭の選考担当者の方々にご紹介しています。これを目当てに今までもプサン、チョンジュ、トライベッカ、シカゴ、カンヌ、香港などの映画祭から来日がありました。東京であるべき国際映画祭として、自国の映画が海外へ出て行くことを支援してお手伝いしていきたい。そんな自然な気持ちから生まれた企画です。
今年ワールドプレミアで上映するコンペ部門の「幸福」(しあわせと読みます)も、このあと間違いなく海外での上映が待っています。邦画に限らず昨年の「あひるを背負った少年」(イン・リャン監督・中国)は、東京フィルメックス後に、すばらしき展開がありました。ここだけの話ですが、イン・リャンは去年の初日ではオープニング上映のホウ・シャオシェン監督と一緒に写真撮って欲しいなんて、ファン丸出しだったのですが、今年は大きく成長して映画監督の顔になっているでしょう。どうぞお楽しみに。映画祭が監督をよい意味で刺激できるとしたら、うれしい限りです。
岡本喜八特集。9月の記者会見でも発表しましたが、来年の2月のベルリン国際映画祭で、岡本喜八特集の実現が既に決定しています。ヨーロッパでの岡本特集は歴史的にも初めて。快挙です。
東京フィルメックスから発信という企画としては、清水宏特集、中川信夫特集に続いてのベルリンでの上映ですが(内田吐夢はロッテルダムで上映)、共催でもありニュープリントを作ってくださったフィルムセンターのおかげで、よい形で岡本作品をヨーロッパの人たちに楽しんでいただけます。東宝にも大感謝。みなさまはフィルムセンター大ホールでの日本一の国立の映写状態でお楽しみください。「結婚のすべて」「地獄の饗宴」など今改めて岡本さんの弾けるリズムのフレッシュな魅力をご堪能ください。また「大菩薩峠」を内田吐夢版と比較してみるのも一興です。岡本特集は当日券のみです。それでは、みなさま、京橋でお待ちしております。
いよいよオープニングまで10日を切りました。カウントダウン状態。みなさまに素晴らしい作品を早くみていただきたくて待ちきれないという気持ちと、準備に時間がまだまだ必要という気持ちと、揺れる心の日々です。プリント到着などキワドイ作品もあって、綱渡りです。上映プリントは英語字幕付きのプリントを海外からこの上映のために送ってもらう手配をしている作品が多いのですが、11月はことのほか国際映画祭が多い季節。プサンから直送なんて時間に余裕あるとラッキーですが、そんな事はまずありません。ロンドンからとかアメリカからとかギリギリの到着で、しかも通関手続き、東京税関の試写もあり、そのうえ日本語字幕のためのタイミングを取る作業が待っていて、この業務を担当していただいているアテネフランセ文化センターの方にはカミワザとしか言いようの無い酷な状況での字幕投影をお願いしている舞台裏があります。今年も何が何でも全て間に合いますように。
シネカノン有楽町は、映画館として、とても見やすくてよい劇場ですが、21:15からのレートショー上映は、お仕事帰りの方にも気軽にお立ち寄りいただけますので、毎年ご好評をいただいております。昼間のマリオン朝日ホールの上映は時間的に難しい方でも、どうぞレートショーをご活用ください。<半月>はサンセバスチャン映画祭でグランプリ、<ワイルドサイドを歩け>はロッテルダム映画祭でタイガーアワード受賞、<マキシモは花ざかり>はベルリン映画祭でテディ賞と、今年の世界の動きを見逃せない作品ばかりです。
チケット、幾つかのプログラムではおかげさまで完売ということで、ありがとうございます。監督のご来日日程の調整が大変ですが、もう一息で見えてくるかという頃です。今年の東京は温かい日が続いていますが、映画祭開催期間中も良き映画日和が続きますように。
東京フィルメックスの核は、なんと言ってもアジアの新進作家を支援するコンペ部門にあります。まだ名前が知られていない監督の中に、明日の映画界を担う才能が。どうぞお確かめください。おなじみの監督もいらっしゃいますが、<りんご、もうひとつある?>(イラン)や<クロース・トゥ・ホーム>(イスラエル)の監督は、初来日になります。私達事務局スタッフもこんなすごい映画を作った人がどんな人なのか、お会いできるのが楽しみです。
映画祭ディレクターの林 加奈子です。いよいよ明日から前売りチケット開始。映画祭の命は何と言ってもプログラム、上映する映画作品の力にあります。早くみなさまと映画の素晴らしさを共鳴したいです。オープニング、クロージングはもちろんですが、「ハンモック」「スクリーム・オブ・アント」「世紀の光」など、必ずやお見逃しなきよう。
事務局は、来日ゲストの日程調整、プリントの保険、運営マニュアル作成など着々と準備が進んでおります。審査員ケアのスタッフが今日から入り、スタッフTシャツも到着。公式カタログの最終入稿も済んで、成功のイメージを共有しながら、臨場感あふれる活気に盛り上がっております。
映画祭の準備は細かい事の積み重ねですが、どれも落とせない重要事項ばかりです。みなさま、映画の未来を信じて、明日、チケットをお買い求めください。