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特別招待作品






『西遊』 Journey to the West / 西遊
フランス、台湾 / 2014 / 56分
監督:ツァイ・ミンリャン (TSAI Ming Liang)

【作品解説】
2012年以降、ツァイ・ミンリャンは僧に扮したリー・カンションが超スローモーションで歩く姿をとらえた短編を連作している。『無色』(12)、『行者』(12)、『金剛経』(12)、『行在水上』(13)といった作品群がこれにあたる。中でも香港映画祭からの委嘱でオムニバス映画『美好2012』の1篇として製作された『行者』はカンヌ映画祭批評家週間のクロージングを飾るなど大きな反響を巻き起こした。この作品群に連なる最新作である『西遊』は、舞台を南仏のマルセイユに移し、レオス・カラックス作品の常連ドゥニ・ラヴァンが共演しているという点で、このシリーズの一つの頂点を成す作品と言える。映画の極北とも言うべき異形の傑作である。ベルリン映画祭パノラマ部門で上映。











ツァイ・ミンリャン


1957年、マレーシアに生まれる。77年に台湾に移住し、台北にある中国文化大学で映画・演劇を専攻。卒業後、映画の脚本やTVドラマの演出、脚本を担当した後、92年、『青春神話』で映画監督デビュー。続く第2作『愛情萬歳』(94)がヴェネチア映画祭金獅子賞を、第3作『河』(96)がベルリン映画祭銀熊賞を受賞。その後も『Hope』(98)、『ふたつの時、ふたりの時間』(01)、『楽日』(03)、『西瓜』(05)、『黒い眼のオペラ』(06)と、新作発表のたびに国際的な注目を集めている。昨年の東京フィルメックスで上映された『郊遊<ピクニック>』を最後に劇場映画からの引退を表明したが、現在は美術館などアートフィールドでの短編映像制作(作品解説を参照)や舞台演出を旺盛に手がけている。





11/30 『西遊』 Q&A
from ブロードキャスト 2014/12/ 4


 
11/30 『西遊』 Q&A
有楽町朝日ホール
  
ツァイ・ミンリャン(映画監督)
リー・カンション(俳優)
 
林 加奈子(東京フィルメックス ディレクター)

小坂 史子(通訳)
 
 
フランス、台湾 / 2014 / 56分
監督:ツァイ・ミンリャン (TSAI Ming Liang)
 
 
Journey to the West /西遊
France, Taiwan / 2014 / 56 min.
Director: TSAI Ming Liang





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『西遊』ツァイ・ミンリャン監督、リー・カンションさんQ&A
from デイリーニュース2014 2014/11/30

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第15回東京フィルメックスの最終日となった11月30日(日)、有楽町朝日ホールでツァイ・ミンリャン監督の『西遊』が上映され、終了後にツァイ監督と主演のリー・カンションさんがQ&Aを行った。本作は、僧侶に扮したリーさんが南仏・マルセイユの街を超スローモーションで歩く姿をカメラに収めた作品で、"Walker"シリーズの6作目にあたる。登壇したツァイ監督は、「とても奇妙な映画です。劇映画でもなければ、ドキュメンタリーでもない。ただ、映画なんです」と挨拶。時間をいっぱいに使って、作品に対する想いを語った。


"Walker"シリーズを撮るきっかけは、2011年に台湾で演出したリーさんの一人芝居だったという。「稽古の時シャオカン(リーさんの愛称)に、ここからここまでくらいの距離(舞台の下手から上手の少し手前くらいを指す)を歩きながら、彼自身から僕の父親に変化する様子を演じてほしいと要求しました。とても難しい表現なので互いになかなか満足いかなかったのですが、シャオカンが"ゆっくり歩かせてほしい"と提案してきたのです。その日、彼はその距離を17分かけて歩きました。それを見た私は感動して、"君がこの動きをするのを、20年間待っていたみたいだ"と伝えたんです」と、当時を振り返ったツァイ監督。「でも、舞台は終わってしまえばそれまで。とても悔しくて、シャオカンが歩く様子を映像に収めたいと思い、ここ2年で(『西遊』を含む)6本の作品を撮りました」。続けて監督の口から驚きの発表も。「7作目は東京で撮りたいと思っています」


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一方、スローモーションで動くリーさんは大変な苦労を強いられたようだ。林加奈子 東京フィルメックス・ディレクターに撮影中の苦労を尋ねられると、「マレーシア編を撮ったのは夏で、アスファルトが日差しで焼けて、撮影が終わると私の足の裏には水ぶくれがいっぱいできていました」と過酷なエピソードを披露。冬に撮った香港編では、むき出しの足と顔の寒さのほか、蚊にも悩まされたそう。「僕の動きがゆっくりなので、蚊はじっくり血を吸えて満足げでした」と振り返り、観客を笑わせた。


肉体的にも、精神的にも苦労を伴ったであろう本作の撮影。観客から「撮影中、何を考えていたのか」と問われ、「基本的に空っぽの状態だった」と明かしたリーさん。「歩いていると、人や車など、いろいろな障害が出てくるんです。それに、疲労や集中力の途切れで、いつも途中で止まってしまいました。体力、呼吸、すべて一番心地良い状態にもっていかないといけない。時々、お経を読んだり、気持ちを落ち着かせたりしながら歩き続けました」


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本作で興味深いのは、通行人の好奇に満ちた反応だ。観客からの「事前に撮影許可を取っていたのか」という質問に、ツァイ監督は「申請しても意味がありません」ときっぱり。「私の撮影はフレキシブルですから。申請した所では撮らず、していない所で撮りました。マルセイユで印象深かったのは、太陽の光です。地中海性気候の夏の終りのような光。ですから私は、太陽の光を追ってこの作品を撮ったのです」


「"Walker"シリーズを通して学んだことがある」とツァイ監督は言う。「もっと気楽に映画を撮るということです。例えば、通行人がカメラの方も見ることに最初は悩まされたのですが、やがてそれを受け入れるようになりました。シャオカンのコンディションについてもそうです。一番大変なのは彼。ゆっくり動くのは体力がいるし、どのカットも25分以上カメラを回しています。マルセイユでの撮影を始める時、シャオカンに『もうNGは出さない』と言いました。スタートから1分以内にNGが出なければ、安心して歩き続けてほしいと伝えました」


ツァイ監督曰く、「このシリーズは"時間"に関する作品です」。ドニ・ラヴァンさんの起用も、「彼の顔は、まるで時間の彫刻のよう」だからだとか。「現在の世界はテンポが速すぎる。それは盲目的なレベルで、思考を伴わない速さです」と憂う監督は、来日してから池袋の地下鉄の駅を中心にロケハンを行ったそうで、「テンポがとても速くて、逃げ出したくなりました」と笑う。そこで、監督から観客に向けてある提案が。「今日の会場には、私の作品のファンも大勢いらっしゃるのを知っています。ファンでなくてもいいので、興味のある方は、シャオカンと一緒にゆっくり歩いてみませんか?ゆっくり歩いてみれば、私がなぜこの映画を撮ったのか分かってもらえると思います。申請は出しませんが、来年1月に東京のどこかで撮影するつもりです。ネットを使って場所を知らせるかもしれないので、一緒に歩きに来てください。シリーズ初の、ゆっくり歩く群集を撮った作品になるかもしれませんね(笑)」


Q&A終了時間も差し迫った頃、ツァイ監督は黒澤明作品のスクリプターとして有名な野上照代さんの姿を客席に見つけ、笑顔で手を振った。同日の午後に野上さんを撮影したということで、「彼女は僕が一番好きな日本映画の時代を代表するような人。そんな野上さんとシャオカンを同じフレームに収めることができました」とご満悦。すると、野上さんから「(映画作りの姿勢について)ツァイさんの媚びないところを尊敬しているけれど、観客のことは考えないの?」という鋭い質問が。会場が笑いに包まれるなか、ツァイ監督は「私は聡明な観客が好きなんです(笑)。監督というのは、利己的であるべきだと思っています。良い作品を作れば、観客も異論はないでしょう。それが観客に対する一番良いレスポンスだと思っています」と持論を展開。さらに、「私は益々気楽に監督できるようになっていますが、反対に俳優の苦労は増しています。だから私は俳優をとても尊重しています。観客の皆さんも、とても大変でしょう。観客の皆さんのことも尊重しているので、もっと難しい映画を撮ってお目にかけたいと思います」と会場を湧かせた。


 東京でシリーズ第7作目を撮る構想を明かしたツァイ監督。どこかでゆっくり歩いているリーさんを見かけたら、後ろについて一緒に歩いてみてはいかがだろう。思いがけず、ツァイ・ミンリャンのアートの一部になれるかもしれない。


(取材・文:新田理恵、撮影:白畑留美、船山広大)

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