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『華麗上班族』シルヴィア・チャンさんQ&A


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11月26日有楽町朝日ホールにて特別招待作品『華麗上班族』が上映され、シルヴィア・チャンさんが登壇しQ&Aが行われた。大企業を舞台に、成功と富を求める登場人物たちの思惑が絡み合うミュージカル。シルヴィアさんはこの作品で主演、脚本、プロデューサーを務めている。朝日ホールの壇上にシルヴィアさんが姿を表すと、客席から大きな拍手と歓声が上がった。

司会は市山尚三東京フィルメックスプログラム・ディレクター。会場からの質問に先立ち、映画化の経緯を市山Pディレクターから訊かれると、シルヴィアさんは「2008年に台湾のある監督からぜひ一緒に舞台劇を作りたい、とお話をいただいたことが全ての始まり」と答えた。話し合いを重ねる中でキーワードになったのが「華麗なるサラリーマン」。「様々な欲望に掻き立てられ変化していく、現代人の姿を描きたかった」という。舞台を観たジョニー・トー監督から映画化の申し出があった際に、最初は冗談だと思ったとか。「映画化するなら私自身が監督したかったのですが、トー監督に決まりました」と笑った。

1126office_02次に会場から、劇中で広東語と北京語が細かく使い分けられた意図について質問が寄せられた。トー監督と話し合う中で、映画の舞台を香港、北京、上海、台北といった実在の都市ではなく「どこでもない大都会」にしようと決めたという。「大都会には色々な人々がいて、それぞれ言語が異なっていても、それが一番自然だと思った」。中国本土で公開された時には配給側からの要望で、北京語バージョンも制作された。

続いて、チョウ・ユンファさんとの共演に久々の感激したという観客から「以前の共演と変化したことはあるか」という質問に対しては「変わったのは二人とも年を取ったこと、変わらないのは二人とも映画が大好きということ」とユーモアを交えて応じた。ユンファさんの撮影日程・時間は限られており「追加のギャラが発生しないように」トー監督はいつも時間通りに撮影を終わらせていたのだが、ユンファさんは終了後もなかなか現場を離れなかったという。改めて「撮影現場が好きな人だな」と思ったとシルヴィアさん。今後も機会があれば、「一緒の場面がもっと多い映画で」ぜひ共演したいと語った。

ミュージカル仕立てにすることになったとき、「歌は入れるがダンスはいらない。中国人はダンスが下手だし、稽古に時間をとられてしまうから」とトー監督が決定したそう。

1126office_03社長役のユンファさんが「殺されても絶対歌は歌いたくない!」と宣言したというエピソードには、会場が笑いに包まれた。そこで野心的な副社長デーヴィッドの歌が重要になったが、白羽の矢が立ったのはイーソン・チャンさん。シルヴィアさんは「演技も歌もこなせる俳優は彼以外にはいない」とイーソンさんを賞賛した。ソフィア役のタン・ウェイさんも、当初歌うことに抵抗を感じていたそうだが、練習を重ねるうちに楽しむようになったとか。

印象的なスケルトンのセットは、トー監督のアイデアで、現代人には秘密がなく、お互いに心の中を見透かしているという意味があるそう。また、人々の上昇志向を象徴する大階段は舞台版にもあるが、「美術監督のウィリアム・チャンさんがしっかり作り上げてくれました」とシルヴィアさん。枠を多用したセットは、まるで人間が檻の中にいる動物のように見える効果を狙ったのだとか。

最後に、舞台劇として脚本を手がけた作品のミュージカル化に抵抗はなかったのか?という声が寄せられると、シルヴィアさんは「ミュージカルにしたいと思ったのは私自身」と応じ、その理由として「中国人は話す際に、自分の感情をあいまいにするが、歌だと感情表現がはっきり出る。しかも、3時間半に及ぶ舞台劇を2時間の映画にすると、特に表現したい部分を凝縮するために歌は必要だった」と語った。トー監督もミュージカル好きで、「ミュージカルもアクションも撮影は同じ」と言っていたそう。二人で沢山の話し合いを重ね、お互いのアイデアを固めていったという。

ここで時間となり、Q&Aは終了。シルヴィアさんに再び大きな拍手が贈られた。

(取材・文:阿部由美子、撮影:本田広大)

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