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開会式
from デイリーニュース2013 2013/11/23
東京・有楽町朝日ホールで11月23日、第14回東京フィルメックスが幕を開けた。開幕式に登壇した林 加奈子東京フィルメックス・ディレクターは、「映画人生をかけて厳選しました。今年は、ことさらに、特別に素晴らしい作品がそろいました。本当です」と力強く宣言。「映画の力を信じる充実の9日間をご一緒しましょう」と、これからスタートするプログラムへの自信をのぞかせた。
林ディレクターはさらに、この日開幕式後に上映されるオープニング作品『罪の手ざわり』(ジャ・ジャンクー監督)と、『微笑み絶やさず』の監督で今回の審査員長でもあるイランのモフセン・マフマルバフ監督について触れ、「ジャ・ジャンクー監督の新たな挑戦をお楽しみいただきます。マフマルバフ監督は初めてフィルメックスに来日くださいました。毎日ご一緒できる幸せを共有いたしましょう。ただならぬフィルメックス。観ていただければ分かります。どうぞ、毎日のご来場をお待ちしております」と呼びかけた。
続いて、今年のコンペティション審査員が紹介された。プロデューサーでユニフランス中国支局長のイザベル・グラシャンさん、プロデューサーの松田広子さん、女優の渡辺真起子さんが登壇すると、それぞれに大きな拍手が送られた。最後に、審査委員長を務めるマフマルバフ監督が登場。事前に審査員として発表されていた中国のイン・リャン監督は、住まいのある香港の居留権に問題が生じたために日本のビザ申請が進められなかったとのことで来日が叶わず、今年は計4名で審査が行われることになった。
4名のうち3名が女性という華やかな布陣。審査員を代表し、マフマルバフ監督は、「今回のフィルメックスが、インディーズ映画にポジティブな影響を与えるように祈っています」と開幕を祝福。さらに「中国、イランといった検閲に問題のある国々のことを忘れないでいただきたいと思います」と映画の制作環境に通じる点がある二つの国に言及し、挨拶を締めくくった。
オープニング作品『罪の手ざわり』の上映に移る前に、同作のプロデューサーでもある市山尚三東京フィルメックスプログラム・ディレクターが作品紹介のために登壇。「この数年間に中国で実際に起こった4つの事件をもとに、ひとつのフィクションとして映画化したもの」と説明すると、来日できなかったジャ・ジャンクー監督からのビデオメッセージを上映した。
同作で、現在の中国社会に潜む突発的暴力の種を、京劇のような様式美に落とし込んで浮かび上がらせるという独特の手法に挑んだジャ監督。ビデオカメラの前で「この数年間、さまざまなことがありました。中国では多くの突発的な事件が起きています。これらの事件は、マスコミやツイッターで報道され、私は非常に不安を感じていました。なぜ暴力が日常生活のなかで次第に増殖してきたのかということを、私は映画を用いて理解したいと思いました」と作品に込めた想いを語り、「激しく変化する状況のなか、個人は大きな生存の危機に直面しています。問題を解決する方法が見つからないと、暴力を用いて様々な圧力に対抗しなければなりません。私はこの映画が、私たちが暴力の問題と向き合うきっかけとなることを期待します」と訴えた。『罪の手ざわり』は来年の日本公開が決まっている。メッセージを「今回は解決が困難な個人的な問題のため東京に行くことができませんが、日本公開の折には東京で皆さんとぜひこの映画について話したいと思います」と締めくくったジャ監督。改めて日本で同作について語ってくれることを期待したい。
今年も熱量の高い作品で幕を開けた東京フィルメックス。最終日の前日11月30日(土)には、コンペティション部門10作品を対象とした最優秀作品賞、審査員特別賞のほか、学生審査員が選出する学生審査員賞、特別招待作品も含めて対象となる観客賞が発表される。
(取材・文:新田理恵、撮影:白畑留美、関戸あゆみ、永島聡子、中堀正夫、村田まゆ)
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