【コメント】
『アナ・アラビア』のストーリーはいくつかの情報を基にして作られた。そのうちひとつは、ヨーロッパの新聞に掲載されたイスラエル北部の村、Umm el Fahemに住む女性についてのニュースである。この女性はカルシウム不足が原因で医師のもとを訪れた時に、医師から子供のときに栄養失調ではなかったかと聞かれた。イスラム教徒のように頭を覆っているその女性は、しばらくためらった後、実は自分はアウシュビッツで生まれたと話した。強い憎しみと衝突ばかりのこの地域で、アウシュビッツ生まれのユダヤ人女性とイスラム教徒の夫という非常にまれな友情と愛の話をこの記事を通して私たちは発見した。彼らは、5人の子供と25人の孫がいるといわれている。このことは、偏見と敵意の境界線を打ち壊したこのストーリーをどう伝えるかという私の探究のきっかけとなった。また、過去20年の私のドキュメンタリーシリーズ"ラシュミア谷"三部作も参照した。この映画は、北イスラエルのラシュミア谷に住むアラブ人とユダヤ人グループの生き方と生活の断片を描いたものである。