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映画の時間プラス『父を探して』シモネさんトークショー


第18回東京フィルメックスの開催に合わせ、多様な観客に開かれた上映会として実施された「映画の時間プラス」。11月26日(日)、ブラジルのアレ・アヴレウ監督によるアニメ―ション映画『父を探して』(2013)が上映され、たくさんの親子連れが東京国立近代美術館フィルムセンターを訪れた。上映後のトークショーにはブラジル人タレントとして活躍するシモネさんが登壇。この映画が作られたブラジルについて、子どもたちに楽しく紹介してくれた。
『父を探して』は、全編台詞がなく、温かみのある手書きのアニメーションとエモーショナルな音楽で少年の旅が描かれる。この日の観客は小学校低学年の子どもたちが中心。みんな映画の世界に入り込んでいたようで、上映が終了すると、劇中繰り返し登場するフルートのメロディを口ずさんでいた。
日本に来て今年で26年というシモネさん。ブラジル最大の都市サンパウロの出身だ。ブラジルといえば、子どもたちも知っているアマゾン川に代表される大自然だが、都会生まれのシモネさんが自然や動物たちを見たのは日本に来てから。成田空港から列車に乗ると、車窓に広がる木々や畑にびっくりしたそうだ。
ブラジルには日本人や日系人が多く、日本に対するイメージは勤勉でテクノロジーが発達した国。「日本に来たら、街中にロボットや空飛ぶ車があるって思ってたの」と明かすと、子どもたちも大笑い。反対に、日本人はブラジルには自然しかないと思っているみたい、とシモネさん。
「去年、ブラジルであった大きなイベントといえば?」と問いかけると、子どもたちからはすぐに「オリンピック!」と声が上がった。開催されたリオデジャネイロはサンパウロに次いで大きな都市だ。
日本とブラジルの距離は約18000km、ちょうど地球の反対側。飛行機で行くと、乗り継ぎ時間も含めると30時間もかかる。国土もとても大きく、日本の23倍の面積で、南端から北端まで移動すると飛行機でも7時間かかるのだそう。スケールの大きさに、子どもたちからも驚きの声が上がっていた。
ブラジルで人気のスポーツといえば…とシモネさんが言い終わらないうちに、客席の男の子から大きな声で「サッカー!」。みんなもよく知っている「カナリア軍団」はブラジルの国旗の色である黄色のユニフォームで有名だ。国旗の黄色は黄金、緑は自然を表していると言われているそう。
南半球にあるブラジルでは、クリスマスは夏にやってくる。半袖半ズボンで、サーフボードに乗っているサンタさんもいる、と聞いて、子どもたちも大笑い。
そのほか、ブラジルの学校生活や、子どもたちの暮らしについてもお話してくれた。夏休みは2ヶ月あって、宿題はいっさいなし!と聞くと、客席からは「いいなあ!」と声が上がった。最後に、ブラジルで話されるポルトガル語をいくつか教えてもらった。
子どもたちに「質問はありますか?」と問いかけると、元気よくいくつも手が上がった。『父を探して』に描かれた世界について訊かれると、「実は、とっても悲しいお話」とシモネさん。原題は「O Menino e o Mundo(少年と世界)」。主人公は父を探す旅の中で、自然破壊や、子どもの労働やテクノロジーの過度な発達など、世界のさまざまな現実に出会う。「ブラジルの社会の負の面を描いていますが、それを美しい映像と音楽で見せています」。シモネさんが特に大好きなのはカーニバルのシーンだそう。
そのほか、「ブラジルの人はどんな車に乗っているの?」「ペレはやっぱり人気ですか?」と次々と子どもたちから質問が上がった。
最後は、子どもたちが習ったばかりのポルトガル語で、シモネさんに「オブリガーダ!」「オブリガード!」とお礼を言って、トークショーは終了した。
(取材・文:花房佳代)

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