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開会式


11月18日、東京・有楽町マリオンのTOHOシネマズ日劇にて、第18回東京フィルメックスが開幕し、開会式が行われた。登壇した林 加奈子東京フィルメックス・ディレクターは、関係者への感謝を述べ「いつ見ても新鮮な25本の上映です。映画を通して世界が見える。映画を通して自分の心もわかる。楽しい日々をご一緒いたしましょう」力強く開幕を宣言した。
続いてコンペティション部門の審査員が紹介された。香港より映画評論家クラレンス・ツィ氏、ドイツよりアルセナール芸術監督のミレーナ・グレゴール氏、映画プロデューサーの國實瑞惠氏、韓国よりプチョン(富川)国際ファンタスティック映画祭チーフプログラマーのエレン・キム氏、そして審査委員長を務める原一男監督の5名が登壇した。
審査委員長の原一男監督は、10月に開催されたフィルメックスの記者発表時の心境を振り返った。「市山さん、林さんの情熱のこもった作品説明を聞きながら、挑発されているような気持ちになった。今回選んだ作品たちに向き合って読み解ける映画的センスを持っているの?と」40年以上にわたって映画を制作してきた原監督自身も、作品公開時には観客を挑発するような気持ちだという。特に映画祭のコンペ作品には「挑発するという作り手の魂がこもっているので観る側も緊張感がある」と続け、「ただ映画を見るだけではもったいない。観客の皆さんも審査するつもりで観て、審査員とどちらが作品を深く読み解いているかを競ってみませんか?そういう気持ちで映画を観るのはスリリングでしょう?」と観客に向け提案。「審査結果の発表時に”俺のほうが深く読み解いているよ”と審査員と火花を散らすような経験をしてほしい。そして私達も、自分の生き方をかけた審査をしたい」と力強く述べると、会場から大きな拍手が沸き起こった。
今年のコンペティション部門は、フィルメックスでは初のコンペ入りとなったキルギス、インドネシアのほか、中国語圏を中心とした全9作品。最優秀作品賞と審査員特別賞などの審査結果は11月25日に行われる授賞式にて発表される。
今回は、没後40年を迎え再注目されているジャック・ターナーの特集上映、原一男監督、園子温監督など気鋭の監督がそろう特別招待作品のほか、関連イベントも多彩。現在のアジアにおける映画批評を検証する新企画<国際批評家フォーラム「映画の現在、そして未来へ」>、親子で映画&聴覚障がい者向けの日本語字幕付き鑑賞会<映画の時間プラス>など、映画祭ならではの多角的な企画が予定されている。
世界的にも注目されるアジア各国から、自由な作家性あふれる作品が集う第18回東京フィルメックス。今年もこの場所で出会える作品への期待感とともに、映画の未来へ向かう映画祭が開幕した。
(取材・文:入江美穂、撮影:明田川志保、中堀正夫、村田麻由美、吉田留美)

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