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東京フィルメックス・コンペティション






『おだやかな日常』 Odayaka / おだやかな日常
日本、アメリカ / 2012 / 102分
監督:内田伸輝(UCHIDA Nobuteru)
配給:和エンタテインメント

【作品解説】
『ふゆの獣』で2010年東京フィルメックス最優秀作品賞を受賞した内田伸輝の待望の新作は、3・11後の日本で起こった人々の反応を真正面から描いた大胆な作品である。主人公は、首都圏の同じマンションの隣同士のふた組の家族。子供がいないユカコは家で夫の帰りを待つしかない日々を送っている。放射能の影響についてマスメディアとネットで錯綜する情報に困惑し、次第に不安をつのらせてゆくユカコ。一方、もう一人の主婦サエコは、震災の直後に夫から愛人の存在を知らされ、愕然とする。結局、夫は愛人のもとに走り、5歳の娘・清美と二人きりで暮らし始めたサエコは、清美が通う幼稚園の先生や父兄たちの放射能の危険性に対する無頓着さにいらだち始める...。内田伸輝は緊張感みなぎる演出で、震災後に誰もが多少なりとも感じたであろう不安感を強烈に描き出す。本作のプロデューサーもつとめた杉野希妃が我が子を守ろうとするあまり周囲から孤立してゆくサエコ役を熱演。寺島進が印象的な役で出演しているのも見逃せない。










内田伸輝(UCHIDA Nobuteru)

長編デビュー作となったドキュメンタリー映画『えてがみ』(02)が2003年ぴあフィルム・フェスティバル審査員特別賞を受賞。同作は2004年香港国際映画祭ドキュメンタリー部門でスペシャル・メンションとして表彰されるなど、国内外の多くの映画祭で上映された。初の長編劇映画『かざあな』(07)は第8回TAMA NEW WAVEコンペティションでグランプリ・女優賞、ひろしま映像展2008でグランプリなど3賞、2008年ぴあフィルム・フェスティバル審査員特別賞を受賞など高い評価を受け、バンクーバー映画祭ドラゴン&タイガー・コンペティション部門でも上映。長編第3作『ふゆの獣』(10)では第11回東京フィルメックス・コンペティションで最優秀作品賞を受賞した。





11/29『おだやかな日常』Q&A
from ブロードキャスト 2012/11/30


 
11/29『おだやかな日常』Q&A
有楽町朝日ホール
 
内田 伸輝(監督)
杉野 希妃(プロデューサー、俳優)
林 加奈子(東京フィルメックス ディレクター)
藤岡 朝子(通訳)
  
   
  
『おだやかな日常』
日本、アメリカ / 2012年 / 102分
監督: 内田 伸輝
 
Odayaka / Odayakana Nichijo
Japan,USA / 2012 / 102min.
Director: UCHIDA Nobuteru



11/29『おだやかな日常』舞台挨拶
from ブロードキャスト 2012/11/30


 
11/29『おだやかな日常』舞台挨拶
有楽町朝日ホール
 
内田 伸輝(監督)
杉野 希妃(プロデューサー、俳優)
篠原 友希子(俳優)
山本 剛史(俳優)
渡辺 杏実(俳優)
岡崎 匡(東京フィルメックス)
藤岡 朝子(通訳)

 

『おだやかな日常』
日本、アメリカ / 2012年 / 102分
監督: 内田 伸輝


Odayaka / Odayakana Nichijo
Japan,USA / 2012 / 102min.
Director: UCHIDA Nobuteru





新情報は順次、追加されます。


『おだやかな日常』舞台挨拶、Q&A
from デイリーニュース2012 2012/11/29

1129odayaka_1.jpg11月29日、有楽町朝日ホールにてコンペティション部門の『おだやかな日常』が上映され、上映前の舞台挨拶には、内田伸輝監督をはじめ、プロデューサー兼主演を務めた杉野希妃さん、出演者の篠原友希子さん・山本剛史さん・渡辺杏実さんが登壇した。本作は、『ふゆの獣』で2010年東京フィルメックス最優秀作品賞を受賞した内田監督の待望の新作。ジャパンプレミアとなった会場には、内田作品の熱心なファンの姿も見られ、壇上の内田監督や出演陣に熱い視線が注がれた。


本作は、首都圏に暮らすふた組の夫婦を主人公に、震災直後実際に起こった、人々の様々な反応を描いた作品。「震災と原発事故を東京で経験し、様々なことを見聞きするうちに、「本当にこのままで平気か」と不安を覚えた。この映画を作らなければ、この先、次の映画は作れないんじゃないか。どうしても作らなければいけないと思った」と内田監督。杉野さんは「震災というテーマを扱うこともあり、悪戦苦闘して作り上げた作品。この映画の好き嫌いに関わらず、観終わった後は、感じたことを色々と議論して欲しい」と挨拶した。続いて、出演者それぞれから観客へ挨拶と感謝の言葉が述べられた。


1129odayaka_2.jpg上映後のQ&Aでは、内田監督と杉野さんが再び登壇。まず、司会の林 加奈子東京フィルメックス・ディレクターから、内田監督と杉野さんがタッグを組んだ経緯について質問。内田監督と杉野さんが出会ったのは、『ふゆの獣』が出品された2011年1月のロッテルダム国際映画祭。その2ヶ月後に震災が起こり、同年6月に内田監督から杉野さんへオファーしたという。杉野さんはオファーを受けた理由について「震災後、多くの映画監督が被災地へ行きドキュメンタリーを撮影した。私も表現者としてその行為は共感できる。一方、自分が生活をしている東京に目を向けると、福島から微妙に離れた東京は、何が危険で何が安全なのか不明瞭な土地だと感じた。その東京で生きるということは、人としてのあり方を問われているのだと思った。東京を舞台にしてフィクションを撮ることに意味を感じました」と話した。

観客からは、内田流の撮影手法についての質問が相次いだ。『ふゆの獣』では、脚本は作られず、プロットの鍵となる台詞以外は役者の即興で撮影された。一方、本作では第10稿まで脚本が練られており、その撮影手法は対照的かと思われたが、内田監督は「台詞は、きっちり書いてあるが、あくまでもキーワードとして捉えている。役者さんには、セリフは忘れていいので、その時感じた気持ちのままで演じて欲しい」とリクエストしたという。

1129odayaka_3.jpg杉野さんは役者としての立場から「課題は、「脚本をいかに破壊していくかということ」と言われた。感じたままを演じることで、役者として試されている感覚は大変だったが、とてもエキサイティングな現場だった」と当時の心境を語った。脚本はあるものの、役者自身の言葉で演じるため、台詞の読み合わせやリハーサルは一切行なっていない。その狙いを「テイク1が一番良い可能性が高い」と内田監督。

杉野さん演じるサエコは、子どもを放射能から守ろうとするあまり、錯綜する情報や周囲の目に苦悩する母親。内田監督は、「震災後、ある母親がネット上に「未来を奪われた。未来を返してほしい」と書いているのを読んだ。子どもは未来であり、この映画はその未来を取り戻す映画。未来を取り戻すために、私たちはどうするのか、という想いを込めた」と、観客へ熱く語りかけた。

観客からの質問の挙手が途切れることはなかったが、予定時間を越えてQ&Aは終了。『おだやかな日常』は、12月22日(土)より渋谷のユーロスペースほかで上映される。また、次の新作『さまよう獣』も完成しており、2013年2月2日に公開が決定している。


(取材・文:小嶋彩葉、撮影:穴田香織、村田まゆ)


1129odayaka_4.jpg 1129odayaka_5.jpg 1129odayaka_6.jpg





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