【阪本順治監督特集 第2弾】阪本監督ご登壇決定!10/16(水)〜10/19(土)

第20回東京フィルメックスでは、今年デビュー30周年を迎える阪本順治監督の秀作、8作品を有楽町スバル座のサヨナラ興行である「スバル座の輝き 〜メモリアル上映〜」の一環として上映いたします。

 

〈上映作品・スケジュール〉

◎「スバル座の輝き」期間
10/16(水)
10:00 「人類資金」 (140分)

10/17(木)
11:00 「団地」(103分)
14:30 「エルネスト」(124分)

10/18(金)
11:00「どついたるねん」(110分)
14:30「顔」(123分)★
18:00 「大鹿村騒動記」(93分)

10/19(土)
14:30 「トカレフ」 (103分)★
18:00「王手」 (112分)

 

★「顔」「トカレフ」2作品の上映後に阪本順治監督による舞台挨拶を行います。

「スバル座の輝き」の10/18(金)、10/19(土)は全て35mm、10/16(水)、10/17(木)はDCPでの上映です。
10/16(水)、10/17(木)、10/18(金)、10/19(土)は、17(木)「エルネスト」を除き、全て英語字幕付きでの上映です。

劇場HPはこちら:https://subaru-kougyou.jp/movies/
阪本順治監督特集チケット料金:1000円均一(各回入替制)

 

すでに報道されています通り、これまでも映画祭の会場としてご一緒してきた有楽町スバル座は、今年10月20日をもって閉館します。
実は、スバル座さんとは昨年の映画祭が終わった直後の段階から、「来年は、阪本監督を」と協働で行う方向性を確認しておりましたところ、春に閉館が発表されました。

その後、話し合いを重ねた結果、11/23(土)から12/1(日)に開催する第20回東京フィルメックスのうち、特集上映だけ期間を前倒して本祭のプレイベントとして位置付け、有楽町スバル座で実施をすることに関係各所のご理解とご協力が得られました。阪本特集実施には、35mmプリントでの上映が不可欠ですが、有楽町スバル座がDCPと35mmのいずれも上映できる劇場であることが、期間をずらしてでもこだわる理由のひとつです。

 

ここに、阪本順治監督はじめ、本特集に様々な形でご協力いただいた皆様、上映を認めてくださった各社様、上映素材の貸出にご協力いただいた皆様に心より御礼申し上げます。

ご協力:
アーツカウンシル東京(公益財団法人東京都歴史文化財団)
アスミック・エース
アルゴ・ピクチャーズ
キノフィルムズ
国際交流基金
松竹
セディック・インターナショナル
東映
日本芸術文化振興会
リトルモア

【お知らせ】ボランティアスタッフ募集(締切:10/18)

「東京フィルメックス」は”映画の未来へ”をキーワードに、個性あふれる作品を東京から世界へ発信している国際映画祭です。お客さまとゲストの距離が近く、ご来場の皆さまからは笑顔の印象的な温かい映画祭だと嬉しい評価もいただいています。映画祭の運営はボランティアスタッフの皆さまの支え合ってこそ成り立っています!映画業界に興味がある方、映画好きな友達が欲しい方、仲間とイベントを盛り上げたいと思う方、なにか新しいことをやってみようと思っている方、この機会に是非ご参加ください!!

 

参加経験者からの声

ご参加頂いた方から、以下のようなコメントをいただいています。こんな体験をしてみませんか。

「初めての参加でも、これまで参加されたことがある方もみなさんフランクで色々話したり教えてくださったり、まったく緊張しませんでしたし、やることもすぐ覚えることが出来ました。よかったです」

「東京フィルメックスに参加したことで、様々な国の人達が関わるインターナショナルな環境で映画祭に関わることができ、とても楽しかったです」

「ボランティア・レクチャーは映画祭ディレクターや技術の方から詳しい話が聞けていい体験になりました」

「やはり映画関係の職種を目指している方々の話を聞けるのは、刺激になりました」

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第20回東京フィルメックス:募集詳細

●募集人材(全班共通)
・映画祭会期前の研修に参加できる方【必須】
→初回研修会(全班対象):10月中旬から下旬、港区or新宿区のオフィスにて開催予定
(その他、運営班は10月~11月にあと2回開催予定。他班も同時期の週末にあと1~2回開催予定)
・満18歳以上の方(高校生不可)
・チームワークを大切にできる方、協調性がある方、責任をもって行動できる方
・映画祭会場に無理なく通勤できる方

≪大歓迎!≫
※6日間以上参加できる方。→班により参加日数が異なります。
※平日に多く入れる方
※日程の調整がつきやすい方

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●募集条件(全班共通)

(A) 映画祭会期中業務
●期間:11/23(土)~12/1(日)
●場所:有楽町朝日ホール(有楽町)ほか
●業務時間・内容:ページ下部の各班募集要項をご参照下さい。

(B)映画祭準備業務
●期間:10月中旬~会期前日
●場所:東京フィルメックス事務局(六本木)
●時間:平日の午後(目安:14時〜20時の間など)
●業務内容:チラシ発送・関係者用パス作成などの事務作業補助 など
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●スタッフ待遇(全班共通)
● 交通費の支給:片道上限400円(片道400円以下の場合は実費金額を支給)
● 公式カタログ1部進呈
● ボランティアスタッフ認定証の発行(一定条件を満たした方でご希望の方対象)
● 勤務時間に応じてお弁当支給

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● 注意事項(全班共通)
・ 随時、事務局から連絡や研修会の出欠確認があります。締切を守ってご返信をお願いします。
・ 無断欠勤はボランティア活動停止の対象となります。欠勤・遅刻の際は必ず事前にご連絡をお願いします。
・ 公式記録として撮影された写真・映像については、映画祭事務局に使用権があるものとし、広報活動等に使用される場合があります。予めご了承ください。
・その他、事前の研修会で説明する注意事項をお守りいただきます。

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●応募方法(全班共通)

◎応募フォーム:

https://goo.gl/forms/RotUgzBjlzgSOwvd2

・下記の班ごとの募集内容・応募条件をよくお読みの上、このフォームに必要事項を入力し「送信」ボタンを押して下さい。応募する班により入力項目に違いがあります。必須項目のほか、ご応募の班の項目にはもれなくご記入下さい。
・ご応募受付が完了すると、すぐに自動返信メールが送信されます。
・受付完了メールが届かない場合は2つ下の項目「お問い合わせ先」までご連絡をお願いします。

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●応募締め切り(全班共通)

2019年10月18日(予定) *締め切りましたら専用申込フォームの受付を停止いたします。

・面接にお越しいただく方には随時メールでご連絡します。
また、ご応募いただいた皆さまに10月上旬までに結果をご連絡致します。
万が一、こちらからの連絡がない場合は、まことに恐れ入りますが、下記お問い合わせ先にご連絡をお願いします。

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●お問い合わせ先(全班共通)

応募についてのご不明点・ご質問、またフォーム送信の不具合などありましたら、下記までへお問い合わせ下さい。

お問い合わせ先:staff@filmex.jp
電話: 03-6459-2684

※ご応募に際しお預かりしました個人情報は、ボランティアスタッフ選考およびご本人へのご連絡、ボランティア保険への加入、ご参加いただく場合には東京フィルメックス業務および東京フィルメックス関連のイベント情報のご連絡のみに使用し、取り扱いには十分留意いたします。

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●班ごとの募集詳細

ボランティアスタッフには、運営・事務局班、ホスピタリティ班(英語・他言語)、記録撮影班、デイリーニュース班、があります。ご希望班の詳細をご確認のうえ、ご応募ください。

 

◎運営・事務局班
映画祭の上映会場にて、お客様に1番近いポジションで、映画祭の「顔」として様々な業務に携わっていただきます。
●業務内容:
・会期中の会場運営業務(受付/物販/場内案内・整理・警備/監督トーク、授賞式やその他イベントの運営サポート/機材・備品の搬出入サポート/事務作業補助 など)

※定員人数に達しました
◎ホスピタリティ班(英語

来日ゲスト等に、英語でアテンド業務などに対応して頂く業務です。

●ホスピタリティ班条件:

・日本語に加え、英語での会話に長けている方。
・ゲストやお客様へのおもてなしの心がある方。
・雑務(お茶出し、片付けなど)も率先してこなしていただける方。
・英会話での業務経験のある方、歓迎。
・参加日数・時間は相談に応じますが、(A)映画祭会期9日間中、多く入れる方を優先させて頂きます●ホスピタリティ班(英語)業務内容
・ゲスト送迎等、アテンド業務や雑務をお願いすることもあります。
・ラウンジ運営、ゲストラウンジでのゲストへのおもてなし。
・タレンツ・トーキョー運営補助:人材育成事業「タレンツ・トーキョー」の運営の補助業務です。

※定員人数に達しました
◎ホスピタリティ班(中国語)
来日ゲストなどに中国語で対応して頂く業務です。
●ホスピタリティ班(中国語)条件:
・日本語に加え、中国語での会話能力がある方。
・ゲストやお客様へのおもてなしの心があり、雑務などもこなしていただける方。
・業務経験のある方、歓迎。実地経験を積みたい方も、歓迎。
・参加日数・時間は相談に応じますが、(A)映画祭会期9日間中、多く入れる方を優先させて頂きます
●英語、中国語以外の言語を募集する可能性もあります。ご興味がある方は、使用言語と簡単にレベルをお書きの上、件名「ホスピタリティ班について」とし、<staff@filmex.jp>宛に、メールをお送り下さい。該当言語の募集が確定次第、ご連絡致します。
◎記録撮影班(スチル)

映画祭のイベントを写真撮影する業務です。

●スチル班条件:
・撮影経験のある方のみ募集。撮影機材の持込み歓迎。
・シフト管理などの事務・調整作業(制作進行)が得意な方も歓迎。
・(A)日程の映画祭会期9日間中、4日間以上参加できる方。
・9:00‐21:00の間で、6時間程度可能な方
●業務内容:
・公式記録として、舞台挨拶やイベント・会場風景などを写真撮影。
・スチル撮影の参考として、昨年度の「デイリーニュース」をご覧ください。◎記録撮影班(ムービー)イベントを動画で撮影(編集含む)する業務です。
●ムービー班条件:
・撮影経験のある方のみ募集。編集経験のある方、撮影機材の持込み歓迎。
・シフト管理などの事務・調整作業(制作進行)が得意な方も歓迎。
・(A)日程の映画祭会期9日間中、4日間以上参加できる方。
・9:00‐21:00の間で、6時間程度可能な方
●業務内容:
・公式記録として、舞台挨拶やイベント、会場風景などを動画撮影。
・撮影した素材を短い映像に編集・仕上げ
・完成映像をアップロード
・ムービー撮影の参考として、昨年度の「ブロードキャスト」をご覧ください。
●業務場所:
・有楽町朝日ホール・スクエアほか(有楽町)
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【阪本順治監督特集 第1弾】 9/11(水)、9/12(木)開催!

第20回東京フィルメックスでは、今年デビュー30周年を迎える阪本順治監督の秀作を有楽町スバル座にて上映します。
すでに報道されています通り、これまでも映画祭の会場としてご一緒してきた有楽町スバル座は、今年10月20日をもって閉館します。
実は、スバル座さんとは昨年の映画祭が終わった直後の段階から、「来年は、阪本監督を」と協働で行う方向性を確認しておりましたところ、春に閉館が発表されました。

その後、話し合いを重ねた結果、11/23(土)から12/1(日)に開催する第20回東京フィルメックスのうち、特集上映だけ期間を前倒して本祭のプレイベントとして位置付け、有楽町スバル座で実施をすることに関係各所のご理解とご協力が得られました。阪本特集実施には、35mmプリントでの上映が不可欠ですが、有楽町スバル座がDCPと35mmのいずれも上映できる劇場であることが、期間をずらしてでもこだわる理由のひとつです。

そこで、有楽町スバル座のサヨナラ興行である「スバル座の輝き 〜メモリアル上映〜」の一環として、9/7(土)から9/12(木)の「プレ ファイナルイベント」と合わせて、計14作品を上映いたします。

〈上映作品・スケジュール〉
◎「プレ ファイナル」期間
9/11(水)
11:00「 新・仁義なき戦い 」(109分)  *上映前に舞台挨拶あり
15:00「 行きずりの街 」(123分)
18:00「 カメレオン 」(97分)

9/12(木)
11:00「 ぼくんち 」(115分)
15:00「 傷だらけの天使 」(118分)
18:00「 愚か者 傷だらけの天使 」(91分)

 

◎「スバル座の輝き」期間
10/16(水)
10:00 「人類資金」 (140分)

10/17(木)
11:00 「団地」(103分)
14:30 「エルネスト」(124分)

10/18(金)
11:00「どついたるねん」(110分)
14:30「顔」(123分)
18:00 「大鹿村騒動記」(93分)

10/19(土)
14:30 「トカレフ」 (103分)
18:00「王手」 (112分)

 

「プレ ファイナル」の9/11(水)、9/12(木)、そして「スバル座の輝き」の10/18(金)、10/19(土)は全て35mm、10/16(水)、10/17(木)はDCPでの上映です。
9/12(木)、10/16(水)、10/17(木)、10/18(金)、10/19(土)は、17(木)「エルネスト」を除き、全て英語字幕付きでの上映です。

劇場HPはこちら:https://subaru-kougyou.jp/movies/
阪本順治監督特集チケット料金:1000円均一(各回入替制)

 

 

ここに、阪本順治監督はじめ、本特集に様々な形でご協力いただいた皆様、上映を認めてくださった各社様、上映素材の貸出にご協力いただいた皆様に心より御礼申し上げます。

ご協力:
アーツカウンシル東京(公益財団法人東京都歴史文化財団)
アスミック・エース
アルゴ・ピクチャーズ
キノフィルムズ
国際交流基金
松竹
セディック・インターナショナル
東映
日本芸術文化振興会
リトルモア

第20回目の開催決定!〈11/23(土・祝)から12/1(日)〉 特別企画として歴代受賞作品の人気投票上映も!

2000年12月に記念すべき第1回が開催された国際映画祭「東京フィルメックス/TOKYO FILMeX」は、アジアを中心に、新進気鋭の監督たちの作品を集め、どこよりも早く、ここでしか観られない注目作品がラインナップされる唯一の国際映画祭でもあります。

そのフィルメックスが、今年も11/23(土・祝)から12/1(日)まで有楽町朝日ホールほかにて開催されることが正式に決定致しました。記念すべき20回目を迎える今年は、特別企画として歴代受賞作品の人気投票上映を行うことも決定。特設サイトから投票を受け付ける形で、過去のコンペティション部門受賞作品を対象に、人気上位作品を上映致します(※上映本数については未定)

投票は下記のURLよりご参加いただけます。
たくさんのご参加お待ちしています!

日本語版↓↓↓↓
https://questant.jp/q/filmex-awardedfilm

ENGLISH Ver↓↓↓↓
https://questant.jp/q/filmex-awardedfilm-e

新人監督賞グランプリは二ノ宮隆太郎さんの「逃げきれた夢(仮題)」シナリオ賞グランプリは廣原暁(さとる)さんの 「アンナの黒い犬」が受賞!

日本映画界の次代を担う新しい才能を発掘する「フィルメックス新人監督賞・シナリオ賞」の授賞式が6月28日、東京・六本木のキノフィルムズ試写室で開かれた。新人監督賞グランプリは二ノ宮隆太郎さんの「逃げきれた夢(仮題)」、シナリオ賞グランプリは廣原暁(さとる)さんの 「アンナの黒い犬」が受賞した。(写真下・左から廣原暁さん、二ノ宮隆太郎さん)

「フィルメックス新人監督賞・シナリオ賞」は、「木下グループ新人監督賞」を継承して今年スタートした映画賞。撮影や編集のデジタル化で映画製作が身近になる一方で、若い映画作家が次のステップに踏み出すのが難しい現状を受けて、商業映画のフィールドでオリジナル企画の実現を目指す監督や脚本家を支援する。

新人監督賞は商業映画の実績がない新鋭監督が対象で、シナリオと過去の映像作品をもとに選考。シナリオ賞はプロ・アマチュアを問わず、シナリオのみで選んだ。新人監督賞のグランプリ作品は賞金50万円のほか、木下グループが5000万円を上限に製作費を提供、劇場公開に向けて企画開発や製作・配給を支援する。

新人監督賞の応募作96作品からグランプリに選ばれた二ノ宮さんは初長編「魅力の人間」で第34回ぴあフィルムフェスティバル準グランプリを受賞し、長編第2作「枝葉のこと」が第70回ロカルノ映画祭新鋭監督コンペティション部門なとに選出された。受賞作の「逃げきれた夢(仮題)」は定時制高校の教頭の男性が認知症を発症していることに気づき、今まで距離を置いてきた家族や友人との関係を見つめなおす物語。授賞式で会見した二ノ宮監督は「この企画は初めてテーマをもらって書いた作品。テーマを下さった方々に感謝するとともに、とにかく特別な映画を作らなければと思っています」と意気込みを語った。

シナリオ賞の131作品からグランプリを受賞した廣原さんは「世界グッドモーニング!!」でバンクーバー国際映画祭グランプリを受賞。2017年には共同脚本を手掛けた監督作「ポンチョに夜明けの風はらませて」が全国公開された。受賞作の「アンナの黒い犬」は。海辺の町で起きた自動車事故を起点にした物語。廣原さんは「実在のひき逃げ事件を題材に7〜8年前から書き始めたのですが、なかなかで納得のいくものにできず、いい加減あきらめようかと生殺しのような状態で抱えていました。今回この賞を知り、映画作りの仲間と月1回くらい集まりながら意見を聴いて完成させました。この受賞で、自信というか『映画化してもいいんだ』という声をいただいたような気がしています」と喜びを語った。

新人監督賞の準グランプリは金允洙さんの「怪鳥とトランペット」、飯塚花笑さんの「トイレ、どっちに入る?」、酒井善三さんの「狩人の夜明け」が受賞。(写真下・左から金允洙さん、二ノ宮隆太郎さん、酒井善三さん)

シナリオ賞の準グランプリには内田伸輝さんの「特別」、松本稔さんと足立紳さんが共同執筆した「弱虫日記」、宮瀬佐知子さんの「オロンガポ」が選ばれた。(写真下・左から松本稔さん、宮瀬佐知子さん、廣原暁さん、内田伸輝さん)

審査員を代表してあいさつした東京フィルメックスの市山尚三ディレクターは「応募者にはシナリオコンクールなどで実績がある方もおり、全体的にレベルの高い作品が集まった」と語った。また、審査員講評として瀬々敬久監督からのコメントも発表され、「新しいことに挑もうとしている姿勢の見える作品が魅力的であったように全体としては感じました」と評価した。

より多くの作品に映画化の道を拓くため、各賞の最終選考に残った作品のうち応募者の同意を得られたシナリオは映画製作関係者限定でウェブ公開する。
詳細の問い合わせはinfo@new-directors.jpまで。

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【第1回グランプリ・準グランプリ作品の制作状況】
グランプリ作品『AWAKE』(山田篤宏監督)は6月にクランクアップ。
準グランプリ作品『人数の町』(荒木伸二監督)は5月クランクアップ。
両作品とも豪華キャストが出演。来年公開に向け、仕上げの真っ最中です。
===

—-審査員講評 瀬々敬久—-

シナリオの巧拙というより、いかに挑戦しているか。このシナリオが映画になった時に、どういう貌を見せるか、それが刺激的であるだろうか、というようなことを考えながら読ませてもらいました。

そういう意味では二ノ宮隆太郎さんの「逃げきれた夢(仮題)」が飛びぬけていたと思いました。今までは自身が主人公となったり、身の回りの日常を題材にした映画を作って来た作者が、中年男性を主人公にして描く九州の一地方を舞台にした物語、そこに新しい挑戦をしようとする気概を感じました。それでも作者独特の他者に対する目線、コミュニケーションの取り方の捻じれたようでありながら純粋性を内部に持った描き方は健在であり、終わり方もある未来へ向かう感じに心揺るがせるものがあったと思います。描かれている世界は小さいけど非常に大きなものを見せられている、そんな気がしました。この映画の完成を見てみたいそう思わせるものがありました。

同じ意味では飯塚花笑さんの「トイレ、どっちに入る?」も作者が描き続けてきたテーマの延長上にあり独自の感性で描かれたものでしたが、小さくまとまり過ぎていた印象が少し残念な気がしました。描かれてはいますが、もっと外への広がりが欲しい気がしました。金允洙さんの「怪鳥とトランペット」は設定とテーマは非常に卓越していましたが、それに対して物語の展開が、そこに追いついていない気が幾分しました。一方で酒井善三さんの「狩人の夜明け」はシナリオとしての物語展開は非常に巧みで読み手を魅了する力のあるシナリオだったと思います。ところがこの映画独自の魅力は何かと問われると、そこが若干弱かった気がします。

<シナリオ賞>では廣原暁さんの「アンナの黒い犬」が一番に惹きこまれました。日常に近い世界でありながらも、独特の世界観と独自の物語展開、素晴らしいものがあったと思います。一方、足立紳さんと松本稔さんの「弱虫日記」は文学や映画で慣れ親しんだ舞台設定です。であるにも関わらず、そういうことを超えて登場人物たちに非常に感情移入しながら読むことが出来たと思います。筆力の確かさが伝わった一篇だと思います。内田伸輝さんの「特別」は男女のギリギリとした関係を描き続けて来たご自身の延長上の作品でありながら、そこから飛び出そうとする意志を感じました。ただ映画では内田さん独自の演出があったうえでそれが成立している部分もあるのだと思いますが、シナリオだけだと幾分食い足りないなという印象も持ちましたが、映画になった時は違うのだと思います。宮瀬佐知子さんの「オロンガポ」は全く新しい才能に出会ったような印象を持ちました。ご自身の経験が下敷きになっているからこそ描ける海外の描写に惹きつけるものがあります。ただ後半の物語展開が幾分弱い気がし、そこに工夫が欲しい気がしました。

どれもシナリオについての感想であり、これが何段階もの作業を経て映画へ成っていった時にはまた違う印象になることだと思います。映画は変化するものであり、現段階での感想であることお許し下さい。また、ここに上がらなかった方々の作品も読ませていただきましたが、やはり新しいことに挑もうとしている姿勢の見える作品が魅力的であったように全体としては感じました。

 

執筆:深津純子、写真:吉田(白畑)留美

新人監督賞・シナリオ賞、募集開始!(2019/1/31まで)

フィルメックス新人監督賞・シナリオ賞、募集開始しました!
応募期間:2018年12月1日から2019年1月31日

【フィルメックス新人監督賞・シナリオ賞とは】
撮影機材も編集方法もデジタル化が進み、誰もが簡単に映画を作れるようにな
りましたが、日本映画界の次代を担う新しい才能は、 まだまだ活躍する場を与
えられていないのが現状です。
自主映画の映画祭などで賞を獲った後、どうすれば彼らが商業映画に進むこと
が出来るのか。ストーリーとアイデアがあっても、それを具現化する資金や術
がない人たちは夢を実現出来ないのか。そんな才能溢れる若いクリエイターに
むけて、我々は明確な道しるべを提示するために立ち上げられた<木下グルー
プ新人監督賞>を継承し、<フィルメックス新人監督賞・シナリオ賞>として
実施します。
プロ・アマ問わず、現実的な映画化を念頭においた企画を募集し、新人監督賞
のグランプリ受賞作品は木下グループのバックアップにより製作・配給されま
す。

主催:特定非営利活動法人東京フィルメックス実行委員会
特別協賛:木下グループ

<受賞作品は>*シナリオ賞は、3の賞金を授与しますが、映画化については確
約するものではありません
1. 劇場公開に向けて開発!
配給会社を持ち、数多くの映画に参画する木下グループが劇場公開にむけての
企画開発をバックアップします。映画化が実現した作品はキノフィルムズが配
給いたします。
2. 5,000万円を上限とした製作費!
商業映画としてのクオリティを確保するための適正な予算を設定し、木下グル
ープのプロデュースにより製作します。
3. 映画製作費とは別に賞金を授与!
<グランプリ1本 賞金50万円、準グランプリ最大3本 賞金各25万円>を授与
します。この賞金は映画製作費とは別に支払われます。

応募に関する詳細は、
公式サイトをご覧ください。
https://new-directors.jp/
応募期間:2018年12月1日から2019年1月31日

【レポート】授賞記者会見

第19回東京フィルメックスの審査員会見が11月24日(土)、有楽町朝日ホールスクエアBで開かれ、コンペティション部門の受賞結果が発表された。

最初に発表されたのは、東京学生映画祭が主催する「学生審査員賞」。約1時間にわたる3Dの長回し撮影で注目を集めたビー・ガン監督の『ロングデイズ・ジャーニー、イントゥ・ナイト(仮題)』が選ばれ、審査員の石井達也さん(東放学園映画専門学校卒)、久米修人(日本映画大学)さんが「映画表現へのこの革命的ギャンブルは、新たな扉を叩いただろう。そして、映画に対する確固たる愛と覚悟を見せつけ、僕らの背中も大きく押してくれた」との授賞理由を読み上げた。ビー監督の代理で出席したプロデューサーのシャン・ゾーロンさんは、「これは特別な賞。決してわかりやすい映画ではありませんが、学生映画賞を受賞することで若い人に楽しんでいただけるというお墨付きをいただけたことはとてもうれしい」と語った。


続けて国際審査員による賞が発表された。まず、スペシャル・メンション(選外佳作)に今回のコンペで唯一の日本映画である広瀬奈々子監督の「夜明け」が選ばれた。審査員のジーン・ノさん(スクリーン・インターナショナル誌韓国特派員)が「完璧な脚本を映像化した家族ドラマでした。柳楽優弥さんが非常にパワフルな演技で、自分の人生を模索する青年を表現した。このように力のある若い女性監督が登場したことは、日本の映画の将来にとっても大きな希望だと私たちは感じました」と授賞理由を説明。広瀬監督は「このラインナップのなかに選ばれただけでも非常に光栄なこと。アジアの力のある作品のなかで、私の「夜明け」がアジア映画の一つとして認められたことはとても嬉しく誇りに思います。私はこれがデビュー作で、監督としてはまだ生まれたてですが、これから2作目、3作目と新たなことに挑戦し、作品を作り続け、この賞に恥じないキャリアを積んでいきたい。今日はその覚悟をいただいたと思います。ありがとうございました」と喜びを語った。


審査員特別賞はペマツェテン監督の『轢き殺された羊』。審査員のモーリー・スリヤ監督は授賞理由の中で本作を「チベットの箴言で幕を開けるポップな西部劇ロードムービー」と称した。長編第2作の『オールド・ドッグ』(2010年)、第3作の『タルロ』(2015年)でフィルメックスの最優秀作品賞を2度受賞しているペマツェテン監督は「素晴らしい賞をいただき感謝いたします。私の作品は『オールド・ドッグ』以降ずっとフィルメックスで上映していただいていますが、いつも高い評価をいただいきありがたく思っています。フィルメックスと私の映画にご縁を感じています。できればこの作品が日本で公開され、多くの皆様にご覧いだたき、チベット人やチベット文化に対する理解を深めていただくことができればうれしいです」と語った。

最優秀作品賞はセルゲイ・ドヴォルツェヴォイ監督の『アイカ(原題)』。審査委員長のウェイン・ワン監督は「私たち審査員は毎日2~3本を見たわけですが、どれも個性的で力のある作品ばかりで、受賞作を選ぶのはとにかく難しかった」と審査過程を振り返り、最高賞に『アイカ』を選んだ理由を次のように説明した。「25歳のキルギス人女性が出産し、赤ん坊を残して産院から逃走します。彼女は多額の借金を背負っていて、いくつもの仕事をかけもちしなければならない。彼女の肉体的な苦痛も描かれます。モスクワに暮らす移民として様々な困難を生き抜こうとする姿も。これは現代のどこの国でも起こりえる普遍的な物語です。不法滞在、移民といった問題は各地にある。また、米国では保守派が中絶を非合法化しようとする動きも出ています。米国市民として、個人として、私は最初のフレームからこの作品に心をつかまれ、引き込まれました。それが最後まで続きました。そして、最後のシーン。主人公の行動に私は強い共感を抱きました。映画でこんなことをやってのけるのは簡単なことではない。とてもパワフルでとても誠実なこの映画に賞を与えたいと決めました」

ドヴォルツェヴォイ監督は「まず最初に皆様に感謝いたします。そして、私の映画を非常によくご理解いただいたことをうれしく思います。10年前に私の最初の映画『トゥルパン』が東京国際映画祭でグランプリを受賞しました。今回2作目の映画がフィルメックスで賞をいただきとてもうれしいく思っています。と同時に、これはどういうご縁なのかなとも考えています。たぶん、日本の文化とロシアの文化、そして中央アジアの文化のつながりの深さが根底にあるのではないかと思います。日本に来るたびに、日本との関係の深さ、お互いを理解しあえるものがあるとういことを強く感じていました。今回、皆様とお会いしてその思いを深くしています。この映画はキルギスの女性が主人公ですが、これは『キルギスの女性の問題』ではなく、もっと広く普遍的なことを扱ったつもりです。主人公はキルギスの女性だとしても、私の映画は人間というものをテーマにしています。これはどこでも起こりうる問題、どの国の人も共感できる問題だと思って作品を作りました。世界には様々な考え方があるとは思いますが、どこの国の人が見ても共感できるのが映画の素晴らしさだと感じています。(日本語で)ありがとうございます。I’m happy, thank you」

結果の発表を受けて、司会の市山尚三ディレクターが審査員にあらためてコメントを求めると、エドツワキさん(イラストレーター/アートディレクター)が登壇した。「審査員の他の4人の方々は映画のプロフェッショナル。たぶん私は”飛び道具”として入れて下さったのだと思います(笑)。そういう自覚のもとでのびのびとやらせていただきました。『とにかく全部見て、見終わってから話をしようか』というウェイン監督の方針で、自由な環境で見させてもらった。10作品を見終わって、昨日みんなで自由に話し合った。それぞれに意見を交わして、皆さんの感想から自分が気付かなかったことも発見した。この3作は全員が納得する形で選ぶことができました。本当にこういう機会に参加できて幸せでした。本当におめでとうございます」と審査の様子を語った。

質疑応答に移ると、審査員席のノさんがすっと手を挙げ、「私もジャーナリストなので、皆さんが質問を考えている間に一言いいですか?」とマイクの前に立った。「映画業界で働き始めて20年になりますが、いろんな人からフィルメックスはすごいという噂を聞いていました。プログラムもいいし、監督や作品、そして観客を非常に尊重している、と。20年やってきましたが、とても珍しいことです。もっと大規模で有名な映画祭も数ありますが、こんな評価は聞いたことがない。フィルメックスは小規模な映画祭なので過小評価されているかもしれませんが、世界の映画祭のなかでもきらめく宝石のような存在です。それは誇っていいことです」と笑顔で主催者にエールを送った。

会場のプレスからは審査経過について質問が出た。「審査員の間で評価がはっきり分かれた作品はあるか?」との質問にワン委員長は「最も時間をかけて話し合ったのは『象は静かに座っている』。一部の人が強く推し、別の人が問題点を指摘しまた」と説明。「個人的には、学生審査員賞に決まった『ロング・ジャーニー・イントゥ・ナイト』がどうしても好きになれず、これだけは賞を与えたくないなと思っていました(笑)。そんなことを思ったのも、私が年をとった証拠かもしれません。若い人は別の見方をする。そういうことなのでしょう。ともあれ、それ以外はみんなの意見に大きな相違はありませんでした」

バラエティに富んだコンペ作品をどのような基準で比較したのかという質問には、「科学的な測定基準があればいいのですが、私たちはひたすら映画を見て、お互いの直観を元に話し合った。各自が好きな作品を選んで持ち寄りましたが、トップ3だけを選んだ人も全部に順位をつけた人もいました」。審査員で唯一コンペ作品に1位から10位まで順位をつけたのはエドツワキさん。「エドさんの1位は?」と問われると、「それって、公開処刑ですか?」と笑わせ、「私が最後まで推したのは、ぜひ日本の観客に見せたかった作品。わがままを聞いていただきました。1位は『轢き殺された羊』です」と明かした。

会見は最後まで笑顔が絶えない和やかな雰囲気に包まれ、審査員がそれぞれの意見を自由に語り合い、納得のいく結論に至ったことがうかがえた。審査員の講評や受賞者のコメントにこめられた「受賞作を一人でも多くの観客に届けたい」という思いが実現することを期待したい。

取材・文:深津純子 撮影:吉田(白畑)留美

『アッシュ・イズ・ピュアレスト・ホワイト(原題)』ビデオレター

皆さん こんにちは ジャ・ジャンクーです。
東京フィルメックスに私の新作「アッシュ・イズ・ピュアレスト・ホワイト」を観に来てくださってありがとうございます。

この映画は製作に3年の時間を費やし、脚本執筆から準備、撮影のために、中国国内7700㎞の距離を移動しました。
私の故郷の山西から山峡や新疆まで7000㎞以上の道のりを撮影し、流浪して渡世に生きる人物を描きました。
日本の皆さんに気に入っていただければ幸いです。この映画を応援して下っている観客の皆さんに心から感謝します。

そして東京フィルメックスに感謝します。私の作品のほとんどはフィルメックスで日本でのプレミア上映をしていただきました。
「アッシュ・イズ・ピュアレスト・ホワイト」は来年日本で公開されますので、そのときには日本に行き、皆さんとお会いし、交流したいと思います。

今回は仕事の都合でどうしても東京フィルメックスに参加できません。
映画祭の成功をお祈りします。それでは皆さん、ごゆっくりご鑑賞ください。
撮影:明田川志保

【レポート】『プラネティスト』舞台挨拶、Q&A

11月25日(日)、有楽町朝日ホールにて特別招待作品『プラネティスト』が上映された。東洋のガラパゴスと呼ばれる小笠原諸島に住む「海のターザン」こと宮川典継さんと出会った監督が2014年~2017年の5年に渡り記録したドキュメンタリー。上映に先立ち、豊田監督、宮川典継さん、窪塚洋介さん、渋川清彦さん、中村達也さん、ヤマジカズヒデさんが登壇した。
壇上、豊田監督は今回で第10回、第12回に続き、3回目となるフィルメックス上映に誇りに思うと語り、「夕日の美しさ、原初的な地球の風景を見て感動しました」と小笠原の魅力を述べ、「僕の尊敬する仲間のアーティスト達を島に呼んでセッションを繰り広げ、みんなで夢を見ようという映画です」と挨拶した。

宮川さんは「美しいアイランドの自然を皆さんと映画でご一緒できてうれしい」と笑顔で会場に語りかけた。窪塚さんは「生きててよかったと思える景色は死ぬまでにどれぐらい見られるのか。その中の1つに小笠原という島があるのは間違いないです」と振り返り、「また(再訪して)宮川さんのお宅に泊めてもらおうかな」と語ると、宮川さんが「お待ちしてます」と笑顔で応えていた。

渋川さんは自身が第10回東京フィルメックス以来、2回目の東京フィルメックス参加であることを語り、当日は会場近くの宝くじ売り場に長い列ができていたことに触れつつ「夢を買うのもいいけど、小笠原に行ったらもっといい夢見れるよ」とアピール。中村さんは「長い船旅を終えて、島までドラムを持って行って叩いたりしました。」ヤマジさんは「東京にいながら小笠原を感じていただけると嬉しいです」と語った。

上映後、再び豊田監督が登壇しQ&Aが始まった。まず、市山尚三ディレクターより、「本当に素晴らしい映画を撮影していたんですね」と一言。次いで、本作の製作の経緯を尋ねた。豊田監督は「小笠原は人生に一度は行ってみたいと言われる場所」だと紹介し、本当は映画の撮影の舞台にしようと思ったが、タイミングが合わず行けなかったそうだ。森永博志さんが小笠原を舞台に描いた『PLANETIST NEVER DIES』という小説が好きだった豊田監督は、小笠原に行く際、森永さんに相談したところ、宮川さんに会うべきだとアドバイスを受けたそうだ。「小笠原には一航海(1週間)の予定が、気に入ってしまい1カ月いました。宮川さんと一緒にいるうちに宮川さんを主人公にしたドキュメンタリーを作りたいと思ったのが本作を作ったきっかけです」と語った。冒頭でも記した通り、本作は2014年~2017年に撮影された後、豊田監督は『泣き虫しょったんの奇跡』(2018)の撮影、編集に入ったそうだ。その後、本作の編集に入り、「2018年は小笠原返還50年なので今年に間に合わせたいと思いました」と語った。
会場からの質問で、本作を完成した後と撮影開始時で(心境が)変わった点はあったかと聞かれると、豊田監督は「自然に対して詳しくなりました。宮川さんに教えられながらいろいろなことを学びました。ネイチャーものの映画が、これからいっぱい撮れるな、と思いましたね」の答えに会場がどっと沸いた。

豊田監督の幸せとは何か?という質問に対し、「僕は“みんなが幸せになるまで自分の幸せはない”と思っています」と考えを語った。

劇中のドルフィンスイムについて、水中撮影も行ったのか?という質問には「水中はいろいろ撮っていましたが、ドルフィンスイムや窪塚さんのシーンは小笠原に在住のMANA野元学さんというカメラマンに撮ってもらいました」と答えた。「それ以外はほぼ一人で撮っている感じです」と述べていた。

監督が呼んだ出演者が小笠原の自然に触れることで生じた変化は予見していたかという質問には「予想は出来ていませんでした」と豊田監督。ディジュリドゥ奏者のGOMAさんのシーンでは演奏している時に、クジラがやってくるとは予想してなかったと説明し、「とりあえずやってみよう」ということで撮影していたそうだ。「(出演者の方々は小笠原にやってきて)いろいろ思うところはあったと思うが、想像はできていなかったです。ただ、ドキュメンタリーを作る前に構成はできていました」と振り返っていた。

作中に出てきた、「小笠原返還の歌」を唄った大平京子さんの英語表記がEdith Washingtonであったことに言及があり、前者が日本帰化後、後者が島返還前の名前であると答えていた。

小笠原に訪れた人たちはどんな人たちだったのかという質問に対し、「出演した人以外にも誘っていました」と豊田監督。しかし、台風の影響や時間の都合が合わず、来られない人がいた一方で、窪塚さんや中村さんは来てくれたそうだ。また小笠原では「お前まだ、小笠原に呼ばれてないな」という言い方をするそうだ。

小笠原の交通手段の拡充と孤立性についてどう思うかという質問には「イエス・ノーを言える立場ではありません。ただ、24時間船に乗るということが大好きです。そんな場所が世の中にあっていいと思います。島の人たちの気持ちもあると思います。正解はないと思います。僕は今の形が好きです。だからこそ惹かれました」と島への想いを観客に伝えていた。

会場からは本作を観て、小笠原の自然の雄大さに魅了された多くの観客が小笠原に行きたいと感想を語っているのが印象的であった。自然に触れることで魂が震える観客の熱量が会場に充満している中、質疑応答が終了した。
本作は2019年5月にテアトル新宿ほかにて公開予定である。ぜひご覧いただき、小笠原のダイナミックな自然を感じてほしい。

取材・文:谷口秀平   撮影:明田川志保