タレント・キャンパス・トーキョー授賞式
TOKYO FILMeX ( 2013年11月30日 17:00)
11月30日(土)、東京フィルメックス期間中におこなわれた映像人材育成プロジェクト「タレント・キャンパス・トーキョー 2013」(以下、TCT)の授賞式が行われた。本プロジェクトは、東京都とアーツカウンシル東京、東京文化発信プロジェクト室及び特定非営利活動法人東京フィルメックス実行委員会の主催、並びにベルリン国際映画祭(ベルリナーレ・タレンツ)との提携のもと、11月25日から6日間にわたって開催。未来を担う人材が、映画作りのノウハウを学び、国際的なネットワークを築く機会を与え、東京を世界的な文化創造の発信拠点とすることを目的としており、アジアから選ばれた15名の監督、プロデューサーが参加した。
冒頭、6日間の活動がスライドに映し出されると、参加者(タレント)からはどよめきと笑いがおこり、会場全体の一体感が感じられる和やかな授賞式が幕を開けた。参加者は期間中、すでに映画界で活躍するエキスパートの講義を受け、自らも映画の企画を発表、資金集めの方法から映画づくりを学んだ。メイン講師のジャン=クリストフ・シモンさんは「皆さんのおかげで素晴らしい1週間を過ごすことができた。TCTは今日で終了するが、これは終わりではなく、皆さんのキャリアの門出であると捉えてほしい。全てのプレゼンテーションが本当に素晴らしいもので感銘を受けた。私は皆さん全員におめでとうと言いたい」と挨拶した。
続いて、メイン講師のマテイス・ヴォウター・クノルさんよりスペシャル・メンションの発表があり、音楽への夢を追求するティーンエイジャーを描いたドキュメンタリー作品をプレゼンテーションしたヴィンセント・ハイ・ドゥ監督(中国)の「China's Music Dream」に贈られた。選考理由についてマテイスさんは「作品の国際的なポテンシャルやポスト社会主義時代における中国の社会的変化をとらえた内容について高く評価した」と述べた。ヴィンセントさんは「映画製作をするにあたって数多くの圧力を受ける中国では、ドキュメンタリー映画を制作していくことは決して楽な事ではないが、作品を完成させる自信になった」と喜びを語った。
そして、最優秀企画賞は、ジャヌス・ヴィクトリア監督(フィリピン)の「Kodokushi-Escape to Summer」が受賞。名前を呼ばれると、ジャヌス監督は驚きを隠せない様子でマイクの前に立った。授賞理由について「特に日本社会において注目すべきトピックを取り上げ、非常に興味深く、極めて質の高い作品だった」とマテイスさん。賞状を受け取ったジャヌス監督は「TCTに参加して、様々なアドバイスを受けることができた。私は日本人ではないながらも、今後も日本の社会問題について情報を収集していきたい。映画が完成したら、再びTCTの場に立ち、皆さんに観ていただきたい」と興奮した様子で挨拶をすると、他の参加者からも大きな拍手が送られた。また、メイン講師のローナ・ティーさんより副賞として30万円が授与された。
最後に、スケジュールの都合により帰国されたメイン講師ガリン・ヌグロホさんからのビデオメッセージを含め、各講師より参加者に向けてエールが送られ授賞式は無事に終了。マテイスさんの「今回の経験を糧にしてほしい。この出会いを大切にして、必ずまた再会しましょう」という言葉の通り、参加者と講師そろっての集合写真では、全員の笑顔がこの1週間で生まれた確かな絆を表しているようだった。
(取材・文:小嶋彩葉、撮影:穴田香織、永島聡子)
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