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【レポート】『共想』舞台挨拶、Q&A

11月18日(日)、有楽町スバル座にて特別招待作品『共想』が上映された。本作は『あれから』(2013)、『SHARING』(2014)(第15回東京フィルメックス特別招待作品)に続く東日本大震災を見つめた篠崎誠監督の最新作だ。上映に先立ち舞台挨拶が行われ、篠崎監督、善美役の矢﨑初音さん、珠子役の柗下(まつした)仁美さん、さらに櫻井保幸さん、大杉樹里杏さん、播磨誌織さん、村上春奈さんが登壇した。

挨拶の前に、市山尚三東京フィルメックスディレクターが本作は出来上がったばかりでこの後も変わるかもしれないというギリギリで完成した作品だとコメント。

第1回、第15回に続き第19回東京フィルメックスに参加することとなった篠崎監督は「東京フィルメックスに帰ってくることできて嬉しいです」と喜びの言葉が。また本作品はとても小さな作品だと表現し、「市山さんが観た段階から、ワンシーン増やしました。数日前に出来上がった作品で、まだ僕しか観ていません」と語った。矢﨑さんは「小さな映画ですが、私の中で大切にしたい作品」と話し、柗下さんは「タイトルの通り、皆さんと一緒に大切な人や会えなくなってしまった人を共に想える作品だと思います」と話した。櫻井さんは「すごい心に残る作品」、大杉さんは「演者、スタッフが一人一人自分たちの役割を考えて作った作品です」、播磨さんは「伝えられることは言いたいことは大事に言わないといけないと思えることができる映画です」、村上さんは「篠崎先生は大学の先生で、大学に入学したての頃に撮影に呼ばれて、撮影が始まって、試写が始まって、舞台挨拶をしているのでとても緊張しています」と想いを語った。

上映後、質疑応答には篠崎監督、柗下さん、矢﨑さんが登壇。本作品が持つ雰囲気は脚本の段階から考えていたのか、編集の段階で作ったのかという質問が上がると、「最初から最後まで書いたシナリオではなくて、ワンシーンだけセリフはしっかり書かれていて、あとは大体の展開を考えて、説明しました」と篠崎監督。また柗下さんと矢﨑さんに本作撮影の前に3月11日に何をしていたのかをインタビューをするところから始めたそうで、矢﨑さんは「1回目は実際に自分たちが経験した話を撮影して、その後、善美はこうだ、珠子はこうだったというのを付け加えて、2回目で実際役を通して撮影しました」と語ってくれた。出演者に「こういう経験はありますか」と聞いて、それを踏まえて矢﨑さんや柗下さんと話して、さらに撮影当日に2時間くらい話して、テストなしで本番撮影を行ったそうだ。「なので、脚本の段階というより、撮りながら考えて作っていきました」と篠崎監督は語った。また編集の段階でも順番を変えたり、一回撮影したものを落としたり戻したり、悩みながら作っていくうちに作品の雰囲気が形作られていったと話していた。

本作から2人でいることについての映画だと感じた観客より、監督や出演者にとって、2人でいることの意味について質問があった。回答に当たって、矢﨑さんが自分と柗下さんが同じ専門学校出身の友達同士であることや、ラストシーンは撮影の2日目、3日目の早い段階で撮影したというエピソードを語り、「自分たちのどこがゴールなのかわからない状態でラストシーンを撮ったのですが、柗下さんとの関係もあって、珠子が柗下さんで良かった。ラストシーンが2人で居る意味の答えになって、そこに向かってどんどん映像を埋めていったって感じです」と振り返っていた。柗下さんも「矢﨑さんじゃないと成立しませんでした。何もセリフを決まっていなかったんですが、私がしゃべったらそれに応えてくれると信頼して委ねていたので、2人でできてよかったです」と語った。篠崎監督は「2人は僕が言ったことを覚えてくださって、頑張ってくれていました。(撮影時は)緊張しながら観ていて、ラストシーンでは2人の何年か積み重ねがちゃんと映っていて、僕はカメラ脇で観てて泣きそうになりました。そのシーンを見た時、この映画は出来た。ここに向かっていければいい」と話した。

作中に出てきた詩についての質問があり、詩は篠崎監督の娘が小学校の時に学校の課題で書いた詩で、非常に印象に残ったそうで、「いつか映画で使ってもいいと、許諾を得たんです」と言うと会場から笑い声が。続けて「この映画を撮った時に、これはいいかな、と思って使った」と答えた。

ラストシーンは丘で撮影した理由を聞かれ、篠崎監督が学生時代、『おかえり』(1996)で撮影に使用した場所であり、35年かけて3回撮影しているエピソードを語ってくれた。また、本作は室内で撮影する映画なので、最後は広い場所で終わりにしたいと考え、採用したそうだ。

今作はエチュードの手法が取り入れられた経緯を問われると、「1本撮り終えてから次の映画まで時間がすごくかかります」と語り「もう少し身軽にとは言わないのですが、かつて中学校の時に8mm映画を撮った時は、同級生に『今日夕方空いてる?』と声をかけて、そこで集まったメンバーの顔を見ながら即興で話を作っていたのを思い出し、その場で『一緒に何かやりませんか』と言って、『いいよ』って言ってくれた人たちとやってみたい」と話した。
2017年3月に撮り始めて、今まで時間をかけるつもりはなかったが、「自分の中で映画が終わり切れていないという想いが消えずにいて、無理やりまとめるより、少し距離を置いて作ろう」と思ったそうだ。「本来はデッサンとかエチュードのつもりでしたが、結果としてものすごく中断しつつ長い映画になりました。そうしないと次の映画が作れないような気がしました」と篠崎監督。

質疑応答後、篠崎監督は東京フィルメックスのスタッフ、本作品に携わってくれたさまざまな人への感謝、何らかの形で本作品を上映したいと想いが述べられた。東日本大震災を通じて変化していく人々を描く篠崎監督の作品に胸を打たれた観客から盛大な拍手が送られた。

文責:谷口秀平、撮影:明田川志保


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