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【レポート】「夢の裏側」Q&A

11月23日(土)、TOHOシネマズ日比谷スクリーン12にて特別招待作品『夢の裏側〜ドキュメンタリー・オン・シャドウ・プレイ』が上映された。オープニング作品『シャドウプレイ』の準備段階から中国上映までの期間、その制作過程を追ったドキュメンタリー。上映後のQ&Aには、マー・インリー監督が登壇した。

冒頭、市山尚三東京フィルメックス・ディレクターより、『夢の裏側』が2018年の台北金馬奨に続いて、世界で2回目の上映であることが紹介された。マー監督によれば、スタッフもまだ見ておらず、監督自身が台北金馬奨以来で本作を鑑賞したという。貴重な機会を得たことを知り、会場には感謝の雰囲気が広がった。

 

市山ディレクターから制作の経緯を尋ねられると、「過去にもロウ・イエ監督作品の制作過程は撮られているが、いわゆるメイキングであり、素材資料としてだった。4年前に本編である『シャドウプレイ』の制作に着手したときから、きちんとしたドキュメンタリー作品として作りたいという思いがあった」とマー監督は語った。

マー監督がドイツで映画制作について学び、自身の作品は1本を除きドキュメンタリー作品であることにも、今作をドキュメンタリーにした要因として触れていた。

 

会場には、『シャドウプレイ』から続けて鑑賞した観客も多かった様子で、両者を見比べた上での質問がいくつも出た。

客席からの最初の質問は、エディソン・チャン演じるアレックスが本編でほとんど写っていない理由について。マー監督によれば、ロウ監督は彼をよい役者だと評価しており、チャンも久しぶりの映画出演に意欲的で真面目に取り組んでいたという。「彼の役は本編でも重要な役だったが、検閲での要求により出演シーンは削除せざるを得なかった」と説明した。

 

続いて、「台北金馬奨での上映時と今回で内容に違いがあるか」という質問に対して、「結論部が違っている」とマー監督は語り、今回が完全版のワールドプレミアだったことが明らかになった。中国国内での上映については、「私自身はできるだけ多くの人に見てほしい。編集のし直しや修正の要求があるだろう」とのことで、公開できるかは未定だという。

  

さらに、『シャドウプレイ』の上映許可を得るまでに2年間かかったことを踏まえ、中国の検閲の実情について話が及んだ。マー監督は電影局に対する一連の手続きを説明した後で、「ロウ・イエ監督の作品は、メインストリームから外れているかもしれないし、内容に問題があるのかもしれない。映画言語が他の監督と違うのかもしれない。検閲は通りにくい」と話した。

 

最後も、『夢の裏側』に撮影していたシーンが『シャドウプレイ』で見覚えがないと指摘があり、マー監督は「自分の記憶違いでなければ」と断った上で、「完成時はそのシーンは入っていたが、その後の検閲で削除することになった」と説明した。

 

遅い時間にかかわらず、多くの観客が残ってのQ&Aも残念ながら時間切れとなった。今作の本編『シャドウプレイ』は2020年にアップリンクより配給予定。11月25日(月)には、有楽町朝日ホールにて、ロウ・イエ監督の『ふたりの人魚』が上映され、Q&Aにはロウ監督が登壇する。

 

(文・山口あんな、写真・明田川志保)


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