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特別招待作品












『ギマランイス歴史地区(仮題)』 Historic Center / Centro Histórico
ポルトガル / 2012 / 89分
監督:ペドロ・コスタ、マノエル・ド・オリヴェイラ、アキ・カウリスマキ、ビクトル・エリセ (Pedro COSTA, Manoel de OLIVEIRA, Victor ERICE, Aki Kaurismäki.)
配給:ロングライド

【作品解説】
ポルトガル北西部に位置する古都ギマランイス。初代ポルトガル国王アフォンソ1世がこの地で生まれたため、「ポルトガル発祥の地」とも言われるこの都市には様々な歴史的建造物が保存されており、その旧市街は「ギマランイス歴史地区」と呼ばれてユネスコの世界遺産にも認定されている。2012年、EUが提唱する「欧州文化首都」に指定されたこの都市では年間を通じて様々な文化イベントが行われているが、その一環として製作された映画が『ギマランイス歴史地区(仮題)』だ。現代ヨーロッパ映画界を代表する4人の巨匠がそれぞれの視点からギマランイスを切り取ったこの作品は、この都市の魅力を伝えるということは言うまでもなく、4人の巨匠それぞれのスタイルを一つの作品として残したという意味で貴重なオムニバス映画と言える。アキ・カウリスマキの『バーテンダー』は、歴史地区にあるバーで働く一人の男の1日を台詞なしで描いた作品。時代が止まっているかのように見えるクラシックなバーの内部と、後半に登場する近代化された市街地との対比が興味深い。ペドロ・コスタの『命の嘆き』はシュールレアリスティックな設定を用いて1974年の革命を扱った作品。主人公は『コロッサル・ユース』などのコスタ作品に登場するキャラクター、ヴェントゥーラ。青年将校たちによるクーデターに加わったヴェントゥーラは森の中で道に迷う。やがて精神病院に収容されたヴェントゥーラは、病院のエレベーターの中で過去の"亡霊"と対話する...。ビクトル・エリセの『割れたガラス』は、19世紀半ばに創設され、2002年に閉鎖された紡績工場リオ・ヴィゼラについての映画。ある時代のヨーロッパの紡績業を担った工場の跡地をかつてここで働いていた労働者たちが訪れ、それぞれの視点から思い出を語る。当時の工場の食堂をとらえた写真が絶大な効果をあげ、見る者の涙を誘う。マノエル・デ・オリヴェイラの『征服者、征服さる』は、ギマランイス城で撮られたユーモアあふれる作品。城の前にはアフォンソ1世の銅像が凛々しく立っているが、そこに観光客の集団が押し寄せてくる...。本作はローマ映画祭でワールド・プレミア上映された。

●『バーテンダー』 O Tasqueiro
ポルトガル / 2012 / 13分
監督:アキ・カウリスマキ (Aki Kaurismaki)
●『命の嘆き』 Sweet Exorcist / Lamento da Vida Jovem
ポルトガル / 2012 / 30分
監督:ペドロ・コスタ (Pedro COSTA)
●『割れたガラス』 Broken Windows / Vidros Partidos
ポルトガル / 2012 / 36分
監督:ビクトル・エリセ(Victor ERICE)
●『征服者、征服さる』 O Conquistador, Conquistado
ポルトガル / 2012 / 10分
監督:マノエル・ド・オリヴェイラ(Manoel de OLIVEIRA)










アキ・カウリスマキ (Aki Kaurismäki)

1957年、フィンランドのオリマティラ生まれ。ヘルシンキ大学で文学とコミュニケーション論を専攻ののち、フィンランドの映画雑誌に映画評論を寄稿。80年、兄ミカの監督作"Valehtelija"の脚本を執筆し、主演も務め、81年兄弟で製作会社を設立。83年、初の長編作品『罪と罰』が国内で注目を集め、86年の『パラダイスの夕暮れ』がカンヌ映画祭に出品。以後、その個性的な作風で、1作ごとにフィンランドを代表する監督として世界の注目を集めている。『過去のない男』(02)ではカンヌ映画祭グランプリを受賞した。代表作に『真夜中の虹』(88)、『マッチ工場の少女』(90)、『ラヴィ・ド・ボエーム』(92)、『浮き雲』(96)、『白い花びら』(99)、『街のあかり』(06)、『ル・アーヴルの靴みがき』(11)など。

ペドロ・コスタ (Pedro COSTA)

1959年、ポルトガルのリスボン生まれ。リスボン大学で歴史と文学を専攻。国立映画学校に学び、アントニオ・レイスに師事。ジョアン・ボテリョ、ジョルジュ・シルヴァ・メロらの作品に助監督に就く。87年に短篇"Cartas a Júlia"で監督デビュー。89年には『血』で長編劇映画を初監督する。『ヴァンダの部屋』(00)では、ロカルノ映画祭青年批評家賞、山形国際ドキュメンタリー映画祭最優秀賞などを受賞し、2006年の『コロッサル・ユース』はカンヌ映画祭コンペティションに選出された。その他の主な作品に『溶岩の家』(95)、『骨』(97)、『映画作家ストローブ=ユイレ/あなたの微笑みはどこへ隠れたの?』(01)、『何も変えてはならない』(09)などがある。

ビクトル・エリセ (Victor ERICE)

1940年、スペインのバスク自治州生まれ。映画学校を卒業するも、その後兵役へ。除隊ののち、29歳でオムニバス映画『挑戦』(68)の一篇で映画監督デビュー。翌年のサン・セバスチャン映画祭のシルバーシェル賞を受賞。73年に発表した『ミツバチのささやき』が、サン・セバスチャン映画祭でグランプリを獲得。10年後に発表した第2作『エル・スール』(82)も高い評価を得て、スペインの巨匠として世界に知られる存在に。さらに10年の時を経た第3作『マルメロの陽光』(92)では、カンヌ映画祭審査員賞、国際批評家連盟賞を同時受賞した。2002年にはオムニバス映画『10ミニッツ・オールダー』の一篇「ライフライン」を監督。2006~07年にはバルセロナ現代文化センターの依頼で、アッバス・キアロスタミ監督とのビデオ往復書簡を発表している。

マノエル・ド・オリヴェイラ (Manoel de OLIVEIRA)

1908年、ポルトガルのポルト生まれ。監督志望だったが、映画界への足がかりとして、俳優としてデビュー後、31年に記録映画『ドウロ河』で監督デビューし、42年に初の劇場長編作『アニキ・ボボ』を監督。63年に監督した『春の劇』は当時のサンラザール独占政権を批判する内容を含むとされ、上映直後に投獄される。70年代に入り映画製作の環境が好転すると、『フランシスカ』(81)、『繻子の靴』(85)、『神曲』(91)などの傑作群を連作。80歳を越えてからはほぼ年1作のペースで監督を続け、今年12月には104歳という、世界最高齢の現役映画監督。その他の主な作品に『アブラハム渓谷』(93)、『クレーヴの奥方』(99)、『夜顔』(06)、『ブロンド少女は過激に美しく』(09)などがある。







12/2『ギマランイス歴史地区』Q&A
from ブロードキャスト 2012/12/10

12/2『ギマランイス歴史地区』Q&A
有楽町朝日ホール
 
ペドロ・コスタ(監督)
市山 尚三(東京フィルメックス プログラム・ディレクター)
大倉 美子(通訳)
 
 
『バーテンダー』 O Tasqueiro
ポルトガル / 2012 / 13分
監督:アキ・カウリスマキ (Aki Kaurismaki)
 
『命の嘆き』 Sweet Exorcist / Lamento da Vida Jovem
ポルトガル / 2012 / 30分
監督:ペドロ・コスタ (Pedro COSTA)
 
『割れたガラス』 Broken Windows / Vidros Partidos
ポルトガル / 2012 / 36分
監督:ビクトル・エリセ(Victor ERICE)
 
『征服者、征服さる』 O Conquistador, Conquistado
ポルトガル / 2012 / 10分
監督:マノエル・ド・オリヴェイラ(Manoel de OLIVEIRA)
 
 
Historic Center / Centro Historico
Portugal / 2012 / 89 min.
Director: Pedro COSTA, Manoel de OLIVEIRA, Victor ERICE, Aki Kaurismäki
 
Tasqueiro
2012 / 13 min. / Dir. Aki Kaurismäki)
 
Sweet Exorcist / Lamento da Vida Jovem
2012 / 30 min. / Dir. Pedro COSTA
 
Broken Windows / Vidros Partidos
2012 / 36 min. / Dir. Victor ERICE
 
Conquistador, Conquistado
2012 / 10 min. / Dir. Manoel de OLIVEIRA



11/27『ギマランイス歴史地区』舞台挨拶
from ブロードキャスト 2012/11/28


 
11/27『ギマランイス歴史地区』舞台挨拶
TOHOシネマズ 日劇3
 
ロドリゴ・アレイアス(プロデューサー)
市山 尚三(東京フィルメックス プログラム・ディレクター)
 
 
『バーテンダー』 O Tasqueiro
ポルトガル / 2012 / 13分
監督:アキ・カウリスマキ (Aki Kaurismaki)
 
『命の嘆き』 Sweet Exorcist / Lamento da Vida Jovem
ポルトガル / 2012 / 30分
監督:ペドロ・コスタ (Pedro COSTA)
 
『割れたガラス』 Broken Windows / Vidros Partidos
ポルトガル / 2012 / 36分
監督:ビクトル・エリセ(Victor ERICE)
 
『征服者、征服さる』 O Conquistador, Conquistado
ポルトガル / 2012 / 10分
監督:マノエル・ド・オリヴェイラ(Manoel de OLIVEIRA)
 
 
Historic Center / Centro Historico
Portugal / 2012 / 89 min.
Director: Pedro COSTA, Manoel de OLIVEIRA, Victor ERICE, Aki Kaurismäki
 
Tasqueiro
2012 / 13 min. / Dir. Aki Kaurismäki)
 
Sweet Exorcist / Lamento da Vida Jovem
2012 / 30 min. / Dir. Pedro COSTA
 
Broken Windows / Vidros Partidos
2012 / 36 min. / Dir. Victor ERICE
 
Conquistador, Conquistado
2012 / 10 min. / Dir. Manoel de OLIVEIRA





新情報は順次、追加されます。


『ギマランイス歴史地区』ペドロ・コスタ監督Q&A
from デイリーニュース2012 2012/12/ 2

1202costa_1.jpg12月2日、有楽町朝日ホールで特別招待作品『ギマランイス歴史地区(仮題)』が上映された。本作は、ポルトガル北西部に位置する古都ギマランイスをテーマに、アキ・カウリスマキ、ペドロ・コスタ、ビクトル・エリセ、マノエル・ド・オリヴェイラ、4名の映画監督が参加したオムニバス映画である。上映終了後には、ペドロ・コスタ監督がQ&Aに登壇し、いずれも熱烈なファンを持つ映画監督たちが顔を揃えた本作の裏話などを語ってくれた。


登壇したペドロ・コスタ監督はまず、「アキ、ビクトル、マノエルから、皆さんに"こんばんは"とお伝えするように言われてきました」と、参加した4名の監督を代表して挨拶。


続いて、客席からの質問に答える形で、意外な裏話が明かされた。「この作品は当初、ジャン=リュック・ゴダール監督も含めて5名で製作する予定でした。ところが、ゴダールは3D撮影を希望。現在は2Dと3Dの作品を1本の映画にすることは不可能なので、彼は作品から離れることになりました」この思いがけない話に、驚きと残念がる気持ちの入り混じった空気が会場を覆った。


1202costa_2.jpg本作でコスタ監督が手掛けた『命の嘆き』は、精神病院のエレベーターの中で、クーデターに参加した男性と兵士の彫像が、過去について対話するシュールな作品。彫像が登場した経緯について、「どのような映画にするか話し合っていた時、主演のヴェントゥーラが"エレベーターの中で悪魔を見たことがある"と言ったことがきっかけです。そこで、悪魔の代わりに兵士にしようという話になりました」ここでコスタ監督は、身動きせずに静止するパフォーマンス・アートで、チャップリンやモーツァルトなども演じて世界チャンピオンになった人物がポルトガルにいた事を思い出す。劇中でも微動だにせず、人が演じているのか、本物の彫像なのか区別がつかないほどだが、「日本の能や舞踊などにも詳しい彼を、兵士の彫像役に起用しました」。この他、『命の嘆き』の英語タイトル『sweet exorcist』についても、アメリカのミュージシャン、カーティス・メイフィールドのアルバムタイトルからの引用であると明かした。


また、元々はそれぞれの監督がポルトガルの古都"ギマランイス"を舞台にする予定だったが、『命の嘆き』はギマランイスで撮影していない。この件に関して、「どうしてもギマランイスで撮ることができなかったので、いつもと同じ場所で撮影したいとお願いしました。」と説明。続けて、「ギマランイスで撮影したのは、カウリスマキ監督とオリヴェイラ監督ですね。こういう企画はしばしば観光プロモーションになりがちですが、本作ではどの監督もそういったリスクを回避できたのではないでしょうか」と巨匠たちによるカルテットの出来栄えを、満足そうに語った。


1202costa_3.jpg3D映画に対する興味や他の監督が手掛けた作品に対する印象など、様々な質問にも一つ一つ言葉を選ぶように、丁寧に答えてくれたコスタ監督。考え抜いたその話しぶりに、観客も満足した様子だった。『ギマランイス地区(仮題)』は来年劇場公開予定。夢のような巨匠たちの組み合わせを、ぜひ劇場で楽しんでほしい。また、コスタ監督は映画祭後もしばらく日本に滞在し、東京・品川にある原美術館の「MU[無]─ペドロ コスタ&ルイ シャフェス」と題した展示やオーディトリウム渋谷で開催される特集上映「ペドロ・コスタ&ルイ・シャフェスのカルト・ブランシュ」に参加する予定。ぜひとも足を運んで、その世界に触れてみてはいかがだろうか。


(取材・文:井上健一、撮影:関戸あゆみ)


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