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『二十四の瞳』親子上映会


TOKYO FILMeX (2012年11月23日 17:30)

1123nijushi_1.jpg第13回東京フィルメックスの初日となった11月23日(祝)、銀座のメゾンエルメス10階ル・ステュディオにて、『二十四の瞳』親子上映会が開催された。ル・ステュディオと、東京フィルメックスによる子ども向け映画ワークショップ「<映画>の時間」、および木下惠介生誕100年祭との共同で行われたこの無料上映会は、小学生から高校生までの子どもたちと保護者を対象としたもの。上映終了後、東京フィルメックスの金谷重朗さんによるレクチャーが行われた。


『二十四の瞳』は1954年に制作された。原作は壺井栄が1952年に書いた同名小説。長年にわたり、学校などで若い世代が読むことを推奨されてきた作品だ。高峰秀子演じる大石先生が小豆島の分教場に新米教師として赴任してくる最初の場面は1928年、今から83年前のこと。子どもたちが成長するに従い、満州事変から太平洋戦争へ、日本は激動の時代へと進んでいく。歴史の授業で学ぶ事柄だが、21世紀の子どもたちはどのように感じたのだろうか。「親子での上映会としたのは、家族でこの映画について話してほしいという思いからです。ぜひ、家に帰ってから感想を話し合ってみてください」と金谷さん。


1123nijushi_2.jpg主演の高峰秀子について、金谷さんは「日本を代表する女優といえば、必ず名前の上がる人」と紹介した。昭和初期から子役としてキャリアをスタートし、『二十四の瞳』当時24歳。その後も数えきれないほどの映画に出演し、2年前の2010年末に亡くなった。


続いて、この映画の「作者」である木下惠介監督について説明された。小説は一人の作家が書いたものだが、映画は出演者やスタッフ等、たくさんの人がみんなで作るもの。「でも、その中でも一番責任を持っている人が監督。『二十四の瞳』は木下監督の代表作です。涙を誘うような映画を作る人、というイメージがひろくありますが、実は様々なタイプの映画をたくさん撮っています」。木下監督は1912年12月5日生まれで、今年がちょうど生誕100年。それを記念して開催されている特集上映では、木下作品の多様性を楽しむことができるプログラムが組まれている。


1123nijushi_3.jpg金谷さんが「黒澤明の名前を聞いたことのある人はいますか?」と呼びかけると、何人かの子どもたちから手が挙がった。「有名な『七人の侍』は、『二十四の瞳』と同じ1954年の作品。キネマ旬報ベスト10で、『七人の侍』はその年の3位、『二十四の瞳』は1位でした。ちなみに2位は『女の園』という映画で、これもなんと木下監督の作品です」と、木下監督が当時とても人気があり、評価が高かったことが分かるデータが披露された。


また金谷さんは、木下監督についての映画が現在制作されていると紹介。子どもたちにも馴染みの深い『クレヨンしんちゃん モーレツ!オトナ帝国の逆襲』(2001)『嵐を呼ぶ アッパレ!戦国大合戦』(2002)を撮った原恵一監督の、初の実写作品となる。『はじまりのみち』(2013年公開予定)という作品で、木下監督が『陸軍』(1944)を撮っていた頃のエピソードだという。


『二十四の瞳』では、12人の子どもたちの小学1年の頃と、成長した5、6年生で、それぞれ弟と兄、妹と姉が同じ役を演じている。オーディションの際に「よく似た兄弟姉妹」を全国募集し、なんと3600組の応募があったという。「このように木下監督はアイデア豊かな人で、常に新しいことに挑戦していました」。日本で初めてのカラーの映画『カルメン故郷に帰る』(1951)を撮った監督でもある。金谷さんは、今日の上映会をきっかけに興味が沸いたら、日本の古い映画をぜひたくさん観て欲しい、と締めくくった。


特集上映・木下惠介生誕100年祭は東銀座・東劇にて第13回東京フィルメックス会期中に英語字幕付きで19作品が上映される。『二十四の瞳』は12/2(日)、バリアフリー日本語字幕付上映が行われる。また、会期後の12月3日〜7日にも英語字幕なしの5作品も加えて上映される。


(取材・文:花房佳代、撮影:関戸あゆみ)







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