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『ティエダンのラブソング』ハオ・ジェ監督、イエ・ランさんQ&A


TOKYO FILMeX (2012年11月25日 16:00)

1125tiedan_1.jpg11月25日、有楽町朝日ホールにてコンペティション作品『ティエダンのラブソング』が上映され、上映後のQ&Aにはハオ・ジェ監督と主演のイエ・ランさんが登壇した。
第11回東京フィルメックスで『独身男』が審査員特別賞を受賞したハオ監督は「日本に再び来ることができ、また皆さんとお会いできて本当に嬉しい」と挨拶。また『独身男』に続き出演したイエさんも「こんなに沢山の方が、作品を観に来て下さって嬉しいです」と笑顔を見せた。


まず、市山尚三東京フィルメックスプログラム・ディレクターが「二人台(アルレンタイ)」という中国歌謡を題材に選んだ理由について質問した。「主に中国の国の河北省、山西省、陝西省、内モンゴル地方で、男女二人一組で演じられる地方芝居。この地域の方言がほとんど同じなので、広く普及しています。演目には、ここに暮らす人々の人生が根付いています。人生の喜び、悲しみ、苦しみ、欲望や性といった内容を歌いあげている」とハオ監督。


1125tiedan_3.jpgまた、劇中で主人公ティエダンの初恋の女性メイ、その長女と三女の三役を演じたイエさんへは、演じる上での苦労はなかったのかとの質問。イエさんは前作『独身男』に続き、ハオ監督作品は2回目の出演。「アマチュアの方と芝居を合わせることには、前回ほど苦労はしなかった」とイエさん。「三役を演じることは、大きな挑戦でもありましたが、貴重な経験にもなった」と語り、観客からの質疑応答へと移った。


まず、最初に劇中で2度描かれた結婚式のシーンに込められた意味について訊かれると、「幻想と現実を描いた」とハオ監督。田舎における結婚は「お嫁さんを貰い、跡継ぎをつくることは非常に大切で、夢であると同時に叶えなくてはいけない現実を意味している」と説明した。
モンゴル族に娘が嫁いでいくシーンを挙げて「今でもこうした結婚があるのか?」という質問が寄せられると、「かつて大飢饉が起きた困難な時代には、少なくとも娘が飢えることはないだろう、と結婚させることもあったが、改革開放が進んだ現在ではほとんどありません。人々の目は大都市に向いています」と応じた。

1125tiedan_7.jpg次に、ティエダンの人生と音楽・歌の結びつきを強く感じたという観客からの「音楽を選ぶ際には、脚本段階から構想しているのか?」という質問には、「登場した様々な風景や言葉、動物の全てをどうしても描いておきたかった」と語り、「この映画は、僕の人生や生きている実感と密接に結びついているし、メイは自分自身の女性に対する憧れを表しています」とハオ監督。「急激な変化を遂げる中国では、作品中の風景は壊れつつある。確かに田舎は、都会のように発展はしていないが、この土地を心のよりどころとして生きている人々は明るくて強い。先祖代々続く命の営みや暮らしを残しておきたかった」。


歌声が印象的なティエダンを演じたフォン・スーさんは実際に二人台劇団の俳優で、監督は「彼の歌と雰囲気なくしては出来なかった作品」と消えつつある伝統文化への想いを込めて語った。
二人台劇団の現状についての質問には、「現代化の波にのまれて、存在そのものが風前の灯」と説明し、「新しいものが好きな若者の目は都市部に向いてしまい、今では老人たちしか見ないものになっている」と語った。


最後の質問では、『独身男』に続いて描かれた肉体感に感動したという観客から次回作の構想について訊かれると、ハオ監督は「農村から都会に出ていく若者の青春の一コマを描きたい」と応じ、「僕自身1980年代生まれ(バーリンホウ)世代のひとり。大学を出たからと言ってよい職にも付けない、それでも恋愛をしたり...自身の半生と重なる内容を企画しています」と語った。
実は、作品中にこっそりと出演していたというハオ監督。「撮り続ける限り、出演しようと思います」と語り、会場からは次回作への期待も込めて盛大な拍手が送られた。


(取材・文:阿部由美子、撮影:永島聡子、吉田留美)


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