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学生審査員による特別座談会


TOKYO FILMeX (2012年10月31日 13:01)

東京学生映画祭(以下、東学祭)が審査員の選出と賞の運営を行う「学生審査員賞」が昨年から始まった。3名の学生審査員によって、コンペティション部門から一本が選ばれる。昨年は奥田庸介監督の『東京プレイボーイクラブ』が受賞。今年の学生審査員をつとめる山戸結希さん(上智大学4年)、三原慧悟さん(慶応義塾大学4年)、長井龍さん(明治大学3年、第24回東学祭実行委員会代表)に、今年の運営を担当する第25回東学祭実行委員の関根朋恵さんを加えた4人に、東京フィルメックス事務局でお話をうかがった。
 

--今日の座談会の目的は、学生審査員賞の存在をアピールすること。去年から学生審査員賞を創設したものの、まだそれほど広く認知されていないと感じています。また、みなさんの好きな映画のことなど、肩肘張らないお話を聞かせていただくことで、若い世代のお客さんにとって映画祭が身近な存在として感じてもらえればと思います。
 
--山戸さんと三原さんは監督作品を第24回東京学生映画祭に出品。皆さん、もともと映画を作りたかったのでしょうか?
 
三原「僕はもともと演劇に興味があり、最初は演劇サークルに入りました。映画を作ったのは、学祭のコンペ(KEIO SHORT MOVIE FESTIVAL)に出そうと思ったのがきっかけです。出演者、スタッフは演劇サークルの仲間で、僕が一人で映画のことを勉強して、みんなに手伝ってもらったという感じ。東学祭に出品した『ひとりぼっちの世界』は8本目の作品です」
山戸「もともとは、映画を観るのが好きでした。出品作は、去年の夏に撮影した『あの娘が海辺で踊ってる』で、1本目の作品です。上智大には映画を作るサークルがなかったため、去年の春自分で映画研究会を立ち上げることから始めました。いまは30人~40人くらい部員がいます」
関根「私は、もっぱら映画を「観る」方ですね」
長井「僕は見る方も、作る方も...欲張りな方です(笑)ただ、自分が関わった作品の公開や映画祭を経験して、「上映する」ことが楽しいな、と最近思っています」
 
--長井さんと関根さんに、映画祭のスタッフという「見せる」方に関わろうと思ったきっかけを伺いたいのですが...。
 
長井「大学に入って東京に来たら、何でもいいから映画に関わろう、と思っていました。高三のときに東学祭の存在を知って、上京して最初の週にミーティングに参加し、そこからずっと...どっぷりはまっちゃって。一回経験すると、いろんな人や作品に出会えて、面白いな、と。気付いたら2年間、やっていました」
関根「東学祭には去年からスタッフとして参加しています。映画は好きだけど、映画を作ろうという考えはなくて...。それでも何かしらの立場で映画に関われないかなと思っていろいろ探していた時に、東学祭にたどりつきました。今では東学祭を通じて知らなかった世界を知ることができて、映画が人と人とを確かにつなぐ瞬間のようなものが見えたりして、本当に素敵な経験をさせていただいています」
 
--みなさん、どんな映画が好きですか?映画にハマったきっかけの作品はありますか?
 
山戸「真利子哲也監督の映画を初めて見たとき、衝撃を受けました。超とんがってるな、って。それから自主映画をたくさん観るようになりましたが、そこまで面白いと思えるものは少なかったです。「自主映画だから」じゃなくて、この「監督」が面白いんだな、と気付きました。その後、東京国際映画祭で松江哲明監督の『ライブテープ』を観て、「観たかったのはこういう映画だ」と感じ、それをきっかけに映画を作りたいと思いました。河瀬直美監督も好き」
関根「私は最近の日本映画が好きで、この監督のこの作品、というよりも役者さんを追いかけて映画を観ることが多いです。特に阿部サダヲさんが好き。それまでは日本映画ばかり観ていたのですが、浪人時代にひたすら映画を観る時間があり、その時に初めて外国映画を観るようになりました。史実に基づいた話が特に好きです」
三原「僕はもともとそれほど映画には関心がなかった。大学1年の時に学内のコンペに出して、最終選考の3本に残ったんです。その時の優秀作品がよくわかんないアートっぽい映画で...なんでこれが評価されてんのかな、って。森に、妖精が〜、みたいな。確かに技術とか凄いんだけど、全然面白くないと思いました。審査委員の堤幸彦監督と受賞者が舞台上で話してる、その高尚っぽい芸術論みたいなのにすごく苛立ちを覚えた。それで、普通の大学生である自分が面白いと思う映画を作ろうって思いました。「普通の感覚で面白い」って、みんなそう思ってても恥ずかしくて言えないっていう風潮があるような気がする」
 
--三原さんが思う「普通に面白い」って?
 
三原「う〜ん......。少し前ですがTVドラマの『イケメン☆パラダイス』とか。他愛ない友情を描いてるんだけど、単純に楽しかった」
 
--三原さんが監督した『ひとりぼっちの世界』は、ストーリーがしっかり練り込んであって、「観客を楽しませよう」という意志を感じました。「奇をてらって変わったものを作ろう」という気負いは感じなくて、職人的に面白さを追求しているような...。目標としている監督がいるんですか?
 
三原「いやあ...特にいないかな...」
山戸「え〜、いつもクドカンって言ってるよね」
三原「(笑)宮藤官九郎さんの作品は全般的に好きです。舞台も役者も映画もやるっていう。ああいう感じを目指してます」
 
--長井さんは。
 
長井「好きな映画は、と聞かれて答えるのは『蒲田行進曲』です。高校の時に観て、「映画っていいな」って思いました。小学生の頃からTSUTAYAが好きで...借りなくてもパッケージだけ見て楽しんでて(笑)だから映画のタイトルだけはいろいろ知ってたんですけど。で、TSUTAYAでたまたま『蒲田行進曲』を手に取ったんです。主題歌だけ知っていて、その興味から観ました」
 
--それはなかなか珍しいTSUTAYAの楽しみ方ですね(笑)みなさんが普段映画を観る時には、どういうポイントで選びますか?観たいと思うきっかけって何ですか?
 
山戸「ツイッターとか、タマフル(TBSラジオ「ウィークエンドシャッフル」)とか?」
長井「タマフルとか映画秘宝の「俺たちの映画!」ってノリが苦手なんですよね...」
山戸「長井くんフェミニンだもんね。私はフラットな情報源のひとつとして利用してます。今はツイッターで映画の感想がたくさん回ってくるので、それは大きいと感じます」
三原「話題になっているものや、友達に勧められたものかな...ある特定の有名人が良いって言ってたから、っていうのはあまりないです」
 
--映画祭に足を運ぶことはありますか?
 
山戸「去年の東京国際映画祭は、学生料金が500円だったのでいっぱい観に行きました、好きだった人と一緒に。甘酸っぱい思い出です...」
関根「大きな映画祭の存在だけは知っているという感じでした。東学祭に入ってからは運営の立場からいろいろな映画祭があるのを知って、たくさん観に行ってみたいなと思うようになりました」
三原「小規模な学生映画祭に出品して、参加することはあります」
 
--映画祭のイメージは各人ばらばらなんですね。フィルメックスは東京国際映画祭とはまた雰囲気も違います。コンペの9作品を全部観るというのは、ストイックに映画を観る特訓になるかも知れませんね。フィルメックスで楽しみにしていること、期待していることはありますか?
 
山戸「そうですね。コンペのすべての作品を、一瞬も見逃さずに、大切に体験したいと思っています。フィルメックス自体は、去年も今年もとても気になるラインナップで、学生審査員にならなくても観に来ただろうなと思う作品がたくさんあります。園子温監督の『BAD FILM』は、先走って9月にカナザワ映画祭で観て来てしまったんですが、最高過ぎました。この映画が撮影された東京で上映されることも、Q&Aも楽しみにしています。」
 
--最後に、学生審査員としての意気込みを。
 
山戸「私は運命の一本に出会いに来てて、誰になんと言われようと自分の信念に基づいて審査したいと思っています。そしていつか、将来フィルメックスのコンペに監督として帰って来たい。その時まで一貫するような志を持って選びたいと思っています。審査も映画的でありたいです。」
三原「僕ほど映画祭に出品して審査落ちしてる人間もいないと思う。そういうのもあって、真剣に、誠実に選びたいって思ってます」
長井「東学祭では同じ学生の映画を審査していましたが、今回は世界中の、より大きな対象を審査するという責任感を楽しみつつ、自分の意見も出して行けたらな、と思います」
 
山戸結希監督の東京学生映画祭審査員特別賞受賞作品『あの娘が海辺で踊ってる』は、11/10(土)〜16(金)ポレポレ東中野で連日21時より公開が決まっている。
 
(文:花房佳代)






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